[文書名] 第8回APEC閣僚会議共同声明
1. オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、中華人民共和国、香港、インドネシア、日本、大韓民国、マレイシア、メキシコ、ニュー・ジーランド、パプア・ニューギニア、フィリピン、シンガポール、チャイニーズ・タイペイ、タイ及びアメリカ合衆国の閣僚は、1996年11月22日及び23日にフィリピンのマニラで開催された第8回アジア太平洋経済協力(APEC)閣僚会議に参加した。APEC事務局員も出席した。ASEAN事務局、太平洋経済協力会議(PECC)及び南太平洋フォーラム(SPF)は、オブザーバーとして出席した。
2. フィリピンのラモス大統領が、第8回APEC閣僚会議に出席したすべての代表団に対し温かい歓迎の意を表明して会議を開会した。同大統領は、本年のAPEC議長国として、フィリピンは、3つの明確な課題、すなわち、1996年のAPECマニラ行動計画(1996年のMAPA)の策定、経済・技術協力の強化及び民間部門のAPECのプロセスへの関与、を設定したと述べた。同大統領は、APECが、展望、目標及び指針を設定するコミットメント形成の段階から個別の及び共同のイニシアティブを実施する行動の段階に移行したことを強調した。また、同大統領は、その開会の辞の中で、APECメンバー間の地域社会の精神を深化させる手段としての経済・技術協力の重要性を強調した。
3. 会議は、フィリピンのシアゾン外務長官が議長を務めた。シアゾン長官は、その冒頭発言の中で、自由で開かれた貿易に向けてのAPECの前進の方策として、1996年のMAPAの意義、経済協力・開発の強化に向けたアジア太平洋経済協力会議の枠組みに関する宣言及びその他の様々なAPECのフォーラムの報告及び勧告を引用した。同長官は、APECがその有用性及びその将来を保持するためには経済成長と衡平で持続可能な開発とを調和させる触媒の役割を果たし続けることが必要であると強調した。同長官は、シンガポールにおけるWTO閣僚会議の議論の指針となるべき開かれた地域主義に対するより強いコミットメントを求めた。最後に、同長官は、繁栄に基づく地域の平和への共通の願望を実現するために、メンバーが一層強い地域社会の意識を相互の間に育むことを求めた。
4. 日本の池田行彦外務大臣は、第7回APEC閣僚会議の議長を代表して発言し、1996年のAPEC議長国であるフィリピンが第8回閣僚会議を主催したことに対し深い感謝の意を表明した。同大臣は、本年のAPECが大阪行動指針の着実な実施に向けての確固たる第一歩により課題にいかに堅実に取り組んでいるかを強調した。同大臣は、すべてのメンバーの個別行動計画が提出されたこと、経済・技術協力分野で行われている活動の着実な成果、FEEEPイニシアティブに関する議論及びビジネス部門の願望を概観するABACが策定した勧告に留意した。同大臣は、メンバーの大臣が自己満足に陥ることなく、APECがダイナミックでかつ進展する過程にあり続けるように注意を促すとともに、政策的方向性を与えるようメンバーの大臣に要請した。同大臣は、マニラ会議の課題は、この地域の繁栄と協力を確固たるものにし、APECのプロセスが大いなる信頼に値するものであることを世界に示すことであると強調した。
5. 閣僚は、2010年又は2020年までに自由で開かれた貿易及び投資というAPECの目的を達成するために完全かつ効果的に大阪行動指針を実施するとのコミットメント、並びに、包括性、WTO整合性、同等性、無差別、透明性、スタンドスティル、同時開始、継続的過程及び異なるタイムテーブル、柔軟性並びに協力の原則へのコッミトメントを再確認した。閣僚は、行動計画を漸進的に進めることの重要性を再び強調した。
I.1995年のAPEC経済首脳の行動宣言の進展と1996年のAPEC行動計画
6. 大阪における首脳からのマンデートに応えて、閣僚は、メンバーの個別行動計画及び大阪行動指針第二部の共同行動の進捗状況に関する報告を検討した。
7. 閣僚は、高級実務者が貿易及び投資の自由化、貿易及び投資の円滑化並びに経済・技術協力という大阪行動指針の3つの柱の間のバランスと補完性を反映した本年の成果を確保することにより達成された進展を歓迎した。
APECマニラ行動計画(MAPA)
