データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 協力及び電子的証拠の開示の強化に関するサイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書(略称:サイバー犯罪に関する条約の第二追加議定書)

[場所] ストラスブール
[年月日] 2022年5月12日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文] 

     前文

 欧州評議会の加盟国及び二千一年十一月二十三日にブダペストで署名のために開放されたサイバー犯罪に関する条約(ETS第百八十五号。以下「条約」という。)のその他の締約国であって、この議定書の署名国であるものは、

 世界の全ての地域における条約の及ぶ範囲及びその影響に留意し、

 条約が、二千三年一月二十八日にストラスブールで署名のために開放されたコンピュータ・システムを利用して行われる人種差別的及び排外主義的性質を有する行為の犯罪化に関する追加議定書(ETS第百八十九号。以下「第一議定書」という。)により、第一議定書の締約国の間において既に補足されたことを想起し、

 欧州評議会で採択された刑事についての協力に関する既存の諸条約並びに条約の締約国の間の刑事についての協力に関する他の協定及び取極を考慮し、

 また いかなる国も加入するよう招請されることができる個人情報の自動処理における個人の保護に関する条約(ETS第百八号)(二千十八年十月十日にストラスブールで署名のために開放された改正議定書(CETS第二百二十三号)によって改正されたもの)を考慮し、

 インターネット・サービスを含む情報通信技術の利用が拡大していること並びに民主主義及び法の支配に対する脅威であり、かつ、多くの国が人権に対する脅威でもあるとみなすサイバー犯罪が増加していることを認識し、

 また、サイバー犯罪の被害者の数が増加していること及びこれらの被害者のために正義を実現することが重要であることを認識し、

 各国政府が、効果的な捜査及び追訴によることを含め、オフラインの犯罪のみならずオンラインの犯罪からも社会及び個人を保護する責任を有することを想起し、

 国外の、複数の又は不明な管轄地においてコンピュータ・システムに電子的形態で蔵置された犯罪の証拠が増加していることを認めるとともに、刑事司法による効果的な対応を可能にし、及び法の支配を擁護することを目的として、そのような証拠を合法的に取得するために追加の措置が必要であることを確信し、

 国家と民間部門との間の協力を拡大し及び一層効率化することが必要であること並びにこのこととの関連において、サービス・プロバイダその他の団体が電子データの開示に係る他の締約国の刑事司法当局からの直接の要請に回答することができる状況に関し、当該サービス・プロバイダその他の団体のために明確性及び法的な確実性の向上が必要であることを認識し、   

 したがって、より効率的な相互援助及び他の形態による権限のある当局の間の協力、緊急事態における協力並びに権限のある当局と関連する情報を保有し、又は管理しているサービス・プロバイダその他の団体との間の直接の協力に関する追加の手段により、特定の捜査又は刑事訴訟を目的としたサイバー犯罪に関する協力及びあらゆる犯罪に関する電子的形態の証拠の収集を一層強化することを目的とし、

 刑事司法を目的とした効果的な国境を越える協力(公的部門と民間部門との間の協力を含む。)が人権及び基本的自由の保護のための効果的な条件及び保障措置から利益を受けることを確信とし、

 捜査のための電子的証拠の収集がしばしば個人情報に関係することを認識するとともに、多くの締約国において、自国の憲法上の義務および国際的な義務を遵守するためにプライバシー及び個人情報の保護が必要とされていることを認識し、

 サイバー犯罪に関する効果的な刑事司法上の措置及び電子的形態の証拠の収集が、人権及び基本的自由(千九百五十年に欧州評議会で採択された人権及び基本的自由の保護に関する条約(ETS第五号)、千九百六十六年に国際連合で採択された市民的及び政治的権利に関する国際規約、千九百八十一年に採択された人及び人民の権利に関するアフリカ憲章、千九百六十九年に採択された人権に関する米州条約その他の人権に関する国際条約等の人権に関する適用可能な国際文書に基づく各国の義務に従って生ずる権利を含む。)の適当な保護を規定する条件及び保障措置に従うことを確保することが必要であることに留意して、

 次のとおり協定した。

 第一章 共通規定

   第一条 目的

この議定書は、次のものを補足することを目的とする。

 a 締約国の間においては、条約

 b 第一議定書の締約国でもある締約国の間においては、第一議定書

   第二条 適用範囲

1 この議定書に別段の定めがある場合を除くほか、この議定書に定める措置は、次の事項について適用する。

 a 条約の締約国である締約国の間においては、コンピュータ・システム及びコンピュータ・データに関連する犯罪に関する特定の捜査又は刑事訴訟並びに犯罪に関する電子的形態の証拠の収集

 b 第一議定書の締約国である締約国の間においては、第一議定書に定める犯罪に関する特定の捜査又は刑事訴訟

2 各締約国は、この議定書に定める義務を履行するため、必要な立法その他の措置をとる。

   第三条 定義

1 条約第一条及び第十八条3に定める定義は、この議定書について適用する。

2 この議定書の適用上、次の追加の定義を適用する。

 a 「中央当局」とは、相互援助条約又は統一的若しくは相互主義的な法令を基礎とする取極であって、関係締約国の間において有効なものに基づいて指定される一又は二以上の当局をいい、そのような相互援助条約又は取極が存在しない場合には、締約国により条約第二十七条2aの規定に基づいて指定される一又は二以上の当局をいう。

 b 「権威のある当局」とは、特定の捜査又は刑事訴訟に関する証拠の収集又は提出を目的としてこの議定書に定める措置の実施を命じ、許可し、又は遂行する権限を国内法令によって与えられた司法当局、行政当局その他の法執行当局をいう。

 c 「緊急事態」とは、自然人の生命又は安全への重大なかつ差し迫った危険がある事態をいう。

 d 「個人情報」とは、特定された又は特定し得る自然人に関する情報をいう。

 e 「移転締約国」とは、要請に応じ、又は共同捜査チームの一員としてデータを伝達する締約国をいい、また、次章第二節の想定の適用上、データを伝達するサービス・プロバイダ又はドメイン名の登録サービスを提供する団体がその領域内に所在する締約国をいう。

   第四条 言語

1 締約国に提出される要請及び命令並びにこれらに添付される情報は、要請を受ける締約国若しくは第七條5の規定に基づき通報を受ける締約国が受け入れることができる言語によるものとし、又はそのような言語による翻訳文を添付する。

2 第七条の規定に基づく命令及び第六条の規定に基づく要請並びにこれらに添付される情報は、次のいずれかの要件を満たすものとする。

 a 他方の締約国の言語であって、サービス・プロバイダ又は団体が同様の国内手続の下で同様の命令及び要請を受け入れる際に用いるものにより提出されること。

 b サービス・プロバイダ又は団体が受け入れることができるその他の言語により提出されること。

 c a又はbに規定する言語のうちいずれか一の言語による翻訳文を添付すること。


 第二章 協力の強化のための措置

  第一節 この章の規定について適用される一般原則

   第五条 この章の規定について適用される一般原則

1 締約国は、この章の規定に従い、できる限り広範に協力する。

2 次節は、次条及び第七条から成り、他の締約国の領域内に所在するサービス・プロバイダ及び団体との直接の協力を強化するための手続を定める。同節の規定は、相互援助条約又は統一的若しくは相互主義的な法令を基礎とする取極であって、関係締約国の間において有効なものが存在するかどうかにかかわらず、適用する。

