[文書名] 第6回APEC閣僚会議共同声明
1.オーストラリア,ブルネイ,カナダ,チリ,中国,香港,インドネシア,日本,韓国,マレイシア,メキシコ,ニュー・ジーランド,パプア・ニューギニア,フィリピン,シンガポール,チャイニーズ・タイペイ,タイ及び米国の閣僚は,1994年11月11日及び12日にインドネシアのジャカルタで行われた第6回アジア太平洋経済協力(APEC)閣僚会議に参加した。APEC事務局のメンバーも出席した。ASEAN事務局,太平洋経済協力委員会(PECC)及び南太平洋フォーラム(SPF)は,オブザーバーとして出席した。
2.インドネシアのスハルト大統領は,会議を開会し,第6回閣僚会議に出席したすべての代表団に対し暖かい歓迎の意を表明した。同大統領は,今日の世界情勢はすべての国民が繁栄と福利を増進するために一層衡平な,安定した,安全なかつ平和な新世界秩序を協力して作り出す機会を提供していると述べた。この点に関し,アジア太平洋地域は,その適切な経済政策により顕著な進歩を達成してきた。
3.同大統領は,APEC協力は将来更に発展させられるべきであるとの見解を表明した。同大統領は,アジア太平洋地域がマクロ経済政策分野における協議を強化し,経済インフラの質,人材養成,中小企業の質及び量並びに適切な技術の獲得及び開発を促進するとともに,投資の流れ及び貿易を促進し続けるべきであると述べた。
4.会議は,インドネシアのハルタルト工業・商業担当調整大臣が議長を務めた。ハルタルト調整大臣はそのスピーチの中で,インドネシアで開かれた第6回APEC閣僚会議は貿易及び投資のより大きな増進に向けられていることを強調した。同大臣は,更に,閣僚会議は,人材養成,中小企業の改善,インフラの改善及び民間/ビジネス部門の関与に関する経済協力を支援することにより,APECにおける協力が結果としてアジア太平洋地域の市民に繁栄をもたらすと述べた。米国のクリストファー国務長官は,第5回APEC閣僚会議の議長として,1994年におけるAPECの議長国であるインドネシアが第6回閣僚会議を主催したことに対し,深甚なる謝意を表明した。同国務長官は,スハルト大統領,アラタス大臣,ハルタルト大臣及びその同僚がAPECにおけるモメンタムの維持にリーダーシップを発揮し,アジア太平洋地域のダイナミックな性格を反映し強化している活力をAPECに対して付与したことにつき,祝意を表明した。
5.閣僚は,11月15日インドネシアのボゴールで開かれるAPEC経済非公式首脳会議に対する期待の意を表明した。同会議は,域内の持続可能な成長及び共同の繁栄という目的を達成するために,ブレーク島の会議で明示されたヴィジョンを首脳が具体化するための貴重な機会となろう。
6.閣僚は,以下を含む様々な問題につき討議した。
−経済動向及び諸問題
−貿易及び投資の諸問題
−賢人会議第2回報告
−太平洋ビジネス・フォーラム報告
−人材養成
−公共及び民間インフラストラクチャーの改善における協力
−中小企業
−首脳のヴィジョン及びイニシアティヴの実施
−APEC作業計画
−機構問題
−その他
経済動向及び諸問題
7.閣僚は,経済動向及び諸問題に関するアドホック・グループ(ETI)の報告を歓迎し,過去4年間の有益な作業を支持した。閣僚は,域内の経済対話を促進し,経済成長を推進し,そしてすべての市民の経済的福利を増大させるに当たり,同グループの果たす重要な役割を再確認した。閣僚は,APECの,長期的なマクロ経済動向の分析能力及びミクロ経済上の問題の研究能力を強化する必要性を強調した。閣僚は,同グループを経済委員会に転換することに合意し,新しい委員会の付託事項を支持した。
8.閣僚は,チャイニーズ・タイペイが,閣僚の検討のために経済展望に関し有益な作業を行ったことに感謝した。閣僚は,貿易,投資及び技術移転という3つの分野の詳細な現状分析が,各分野についてのAPECの議論を深めるためのよい基礎となることに合意した。