8. 閣僚は、APEC経済首脳による承認を前提に1996年のAPECマニラ行動計画(1996年のMAPA)を採択した。MAPAは、個別行動計画、共同行動計画並びにAPECメンバー及び様々なAPECのフォーラムの共同行動の進捗状況に関する報告を統合している。閣僚は、また、ボゴール宣言及び大阪行動計画で設定された目標に向けて、個別に又は共同で1996年のマニラ行動計画の進展を追求するメンバーとして、民間部門、特にAPECビジネス諮問委員会(ABAC)からのコメントと意見が重要であることで意見の一致をみた。
9. 閣僚は、管理の手段としてAPEC行動報告・モニタリング制度(ARMS)の価値を認識するとともに、APECの計画とプログラムの見直しにおいて作業部会とAPECのフォーラムを支援するために、APEC事務局がそれを採用するための資金が直ちに与えられるように指示した。
共同行動計画並びに貿易及び投資の問題
個別行動計画
10. 大阪行動指針の第一部について、閣僚は、関税、非関税措置、サービス、投資、基準・適合性、税関手続、知的所有権、競争政策、政府調達、規制緩和、原産地規則、紛争仲介、ビジネス関係者の移動、ウルグアイ・ラウンドの成果の実施及び情報収集・分析という15の分野にわたるメンバーの個別行動及び共同行動を通じ、自由化と円滑化という目的を進めていくためのAPEC独特のアプローチを認識した。
11. 閣僚は、大阪行動指針第一部に記載された原則とガイドラインに一般的に従い、また、貿易投資委員会(CTI)により本年作成されたガイドラインを考慮したフォーマットの標準化に向けての進展を示す個別行動計画(IAPs)がメンバーより提出されたことを歓迎した。閣僚は、これらの個別行動計画が、メンバーの自主的なコミットメント並びに自由で開かれた貿易及び投資というAPECの長期的目標の達成に向けて個々のメンバーがそれぞれのコミットメントを行動に移した具体的な第一歩であることに留意した。閣僚は、個別行動計画が信頼できる自由化の過程であると認識し、個別行動計画が継続的に更新される性質のものであって、個別行動計画の自主的な改善の過程を維持するためには継続的な協議と毎年の見直しが重要であることに留意した。同様に、閣僚は、透明性の確保及び個々の行動計画の間の同等性の確保に向けた貢献の重要性に留意する。閣僚は、この過程において貿易投資委員会(CTI)が支援することの必要性に留意した。
12. 閣僚は、メンバーが1997年1月からそれぞれの個別行動計画を実施し、APECが1997年にこれらの個別行動計画の実施を検討するとともに、大阪行動指針に従って一層の改善を図ることを確認する。閣僚は、経済界及びその他の個別行動計画の一層の改善に関心を有する民間部門からの個別行動計画に対する意見及びコメントを歓迎する。
共同行動並びに貿易及び投資の問題
13. 閣僚は、貿易投資委員会(CTI)の1996年の年次報告を歓迎し、同報告の提言を承認した。
14. 閣僚は、貿易投資委員会(CTI)が大阪行動指針の目的を推進するために行った包括的な作業を賞賛した。閣僚は、同委員会がAPEC高級実務者によって取り進められた主要な作業、すなわち共同行動計画(CAP)の準備及び実施のマネジメント、個別行動計画(IAP)のフォーマットに関するガイドラインの作成並びに情報技術協定(ITA)の提案に関する予備的議論を成功裡に遂行したことを満足の意をもって留意した。
15. 閣僚は、貿易投資委員会及びその小委員会が貿易及び投資の自由化及び円滑化の進展、特に実際的な貿易の円滑化のための措置の導入及び地域の貿易と投資に対する障害を減じる革新的かつ協調的なアプローチの開発において実質的な貢献をしたことを歓迎した。閣僚は、また、貿易投資委員会が大阪行動指針に記載された目的及びガイドラインに整合的なメンバーの共同行動計画を提出したことを歓迎した。共同行動計画は、15の問題分野における作業を進展させるAPECの行動を含み、それぞれの分野においてモニターし推進する作業のメカニズムを提供する。閣僚は、共同行動計画の最初の公表及び進展が、将来の共同行動の拡大に道を開く重要な業績であると認識した。
16. 閣僚は、個別行動計画を支持及び補完し、大阪行動指針に従いすべてのメンバーが2010年又は2020年までに自由で開かれた貿易及び投資の目標を達成することを支援するために、APECの共同行動が重要であることを再確認する。閣僚は、APECの共同行動が、貿易及び投資の制度の透明性を向上させ、基準・適合性、税関及び知的所有権等の分野において不可欠なインフラを発展させ、事業活動を促進し、ウルグァイ・ラウンドの義務を完全に、効果的にかつ期限通りに実施することを支持し、並びに、取引費用を低減させるために大きく貢献することを認識する。