3 第三節は、第八条及び第九条から成り、蔵置されたコンピュータ・データの開示のための当局間の国際協力を強化するための手続を定める。同節の規定は、相互援助条約又は統一的若しくは相互主義的な法令を基礎とする取極であって、要請を行う締約国と要請を受ける締約国との間において有効なものが存在するかどうかにかかわらず、適用する。

4 第四節は、第十条から成り、緊急事態における相互援助に関する手続を定める。同節の規定は、相互援助条約又は統一的若しくは相互主義的な法令を基礎とする取極であって、要請を行う締約国と要請を受ける締約国との間において有効なものが存在するかどうかにかかわらず、適用する。

5 第五節は、第十一条及び第十二条から成る。同節の規定は、相互援助条約又は統一的若しくは相互主義的な法令を基礎とする取極であって、要請を行う締約国と要請を受ける締約国との間において有効なものが存在しない場合に、適用する。そのような相互援助条約又は取極が存在する場合には、同節の規定は、同条7の規定による場合を除くほか、適用しない。ただし、これらの相互援助条約又は取極が禁止していないときは、関係締約国は、これらの相互援助条約又は取極に代えて同節の規定を適用することを合意により決定することができる。

6 要請を受ける締約国がこの議定書に基づき双罰性を協力の条件とする場合において、援助が求められている犯罪を構成する行為が要請を受ける締約国の法令によって犯罪とされているときは、当該援助が求められている犯罪が、要請を受ける締約国の法令により、要請を行う締約国における犯罪類型と同一の犯罪類型に含まれているかどうか又は要請を行う締約国における用語と同一の用語で定められているかどうかにかかわらず、この条件は、満たされているものとみなす。

7 この章の規定は、他の適用可能な協定、取極、慣行又は国内法令を通じた締約国間の協力及び締約国とサービス・プロバイダその他の団体との間の協力を制限するものではない。

  第二節 他の締約国に所在するサービス・プロバイダ及び団体との直接の協力を強化するための手続

   第六条 ドメイン名の登録情報の要請

1 各締約国は、自国の権限のある当局に対し、特定の捜査又は刑事訴訟を目的として、他の締約国の領域内に所在するドメイン名の登録サービスを提供する団体が保有し、又は管理している情報であってドメイン名の登録者を特定し、又は当該登録者と連絡するためのものを提出するよう当該団体に要請を発する権限を与えるため、必要な立法その他の措置をとる。

2 各締約国は、自国の領域内に所在する団体が、国内法令に定める合理的な条件に従い、1の規定に基づく要請に応じて1に規定する情報を開示することを認めるため、必要な立法その他の措置をとる。

3 1の規定に基づく要請には、次の事項を含める。

 a 要請を発した日付並びに要請を発した権限のある当局を特定する事項及びその連絡先の詳細

 b 情報が求められているドメイン名及び求められている情報(特定のデータの要素を含む。)の詳細な一覧

 c 要請がこの議定書に従って発せられている旨、情報の必要性が特定の捜査又は刑事訴訟との関連性から生じている旨及び当該情報が当該特定の捜査又は刑事訴訟のためにのみ使用される旨の記述

 d 情報の開示の期限及び方法その他特別な手続上の指示

4 締約国は、団体が受け入れることができる場合には、1の規定に基づく要請を電子的な形式で提出することができる。この場合には、適当な水準の安全性及び認証を求めることができる。

5 要請を行う締約国は、1に規定する団体が協力しない場合には、当該団体に対し、求められた情報を開示しない理由を示すよう要請することができる。要請を行う締約国は、当該情報を入手するために利用可能な措置を決定するため、当該団体が所在する締約国との協議を求めることができる。

6 各締約国は、この議定書の署名の間、批准書、受諾書若しくは承認書の寄託の際又は他のいずれかの時に、欧州評議会事務局長に対し、5の規定に基づく協議のために指定された当局を通報する。

7 欧州評議会事務局長は、締約国により6の規定に基づいて指定された当局の登録簿を作成し、これを常に最新のものとする。各締約国は、登録簿のために提供した事項が常に正確であることを確保する。

   第七条 加入者情報の開示

1 各締約国は、自国の権限のある当局に対し、自国の特定の捜査又は刑事訴訟のために必要な場合には、他の締約国の領域内に所在するサービス・プロバイダが保有し、又は管理している特定の蔵置された加入者情報を開示するよう当該サービス・プロバイダに直接命令を発する権限を与えるため、必要な立法その他の措置をとる。

2a 各締約国は、自国の領域内に所在するサービス・プロバイダが、1の規定に基づく命令に応じて加入者情報を開示することができるようにするため、必要な立法その他の措置をとる。

 b 締約国は、この議定書の署名の際又は批准書、受諾書若しくは承認書の寄託の際に、自国の領域内に所在するサービス・プロバイダに発せられる命令に関し、次の宣言を行うことができる。

「第七条1の規定に基づく命令は、検察官若しくは他の司法当局により、又は検察官若しくは他の司法当局による監督その他独立した監督の下で発せられなければならない。」

3 1の規定に基づく命令には、次の事項を明記する。

 a 命令を発した当局及び命令を発した日付

 b 命令がこの議定書に従って発せられている旨の記述

 c 命令の送達を受けるべきサービス・プロバイダの名称及び住所

 d 捜査又は刑事訴訟の対象となっている犯罪

 e 命令を発した当局と異なる場合には、特定の加入者情報を求めている当局

 f 求められている特定の加入者情報についての詳細な説明

4 1の規定に基づく命令には、次の補足的な情報を添付する。

 a 命令を発する権限を当局に与える国内法令上の根拠

 b 捜査され、又は訴追されている犯罪に関する法令の規定及び当該犯罪について適用される刑罰の表示

 c サービス・プロバイダが加入者情報を返送すべき当局の連絡先。当該サービス・プロバイダは、当該当局に対し、回答を行うほか、追加の情報を求めることができる。

 d 加入者情報の返送の期限及び方法

 e データの保全を既に求めたかどうか(保全の日付及び該当する参照番号を含む。)。

 f 特別な手続上の指示

 g 該当する場合には、5の規定に基づき同時の通報が行われた旨の記述

 h 加入者情報の開示を得る上で役立つその他の情報

5a 締約国は、この議定書の署名の際、批准書、受諾書若しくは承認書の寄託の際又は他のいずれかの時に、欧州評議会事務局長に対し、1の規定に基づく命令が自国の領域内に所在するサービス・プロバイダに発せられる場合には、あらゆる事案又は特定の状況において、当該命令を発する締約国から自国に対し、当該命令、補足的な情報及び捜査又は刑事訴訟に関連する事実の要約を同時に通報することを要求する旨を通告することができる。

 b 締約国は、aの規定に基づく通報を要求するかどうかにかかわらず、サービス・プロバイダに対し、特定の状況においては、加入者情報の開示に先立ち自国の当局と協議を行うよう要求することができる。

 c aの規定に基づき通報を受け、又はbの規定に基づき協議を受けた当局は、次のいずれかの場合には、不当に遅滞することなく、サービス・プロバイダに対し、加入者情報を開示しないよう指示することができる。