9.閣僚は,以下の進行中の活動に最初から基礎を置く経済委員会の1995年の作業計画につき討議した。
−1995年のAPEC経済展望の作成
−主要経済情報の回覧
−3Eプロジェクト(経済成長,エネルギー及び環境)に関する分析
−民営化と貿易自由化の相互連関の検討
−域内の外国直接投資動向の研究
−域内の産業・技術連関に関する分析
−為替レートの過度の変動が域内の貿易及び投資に及ぼす影響の研究
10.閣僚は,人的資源やその他の資源を有効に活用するすべてのメンバーの能力を強化することにより,アジア太平洋地域の一層の経済協力及び開発を促進することに関する「前進のためのパートナー」を日本が提案したことを歓迎した。閣僚は,この地域の市民の共通の利益のために地域の成長と発展を持続させるための協力はAPECの活動の主要な目的の一つであることを認識し,同提案が高級実務者による検討のために一層敷衍されることに留意した。
賢人会議第2回報告
11.閣僚は,賢人会議(EPG)が,第2回報告を行ったことに対し深甚なる謝意を表明し,APECに対し長期的展望を実現する方途に関する提言を行うとの付託事項を成功裡に履行したことを賞賛した。閣僚は、EPG報告が,貿易・投資促進,貿易自由化及び技術協力という三つの重要な方向でAPECにとってのいくつかの基本的及び重要な原則を打ち出していることを歓迎した。閣僚は,EPG報告が,ボゴールでのAPEC経済非公式首脳会議での検討を含む将来の検討のための貴重な参考資料となることに留意した。
太平洋ビジネス・フォーラム報告
12.閣僚は,太平洋ビジネス・フォーラム(PBF)の共同議長による報告を歓迎し,PBFのメンバーが貴重なビジネス/民間部門の見解を披歴したことを賞賛した。閣僚は,PBF報告の中でなされた多くの具体的提案に対して謝意を表明し,これらが将来における検討の貴重な参考資料となることに留意した。閣僚は,更に,PBF報告が,ボゴール会合においてAPEC経済首脳により検討されることに留意した。
13.閣僚は,APECにおける民間部門の枢要な役割を再確認した。閣僚は,PBFが全会一致で勧告した,ビジネス/民間部門の諮問機関の創設に関する米国の提案を支持した。
貿易及び投資の諸問題
14.閣僚は,CTIによる,1年を通じた貿易・投資に関連した作業において得られた実質的な進捗を歓迎した。閣僚は,貿易・投資の自由化がAPECのアイデンティティ及び活動の礎石の1つであることを再確認した。閣僚は,CTIの年次報告を採択することに合意し,1995年の作業計画に関するCTIの勧告を承認した。
15.閣僚は,CTIの下に二つの小委員会,即ち,基準・認証に関する小委員会及び税関手続に関する小委員会を設立することを支持した。
16.閣僚は,APECの努力を最大限有効なものとするには,適切な技術協力を包含した貿易・投資計画を支援する必要があることを認識した。
貿易担当大臣会合
17.閣僚は,1994年10月6日ジャカルタで開催された貿易担当大臣会合の結果を歓迎した。昨年のシアトルにおける第5回閣僚会議により権限を付与されたとおり,貿易担当大臣会合の主たる目的は,ウルグァイ・ラウンドの結果及びそのAPEC地域に与える影響をレヴューし,地域的及び世界的な貿易自由化のための次の措置を検討することにあった。
18.閣僚は,ウルグァイ・ラウンドの結果の完全な実施を達成するとの決意を再確認し,また,世界貿易機関が1995年1月1日に活動を開始することができるよう,各メンバー経済においてその設立協定の早期締結が確保されるべく最大限の努力を払うことにより指導性を発揮するとの決意を再確認した。この点に関し,閣僚は,APECの非GATTメンバーがWTOの原メンバーとなることを可能とする交渉を可及的速やかに完了することに対する強い支持を表明した。閣僚は,かわる交渉は実質的な,及び商業的に意味ある約束に基づいて行われるべきことを確認した。