17. 閣僚は、共同行動計画の定める事業促進措置が、取引費用の低減、手続の簡素化、透明性の向上及び地域の貿易、投資環境の理解の促進を図るAPECの活動に貢献し、これを支えるものである点につき意見の一致をみた。これらの成果の例としては、APEC関税データ・ベース、メンバーの投資制度に関するAPECの出版物、税関手続、原産地規則、ビジネス・トラベル、政府調達及び知的所有権制度、食糧及び食品の分野の適合性評価に関する包括的相互承認に関する取決め、玩具の安全性に関する情報交換に関する取決め、メンバーの規格の国際規格への整合化の指針並びに関税分類及び他の税関手続の調和がある。
18. 閣僚は、TILF特別基金を通じて資金提供されたプロジェクトが成功裡に開始されたことを歓迎し、メンバーが貿易及び投資の自由化及び円滑化を促進するこのメカニズムを一層活用することを奨励した。
19. 閣僚は、共同行動計画に掲げられた共同行動を承認し、共同行動は進展していく性格のものであることを強調し、貿易投資委員会に対して本年の共同行動を拡大し、推進する作業を続けるよう要請した。
20. 閣僚は、アジア太平洋地域における経済成長の原動力として投資の増大する重要性を強調した。ビジネスは、投資の中心的役割を果たす。閣僚は、関連するAPECのフォーラムにより1996年になされた進展を歓迎するとともに、高級実務者に対し引き続き努力することを指示した。
21. 閣僚は、オーストラリア、大韓民国及びフィリピンが1997年にAPECビジネス・トラベル・カードの試みの実施を決定したことを歓迎する。閣僚は、APECビジネス・トラベル・カード構想の価値がAPEC地域のビジネス関係者の移動の促進に貢献するものであることに留意した。また、閣僚は、特に査証免除取決め及び数次入国ビジネス査証等を通じてビジネスの機動性を促進する他のメンバーの行動を歓迎した。
22. 閣僚は、税関手続小委員会により作成された主要な税関手続の項目についての技術協力プログラムが1997年に実施されることを歓迎した。
23. 閣僚は、知的所有権の分野において、知的所有権非公式会合がこの新しい困難な分野でのAPECの広範な協力を促進することに貢献した本年の大きな進展を賞賛した。
24. 閣僚は、政府調達に関する専門家会合の活動が、メンバーの政府調達制度の透明性を高めることによって、政府調達にアクセスする機会を促進するとともに、多数国間フォーラムにおける政府調達に関する作業の進展に貢献したことを賞賛した。
25. 閣僚は、紛争仲介分野において、貿易投資委員会(CTI)の年次報告の附属書2に記載された報告に留意し、APECがメンバーにより利用可能な仲裁、仲介及び調停サービスのリストを公表することを歓迎した。
26. 閣僚は、8月にダバオにおいて競争政策及び規制緩和に関する第2回ワークショップが成功裡に行われたことを歓迎する。閣僚は、ニュー・ジーランドが同ワークショップを組織したことに感謝の意を表明し、これらの重要な分野における意見交換及び政策対話を続けるため1997年にも更なるワークショップを行うことに留意した。
WTOシンガポール閣僚会議への貢献
27. 閣僚は、世界の貿易の自由化における多角的貿易制度の優越性を再確認した。閣僚は、多角的自由化過程へのコミットメントを再確認し、APECが、その展望及び目標のダイナミズムに依拠しつつ、この過程で同制度を強化しかつ補完するという重要な役割を果たすとのAPECのコミットメントを確認した。
28. 閣僚は、第1回WTOシンガポール閣僚会議の成功への強い支持を強調した。閣僚は、貿易自由化の豊かな潜在力を現実のものとするためにウルグァイ・ラウンドの合意及びコミットメントが完全に、効果的にかつ期限通りに実施されることの重要性を強調した。この点に関し、閣僚は、APECがメンバーの支援において積極的な役割を果たすことを支持し、この分野で貿易投資委員会が更なる作業を行うことを指示した。閣僚は、シンガポール閣僚会議が、特にウルグァイ・ラウンドの実施及び実際的かつ前向きな作業計画の設定に注意を払って、多角的体制を強化するための具体的な行動をとるべきであることにつき意見の一致をみた。
