[文書名] 第5回日仏サイバー協議 共同声明
1 2019年7月12日,レンヌにおいて,第5回日仏サイバー協議が開催された。
2 今次協議においては,大鷹正人外務省総合外交政策局審議官兼サイバー政策担当大使と アンリ・ヴェルディエ欧州・外務省デジタル大使(Mr. Henri Verdier, Ambassador for Digital Affairs, Ministry of Europe and Foreign Affairs)が共同議長を務めた。日本側からは,内閣サイバーセキュリティセンター(NISC),内閣情報調査室,総務省,外務省,経済産業省,JPCERT/CC,防衛省が,仏側からは,欧州・外務省,軍事省,司法省,国家情報システムセキュリティ庁,サイバー・クラスター(レンヌの産官学連携拠点),ブルターニュ地域圏が出席した。
3 この協議において,日仏両国はそれぞれの脅威認識を示すとともに,それぞれのサイバーセキュリティ政策の直近の進展を説明した。両国は,国連を始めとする,サイバー空間における平和と安全に関する多国間のフォーラムにおける議論とイニシアチブ,データ・フロー,5Gを含むICTのサプライチェーンリスク及びIoTに関するサイバーセキュリティの強化及びデジタル製品・サービス・プロセスのライフサイクル・バリューチェーンを通じたセキュリティの強化への対応についても議論した。両国は,特にオリンピック・パラリンピック大会のような大規模なイベントにおけるサイバーセキュリティ,重要インフラの防護,サイバーセキュリティにおける民間部門の役割,能力構築,第三者との二国間協議,及び地域と多国間の文脈におけるサイバーセキュリティ協力についても議論した。両国は,これらの分野における協力を深化させるための複数の道筋と分野を特定した。
4 サイバー空間における信頼性と安全性のためのパリ・コール,G7ディナール外相会合で発出された「サイバー規範イニシアティブに関するディナール宣言」,G20大阪サミットで共有された「信頼性のある自由なデータ流通(Data free flow with trust)」の考え方や「大阪トラック」の立ち上げ等に留意しつつ,日仏両国は,開かれた,自由,公正かつ安全なサイバー空間へのコミットメントを再表明し,及びサイバー空間への既存の国際法の適用を強調することの重要性を再確認した。両国はまた,国際安全保障の文脈における情報通信分野での発展に関する政府専門家会合(United Nations Group of Governmental Experts on Developments in the Field of Informaiton and Telecommunications in the Context of International security : UNGGE)及びオープンエンド作業部会が,過去のGGEにおける成果を前提に,コンセンサスにより,相互補完的にかつ効果的に実施されるよう協力する意思を再確認した。両国はまた,自発的で,非拘束的な責任ある国家の行動規範,信頼醸成措置及び能力構築支援の推進・実行を求めた。両国はまた,関係する国内法及び既存の国際法に沿った適切な枠組みを通じた,悪意あるサイバー活動を抑止し,軽減し,原因を特定するための情報共有等の協力を強化する意思を再表明した。両国は,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会及び2024年パリオリンピック・パラリンピック競技大会が近づく中,サイバーセキュリティに関する協力を発展させることを希望する。両国は引き続き,特にサイバー犯罪条約とその第二追加議定書に関して現在行われている作業の枠組において,サイバー犯罪対策に積極的に努める。
5 日仏両国は来年,日本において第6回日仏サイバー協議を開催することを確認した。