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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第4回日英サイバー協議 共同プレスステートメント

[場所] ロンドン
[年月日] 2018年3月16日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

1 3月16日,英国ロンドンにおいて,第4回日英サイバー協議が開催された。

2 この政府横断的な協議は,サラ・テイラー外務省サイバー政策部長(Ms. Sarah Taylor, Director Cyber, National Security Directorate, Foreign and Commonwealth Office(FCO))と大鷹正人外務省総合外交政策局審議官兼サイバー政策担当大使が共同議長を務めた。英側から,外務省,内閣府,デジタル・文化・メディア・スポーツ省,防衛省,内務省,ナショナルサイバーセキュリティセンター(NCSC)が,日本側から,国家安全保障局,内閣サイバーセキュリティセンター(NISC),内閣情報調査室,警察庁,総務省,経済産業省,防衛省を含む関係省庁が出席した。

3 この協議において,両者は,サイバーセキュリティ分野における両国の取組や戦略について意見交換を行った。また,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を含む両国それぞれが開催する大規模行事に向けたサイバーセキュリティ,能力構築支援,モノのインターネット(IoT)の安全性及びサイバー空間におけるルールに基づく国際秩序の適用を支援するための協力を含む様々な事項に係る二国間の協力について議論を行った。

4 2017年8月の日英首脳会談で合意された日英共同ビジョン声明及び安全保障協力に関する日英共同宣言並びに同年12月の第3回日英安保・防衛閣僚会合(2+2)共同声明に沿って,両者は,自由で,開かれ,平和的で,公平かつ安全なサイバー空間の促進へのコミットメントを改めて表明し,それが世界的な社会・経済の発展に不可欠であること並びに表現の自由を含む人権及びインターネット・ガバナンスにおけるマルチステークホルダー・アプローチの重要性を再確認した。

5 日英両国は,既存の国際法の適用,自発的で非拘束的な責任ある国家の行動に係る合意された規範,信頼醸成措置及び能力構築支援から成る,サイバー空間のための国際的な安定の枠組みを促進し,関連する国内法及び既存の国際法に従い,適切な枠組みを通じ,悪意のあるサイバー活動を抑止し,軽減し,原因を特定するため情報交換を含む協力を強化していくことへのコミットメントを再確認した。

6 両者は,2018年2月22日にブルネイのバンダル・スリ・ブガワンで日英が共催したASEAN諸国向けサイバーワークショップの成功及び,信頼醸成措置を策定し,実施するためのASEAN地域フォーラム(ARF)の枠組みにおけるイニシアティブを歓迎した。

7 両国は来年の協力に関する以下の事項を優先的な分野として特定した。

− IoT機器を守るためのそれぞれの国内的な取組を共有すること

− 悪意のあるサイバー活動を抑止し,軽減し,原因を特定するため情報交換を含む協力を強化すること

− 地域的な能力構築の取組を調整すること

− 大規模な行事に向けたサイバーセキュリティについて協力すること

− サイバー空間においてルールに基づく国際秩序を推進すること

8 このため,両者は,さらなる協力のための将来の全ての機会を検討しつつ,来年,双方が合意する日程で,東京にて第5回日英サイバー協議を開催することを確認した。