29. 閣僚は、WTOで現在行われている金融サービス、基本電気通信及び原産地規則に関する交渉を合意された時間的枠組みの中で成功裡に完了するとのコミットメントを強調した。同様に、閣僚は、しかるべき時期に再開することが予定されている海上運送サービスを含む他のサービスの交渉の再開を期待する。
30. 閣僚は、ビルト・イン・アジェンダが、来世紀にも及ぶバランスのとれたWTOの作業計画の基礎を提供するものであることにつき意見の一致をみた。閣僚は、分析及び情報交換の過程という更なる作業が、ウルグァイ・ラウンド合意でマンデートを与えられた交渉及び見直しを設定されたタイムテーブルに従って行う前に進められることにつき意見の一致をみた。
31. 閣僚は、物品及びサービスにおいてより自由かつ無差別な貿易を追求するイニシアティブを歓迎した。閣僚は、世界の貿易における情報技術分野の重要性を認識し、シンガポール閣僚会議までに情報技術協定をまとめるためのWTOにおける努力を支持するとともに、すべての他のWTOメンバーに対してこの目的に向けて取り組むよう要請した。
32. 閣僚は、多角的貿易制度が世界の経済の発展に引き続き応えていくことを確保する上で中心的な役割を果たすダイナミックなフォーラムとしてのWTOの重要性を強調した。閣僚は、また、多くの既存の及び新たに生じつつある地域的な貿易協定がWTO協定と整合的であることが不可欠であると認識し、地域貿易協定委員会の作業に期待する。閣僚は、WTOを全世界的なものとするために議定書に係る事項と市場アクセスについての実質的な交渉を加速することを奨励した。
経済・技術協力
共同行動の進展及び関連する閣僚会議の成果
33. 閣僚は、様々な作業部会又はフォーラムが実施した320以上のプロジェクトを歓迎した。これらのプロジェクトは、共同行動の進捗状況に関する報告に記載されており、これらのプロジェクトがAPECの目標と目的にどれ程の影響を与えたかについても記述されている。閣僚は、これらのプロジェクトの影響を継続的にモニターし評価することの価値を認識した。閣僚は、作業部会又はフォーラムがAPECメンバー間の経済的格差の縮小のために、人々の経済的及び社会的福利の向上のために、並びにアジア太平洋地域における持続可能な成長と衡平な開発を達成するために共同で努力したことを賞賛した。
34. 閣僚は、前進のためのパートナー(PFP)・プロジェクトが成功裡に開始されたことを歓迎し、すべてのメンバーがAPECにおける経済・技術協力を促進するPFPのメカニズムを一層活用することを奨励した。
35. 閣僚は、APEC中小企業技術交流訓練センター(ACTETSME)、アジア太平洋エネルギー研究センター(APERC)、APEC労働市場情報(LMI)システム、貿易・投資データベース(TIDDB)システム及びアジア太平洋情報基盤(APII)、並びに、セミナー、シンポジウム、ワークショップ、訓練講習会、調査研究、貿易博覧会、出版活動及びその他メンバーにより行われる実際的で協力的な試みの形態から各メンバーが得ることができる具体的な利益を認識した。閣僚は、作業部会又はフォーラムがAPECの分野横断的な問題及びより広範な課題又は目的に取り組むため、効果的かつ効率的に共同行動を実施することに向けて相互に密接な調整と協力を行うことを奨励した。
36. 閣僚は、作業部会及びAPECのフォーラムが、その進捗状況に関する報告の中で特定した課題に取り組むとともに、高級実務者に対してその努力と活動の成果を報告するよう指示した。
a.人材養成(HRD)
37. 閣僚は、これまでの人材養成作業部会の活動、特に人材養成行動計画及び閣僚声明「人材養成行動の呼びかけ」に基づく80以上もの共同活動を発展させ実施してきたことを賞賛した。閣僚は、フィリピンが1996年1月に人材養成大臣会合を主催したことに感謝の意を表明した。
38. 閣僚は、人材養成行動計画における、労働市場問題の分析、中小企業の管理及び強化、職能資格の相互承認に関するプロジェクト構想の拡充、教育サービス及び技能訓練におけるメンバー間の投資のためのより良い機会の提供及び経営管理者の指導力の継続的開発の分野に優先的な関心を払い、行動をとるとした人材養成大臣会合の成果に留意した。
39. 閣僚は、労働市場情報データベースの立ち上げ、カナダの労働市場情報のベスト・プラクティス・セミナー、各メンバーの労働市場情報の拠点の特定、インターネット上での労働市場情報ホームページの開設及び教育通信ネットワーク・プログラムの発足を含む労働市場情報(LMI)に優先度を与えたことを歓迎した。閣僚は、大学と産業のリンケージが持続可能な開発のために人材養成を促進する上で重要であることに留意した。
