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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「大阪行動指針」一般原則関連部分

[場所] 大阪
[年月日] 1995年11月19日
[出典] 外交青書39号,246−247頁.
[備考] 仮訳
[全文]

第一部 自由化及び円滑化(注1){前4文字上付き}

A節:一般原則

  以下の一般原則は,先進工業メンバーについては遅くとも2010年までに,開発途上メンバーについては2020年までに,自由で開かれた貿易及び投資という長期的目標を達成するための行動指針に基づくAPECの自由化及び円滑化の過程全体に適用される。

 1.包括性

   APECの自由化及び円滑化の過程は,包括的であり,自由で開かれた貿易及び投資という長期的目標を達成するに当たってのすべての障壁を対象とする。

 2.WTO整合性

   APECの行動指針に関連してとられる自由化及び円滑化の措置は,WTO整合的である。

 3.同等性

   APECメンバーは,それぞれのメンバーがすでに達成した自由化及び円滑化の全般的な水準を勘案し,貿易及び投資の自由化及び円滑化の全体としての同等性を確保するよう努める。

 4.無差別

   APECメンバーは,貿易及び投資の自由化及び円滑化の過程において,無差別の原則を二国間及び多国間のメンバー間で適用し又は適用するよう努める。

   アジア太平洋地域における貿易及び投資の自由化の成果は,APECメンバー間の障壁のみならず,APECメンバーと非APECメンバーとの間の障壁をも実際に削減することである。

 5.透明性

   各APECメンバーは,アジア太平洋地域における開かれた,かつ,予見可能な貿易及び投資環境を創出し維持するため,APECメンバー間の物品,サービス及び資本の流れに影響を与えるそれぞれの法律,規則及び行政手続の透明性を確保する。

 6.スタンドスティル

   各APECメンバーは,保護の水準を高める効果を待ち得る措置をとることを控えるよう努力することにより,着実かつ漸進的な貿易及び投資の自由化及び円滑化の過程を確保する。

 7.同時開始,継続的過程及び異なるタイムテーブル

   APECメンバーは,自由化,円滑化及び協力の過程を同時にかつ遅滞なく開始し,自由で開かれた貿易及び投資という長期的目標を達成するため,各メンバーが継続的かつ実質的に貢献する。

 8.柔軟性

   APECメンバー間の異なる経済発展段階及びそれぞれのAPECメンバーにおける多様な状況を考慮し,かかる状況より生ずる諸問題を取り扱うに当たり,自由化及び円滑化の過程において柔軟性が認められる。

 9.協力

   自由化及び円滑化に貢献する経済・技術協力は,積極的に追求される。

(注1)自由化及び円滑化は,アジア太平洋における自由で開かれた貿易及び投資という我々の目標を達成するに当たり不可分な性質を有することにより,この部では一体として取り扱われる。この部で取り扱われる経済・技術協力は,自由化及び円滑化を直接支援するものである。

               (後略)