  i 開示が自国における捜査又は刑事訴訟を害するおそれがある場合

  ii 当該加入者情報が相互援助を通じて求められたとしたならば、条約第二十五条4及び第二十七条4の規定に基づく条件又は拒否の理由が適用されるであろう場合

 d aの規定に基づき通報を受け、又はbの規定に基づき協議を受けた当局は、

  i cの規定の適用のため、4cに規定する当局に対して追加の情報を求めることができる。当該追加の情報は、当該4cに規定する当局の同意なしにサービス・プロバイダに開示してはならない。

  ii 加入者情報を開示しないようサービス・プロバイダに指示した場合には、4cに規定する当局に対し、理由を付して速やかにその旨を通報する。

 e 締約国は、aの規定に基づき通報を受け、及びbからdまでの規定に基づき措置をとる単一の当局を指定する。当該締約国は、aの規定に基づく欧州評議会事務局長への通告を最初に行う際に、同事務局長に対し、当該当局の連絡先を通報する。

 f 欧州評議会事務局長は、締約国によりeの規定に基づいて指定された当局並びに締約国がaの規定に基づく通報を要求するかどうか及びいかなる状況の下で当該通報を要求するかについての登録簿を作成し、これを常に最新のものとする。各締約国は、登録簿のために提供した事項が常に正確であることを確保する。

6 締約国は、サービス・プロバイダが受け入れることができる場合には、1の規定に基づく命令及び4に規定する補足的な情報を電子的な形式で提出することができる。締約国は、5に規定する通報及び追加の情報を電子的な形式で提供することができる。これらの場合には、適当な水準の安全性及び認証をもとめることができる。

7 サービス・プロバイダが、求められた加入者情報を開示しない旨を4cに規定する当局に通知する場合又は1の規定に基づく命令の受領の後三十日以内若しくは4dに定める期限までのいずれか長い方の期間内に当該命令に応じて加入者情報を開示しない場合には、当該命令を発した締約国の権限のある当局は、次条の規定又は他の形態による相互援助によってのみ、当該命令の実行を求めることができる。当該締約国は、当該サービス・プロバイダに対し、当該命令により求められた加入者情報の開示を拒否する理由を示すよう要請することができる。

8 締約国は、この議定書の署名の際又は批准書、受託書若しくは承認書の寄託の際に、1の規定に基づく命令を発する締約国が、次条の規定に基づき加入者情報の開示を求める前に、サービス・プロバイダに対して当該加入者情報の開示を求めなければならない(当該サービス・プロバイダに対して当該加入者情報の開示を求めないことについての合理的な説明を提供する場合を除く。)旨を宣言することができる。

9 締約国は、この議定書の署名の際又は批准書、受託書若しくは承認書の寄託の際に、次のことを行うことができる。

 a この条の規定を適用しない權利を保留すること。

 b この条の規定に基づき一定の種類のアクセスのための番号を開示することが自国の国内法制の基本原則に適合しない場合には、そのような番号についてこの条の規定を適用しない権利を保留すること。

  第三節 蔵置されたコンピュータ・データの開示のための当局間の国際協力を強化するための手続

   第八条 加入者情報及び通信記録の迅速な提出のための他の締約国からの命令の執行

1 各締約国は、自国の権限のある当局に対し、自国の特定の捜査又は刑事訴訟のために必要な場合には、他の締約国への要請の一部として、要請を受ける締約国の領域内に所在するサービス・プロバイダが保有し、又は管理している特定の蔵書された情報であって次に掲げるものを提出することを当該サービス・プロバイダに強制するための命令を発する権限を与えるため、必要な立法その他の措置をとる。

 a 加入者情報

 b 通信記録

2 各締約国は、要請を行う締約国が提出した1の規定に基づく命令を執行するため、必要な立法その他の措置をとる。

3 要請を行う締約国は、その要請において、要請を受ける締約国に対し、1の規定に基づく命令並びに補助的な情報及び特別な手続上の指示を提出する。

 a 命令には、次の事項を明記する。

  i 命令を発した当局及び命令を発した日付

  ii 命令がこの議定書に従って発せられている旨の記述

  iii 命令の送達を受けるべきサービス・プロバイダの名称及び住所

  iv 捜査又は刑事訴訟の対象となっている犯罪

  v 命令を発した当局と異なる場合には、加入者情報又は通信記録を求めている当局

  vi 求められている特定の加入者情報又は通信記録についての詳細な説明

 b 補助的な情報は、要請を受ける締約国が命令を執行することを支援するために提供されるものとし、要請を行う締約国の同意なしにサービス・プロバイダに開示してはならない。補助的な情報には、次の事項を明記する。

  i 命令を発する権限を当局に与える国内法令上の根拠

  ii 捜査され、又は訴追されている犯罪に関する法令の規定及び当該犯罪について適用される刑罰

  iii 要請を行う締約国が、サービス・プロバイダが通信記録を保有し、又は管理していると信ずる理由

  iv 捜査又は刑事訴訟に関連する事実の要約

  v 加入者情報又は通信記録を捜査又は刑事訴訟との関連性

  vi 追加の情報を提供することができる当局の連絡先

  vii 加入者情報又は通信記録の保全を既に求めたかどうか(保全の日付及び該当する参照番号を含む。)。

  viii 加入者情報又は通信記録の保全を既に他の手段により求めたかどうか。既に求めた場合には、いかなる方法によるものか。

 c 要請を行う締約国は、要請を受ける締約国に対し、特別な手続上の指示を実行するよう要請することができる。

4 締約国は、この議定書の署名の際、批准書、受託書若しくは承認書の寄託の際又は他のいずれかの時に、1の規定に基づく命令を執行するために追加の補助的な情報を要求する旨を宣言することができる。

5 要請を受ける締約国は、要請を電子的な形式で受け入れる。要請を受ける締約国は、当該要請を受け入れる前に、適当な水準の安全性及び認証を求めることができる。

6a 要請を受ける締約国は、3及び4に定めるすべての情報の受領の日から遅くとも四十五日以内に命令をサービス・プロバイダに送達するため、妥当な努力を払うものとし、当該サービス・プロバイダに対し、要請された加入者情報又は通信記録を次の期間内に返送するよう命ずる。

  i 加入者情報については、二十日以内

  ii 通信記録については、四十五日以内

 b 要請を受ける締約国は、不当に遅滞することなく、要請を行う締約国に対し、提出を受けた加入者情報又は通信記録を伝達する。

7 要請を受ける締約国は、要請において求められた方法により3cに規定する指示に従うことができない場合には、要請を行う締約国に対し、速やかにその旨を通報するものとし、適当な場合には、当該指示に従うことができる条件を明示する。その後、要請を行う締約国は、それにもかかわらず当該要請が実施されるべきかどうかについて決定する。

8 要請を受ける締約国は、条約第二十五条4又は第二十七条4に定める理由に基づき要請の実施を拒否することができるものとし、要請の実施を認めるために必要と認める条件を課することができる。要請を受ける締約国は、同条5に定める理由に基づき、要請の実施を延期することができる。要請を受ける締約国は、要請を行う締約国に対し、できる限り速やかにその拒否若しくは延期又は当該条件について通報する。要請を受ける締約国は、また、要請を行う締約国に対し、要請の実施を著しく遅延させるおそれがある他の状況についても通報する。条約第二十八条2bの規定は、この条の規定について適用する。

