[文書名] アジア太平洋経済協力(APEC)大阪会合関連文書,閣僚会議共同声明(骨子)
1.閣僚共同声明の構成{前11文字下線}
I.「行動指針」(「行動指針」の考え方・構成等,PFPを含む)
II.APECの活動の発展(EC,CTI,WGS{前1文字下付き}や関連大臣会合の活動等)
III.機構問題(事務局,EPG,ABAC,予算)
IV.その他(次回閣僚会議の開催等)
2.各事項の記述振り{前10文字下線}
I.行動指針
○本年のAPECの活動は,ボゴール宣言の目標を達成するため行動指針の策定に重点を置いた。
○行動指針案は,経済首脳が定めた目標の達成に向けた各メンバーの自主的コミットメント及び政治的決意を反映。APECの協力の将来の道筋を描く長期的な枠組みを提供するという点で,行動指針が戦略的な意義を有することを強調。
○行動指針はその第一部を構成する貿易及び投資の自由化並びに貿易及び投資の円滑化,並びにその第二部で取り扱われている経済・技術協力から成る。この3分野はAPECの活動の3つの柱を形成し,相互補完的かつ等しく重要。これら3つの柱の下の活動の重点的かつ統合された形での実施により,この地域の経済的福利が最大化されるとの信念を再確認。行動指針は,その実施過程中,更なる検討により,必要に応じて改訂及び改善され得る。
○行動指針の第一部は一般原則,自由化及び円滑化のための枠組み並びに個別分野の行動を含む。一般原則は,包括性,WTOとの整合性,同等性,無差別,透明性,スタンドスティル,同時開始,継続的過程及び異なるタイムテーブル,柔軟性,並びに協力から成る。
○APECの貿易及び投資の自由化並びに円滑化のためのアプローチは独特のもの。右は経済改革及び自由化に向けたこの地域の際立った動向の上に築かれており,また,多数国間レベルにおける一層の自由化に対する強力な弾みとなることを強調。このアプローチは,協調的自主的行動,共同行動及び多角的行動の組合せから成る。明年のフィリピン共和国におけるAPEC閣僚会議までに,それぞれの行動計画を提出するとの各メンバーの決意を確認。これら行動計画は,行動指針の一般原則及び枠組みに従い策定。行動計画は,関税,非関税措置,サービス,投資,基準及び適合性,税関手続等の15分野の個別行動それぞれで定めた目標の達成に向けてとられる措置から成る。
○アジア太平洋地域における持続可能な成長及び衡平な開発を達成するため,経済・技術協力を一層推進する必要性を強調。経済・技術協力は,APECメンバー間の経済格差を縮小させ,この地域の国民の経済的・社会的福利を改善し,貿易及び投資の自由化並びに円滑化の過程に寄与し,持続可能な開発の達成に資する。APECの経済・技術協力は共通政策理念の構築,共同行動の実施及び政策対話への関与という3つの本質的要素に基づく。経済・技術協力活動は,人材養成,産業科学技術,中小企業,経済インフラストラクチャー等の個別の分野で行われる。右活動の進捗全体は,毎年レビューが行われる。
○APECの枠内での経済・技術協力を一層効率的に促進するため,相互支援及び自主性に基づく新たなメカニズムとして,「前進のためのパートナー(PFP)」を導入し,活用することにつき意見が一致。また,PFPは経済・技術協力のあらゆる面に取り組み,貿易及び投資の自由化及び円滑化を直接支援する協力に特に重点が置かれる。
○関係大臣会合をはじめとするAPECの各種フォーラムが行動指針案作成に重点的に取り組んだことを認識し,その提案を評価。賢人会議(EPG)の第三報告をAPECのビジョンの実施に関する提言を含む重要な参考資料として歓迎。また,太平洋ビジネス・フォーラム(PBF)の第二報告をビジネス/民間部門の視点からのボゴール宣言の実施に関する提言を含むものとして歓迎。また,PECC,PBEC,APBネット等のビジネス/民間部門からなる各種地域会合が行動指針の策定に対し多大の努力を行ったことに満足の意をもって留意。
○経済首脳に対し,その検討及び採択のために,行動指針案を提案することにつき意見の一致をみた。
II.APECの活動の進展
経済問題及び見通し
○経済委員会(EC)報告を歓迎。経済動向の分析及び個別の経済問題,特に分野横断的な問題の研究において同委員会が果たす役割並びにその他のAPECフォーラムで進行中の政策活動を支援するこの作業の重要性を強調。
○「APEC地域経済に関する1995年報告−動向,構造,見通し,課題」と題する経済見通しに関する報告書及び「海外直接投資及びAPECの経済の統合」と題する報告書を賞賛。1996年の経済委員会の作業計画を承認。
貿易及び投資の諸問題
○1995年の閣僚に対する貿易投資委員会(CTI)年次報告を歓迎。CTIが域内の貿易及び投資の自由化並びに円滑化の過程に実質的な貢献を行ったことに感謝。
APEC作業計画及びイニシアティブ
○首脳のイニシアティブとして打ち出された各種大臣会合及び10の作業部会その他のAPECのフォーラムが,作業指針の策定に対する貢献に加え,それらの作業計画及びイニシアティブについて行った進捗を歓迎。以下の分野におけるAPECの活動の進展に言及。
a.人材養成(HRD)
b.産業科学技術(IST)
c.中小企業(SMES{前1文字下付き})
d.インフラストラクチャー
e.エネルギー
f.運輸
g.電気通信
h.観光
i.貿易及び投資のデータ
j.貿易促進
k.海洋資源保全
l.漁業
m.農業技術
n.金融
o.持続可能な開発
III.機構問題
APEC事務局
○行動指針の実施に関連して事務局を強化する必要性を認識。APEC事務局の見直しのためのタスク・フォースの提言を承認。
参加問題
○非メンバーのAPEC作業部会の活動への参加問題についての基準及び原則に関する高級実務者からの提案を採択。
○新規参加及びオブサーバーとしての地位に関するAPECの政策につき,高級実務者に対し引き続き検討を行い,1996年に勧告を提示するよう指示。
賢人会議(EPG)
○過去3年間の賢人会議が行った貴重な貢献を評価し,その任務が成功裡に達成されたことを賞賛。
○個別の問題につき独立した有職者から随時助言及び提言を受ける意義を認識し,必要な時はいつでも新たなメンバーでもって賢人会議のメカニズム又は同様の助言グループを創設し得ることにつき意見が一致。
APECビジネス諮問委員会の設立(ABAC)
○過去2年間の太平洋ビジネス・フォーラムが行った貴重な貢献に対し感謝の意を表明。
○1996年にAPECビジネス諮問委員会を設立することにつき意見が一致。同委員会の組織,財源及び活動に関する一連のガイドラインを決定。なお,右ガイドラインは翌年見直される。
財政問題
○予算上の要請の詳細な検討,手続の合理化及び管理・運営上の効率の改善に係る行財政委員会(BAC)の本年の作業を賞賛。1996年予算案を承認。
IV.その他
第8回閣僚会議の準備
○1996年にマニラにおいて開催される第8回APEC閣僚会議の準備に関し,フィリピン共和国が貴重な説明を行ったことに対し感謝の意を表明。
将来のAPEC会議開催地
○第9回及び第10回閣僚会議は,それぞれ1997年にカナダにおいて及び1998年にマレイシアにおいて開催。ニュー・ジーランドの1999年の第11回閣僚会議の主催の申し出を歓迎。