[文書名] 第1回APEC閣僚会議共同声明(骨子)
1989年11月6〜7日、豪州、ブルネイ、カナダ、インドネシア、日本、韓国、マレイシア、NZ、フィリピン、シンガポール、タイ及び米国の閣僚たちは、アジア・太平洋地域経済協力のプロセスをいかに進めるにつき討議を行うため、豪州キャンベラに会合した。同会合に出席した閣僚たち及びオブザーバー全員のリストが本発表に添付されている。
かかる討議では、次の4つの議題項目の下に種々の課題が網羅された。
−世界経済及び本地域経済における進展
−グローバルな貿易自由化−アジア・太平洋地域の役割
−特定分野における地域協力の可能性
−アジア・太平洋経済協力のための将来の方途
この第一回会合を終えるに際し、閣僚たちは、共通の関心事項に関する、本地域における、より緊密な地域協議及び経済協力の価値を示した今回の討議に満足の意を表明した。
閣僚たちは、また、ASEAN並びにASEANの有する対話関係が、アジア・太平洋地域協力の今までの発展に対して行ってきた重要な貢献を認識する旨表明し、ASEANの機構のメカニズムが、本地域における経済協力の幅を広げ、強化するための現行の勢力を支援する上で引き続き果たしうる顕著な役割に留意した。
多角的貿易交渉{前7文字下線}
世界的及び地域的進展並びに世界的貿易自由化に関する討議は、特に、多角的貿易交渉の今次ラウンドの推進が必要であることに集中した。キャンベラにおいて代表される各国経済は、強固で開放的な多角的貿易システムに大きく依存しており、アジア太平洋経済協力が、貿易ブロック形成に向けられるべきであるとは誰も考えない。
閣僚たちは、多角的な貿易システムの一層の開放が、地域の全ての国にとって実質的かつ共通の利益であること、そして、ウルグアイラウンドは、幅広い基礎に立ってこの目的を追求するためのもっとも直接かつ現実的な機会であることに意見の一致をみた。特に、閣僚たちは、開放された市場と、ラウンドを1990年12月までに成功裏に完了させることを通じ貿易を拡大することへのコミットメントを再確認した。
閣僚たちは、域内における緊密な協議の持続が、ラウンドにいかなる形であれ、積極的な成果をもたらすために生かされるべきであることにつき合意した。この意味で、貿易政策に関係を有する閣僚たちが、1990年9月初めに会合し、現在現れつつある結果につき検討すると共に、包括的かつ実り有る多角的貿易交渉の成果に対する障害をいかに除去するかにつき検討する。閣僚たちは、12月初めの最終セッションの直前に再びブラッセルで会合する。それまでの間は、高級官吏がジュネーブで定期的に協議し、多角的貿易交渉の進捗につき意見交換する。
閣僚たちは、ウルグアイラウンドの時宜を得、かつ、成功裏の完了への強い支持を表明した。彼等は、1990年12月完了を達成しようとすれば、多くのことがなされなければならないことに留意した。彼等は、全ての締約国に対し、この目的のため、共に作業することを呼びかけた。
将来への諸措置{前7文字下線}
閣僚たちは、現段階において、閣僚レベルのフォーラムあるいはそのため必要とされる支援メカニズムに関し、何らかの特定の組織につき合意をすることは、時期尚早であるが、種々の構想が検討されている間に、さらに一層の協議会合が開催され、共通の関心及び懸案事項につき検討が行われることが適当であることに意見の一致をみた。
右に伴い、閣僚たちは、1990年央に第2回の閣僚レベル協議会合を主催するとのシンガポールの招請を歓迎し、また、1991年に、ソウルで第3回のかかる会合を主催するとの韓国の提案を歓迎した。
閣僚たちは、各国の高級官吏に対し、ASEAN事務局からの代表と共に、1990年の早い段階に、次回の閣僚レベル協議会合のための準備を開始するため、会合することを要請した。
彼等は、高級官吏に対し、地域的経済協力のための幾つかの可能なテーマ、将来の会合への他の国ないし地域(other economies)の参加の可能性並びにかかる協力の将来に関連する他の問題点に関し、一層の検討作業を、次回会合での閣僚たちによる検討のために開始し、あるいは軌道に乗せるよう要請した。
議長総括{前4文字下線}
この共同発表には今次会合の討議の内容を記録したエバンズ議長の議長総括が添付されている。
参加閣僚と代表団は、豪州政府及び国民に対し、本会合を組織したこと、そしてそのための素晴らしいアレンジと暖かいホスピタリティーを提供したことに対し深じんなる謝意を表明した。
キャンベラにて
1989年11月7日