40. 閣僚は、人材養成作業部会に対し、行動計画及び人材養成大臣会合の結果に基づくイニシアティブを維持し継続するように、また、「21世紀のためのAPECワークフォースの準備」とのテーマの人材養成大臣会合を支える特定の目的を作成するように指示した。閣僚は、また、人材養成作業部会に対し、人材養成の分野横断的性質が配慮されるよう他のAPEC作業部会及びフォーラムと密接に協調するよう指示した。
閣僚は、1997年9月に大韓民国において第2回人材養成大臣会合を開催するとの決定を歓迎した。
b.産業技術(IST)
41. 閣僚は、地域の産業技術協力に関する大臣会合及び産業技術作業部会において達成された進展を認識し、産業技術作業部会がクリーン・プロダクション/クリーン・テクノロジー戦略を開発するという課題に応えるための重要な措置をとったことに満足の意を表明した。閣僚は、産業技術作業部会と他のAPECの作業部会又はフォーラムとの効果的な調整を確保し、同戦略の将来の実施を監督するために、第12回産業技術作業部会において承認が正式に検討されることになる委任事項を検討するよう指示した。閣僚は、産業技術作業部会の効率的かつ効果的な運営をもたらすAPEC産業技術共同研究促進ガイドラインを含むメンバーの手引書を歓迎した。
42. 閣僚は、大韓民国が1996年11月に第2回科学技術大臣会合を主催したことに感謝の意を表明した。閣僚は、研究者の交流及び「創造性と流動性・APECを渡る研究者たち」との課題に焦点を当てた人材養成を重視することに留意した。閣僚は、また、科学技術情報、訓練、研究計画及び研究設備をより一層共有することの促進、組織的及び非組織的な障壁の削減、交流に向けた新規かつ強化された交流のためのプログラムを開発することを含めた様々な措置を通じた地域の科学技術に携わる男性及び女性の交流強化、創造的で才能のある若者を引きつけて科学技術の経験を積ませることなど、ソウル宣言により掲げられた目標に留意した。
閣僚は、次回の大臣会合は1998年にメキシコで行われるとの決定を歓迎した。
c.中小企業(SMEs)
43. 閣僚は、フィリピンが1996年9月第3回中小企業大臣会合を主催しことに感謝の意を表明し、同会合及び政策責任者グループ会合において達成された発展を賞賛し、中小企業行動計画が全てのAPECメンバーが達成した進展に満足の意をもって留意し、すべてのAPECメンバーに中小企業に直接的な利益をもたらすイニシアティブに焦点を当てるべきであることで意見の一致をみた。閣僚は、女性企業家や地方の中小企業の関心事項を含め、中小企業が直面している増大する課題及び機会にAPECが取り組むことができるよう、民間部門との強化されたパートナーシップ、他のAPEC作業部会及びフォーラムとの持続的な協力並びに中小企業の発展に貢献する支援機関の積極的な参加を奨励した。閣僚は、APECの課題の中に中小企業の優先事項を盛り込むことを要請した。
44. 閣僚は、各メンバーが地域内の中小企業に働きかけ、また、中小企業の発展に貢献する支援機関の参加を通じて中小企業活動により大きな利益をもたらすようにAPECの活動を強化するとの中小企業大臣の勧告を承認した。
45. 閣僚は、APECメンバーにより10のプロジェクトが完了したことに留意しつつ、中小企業行動計画の実施が進展したことを歓迎した。閣僚は、フィリピンのラグナ州ロス・バニョスにAPEC中小企業技術交流訓練センターが成功裡に設立されたことに特に留意した。閣僚は、また、1997年の中小企業大臣会合がAPECの課題を通じて中小企業の優先事項を継続的に発展させることを促進することに留意した。
d.エネルギー
46. 閣僚は、地域が直面している主要なエネルギーの課題に取り組むエネルギー作業部会による精力的アプローチを歓迎した。閣僚は、オーストラリアが1996年8月の第5回エネルギー大臣会合を主催したことに感謝の意を表明し、シドニーの会合においてエネルギー大臣がこれらの課題に取り組むいくつかのイニシアティブを承認したことに満足の意をもって留意した。