9a 要請を行う締約国は、要請を受ける締約国により8の規定に基づいて課された条件に従うことができない場合には、要請を受ける締約国に対し、速やかにその旨を通報する。この場合において、要請を受ける締約国は、それにもかかわらず情報又は資料を提供すべきかどうかについて決定する。

 b 要請を行う締約国は、要請を受ける締約国により8の規定に基づいて課された条件を受け入れる場合には、当該条件に拘束される。当該条件を付して情報又は資料を提供する要請を受ける締約国は、要請を行う締約国に対し、当該条件に関連して当該情報又は資料がどのように使用されたかについて説明するよう要求することができる。

10 各締約国は、この議定書の署名の際又は批准書、受諾書若しくは承認書の寄託の際に、欧州評議会事務局長に対し、次の指定された当局の連絡先を通報し、これを常に最新のものとする。

 a この条の規定に基づく命令を提出する当局

 b この条の規定に基づく命令を受領する当局

11 締約国は、この議定書の署名の際又は批准書、受諾書若しくは承認書の寄託の際に、この条の規定に基づく他の締約国からの要請が、要請を行う締約国の中央当局又は関係締約国の間の合意により決定されるその他の当局によって提出されることを要求する旨を宣言することができる。

12 欧州評議会事務局長は、締約国により10の規定に基づいて指定された当局の登録簿を作成し、これを常に最新のものとする。各締約国は、登録簿のために提供した事項が常に正確であることを確保する。

13 締約国は、この議定書の署名の際又は批准書、受諾書若しくは承認書の寄託の際に、通信記録についてこの条の規定を適用しない権利を留保することができる。

   第九条 緊急事態における蔵置されたコンピュータ・データの迅速な開示

1a 各締約国は、自国の条約第三十五条に規定する二十四/七ネットワークのための連絡部局(以下「連絡部局」という。)が、緊急事態において相互援助の要請なしに、他の締約国の領域内に所在するサービス・プロバイダが保有し、又は管理している特定の蔵置されたコンピュータ・データの迅速な開示を得るための即時の援助を求める要請を当該他の締約国の連絡部局に伝達し、及び同様の要請を他の締約国の連絡部局から受領することができるようにするため、必要な立法その他の措置をとる。

 b 締約国は、この議定書の署名の際又は批准書、受諾書若しくは承認書の寄託の際に、aの規定に基づく要請であって加入者情報の開示のみを求めるものを実施しない旨を宣言することができる。

2 各締約国は、1の規定に従い、次のことを行うことを可能にするため、必要な立法その他の措置をとる。

 a 自国の当局が、1の規定に基づく要請を受けて、自国の領域内に所在するサービス・プロバイダに対してコンピュータ・データを開示すること。

 b 自国の領域内に所在するサービス・プロバイダが、aの規定に基づく求めに応じて、自国の当局に対し、求められたコンピュータ・データを開示すること。

 c 自国の当局が、要請を行う締約国に対し、要請されたコンピュータ・データを提供すること。

3 1の規定に基づく要請には、次の事項を明記する。

 a コンピュータ・データを求めている権限のある当局及び要請を発した日付

 b 要請がこの議定書に従って発せられている旨の記述

 c 求められているコンピュータ・データを保有し、又は管理しているサービス・プロバイダの名称及び住所

 d 捜査又は刑事訴訟の対象となっている犯罪並びに当該犯罪に関する法令の規定及び当該犯罪について適用される刑罰の表示

 e 緊急事態が存在すること及び求められているコンピュータ・データがそれにどのように関係するかを示す十分な事実

 f 求められているコンピュータ・データについての詳細な説明

 g 特別な手続上の指示

 h 要請しているコンピュータ・データの開示を得る上で役立つその他の情報

4 要請を受ける締約国は、要請を電子的な形式で受け入れる。要請を受ける締約国は、口頭での要請も受け入れることができるものとし、電子的な形式で確認を求めることができる。要請を受ける締約国は、これらの要請を受け入れる前に、適当な水準の安全性及び認証を求めることができる。

5 締約国は、この議定書の署名の際の批准書、受諾若しくは承認書の寄託の際に、自国が1の規定に基づく要請を実施した場合には、その後、要請を行う締約国に対し、当該要請及びその裏付けとして伝達された補足的な情報を、自国が定める形式及び経路(相互援助を含む。)により自国に提出するよう要求する旨を宣言することができる。

6 要請を受ける締約国は、要請を行う締約国に対し、1の規定に基づく要請に関する決定を特に迅速に通報するものとし、適当な場合には、コンピュータ・データを提供するための条件及び利用可能な他の協力の形態を明示する。

7a 要請を行う締約国は、要請を受ける締約国により6の規定に基づいて課された条件に従うことができない場合には、要請を受ける締約国に対し、速やかにその旨を通報する。この場合において、要請を受ける締約国は、それにもかかわらず情報又は資料を提供すべきかどうかについて決定する。要請を行う締約国は、当該条件を受け入れる場合には、当該条件に拘束される。

 b 6に規定する条件を付して情報又は資料を提供する要請を受ける締約国は、要請を行う締約国に対し、当該条件に関連して当該情報又は資料がどのように使用されていたかについて説明するよう要求することができる。

  第四節 緊急事態における相互援助に関する手続

   第十条 緊急事態における相互援助

1 各締約国は、緊急事態が存在すると認める場合には、特に迅速な相互援助を要請することができる。この条の規定に基づく要請には、他の必要な内容に加えて、緊急事態が存在すること及び要請している援助がそれにどのように関係するかを示す事実についての説明を含める。

2 要請を受ける締約国は、要請を電子的な形式で受け入れる。要請をうける締約国は、当該要請を受け入れる前に、適当な水準の安全性及び認証を求めることができる。

3 要請を受ける締約国は、要請を審査するため、補足的な情報を特に迅速に求めることができる。要請を行う締約国は、当該補足的な情報を特に迅速に提供する。

4 要請を受ける締約国は、緊急事態が存在し、かつ、相互援助のための他の要件が満たされたと認める場合には、特に迅速に要請に回答する。

5 各締約国は、相互援助の要請に回答する責任を有する自国の中央当局その他の当局の人員が、この条の規定に基づく要請に回答するために週七日かつ一日二十四時間利用可能であることを確保する。

6 要請を行う締約国及び要請を受ける締約国の相互援助について責任を有する中央当局その他の当局は、この条の規定に基づく要請の実施の結果又はその事前の写しを、当該要請の使用された経路とは別の経路により要請を行う締約国に提供することができることを合意により決定することができる。

7 相互援助條例又は統一的若しくは相互主義的な法令を基礎とする取極であって、要請を行う締約国と要請を受ける締約国との間において有効なものが存在しない場合には、条約第二十七条2b及び3から8まで並びに第二十八条2から4までの規定は、この条の規定について適用する。

8 7に規定する相互援助条約又は取極が存在する場合には、この条の規定は、これらの相互援助条約又は取極によって補足される。ただし、関係締約国がこれらの相互援助条約又は取極に代えて7に規定する条約の規定の一部又は全部を適用することを合意により決定する場合は、この限りではない。