19.閣僚は,更に,同会合で合意されたその他のイニシアティヴ,なかんずく以下のものを歓迎した。
−ウルグァイ・ラウンドの結果の実施に関する共通の地域的なアプローチについての意見交換及びかかるアプローチの適用可能性の探求を目的とする一連のAPECセミナーあるいはワークショップを開催すること。
−アンチ・ダンピング,サービス,知的所有権,関税及び原産地規則等の分野におけるウルグァイ・ラウンドの結果の実施を支援するのに特に有益であろう計画を実施すること。
この点に関し,閣僚は,世界貿易,投資及び経済成長に対するAPECの貢献の重要性を同会合が認識したことに留意し,また,貿易自由化のモメンタムを維持することの重要性を強調した。閣僚は,アジア太平洋地域における貿易及び投資の自由化促進努力に対する同会合の支持を評価した。
中小企業
20.閣僚は,1994年における中小企業専門家による優れた作業を賞賛するとともに,この分野における協力の重要性に留意した。閣僚は,また,チャイニーズ・タイペイがAPEC中小企業調査の結果を報告したことを賞賛した。閣僚は,中小企業専門家による2回にわたる会合において作成された勧告を歓迎するとともに,高級実務者に対し,かかる勧告を実施するよう勧奨した。
21.閣僚は,また,中小企業専門家会合の中小企業政策担当者によるアドホック会合への昇格に関する中小企業大臣会合の勧告を支持した。
人材養成
22.閣僚は,「人材養成の枠組み宣言」を採択した。同宣言は,APECにおける人材養成の原則及び要素を明らかにするとともに,かかる原則の今後の実施を計画・管理するためのメカニズムを確立した。
23.閣僚は,人材が,市民の福利を目標とする経済成長及び開発を達成する上で単一最大の財産であることを再確認した。APECが重要分野における技能に対する需要の変化を明らかにできることは重要であり,かかる変化に効率的に対応できなければ成長と開発にボトルネックをもたらし得る。また,要請の変化に応じて柔軟な対応を受け入れるという基本的な姿勢を有する労働力を,公的及び民間の訓練における一般市民教育を通じて創出していくことも重要である。
24.人材養成への投資は,他者の人材養成を増進する能力を基準にして,特定のグループを特に対象として行わなければならない。これらのグループには,ビジネス/民間部門及び公的部門の双方における企業家,管理職及び技術労働者,小中高等学校教育及び職業教育の教育者,メンバー経済におけるより高度な経済開発のために必要とされる技術の訓練指導者,並びにこの地域の将来の経済指導者が含まれる。
25.閣僚は,中小企業,産業・インフラ技術及び現在の成長が将来の繁栄に及ぼす否定的な影響を緩和・回避することを可能とする持続可能な開発に関する公共・民間両部門における訓練の重要性を確認した。
26.閣僚は,民間部門の拠出によりAPEC教育基金を創設するという米国の提案を歓迎した。かかる基金により,APECの人材養成/教育活動全般を跡づけることが可能となり,人材養成作業部会,連携した教育のためのパートナーシップ及び教育フォーラム並びにAPEC教育イニシアティヴに対する支援及び資金援助を行うことができる。米国は,高級実務者及び他の関係機関による検討に供するため本提案に関する詳細な概念説明書を作成することを申し出た。
公共及び商業インフラの改善のための協力
27.閣僚は,APECにとってのインフラ問題及びその将来の経済開発に与える影響の重要性に留意した。閣僚は,商業及び公共インフラの改善のための協力に関し,インドネシアがその有益なペーパーにおいて重要な問題提起を行ったことを賞賛した。閣僚は,1994年10月ジャカルタで開催された世界インフラ・フォーラムの成果に,特にインフラ開発へのビジネス部門の関与を勧奨している点に関心をもって,留意した。