47. これらのイニシアティブは、メンバーがエネルギー政策を考慮する際に取り入れられるようにエネルギー政策を改善する地域のイニシアティブに弾みを与える非拘束的なエネルギー政策の原則の採択、民間部門と協調して電力部門のインフラにおけるビジネス投資を活用するための改善計画の実施、エネルギーの供給及び使用の環境に与える影響を低減させるための戦略的アプローチの採用並びにエネルギー基準に関する増大する協力のための作業計画の作成を含んでいた。閣僚は、東京にアジア太平洋エネルギー研究センターが設立されたことを歓迎し、同センターが将来の政策の審議に貴重な貢献をすることに留意した。閣僚は、カナダ及び日本が1997年と1998年にそれぞれエネルギー大臣会合を主催するとの申し出を歓迎した。
48. 閣僚は、エネルギー政策の原則はエネルギー部門を超える影響を持つことに留意した。この点に関し、それら原則はAPEC経済首脳に対し報告されるべきであることにつき意見の一致をみた。同様に、電力インフラへの投資に関して行われつつある活動がAPEC全体にとって重要であり、エネルギー大臣は、提案されている作業計画が迅速に行われるようにAPEC経済首脳の支持を求めた。
e.運輸
49. 閣僚は、地域交通システムの効率性の増大及び安全性の向上という目標の実現に向け、運輸作業部会が1996年に達成した進展に満足した。閣僚は、特に、1996年に完成する交通過密地区の研究、道路輸送調和プロジェクト、地域における航空人員の免許要件の調査、作業部会の都市運輸フォーラムの第1回会合、及び、運輸大臣に送付されると共にMAPAに記載された公正かつ衡平な機会を伴うより一層競争的な航空サービスに関するオプション・ペーパーに満足の意を表明した。
50. 閣僚は、1995年6月のワシントンにおける第1回会合において運輸大臣により特定された協力と行動の優先度に留意し、運輸大臣が1997年6月にカナダのヴィクトリアで再び会合するとの助言に留意した。
51. 閣僚は、また、インフラ、持続可能な開発、人材養成及び電子データ交換等の分野における分野横断的な問題に取り組む作業部会の努力に対しても感謝の意を表明した。
f.電気通信
52. 閣僚は、大阪行動指針に掲げられた課題を前進させた電気通信作業部会(TEL)の実績を称え、同作業部会改編の動きにつき留意した。
53. 閣僚は、9月に開催され、「ゴールドコースト宣言」及び「共同声明」を採択した第2回電気通信・情報産業担当大臣会合のホストを務めたオーストラリアに謝意を表明した。閣僚は、同宣言でアジア太平洋情報基盤(APII)の5目的及び10原則並びに13の共同行動を含む行動プログラムを実行する決意が再確認されたことを歓迎した。閣僚は、また、「完全に自由化された電気通信サービス分野の要素に関する参照リスト」の採択、電気通信及び情報分野における協力活動、並びに試験的プロジェクトの範囲の拡大に見られる電気通信作業部会の進展を認識した。閣僚は、TELに対し、以下の行動についてもその共同行動に含めるべく作業を進めることを慫慂した。(イ)電気通信機器貿易のための選択的なモデル相互承認取り決め(MRA)の取りすすめ、(ロ)適切な場合には、国際付加価値ネットワーク・サービス(IVANS)貿易に関するAPEC指針との適合性、(ハ)適当な場合には、機器認証の標準化のためのAPEC指針との一般的適合性、(ニ)APIIの実施。閣僚は、更に、TELに対し、人材育成及び域内における事業開発促進のための分野横断的な努力のために他の作業部会やフォーラムとの協力を拡大するよう慫慂した。
54. 閣僚は、次期大臣会合を1998年にシンガポールで開催するとの決定を歓迎した。
g.観光
55. 閣僚は、大阪行動指針で特定された共同行動の実施に関する観光作業部会(TWG)のイニシアティブに留意した。TWGの主要な成果のなかには、観光に対する障害/障壁に関する研究、観光にとって特に重要な生態系に関する報告書及びシンポジウム、観光にとって利用可能な管理戦略及び技術が含まれる。
56. 閣僚はまた、域内観光の経済的影響調査に関して進行中の作業に留意し、域内観光の経済的影響に対する理解及び意識を高めるために、長期的にコミュニケーション計画を発展させ、実施するというイニシアティブを歓迎した。閣僚は、更に観光情報・統計に関する分散的な電子データベースシステムの実現可能性調査についての作業に留意した。
57. 閣僚は、TEGのイニシアティブにより大きく焦点を当て一貫性を与えるための観光担当大臣会合を主催するというフィリピンの提案に留意し、さらに旅行及び観光産業における人材養成の促進に向けたプロジェクトを歓迎した。閣僚はまた、TWGに対し、域内の観光発展及び成長をさらに持続させるために、APECメンバーの文化遺産に対する理解を促進する計画を発展させ、策定するよう慫慂した。
