[文書名] 共同プレスリリース 日米サイバー対話
1 2017年2月の安倍晋三内閣総理大臣及びドナルド・J・トランプ大統領との間の会談を受け、両国がサイバー分野における二国間の安全保障協力を拡大することを再確認した両首脳の共同声明に基づいて、2017年7月20日及び21日、日米両政府は第5回日米サイバー対話を東京で開催した。
2 日米両国は、日米サイバー対話が二国間のサイバーに関する幅広い問題に関する政府全体の協力を促進してきたとの認識を共有し、この分野における共同の取組を更に強化する決意を確認した。
3 自由、民主主義及び人権といった基本的価値を共有する同盟国として、また有数の技術力を有する先進国として、両国は、アクセス可能で、開かれ、相互運用可能な、信頼できる、かつ、安全なサイバー空間が世界における経済的、社会的及び政治的な発展に貢献していることを認識した。
4 日米両国は、最も深刻な悪意あるサイバー活動が、国際社会の平和、繁栄及び安定を潜在的に損ない得るとの懸念を共有した。
5 日米両国は、サイバー空間の安全と強靱性は、民間セクター、学術界、市民社会を含む様々な活動主体による国内及び国際双方における密接な協力と連携を通じてのみ十分に達成し得ることを認識し、両国内及び両国間における官民連携を促進することにコミットした。
6 2015年4月27日に発出された「日米防衛協力のための指針」に基づき、両国はサイバー空間における協力が着実に進められていることに留意した。また、日米両国は、日本の防衛省及び米国国防省の間における日米サイバー防衛政策ワーキンググループ(CDPWG)の進展を歓迎した。
7 日米両国は、特に以下の分野における継続的かつ強化された協力を歓迎するとともに、サイバー空間の安全、安定及び繁栄を促進し続けるために、関連する国際法及び国内法に従って、取組を更に発展させることに改めてコミットした。
(1)情報共有
日米両国は、戦略的、政策的及び技術的観点から、最近のサイバー事案及びこれに対処する
ための取組、並びに台頭する脅威についてレビューした。両政府は、サイバーに関する脅威及び事案に関する情報共有を進展させ続ける。特に、本年5月、日本の内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、米国国土安全保障省の自動インディケーター共有(AIS)プログラムへの参加を表明した。両国は、発生し得るサイバー事案の予防及び対処を支援するため、サイバーセキュリティに関する情報共有を更に強化することを確認した。
(2)国内における取組の強化
a. 政府全体としてのアプローチに基づき、日米両政府は、両国の取組や知見を共有しつつ、各々の国内におけるサイバーセキュリティ上の措置を強化してきた。両国は重要インフラの強靱性が両国にとって不可欠であることを認識し、各々のアプローチに対する相互理解を深めることを確認した。また、両国は、日本の経済産業省と米国国土安全保障省との間の共同訓練に関する取組を通じたものを含め、産業制御システムのサイバーセキュリティに関する連携を一層強化することにコミットした。
b. 日米両国は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に関する準備について議論するとともに、この目的に向けたサイバーセキュリティに関する取組強化のため、内閣サイバーセキュリティセンター及び国土安全保障省を含む関係当局間の協力を歓迎した。
c. 日米両国は、サイバー事案の深刻度を判断するために各々が発展させているアプローチについての考え方を共有するとともに、相互の努力を更に発展させ、将来の事案に効果的に対処するために協力することで一致した。
d. 日米両国は、ボットネットのような自動化された大規模な分散型サイバー攻撃が、とりわけモノのインターネット化(IoT)を通じた連接性の増大の文脈において、サイバー空間に対する深刻な脅威となり得ることを認識する。両国は、適切な関係主体と連携しつつ、インターネットの強靱性を強化し、ボットネットと戦い、IoTのサイバーセキュリティを向上させるためのアプローチを共有する意図を有する。
(3)国際的なサイバー空間の安定性の維持・強化
a. 日米両国は、国際安全保障の文脈における情報通信分野の発展に関する第5会期国連政府専門家会合やG7伊勢志摩サイバーグループ(ISCG)等を通じて、国際法、平時における自発的で非拘束的な責任ある国家の行動に係る規範及び信頼醸成措置に係る分野において緊密に連携しており、サイバー空間における紛争予防、協力及び安定のための戦略的な枠組みを促進し続ける。
b. 日米両国は、関連する国内法及び国家責任法を含む国際法に従って、悪意あるサイバー活動を抑止し、また対処するための協力を強化し続ける。
c. 日米両国は、発展途上国の能力の構築が、両国自身の安全に寄与するのみならず、国際社会全体のリスクを軽減することを認識する。両国は、受入れ国のニーズを考慮しつつ、支援を提供するために相互に協力し、また民間セクターと連携する意図を有する。
8 サイバー空間に関する国際社会のアクセス、依存及び技術革新は増大し続ける。日米両国は、両国及び国際社会の平和、安定及び繁栄のため、本件対話を通じたものを含め、民間パートナーとともに、共有された取組を進展させる決意を確認した。