28.閣僚は,インドネシアより提出されたペーパーに含まれる,この分野,特に域内全体に影響を及ぼす二国間のプロジェクトの分野において作業を深める基礎となる提言を支持した。
29.閣僚は,適切,効率的かつ安全な運輸システムが重要であること,及び,既存の施設を有効利用する必要とともに運輸インフラ開発を加速する必要があることを認識しつつ,1995年半ばにAPEC運輸担当大臣会合を主催するという米国の提案を歓迎した。閣僚は,運輸作業部会に対し,この提案の具体化に当たり運輸担当大臣を支援するよう要請することに合意した。
30.情報及び通信は,APEC経済における経済成長及び開発に主要な役割を果たす。国際的及び国内の情報インフラを開発することは,すべてのAPEC経済の優先事項である。閣僚は,APEC情報インフラの開発に対する電気通信作業部会の関心に留意した。閣僚は,更に,ITU世界電気通信開発会議において紹介された世界情報インフラの概念に留意した。閣僚は,電気通信作業部会及びAPECの他の関係フォーラムに対し,将来の作業においてGII概念を研究するよう勧奨した。
APEC作業計画
31.閣僚は,APECプロセスに対する10のAPEC作業部会の重要性を認識し,10の作業部会により行われた活動は,特定の分野におけるこの地域の開発及び繁栄に貢献するというAPECの努力の重要な一部であることを強調した。閣僚は,作業部会が,昨年承認されたヴィジョン・政策課題声明に含まれている目的の実現のために,1994年を通じて一層の努力を行ったことに留意した。閣僚は,APEC作業部会に関する統合報告を承認した。
貿易及び投資のデータ{前10文字下線}
32.閣僚は,APEC経済にとって概ね比較可能な,商品貿易のデータベースの構築に向けた実質的進展を歓迎した。閣僚は,また,サービス貿易,及び外国直接投資の流れに関する公表されたデータを一貫したものにするための作業部会の着実な努力に留意し,同グループに対し,かかる努力を加速するよう指示した。
貿易促進{前4文字下線}
33.閣僚は,作業部会がビジネス/民間部門を以下のような活動に関与させることに積極的であったことを満足の意をもって留意した。
−作業部会は,ビジネス関係者の全面的な参加を得て,貿易促進に関する第4回セミナー及び第3回訓練コース,並びに第1回APEC貿易フェアを成功裡に開催した。
−同部会は,アジア太平洋ビジネス・ネットワーク(APBネット)の構築を支援した。
−同部会は,ビジネス部門により用いられる情報及びデータの収集に従事してきた。
産業科学技術{前6文字下線}
34.閣僚は,産業科学技術の問題に焦点を一層絞り「産業科学技術作業部会」に名称変更した同部会のイニシアティヴに留意した。閣僚は,また,メンバー間の技術移転を促進し,産業科学技術に関する情報の流れを促進するAPECテクノマート等,各種の作業計画に勇気付けられた。
人材養成{前4文字下線}
35.閣僚は,1994年に作業部会が完了した目覚ましい数のプロジェクト,及び1995年に予定されている20の新しい活動(うち八つは完全に自己資金による)に留意し,閣僚の関心事項に直接応じたプロジェクトの数が増えていることに満足の意を表明した。閣僚は,また,閣僚の宣言において表明された,人材養成のための新たな企画立案メカニズムが,こうしたプロジェクトの立案及び実施に更なる弾みを与えるとの自信を表明した。
エネルギー協力{前7文字下線}
36.閣僚は,エネルギー作業部会が,エネルギーのより効率的な送達及び消費を勧奨し,エネルギー利用に伴う環境への影響を緩和するための計画を積極的に実施してきたことを留意した。閣僚は,情報,投資及び貿易のより自由な流れに資する政策討議が技術面にわたる計画を支えるという同部会のイニシアティヴを歓迎し,同グループの作業を指導する14の非拘束的な原則を同部会が支持したことに留意した。
海洋資源保全{前6文字下線}
