データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 第4回日EUサイバー対話 共同ステートメント

[場所] 
[年月日] 2019年6月11日
[出典] 外務省
[備考] 仮訳
[全文] 

 2019年6月11日に開催された第4回日EUサイバー対話の機会に,日本と欧州連合(EU)は,社会的・経済的成長を促進し人権及び基本的自由が尊重される,開かれ,自由で,公正で,安定し,安全なサイバー空間を支持するパートナーシップを確認した。

 双方は,それぞれの戦略,政策,法令に関連する進展について紹介した。双方は,デジタル経済・社会における信頼を強化するため,サイバーセキュリティの強化について引き続き協力していくことを確認するとともに,デジタル分野の発展が供与する機会を実現するためにも,安定し,安全なサイバー空間が必要であることを強調した。

 双方は,悪意を持って情報通信技術(Information and Communication Technologies: ICT)を乱用するいかなる行為も非難し,サイバー空間における国際紛争の解決に平和的手段をもって取り組むことを確認した。双方は,サイバー空間において責任ある行動を促進するため,同空間において悪意ある活動を行う者を捕捉し,悪意あるサイバー活動を抑止し対応するために引き続き協力を強化する目的で協働することの重要性を強調した。双方は,国際安全保障の文脈における情報通信分野での発展に関する国連における政府専門家会合(United Nations Group of Governmental Experts on Developments in the Field of Information and Telecommunications in the Context of International Security: UNGGE),並びにオープンエンド作業会合の文脈において引き続き協力していくことについてのコミットメントを確認した。

 双方は,サイバー空間における脅威を防止及び緩和し,サイバー犯罪者を捜査及び訴追するためのグローバルな能力を強化するため、国際的な協力が必要であることを強調した。双方は,サイバー犯罪に立ち向かうための国内法令及び国際協力のための強固な基盤であるサイバー犯罪におけるブダペスト条約の重要性に留意し,グローバルな能力を強化し,ベストプラクティスを交換していくことについてのコミットメントを確認した。

 さらに,双方は,いかなる国も,企業又は商業部門に競争上の優位性を与えることを意図して,ICTにより可能となる営業上の秘密その他の企業秘密に係る情報を含む知的財産の窃取の実行又は幇助をすべきではないことを改めて確認し

た。

 第4回日EUサイバー対話において,双方はサイバーに関する事項についての日EU間のパートナーシップを確認・強化した。双方は,サイバー分野におけるそれぞれの作業の相乗効果を特定し,ICTのセキュリティ及びその使用に関するARF会期間会合,及びICTの使用に起因する紛争のリスクを低減するための信頼醸成措置に関するオープンエンド・スタディ・グループ等を通じ,開かれ,自由で,安定し安全なサイバー空間の実現に取り組んでいくことを表明した。双方は,グローバルな強靱性を構築し,刑事法による対応を強化し,また国際協力を通じてサイバー空間におけるグローバルな安定性を強化するため,引き続き協力していくことを確認した。

 第4回日EUサイバー対話は,2019年6月11日にブリュッセルにて開催された。多くの部局・機関が今次会合に参加し,EU加盟国がオブザーバーとして同対話に参加した。第5回日EUサイバー対話は東京にて約1年後に開催される予定。

(了)