9 各締約国は、この議定書の署名の際又は批准書、受諾書若しくは承認書の寄託の際に、要請の送付を、直接自国の司法当局に対し、又は国際刑事警察機構の経路若しくは条約第三十五条の規定に基づいて設置されている自国の連絡部局を通じて行うこともできる旨を宣言することができる。この場合には、要請を行う締約国の中央当局を通じ、要請を受ける締約国の中央当局に対し、当該要請の写しを同時に送付する。要請が、要請を受ける締約国の司法当局に直接送付された場合において、当該司法当局が当該要請を取り扱う権限を有していないときは、当該要請を自国の権限のある当局に依託し、要請を行う締約国に対し、その委託の事実を直接通報する。

  第五節 適用可能な国際協定が存在場合しない場合の国際協力に関する手続

   第十一条 ビデオ会議

1 要請を行う締約国は、証人又は専門家からビデオ会議により証言及び供述を取得することを要請することができるものとし、要請を受ける締約国は、これを認めることができる。要請を行う締約国及び要請を受ける締約国は、要請の実施について生ずる問題(該当する場合には、いずれの締約国が主宰するか、立ち会う当局及び人員、一方又は双方の締約国が証人又は専門家に特定の宣誓を行わせ、又は警告若しくは指示を与えるかどうか、証人又は専門家に対する質問の方法、証人又は専門家の権利を正当に確保する方法、特権又は免除の主張の取扱い、質問又は回答に対する異議の取扱い並びに一方又は双方の締約国が翻訳、通訳及び記録の役務を提供するかどうかを含む。)の解決を促進するために協議を行う。

2a 要請を受ける締約国及び要請を行う締約国の中央当局は、この条の規定の実施のために、直接相互に連絡する。要請を受ける締約国は、要請を電子的な形式で受け入れることができる。要請を受ける締約国は、当該要請を受け入れる前に、適当な水準の安全性及び認証を求めることができる。

 b 要請を受ける締約国は、要請を実施せず、又はその実施を延期する場合には、要請を行う締約国に対し、その理由を通報する。条約第二十七条8の規定は、この条の規定について適用する。要請を受ける締約国がこの条の規定に従って課することができる他のいかなる条件にも影響を及ぼすことなく、条約第二十八条2から4までの規定は、この条の規定について適用する。

3 この条の規定に基づく援助を提供する要請を受ける締約国は、証言又は供述の提出を求められている者の立会いを得るよう努める。適当な場合には、要請を受ける締約国は、自国の法令の下で可能な範囲内で、証人又は専門家に自国において所定の日時及び場所に出頭することを強調するため、必要な措置をとることができる。

4 要請を受ける締約国の国内法令と両立しない場合を除くほか、要請を行う締約国が定めるビデオ会議の実施に関する手続は、遵守されるものとする。要請を受ける締約国の国内法令と両立しない場合又は要請を行う締約国が手続を定めていない場合には、要請を受ける締約国は、要請を行う締約国との合意により別段の決定を行う場合を除くほか、自国の国内法令に基づく手続を適用する。

5 要請を行う締約国の国内法令に基づく裁判権に影響を及ぼすことなく、証人又は専門家は、ビデオ会議の過程において次のいずれかの行為を行った場合には、要請を受ける締約国において、当該行為が要請を受ける締約国の国内手続において行われた場合と同様に制裁の対象となる。

 a 要請を受ける締約国が自国の国内法令に従い当該証人又は専門家に真実を証言することを義務付けた場合において、故意に虚偽の供述をすること。

 b 要請を受ける締約国が自国の国内法令に従い当該証人又は専門家に証言を行うことを義務付けた場合において、証言を行うことを拒否すること。

 c ビデオ会議の過程において、要請を受ける締約国の国内法令が禁止しているその他の違法な行為を行うこと。

6a 要請を受ける締約国は、要請を行う締約国との合意により別段の決定を行う場合を除くほか、この条の規定に基づく要請の実施に関連する全ての費用を負担する。ただし、次の費用については、この限りでない。

  i 鑑定人に支払う手数料

  ii 翻訳、通訳及び記録に要する費用

  iii 特別な費用

 b 要請を行う締約国及び要請を受ける締約国は、要請を実施するために特別な費用が必要となる場合には、当該要請を実施するための条件について決定するため、相互に協議を行う。

7 要請を行う締約国及び要請を受ける締約国が相互に合意する場合には、

 a この条の規定は、音声会議の実施のために適用することができる。

 b ビデオ会議のための技術は、1に規定する目的又は聴取以外の目的又は聴取(人又は物を特定するためのものを含む。)のために使用することができる。

8 要請を受ける締約国は、被疑者又は被告人の聴取を認めることを選択する場合には、当該被疑者若しくは被告人からの証言若しくは供述の取得又は当該被疑者若しくは被告人に対する通知の提供若しくは手続上の措置の適用に関し、特定の条件及び保障措置を求めることができる。

   第十二条 共同捜査チーム及び共同捜査

1 二以上の締約国の権限のある当局は、協調を強化することが特に有益であると認める場合には、相互の合意により、捜査または刑事訴訟を促進するため、これらの締約国の領域内で共同捜査チームを設置し、及び運営することができる。権限のある当局は、関係締約国がそれぞれ決定する。

2 共同捜査チームの運営を規律する手続及び条件(具体的な目的、構成、任務、期間及び延長期間、場所、組織、情報又は証拠の収集、伝達及び使用の条件、秘密性の条件、一の締約国から共同捜査チームに参加する当局が他の締約国の領域内で行われる捜査活動に関与する条件等)は、権限のある当局の間で合意するところによる。

3 締約国は、この議定書の署名の際又は批准書、受諾書若しくは承認書の寄託の際に、自国の中央当局が、署名その他の方法により、共同捜査チームを設置する合意に同意しなければならない旨を宣言することができる。

4 共同捜査チームに参加する権限のある当局は、直接連絡する。ただし、例外的な事情のため、より中央に近い当局による調整を要する場合には、締約国は、他の適当な連絡の経路を合意により決定することができる。

5 一の締約国から共同捜査チームに参加する当局は、自国の領域内で捜査上の措置がとられる必要がある場合には、自国の他の当局に対し、他の関係締約国による相互援助の要請の提出を必要とすることなしに当該措置をとるよう要請することができる。当該措置は、当該他の当局が、自国の領域内で、かつ、国内における捜査において国内法令に基づいて適用される条件の下で実施する。

6 一の締約国から共同捜査チームに参加する当局によって他の関係締約国から共同捜査チームに参加する当局に提供された情報又は証拠の使用は、1及び2に規定する合意に定める条件に従い、これを拒否し、又は制限することができる。当該合意が使用の拒否又は制限に関する条件を定めていない場合には、締約国は、提供された情報又は証拠を次のいずれかの目的のために使用することができる。

 a 当該合意を締結した目的

 b 当該合意の対象とされた犯罪以外の犯罪を探知し、捜査し、及び訴追すること、この目的のための使用に当たっては、情報又は証拠を提供した当局の事前の同意を必要とする。ただし、情報又は証拠を使用する締約国の基本的な法的原則の下で、刑事訴訟において被告人の権利を保護するために当該情報又は証拠の開示が要求される場合には、同意を要しない。この場合において、当該情報又は証拠を使用する締約国の当局は、不当に遅滞することなく、当該情報又は証拠を提供した当局に対し、その旨を通報する。

 c 緊急事態を防ぐこと。この場合において、合意により格段の決定を行う場合を除くほか、情報又は証拠を受領した共同捜査チームに参加する当局は、不当に遅滞することなく、当該情報又は証拠を提供した共同捜査チームに参加する当局に対し、その旨を通報する。