37.閣僚は,作業部会が,アジア太平洋地域における国際機関の活動の調整を促進することを目的として,UNCEDのアジェンダ21の大洋に関する章の実施に関与する他の国際機関との協議を開始したことに留意した。閣僚は,また,赤潮,及び陸地に起因する汚染の原因を監視・規制する沿岸地帯の統合的管理に関する作業部会の努力を歓迎した。
電気通信{前4文字下線}
38.閣僚は,作業部会が1993年11月のシアトルでの閣僚による勧告に従って策定し合意したとおり,機器認証の地域的調和のためのガイドライン及び国際付加価値ネットワーク・サービス貿易のためのガイドラインを歓迎し,支持した。閣僚は,また,同部会が,積極的な人材養成計画に重点を置き,電子データの相互交換活動の分野で作業を継続していることを評価した。
漁業{前2文字下線}
39.閣僚は,この地域,特に多くの開発途上メンバー経済にとっての漁業の重要性に留意し,また,漁獲技術及び漁獲後の技術,水産食品貿易,水産品の衛生・品質管理,並びに養殖漁業の訓練及び開発における協力分野で作業部会が行っている作業の有益さを認識した。
運輸{前2文字下線}
40.閣僚は,効率的な運輸システムが,地域のインフラの重要な一部として成長と開発の促進に果たす役割の重要性に留意した。閣僚は,運輸部門の更なる改善のための足掛かりとして,地域の運輸システム及びサービスに関する調査が完了したことを歓迎し,また,地域の運輸密集地の問題に現在取り組んでいる同部会のプロジェクトを賞賛した。閣僚は,運輸部門の中小企業に対する規制緩和の効果についての同部会の閣僚への報告を評価した。
観光{前2文字下線}
41.閣僚は,観光作業部会が閣僚に提出した,APEC地域の開発における観光部門の果たす重要な役割及び将来の作業の優先分野を明確にしている声明に留意した。閣僚は,同部会がこれらの優先分野における活動を継続し,更に発展させていることを勧奨した。
首脳の経済ヴィジョン及びイニシアティヴの実施
APEC首脳の経済ヴィジョン声明,1993年:テーマ毎の進捗状況
42.閣僚は,「APEC1994年作業計画:首脳の優先課題及び諸問題に関する進捗状況」と題するカナダによるペーパーの提出に謝意を表明した。閣僚は,同ペーパーが,シアトルにおける首脳のイニシアティヴにAPECの幅広い活動を関連させつつ,同活動の幅及び奥行きにつき有益な調査を行っていることに留意した。閣僚は,この報告の発表をAPECの活動に対する一般の理解に資するものとして支持した。
ブレーク島で表明された首脳のイニシアティヴの進捗状況
1.太平洋ビジネス・フォーラムの創設
43.閣僚は,このフォーラムによって完了された作業を歓迎した。(PBFについての閣僚のコメントの全貌は「太平洋ビジネス・フォーラム報告」の項目で述べられている。)
2.大蔵大臣会合
44.閣僚は,APECの大蔵大臣がハワイのホノルルで1994年3月18日−19日会合し,最近の経済発展,資本の流れ及び金融市場問題等の相互に関心のある分野について,インフラに対する民間の融資に焦点を当てつつ,対話を一層進展させると合意したことに留意した。閣僚は,1995年4月15日−16日にインドネシアにおいて第2回会合を開催するとのAPECの大蔵大臣の決定を歓迎した。
3.APEC教育プログラム
45.閣僚は,多くのAPECメンバー経済の参加を通じたプログラムの実現に向けた進展を歓迎し,メンバー経済間の結びつきの強化における教育面での連繋の重要性,特にメンバー経済におけるAPEC研究センターに関する進展に留意した。
46.閣僚は,1994年9月11日−16日韓国の済州島において「繁栄する太平洋時代に向けて」とのテーマの下にワークショップが開催され,APEC次世代プログラムが発足したことを歓迎した。米国は,1995年のシアトルにおける第2回APEC次世代プログラム・ワークショップの開催を申し出た。
