データベース「世界と日本」(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] APECインドネシア会合出席の際の内外記者会見における村山内閣総理大臣の冒頭発言

[場所] 
[年月日] 1994年11月15日
[出典] 村山演説集,137ー138頁.
[備考] 
[全文]

 今次の非公式首脳会議は,今後のアジア太平洋地域及び世界経済の発展確保のためのAPECとしての取組を示した重要かつ建設的な会合であったと思う。特に,先ほど発表された宣言に謳われているように,多角的自由貿易体制の強化,域内の貿易・投資の促進・自由化,及び開発協力の推進及びその重点分野についての基本的方向性を打ち出したことは意義があったと考えている。最大の焦点であった貿易・投資の自由化については,参加首脳による長期的視点に立った大きな方向性についての政治的意思を表明したものである。いかにして自由化を取り進めていくかについては,今後メンバー間で検討,議論していくことになるが,我が国は明年の議長国として,行動指針作りに積極的に取り組んでいきたいと考えている。

 会議において,自分(総理)よりは,貿易・投資の促進・自由化と並び開発の側面における協力が重要であるとの観点から,各メンバーの特徴を組み合わせて協力を進めるべきことを強調すると共に,中小企業の育成,またエネルギー安全保障,経済成長,環境保護,所謂三つのEを同時達成するための協力を強調したところである。

 明年,我が国は議長国となり,閣僚会議・非公式首脳会議を大阪にて主催するが,APECの今後の発展に一層尽力していきたいと考えている。

 議長として卓越したリーダーシップを発揮したスハルト大統領に敬意と感謝の念を表明したい。また,我々を暖かく迎えてくれたインドネシア政府関係者,ジャ力ルタ及びボゴール市民を始め,インドネシアの国民の皆様に心から謝意をお伝えしたい。