7 1及び2に規定する合意が存在しない場合には、共同捜査は、個々にその事例に応じて相互に合意する条件の下で行うことができる。この7の規定は、相互援助条約又は統一的若しくは相互主義的な法令を基礎とする取極であって、関係締約国の間において有効なものが存在するかどうかにかかわらず、適用する。

第三章 条件及び保障措置

第十三条 条件及び保障措置

各締約国は、条約第十五条の規定に従い、この議定書に定める権限及び手続の設定、実施及び適用が、自国の国内法令に定める条件及び保障措置であって人権及び自由の適当な保護を規定するものに従うことを確保する。

   第十四条 個人情報の保護

1 適用範囲

 a b及びcに別段の定めがある場合を除くほか、各締約国は、2から15までの規定に従い、この議定書に基づいて受領する個人情報を処理する。

 b この議定書に基づく個人情報の受領の際に、移転締約国及び個人情報を受領する締約国の双方が、個人情報の保護のための包括的な枠組みをこれらの締約国の間に設定する国際協定であって、犯罪の予防、探知、捜査及び訴追を目的とする個人情報の移転について「適用され、並びに当該協定に基づく個人情報の処理が関係締約国における個人情報の保護に関する法令の要件を満たす旨を定めるものによって相互に拘束される場合には、当該協定に定める条件は、関係締約国の間に別段の同意がある場合を除くほか、当該協定の適用を受ける措置に関し、2から15までの規定に代えて、この議定書に基づいて受領する個人情報について適用する。

 c 移転締約国及び個人情報を受領する締約国は、bに規定する協定に相互に拘束されない場合には、この議定書に基づく個人情報の移転を、2から15までの規定に代えて、関係締約国の間の他の協定又は取極に基づいて行うことができることを合意により決定することができる。

 d 各締約国は、a及びbの規定による個人情報の処理が、個人情報の保護に関する自国の法的枠組みにおける個人情報の国際的移転のための要件を満たすと認めるものとし、当該法的枠組みの下で移転のための更なる許可を要求してはならない。締約国は、aの規定が適用される場合にあっては15に定める条件の下でのみ、b又はcのいずれかの規定が適用される場合にあってはb又はcに規定する協定又は取極に定める条件の下でのみ、個人情報の保護を理由としてこの議定書に基づく他の締約国への個人情報の移転を拒否し、又は妨げることができる。

 e この条のいかなる規定も、締約国が、この議定書に基づいて受領する個人情報の自国の当局による処理について、一層厳しい保障措置を適用することを妨げるものではない。

2 目的及び使用

 a 個人情報を受領した締約国は第二条に定める目的のために当該個人情報を処理するものとし、同条に定める目的と両立しない目的のためである場合又は自国の法的枠組みの下で認められていない場合には、当該個人情報の更なる処理を行ってはならない。この条の規定は、移転締約国が個別の事案においてこの議定書に従って追加の条件を課する能力に影響を及ぼすものではない。ただし、当該条件には、個人情報の保護に関する包括的な条件を含めない。

 b 個人情報を受領する締約国は、自国の法的枠組みの下で、自国が要請し、及び処理する個人情報が、その処理の目的と関連性を有しており、かつ、当該目的との関係において過度でないことを確保する。

3 質及び完全性

 各締約国は、個人情報について、その処理の目的を考慮しつつ、その適法な処理のために必要かつ適当な範囲内において、正確でありかつ不備のないことが維持されていること及び最新のものであることを確保するため、妥当な措置をとる。

4 機微に係る個人情報

 締約国は、人種的若しくは民族的出身、政治的意見、宗教的信条その他の信条若しくは労働組合の構成員であることを明らかにする個人情報、遺伝上の情報、関連する危険を考慮して機微に係ると認められる生態認証情報又は健康若しくは性生活に関する個人情報について、その使用による不当かつ有害な影響の危険(特に、違法な差別)からの保護のための適当な保障措置の下でのみ、これらの個人情報を処理することができる。

5 保有期間

 各締約国は、2の規定による処理の目的に鑑み必要かつ適当な期間内に限り、個人情報を保有する。各締約国は、この義務を履行するため、自国の法的枠組みにおいて、一定の保有期間又は個人情報の更なる保有の必要性に関する定期的な審査について規定する。

6 自動化された決定

 個人情報に係る個人の関連する利益に著しい悪影響を及ぼす決定は、個人情報の自動化された処理にのみ基づいて行ってはならない。ただし、当該決定が国内法令の下で認められ、かつ、人の介入を得る可能性を含む適当な保障措置を伴う場合は、この限りではない。

7 個人情報の安全性及び安全性に係る事象

 a 各締約国は、個人情報の保護(特に、滅失又は事故による若しくは許可されていないアクセス、開示、変更若しくは廃棄(以下「安全性に係る事象」という。)からの保護)のため適当な技術的、物理的及び組織的な措置をとっていることを確保する。

 b 個人情報を受領した締約国は、安全性に係る事象であって個人又は他の締約国に対する有形又は無形の損害の著しい危険が存在するものを発見した場合には、その可能性及び規模を速やかに評価し、並びにそのような損害を軽減するため、速やかに適当な措置をとる。当該措置には、当該個人情報を移転した当局又は前章第二節の規定の実施のためにcの規定に従って指定された当局への通報を含める。もっとも、当該通報には、その更なる伝達に関する適当な制限を含めることができるものとし、当該通報が国家の安全保障に脅かすおそれがある場合にあってはこれを延期し、又は省略し、当該通報が公共の安全の保護のための措置を脅かすおそれがある場合にあってはこれを延期することができる。当該個人情報を受領した締約国が適当な手段を講じたことにより当該著しい危険がもはや存在しない場合を除くほか、当該措置には、関係する個人への通知も含める。当該通知は12aiに定める条件の下で、これを延期し、又は省略することができる。当該通報を受けた締約国は、当該安全性に係る事象及びこれへの対応についての協議及び追加の情報を要請することができる。

 c 各締約国は、この議定書の署名の際又は批准書、受諾書若しくは承認書の寄託の際に、欧州評議会事務局長に対し、前章第二節の規定の実施のためにbの規定に基づき通報を受けるべき一又は二以上の当局を通報する。提供した情報は、その後、修正することができる。