4.APECビジネス・ボランティア・プログラム
47.閣僚は,タイが本プログラムに関するセミナーを開催し,同プログラムの目標を推進する方途につき意見の一致を見たことを賞賛した。右方途とは,とりわけ拠点をメンバー経済内に創設することであり,その拠点がメンバー経済のニーズ及び専門知識を明らかにし,他の拠点とのネットワークを構築し,また,本プログラムに関する情報発信の中心として機能することである。
5.非拘束的な投資原則
48.閣僚は,シアトルにおけるAPEC経済非公式首脳会議のイニシアティヴに対応して準備された非拘束的な投資原則を支持した。これらの原則は,APECによる投資に関する作業の重要な面をなす。閣僚は,これらの原則を歓迎し,また,CTIに対し,メンバー経済間の投資を促進するために,ビジネス界の積極的な関与を得て,投資の問題に関する作業を継続するよう指示した。
6.エネルギー,環境及び経済成長
49.閣僚は,閣僚に対する3Eについての日本の報告を賞賛した。閣僚は,この地域におけるエネルギー需要の増加及び環境問題の重要性の増大につき討議し,3E及び右を同時に達成することの重要性に留意した。閣僚は,日本のペーパーがエネルギー作業部会の将来の活動を定義する上で有益であることに留意した。
50.閣僚は,また,報告で指摘されたエネルギー需給の地域的構造の改善についての将来的課題を検討し,情報交換,共通の理解の醸成及び政策討議においてAPECの果たす重要な役割について討議した。
7.APEC中小企業技術交流・訓練センター
51.閣僚は,中小企業のための技術交流及び訓練という2本立ての戦略を通じた中小企業の国際競争力強化プロジェクトが検討され実現に向け進展したことを歓迎した。
8.中小企業大臣会合
52.閣僚は,日本が中小企業大臣会合を大阪で主催したことに謝意を表明し,また,中小企業は地域の経済的補完性及び開発を向上させる上でますます重要になりつつあるとの同会合の共同声明に同意した。閣僚は,また,人材養成,情報へのアクセス,技術及びその共有,資金の利用並びに市場アクセスに関し,市場指向的な中小企業政策が推進されるべきであることに同意した。
53.閣僚は,APEC中小企業政策対話にとっての健全な基礎が築かれたことに留意し,また,ビジネス/民間部門と中小企業大臣との合同会合が中小企業大臣会合における討議の実際的価値を明らかに増進したことに留意した。
54.閣僚は,中小企業専門家会合の中小企業政策担当者によるアドホック会合への昇格に関する中小企業大臣会合の勧告を支持し,また,APECが産業の見通しに関する研究を委託すべしとの更なる勧告とともに,同アドホック会合の付託事項を支持した。閣僚は,1995年オーストラリアにおいて第2回中小企業大臣会合を開催するとの決定を歓迎した。
55.閣議は,訓練及び支援計画の創設等,APEC中小企業育成に対する日本の自発的貢献を歓迎した。
機構問題
APEC事務局
56.閣僚は,第2年次の事務局運営におけるルスリ・ノール大使及び事務局スタッフの作業を感謝をもって留意した。閣僚は,APEC作業計画の促進・調整,並びにメンバー経済間及び各種委員会と作業部会との間の情報交換の促進における事務局の重要性を強調した。
57.閣僚は,事務局に関する当面の取決めが終了しつつあることに留意した。この点に関し,閣僚は,高級実務者会合に対し,進化しつつあるAPECのニーズにAPEC事務局が対応し得ることを確保するように現在の取決め及び事務局の機能を見直し,新たな取決めに関する提言を次回閣僚会議に提出するよう要請した。閣僚は,また,この目的のためのタスク・フォースの設立を承認した。その付託事項は高級実務者会合報告に盛り込まれている。