58. 閣僚はさらに、TWGに対し、域内の観光の社会的持続性を促進させるために、観光成長への障害に関する報告書の提言及び観光と環境に関するシンポジウムの結果を研究するよう指示した。閣僚はさらに、行動計画に述べられている優先分野を検討するために、民間部門及びその他の部門とTWGとの協力を慫慂した。
h.貿易・投資データ(TID)
59. 閣僚は、貿易・投資データ・レビュー作業部会(TID)が達成した進歩を認識した。特筆すべきは、どのような統計データについても供給し、読み込み、記憶し、表示し、分析するという最新式の道具である、貿易・投資データベース(TIDDB)の構築であり、主要な成果についてのデモンストレーションに謝意を表明した。データベースシステムを通じて、TIDは、域内の政策決定者や助言者に対して、APECメンバー間の貿易・投資についての最も一貫性のある、最新の統計手法を提供することを提案している。閣僚は、商品貿易に関する最新の二国間データの供給を確保し、サービス、貿易及び投資に関する二国間データの入手可能性、一貫性及び供給の改善のため、各メンバーに対して緊密な協力を呼びかけた。閣僚は、TID及び関税データベース・タスクフォースの間で作業プログラムの補完性及び拡大の検討を調整するよう慫慂した。
i.貿易促進
60. 閣僚は、大阪において確立された5つの優先分野のプロジェクト実行に際し、貿易促進作業部会(WGTP)が達成した進歩を賞賛するとともに、APEC地域企業内の戦略的提携を促進するための当初の努力を特に留意した。閣僚は、同様に、APEC貿易促進機関の会議と連続して民間/ビジネス部門の会合を開催することによって民間/ビジネス部門の活動を取り込もうというWGTPの努力を賞賛した。
j.海洋資源保全(MRC)
61. 閣僚は、1996年4月23日から25日にチャイニーズ・タイペイの高雄で、また、1996年9月の27日から29日にタイのプーケットで開催された会合で報告された海洋資源保全作業部会(MRC)行動計画における進捗を留意した。
62. 閣僚は、マニラで1996年7月11日及び12日に開催された持続可能な開発担当大臣会合において大臣の行った勧告への海洋資源保全作業部会の対応を称えた。閣僚は、作業部会によって採択された「APEC内での海洋環境の持続性への取組みのための戦略」を承認した。閣僚は、持続可能な開発大臣宣言やAPEC持続可能な開発行動計画において承認されているように、MRCがAPEC地域内の海洋環境の維持可能性を飛躍的に改善するためのAPECの努力を発展させる上で指導的な役割を果たすよう指示を受けることに留意した。この点に関し、閣僚は、MRCに対し、他の関連国際機関、地域機関の活動へも考慮を払うよう指示した。
k.漁業
63. 閣僚は、漁業作業部会(FWG)の行動計画がスケジュールどおりに実行されていることを確認した。閣僚は、1996年5月29日から6月2日までチリのサンチアゴで開催されたFWGの第7回会合で採択された新しいプロジェクトが、大阪行動指針に反映された目標と優先事項を更に進めていくであろうことに留意した。
64. 閣僚は、また、本来分野横断的な共同行動の実施に関し、FWGとMRCWGとの間でより緊密な協力を行うことを要請した。本件に関しては、海洋資源と海洋環境にまたがる事項に取り組む共同行動に関する協力に対する必要性が特に留意された。閣僚は、次回FWG会合を1997年5月に主催するとのメキシコの提案を歓迎した。
l.農業技術協力(ATC)
65. 閣僚は、大阪行動指針で概要が示された農業技術協力行動計画を実行するための農業技術協力専門家会合の創設を歓迎した。同様に、閣僚は、優先分野として持続可能な農業を追加すること、及び技術に関する優先分野を農業技術の移転と訓練に集中させることを含んだATC行動計画の改善に留意した。ATCは、EC食糧タスク・フォースと緊密に連絡を取りその活動を補完しつつ活動を行うということにつき既に同意している。閣僚は、ATCの共同行動が、全てスケジュールどおりに進められていることに留意した。
66. 閣僚は、1996年5月の第2回農業技術協力専門家会合及び1996年10月の農業技術協力特別会合を、それぞれショート・ノーティスにもかかわらず、主催したオーストラリアとフィリピンの寛大さに感謝の意を表明した。閣僚は、また、これら二つの会合で意義深い貢献を行う努力をしたチャイニーズ・タイペイへの謝意も表明した。