8 記録の保持

各締約国は、個人の個人情報が個別の事案においてどのようにアクセスされ、使用され、及び開示されているかを示すため、記録を保持し、又は他の適当な手段をとる。

9  締約国内における更なる共有

 a 締約国の当局が最初にこの議定書に基づいて受領した個人情報を自国の他の当局に提供する場合には、当該他の当局は、この条の規定に従って当該個人情報を処理する。ただし、bの規定の適用を妨げるものではない。

 b aの規定にかかわらず、第十七条の規定に基づき留保を付した締約国は、受領した個人情報を自国の州その他これに類する領域的主体に提供することができる。ただし、当該個人情報を受領した当局がこの条の規定による保護と同等の水準の保護を規定することにより当該個人情報を引き続き効果的に保護するよう、当該締約国が措置をとっていることを条件とする。

 c 移転締約国は、この9の規定の不適切な実施の徴候がある場合には、当該微候についての協議及び関連する情報を要請することができる。

10 他の国又は国際機関への更なる移転

 a 個人情報を受領した締約国は、当該個人情報を移転した当局又は前章第二節の規定の実施のためにbの規定に従って指定された当局による事前の許可を得た場合に限り、当該個人情報を他の国又は国際機関に移転することができる。

 b 各締約国は、この議定書の署名の際又は批准書、受諾書若しくは承認書の寄託の際に、欧州評議会事務局長に対し、前章第二節の規定の実施のために許可を与えるべき一又は二以上の当局を通報する。提供した情報は、その後、修正することができる。

11 透明性及び通知

 a 各締約国は、一般的な通知の公表又は収集された個人情報に係る個人への個別の通知により、次の事項に関する通知を行う。

  i 当該個人情報の処理の法的根拠及び目的

  ii 該当する場合には、5の規定による保有又は審査の期間

  iii 当該個人情報の開示を受ける者又はその分類

  iv 利用可能なアクセス、訂正及び救済

 b 締約国は、個別の通知の要件に関し12aiに定める条件に従い、自国の法的枠組みに基づく合理的な制限を課することができる。

 c 移転締約国は、他の締約国に提供された個人情報に係る個人に対して個別の通知を行うことが自国の法的枠組みにいて要求される場合には、他の締約国が個人情報の移転の際にその要求及び適当な連絡先について通報を受けるよう措置をとる。個別の通知は、他の締約国が個人情報の提供を秘密のものとして取り扱うことを要請した場合において、12aiに定める制限のための条件が適用されるときは、行ってはならない。当該制限がもはや適用されず、個別の通知を行うことができる場合には、当該他の締約国は、移転締約国がその旨の通知をうけるよう措置をとる。移転締約国は、当該通報をまだ受けていない場合には、当該他の締約国に対し、当該制限を維持するかどうかについて移転締約国に通報するよう要請する権利を有する。

12 アクセス及び訂正

 a 各締約国は、この議定書に基づいて受領した個人情報に係る個人が、自国の法的枠組みに定める手続きに従い、不当に遅滞することなく、次の事項を求め、及び取得する権利を有することを確保する。

  i 当該締約国が当該個人に関して保有している書類の書面による又は電子的形態の写しであって、当該個人の個人情報並びに当該個人情報の処理の法的根拠及び目的、当該個人情報の保有期間並びに当該個人情報の開示を受ける者又はその分類を示す利用可能な情報を含むものへのアクセス(以下「アクセス」という。)並びに利用可能な救済の選択肢に関する情報。ただし、特定の事案におけるアクセスについては、自国の法的枠組みの下で認められる比例的な制限であって、その決定の際に他の者の権利及び自由又は一般的な公共の利益という重要な目的を保護するために必要であり、かつ、関係する個人の正当な利益を十分に考慮するものの適用を条件とすることができる。

  ii 当該個人の個人情報が不正確であり、又は不適切に処理されたものである場合には、その訂正。訂正には、訂正の根拠及び当該個人情報の処理に係る個別の事情を考慮して適当かつ合理的な場合には、修正、補足、抹消若しくは匿名化、処理の制限又はプロッキングを含む。

 b 締約国は、アクセス又は訂正を拒否し、又は制限する場合には、不当に遅滞することなく、アクセス又は訂正を求めた個人に対し、書面(電子的に提供することができる。)により、その拒否又は制限について通知する回答を提供する。当該回答においては、当該拒否又は制限の根拠及び利用可能な救済の選択肢に関する情報を提供する。アクセスを取得するために要する費用は、合理的であり、かつ、過大でない額に制限すべきである。

13 司法上及び非司法上の救済手段

各締約国は、この条の規定の違反についての救済を与える効果的な司法上及び非司法上の救済手段を有するものとする。

14 監督

 各締約国は、この条に定める措置について独立の、かつ、効果的な監督の任務及び権限を単独又は共同で遂行し、又は行使する一又は二以上の公的機関を有するものとする。単独又は共同で行動するこれらの期間の任務及び権限には、調査の権限、申し立てられた不服に応じて行動する権限及び是正措置をとる能力を含める。

15 協議及び停止

 一の締約国は、他の締約国がこの条に定める条件に対する組織的若しくは重大な違反をしていること又は重大な違反が差し迫っていることの実質的な証拠を有する場合には、当該他の締約国への個人譲歩の移転を停止することができる。当該一の締約国は、合理的な通報を行うことなしに、また、関係締約国が合理的な期間にわたり協議を行ったにもかかわらず解決に至らなかった時まで、移転を停止してはならない。もっとも、組織的又は重大な違反が、自然人に対し、その生命若しくは安全への重大なかつ差し迫った危険又は実質的な信用上若しくは金銭上の被害をもたらす場合には、当該一の締約国は、暫定的に移転を停止することができる。この場合において、当該一の締約国は停止の後直ちに、当該他の締約国にその旨を通報し、および当該他の締約国との協議を開始する。当該他の締約国は、協議が解決に至らなかった場合において、移転を停止した当該一の締約国による停止がこの15に定める条件に違反していることの実質的な証拠を有するときには、相互に移転を停止することができる。移転を停止した当該一の締約国は、停止を正当化する違反が是正された場合には、速やかに停止を解除するものとし、いかなる相互の停止も、その時点で解除される。停止の前に移転された個人情報は、引き続きこの議定書に従って取り扱われる。

 第四章 最終規定

   第十五条 この議定書の効果

1a 條約第三十九条2の規定は、この議定書について適用する。

 b 欧州連合の構成国である締約国については、その相互の関係において、この議定書が取り扱う事項を規律する欧州連合の法令を適用することができる。

 c bの規定は、欧州連合の構成国である締約国とその他の締約国との間におけるこの議定書の全面的な適用に影響を及ぼすものではない。

2 条約第三十九条3の規定は、この議定書について適用する。

   第十六条 署名及び効力発生

1 この議定書は、条約の締約国による署名のために開放しておく。条約の締約国は、次のいずれかの方法により、この議定書に拘束されることについての同意を表明することができる。

 a 批准、受諾又は承認を条件とすることなく署名すること。

 b 批准、受諾又は承認を条件として署名した後、批准し、受諾し、又は承認すること。

2 批准書、受諾書又は承認書は、欧州評議会事務局長に寄託する。

3 この議定書は、条約の五の締約国が1及び2の規定に従いこの議定書に拘束されることについての同意を表明した日の後三箇月の期間が満了する日の属する月の翌月の初日に効力を生ずる。