58.閣僚は,現在はシンガポール政府により負担されている,現地調達要員の給与及び諸手当,公共料金,並びに建物と事務所設備の維持費用を含む経常経費を,1996年1月1日よりは事務局が負担しなければならないことに留意した。閣僚は,事務局職員人事及び経費負担に関する現在の取決めを見直す必要性につき合意した。閣僚は,本件を検討し次回閣僚会議に報告するタスク・フォースを設立するとの高級実務者の勧告を支持した。
参加問題
59.閣僚は,今回の閣僚会議からチリがメンバーとなったことを歓迎した。
60.閣僚は,非メンバー経済及び機関のAPEC作業部会への参加問題につき討議した。閣僚は,本問題は,高級実務者が基準及び原則を策定し1995年の閣僚会議に提出するため,再度高級実務者に付託されることを決定した。
61.閣僚は,この地域の事業活動を促進しうる政策策定のためになされた進展に留意した。
62.閣僚は,特に,太平洋ビジネス・フォーラム及び賢人会議による貢献,並びにAPECのすべてのレベル,とりわけ作業部会の諸活動へのビジネス/民間部門の参加の増大に留意した。
63.閣僚は,アジア太平洋ビジネス・ネットワーク(APBネット)の創設を歓迎した。閣僚は,APBネットの作業を,ビジネス/民間部門のAPECプロセスへの関与の具体的実施例として賞賛した。閣僚は,また,この新しいフォーラムがビジネス相互間のネットワーク形成を促進する重要で効果的なチャネルとなり得ることへの期待を表明した。
財政問題
64.閣僚は,行財政委員会の設立を歓迎し,同委員会の1994年における運営の成功を満足の意をもって留意した。閣僚は,同委員会により作成され高級実務者により勧告された1995年予算案2,227,732米ドルを承認した。閣僚は,また,高級実務者が勧告した1995年の分担金の水準を支持した。但し,閣僚は,行財政委員会がメンバーの分担金の算定基準全般を来年レビューすることに留意した。
65.閣僚は,行財政委員会に対し,財政問題及び事業・行政効率改善の方策につき検討し高級実務者に対し勧告を行うという有益な作業を継続するよう要請した。
その他
ACDS
66.閣僚は,APEC通信データベース・システム(ACDS)・プロジェクトの第1段階の完了に関する報告を歓迎し,ACDSがAPECの通信活動拠点及び情報集積庫となる見込みがあることに留意した。
67.閣僚は,APECの効率を増大しメンバー経済,作業部会,委員会及び事務局相互間の連絡通信を大幅に改善するために,ACDSを十分に活用するよう強く要請した。
環境担当大臣会合
68.閣僚は,持続可能な開発に関連した債務・環境交換という概念に関するフィリピンの報告に留意した。
69.閣僚は,1994年3月23日−25日カナダのヴァンクーヴァーで開催された環境に関するAPEC大臣会合の結果を歓迎した。閣僚は,また,1994年8月25日−27日のチャイニーズ・タイペイの花蓮での環境専門家会合で策定された,実施のための提言を歓迎した。閣僚は,高級実務者会合及び作業部会に対しそれらの提言を研究するよう指示し,また,高級実務者会合に対し,環境問題をAPECの進行中の活動に統合することについての進捗状況につき第7回閣僚会議に報告するよう指示した。
第7回閣僚会議の準備
70.閣僚は,1995年の日本の大阪における第7回APEC閣僚会議の準備に関し,日本が貴重な説明を行ったことに感謝した。
将来のAPEC会議開催地
71.第7回閣僚会議は,バンコックにおける第4回閣僚会議で決定されたとおり,1995年日本で開催される。第8回及び第9回の会議は,1996年及び1997年にそれぞれフィリピン及びカナダによって主催される。マレイシアは第10回閣僚会議を1998年に主催する。
72.閣僚及びその代表団は,すべての参加者に対する暖かく寛大なもてなし及び今回の会議のために提供された行き届いた設備と運営に関し,インドネシアに対する心よりの深甚なる謝意を表明した。
(注) この他にも,APEC閣僚会議において,「人材養成枠組み宣言」,「APEC非拘束的な投資原則」,「APEC基準認証枠組み宣言」が発出された。