データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第3回日豪サイバー政策協議 共同ステートメント

[場所] 
[年月日] 2017年12月12日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

12月11日(月曜日),東京において,第3回日豪サイバー政策協議が開催された。当該協議は二国間,地域的及び国際的なサイバー問題に関する両国の広範な積極的関与と長期間に及ぶ協力関係を反映するものである。

サイバー空間の越境性は課題と機会を同時に提供するものである。デジタル技術及びインターネットは経済成長及び技術革新の重要な推進力である。同様に,全世界的なICTネットワークへの依存が増加するにつれて,混乱の潜在的コストは大きく,増加の一途をたどっている。両国は,ますます接続された世界に潜む危険性に対処しながらも,機会を活用するために協働していくことを再確認した。

日本とオーストラリアは,サイバー脅威にみられる急速な発展に対処するための両国のサイバーセキュリティに関する取組への理解をさらに深めた。両国は,サイバー空間における脅威動向,各国サイバーセキュリティの取組,地域的・国際的な文脈におけるサイバーセキュリティ協力,二国間の文脈でのサイバーセキュリティ協力に関する主要な課題について意見交換を行った。

両国は,開かれた自由で公正で安全なサイバースペースへの積極的な取組を再確認した。我々は,既存の国際法がサイバー空間において適用可能であること,既存の国際法のサイバー空間における国家の行動への適用,平時における合意された国家の責任ある行動に関する自発的な規範の促進並びに調整された能力構築計画に支えられたサイバーに関する国家間の実務的な信頼醸成措置の発展及び実施から構成される国際的なサイバー空間の安定に関する戦略的枠組みを促進することに取り組むことを再確認した。

また,両国は,国連サイバー政府専門家会合におけるICT分野の発展に関するGGEレポートに一致する形で行動することを再確認した。さらに,両国はサイバーに関するASEAN地域フォーラム(ARF)会期間会合等の国際的・地域的な協議の場において,国際法及び規範の精緻化,信頼醸成措置並びに能力構築支援に関し,協力を続けていく。また両国は、関連する国内法及び国際法に従って、重大なサイバー事案を抑止し、また対処することを含む,悪意あるサイバー活動に対して対処していくための協力を強化し続けることを再確認した。

この政府横断的な協議の共同議長は,大鷹正人外務省サイバー政策担当大使とトビアス・フィーキン外務貿易省サイバー担当大使が務め,日本から,内閣サイバーセキュリティセンター,国家安全保障局,内閣情報調査室,警察庁,総務省,公安調査庁,外務省,経済産業省,防衛省,JPCERT/CC,情報処理推進機構(IPA)の関係者が,豪側からは,首相府,外務貿易省,豪州サイバーセキュリティセンター,CERTオーストラリアの関係者がそれぞれ出席した。

両国は来年以降の協力に関する優先的な分野を以下のとおり特定した:

・ IoT機器を守るためのそれぞれの国内的な取組を共有すること

・ 情報共有メカニズムを強化すること

・ 地域的な能力構築の取組を調整すること

・ 重大なサイバー事案を抑止及び対処するための協力を強化すること

・ サイバーセキュリティに関するARF会期間会合を含む地域的なフォーラムにおける協力を強化すること

両国は,第4回日豪サイバー政策協議を,来年,キャンベラで開催する予定である。

(了)