   第十七条 連邦条項

1 連邦制の国は、次のことを条件として、この議定書に基づく義務を中央政府とその他これに類する領域的主体との間の関係を規律する基本原則に適合する範囲内において履行する権利を留保することができる。

 a この議定書が、当該連邦制の国の中央政府について適用されること。

 b そのような留保が、第二章の規定に従い他の締約国から求められる協力を与える義務に影響を及ぼすものでないこと。

 c 第十三の規定が、当該連邦制の国の州その他これに類する領域的主体について適用されること。

2 1の規定に基づき留保を付した連邦制の国の州その他これに類する領域的主体が他の締約国の領域内に所在する当局、サービス・プロバイダ又は団体に直接要請又は命令を提出する場合には、当該他の締約国は、当該当局、サービス・プロバイダ又は団体が当該要請又は命令に応じて協力することを妨げることができる。ただし、当該連邦制の国が、欧州評議会事務局長に対し、当該州その他これに類する領域的主体は、そのような通報についての登録簿を作成し、これを常に最新のものとする。

3 命令若しくは要請が連邦制の国の中央政府を通じて提出された場合又は第十二条の規定に基づく共同捜査チームに関する合意が当該中央政府の参加を得て締結される場合には、他の締約国は、1の規定に基づく留保を理由として、自国の領域内に所在する当局、サービス・プロバイダ又は団体が当該連邦制の国の州その他これに類する領域的主体と協力することを妨げてはならない。この場合において、当該中央政府は、当該州その他これに類する領域的主体に提供される個人情報の保護に関し第十四条9に定める条件(該当する場合には、同条1b又はcに規定する協定又は取極に定める条件)のみが適用されることを条件として、この議定書上の適用される義務の履行を確保する。

4 この議定書の規定のうち、州その他これに類する領域的主体の管轄の下で実施され、かつ、連邦の憲法制度によって州その他これに類する領域的主体が立法措置をとることを義務付けられていないものについては、中央政府は、これらの州その他これに類する領域的主体の権限のある当局に対し、好意的な意見を付して当該規定を通報し、その実施のために適当な措置をとるよう奨励する。

   第十八条 適用領域

1 この議定書は、締約国は条約第三十八条1又は2の規定に基づいて行った宣言において特定した領域について適用する。ただし、当該宣言が同条3の規定に基づいて撤回されない場合に限る。

2 締約国は、この議定書の署名の際又は批准書、受諾書若しくは承認書の寄託の際に、条約第三十八条1又は2の規定に基づいて行った宣言において特定した領域の一又は二以上について、この議定書を適用しない旨を宣言することができる。

3 2の規定に基づく宣言は、当該宣言において特定されたいずれの領域についても、欧州評議会事務局長に宛てた通告により、撤回することができる。その撤回は、同事務局長が当該通告を受領した日の後三箇月の期間が満了する日の属する日の属する月の翌月の初日に効力を生ずる。

   第十九条 留保及び宣言

1 条約のいずれの締約国も、この議定書の署名の際又は批准書、受諾書若しくは承認書の寄託の際に、欧州評議会事務局長に宛てた書面による通告により、第七条9a及びb、第八条13並びに第十七条に定める留保を付する旨を宣言することができる。その他のいかなる留保も付することができない。

2 条約のいずれの締約国も、この議定書の署名の際又は批准書、受諾書若しくは承認書の寄託の際に、欧州評議会事務局長に宛てた書面による通告により、第七条2b及び8、第八条11、第九条1b及び5、第十条9、第十二条3並びに前条2に規定する宣言を行うことができる。

3 条約のいずれの締約国も、第七条5a及びe、第八条4並びに10a及びb、第十四条7c及び10b並びに第十七条2に規定する宣言、通告又は通報については、欧州評議会事務局長に宛てた書面による通告により、これらの規定にそれぞれ定める条件に従って行う。

   第二十条 留保の撤回

1 前条1の規定に従って留保を付した締約国は、状況が許す場合には、当該留保の全部又は一部を速やかに撤回する。その撤回は、欧州評議会事務局長に宛てた通告が受領された日に効力を生ずる。当該通告に、留保の撤回が当該通告において特定された日に効力を生ずる旨が記載されており、かつ、当該特定された日が、同事務局長が当該通告を受領した日よりも遅い日である場合には、当該撤回は、当該特定された日に効力を生ずる。

2 欧州評議会事務局長は、前条1の規定に従って留保を付した締約国に対し、当該留保を撤回する見込みについて定期的に照会することができる。

   第二十一条 改正

1 いずれの締約国も、この議定書の改正を提案することができる。欧州評議会事務局長は、欧州評議会の加盟国、条約の締約国及び署名国並びに条約に加入するよう招請された国に対し、改定案を通報する。

2 締約国が提案する改正案は、犯罪問題に関する欧州委員会(以下「CDPC」という。)に通報され、CDPCは、当該改正案に関する意見を欧州評議会閣僚委員会に提出する。

3 欧州評議会閣僚委員会は、改正案及びCDPCが提出した意見を検討するものとし、条約の締約国と協議を行った後、当該改正案を採択することができる。

4 欧州評議会閣僚委員会により3の規定に従って採択された改正は、受諾のため締約国に送付される。

5 3の規定に従って採択された改正は、全ての締約国が欧州評議会事務局長に対しその受諾を通告した後三十日目の日に効力を生ずる。

   第二十二条 紛争の解決

 条約四十五条の規定は、この議定書について適用する。

   第二十三条 締約国間の協議及び実施の評価

1 条約第四十六条の規定は、この議定書について適用する。

2 締約国は、この議定書の効果的な活用及び実施について定期的に評価するものとし、二千二十年十月十六日に改正されたサイバー犯罪条約委員会の手続規則第二条の規定を準用する。締約国は、この議定書の効力発生の五年後に、この議定書について準用される同条の手続について最初に見直しを行うものとし、コンセンサス方式による決定により、当該手続を修正することができる。

3 第十四条の規定についての見直しは、条約の十の締約国がこの議定書に拘束されることについての同意を表明した後、開始する。

   第二十四条 廃棄

1 いずれの締約国も、欧州評議会事務局長に宛てた通告により、いつでもこの議定書を廃棄することができる。

2 廃棄は、欧州評議会事務局長が通告を受領した日の後三箇月の期間が満了する日の属する月の翌月の初日に効力を生ずる。

3 いずれかの締約国による条約の廃棄は、この議定書の廃棄を構成する。

4 廃棄の効力発生の日の前に移転された情報又は証拠は、引き続きこの議定書に従って取り扱われる。

   第二十五条 通報

 欧州評議会事務局長は、欧州評議会の加盟国、条約の締約国及び署名国並びに条約に加入するよう招請された国に対し、次の事項を通報する。

 a 署名

 b 批准書、受諾書又は承認書の寄託

 c 第十六条3及び4の規定によるこの議定書の効力発生の日

 d 第十九条の規定に従って行なわれた宣言若しくは同条の規定に従って付された留保又は第二十条の規定に従って行なわれた留保の撤回

 e この議定書に関して行われたその他の行為、通告又は通報

 以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの議定書に署名した。

 二千二十二年五月十二日にストラスブールで、ひとしく正文である英語及びフランス語により本書一通を作成した。本書は、欧州評議会に寄託する。欧州評議会事務局長は、欧州評議会の各加盟国、条約の締約国及び署名国並びに条約に加入するよう招請された全ての国に対し、その認証謄本を送付する。