m.持続可能な開発
67. 閣僚は、第1回持続可能な開発担当大臣会合を1996年6月11日及び12日にマニラで開催したフィリピンに謝意を述べた。閣僚は、APECの持続可能な開発のための閣僚宣言及び行動計画を特に賞賛するとともに、海洋環境の持続性、より公害の少ない生産/低公害技術及び持続可能な都市といった事項を含む勧告を承認した。閣僚は、持続可能な開発についてのAPECの作業は、貿易自由化、経済発展そして環境保護の相互補完関係を際立たせるものであることに留意した。
68. 閣僚は、それぞれのAPECフォーラムでの持続可能な開発作業の進歩、並びに、これらの貢献の中でもとりわけ海洋環境、低公害技術/より公害の少ない生産及び持続可能な都市の持続可能性というテーマに取り組むという不断の努力の保証に向けた1996年9月に開催されたMRCWG及びISTWG並びに1996年10月に開催された環境・経済高級実務者会合に留意した。
69. 閣僚は、それぞれのAPECフォーラムが宣言文や行動計画で定義されている持続可能な開発作業をどのように進めていくことができるのかという明確な方向性を与えるより具体的な勧告を行うため、持続可能な開発担当大臣会合を1997年にカナダで開催することを要求した。APECにおける分野横断的事項やAPECの目標及び目的における優先的検討事項として、閣僚はAPEC全体の行動計画の持続可能な開発に関する協力的な作業の機会を一層拡大するよう高級実務者に指示した。
70. 閣僚は、APECにおける持続可能な開発作業を毎年高級実務者に再検討させることに合意した。この点に関し、APEC事務局は、様々なAPECフォーラムによって実施されている全ての接続可能な開発作業につき毎年のとりまとめを提出することとした。必要に応じ、高級実務者は、経済委員会に対し、分析作業を課することができる。
経済及び分野横断的問題
71. 閣僚は、経済委員会(EC)の報告を歓迎し、APEC域内の持続的成長と衡平な発展の達成に関連する問題の分析と研究をECの重要な貢献として留意した。閣僚は、ECが「1996年APEC経済見通し」と「APECにおける経済・技術協力報告書」の作成作業で達成したすばらしい功績を称えた。閣僚は、「APECにおける経済・技術協力報告書」はAPECの下で現在進行中であるすべての活動について、複数の分野にまたがる課題や情報の概要を示す初めての資料として、その有用性を認めた。この報告書は、これらのプロジェクトが域内に少しでも良い結果とより高いインパクトをもたらすように、これらのプロジェクトをどのように調整すべきかを示している。
72. 閣僚は、経済・技術協力、貿易及び投資の自由化及び円滑化の分野における様々な問題に対応する経済委員会の下に設立されたタスク・フォースで進行中のプロジェクト/活動も留意した。閣僚は、特に、委員会がインフラに高い優先度を与えたことを歓迎した。閣僚は、この分野でAPECがこの地域で活発に活動している地域フォーラムや国際フォーラムの活動と協力することの重要性とその作業に価値を加える必要性を強調した。これは、既存の活動との重複を避け、未だ十分に対応されていない分野への取り組みを行ってゆくことによって達成することができる。閣僚は、さらに、シアトルで開催された「ベスト・プラクティス」円卓会議にあたって、インドネシアと米国により、インフラ開発のベスト・プラクティスに関し、相当の情報交換が進められたことに感謝した。閣僚は、インフラに関する行動計画を承認し、横断的な課題を重視していることを留意しつつ、大阪行動指針にこの計画を添付することに合意した。閣僚は、また、1996年7月のシアトルにおける円卓会議の結果を踏まえた「ベスト・プラクティス」の概説書の出版を称えた。
閣僚は、年次インフラストラクチャー円卓会議において、ベスト・プラクティスを特定し、民間資金によるインフラ整備事業を円滑化するためのAPECによる努力に貢献するため、輸出信用機関(*)による協力的対話を開始するとのイニシアティヴを歓迎した。
(訳注:日本の場合、貿易保険機関を指す)
73. 閣僚は、作業部会とAPECフォーラムに共同活動の開発と実行の両段階において「APECにおける経済協力・開発報告書」で特定された構造問題の検討作業を課した。作業部会とAPECフォーラムは、本来横断的な問題について共同作業の可能性を更に深く探求すべしとする指示を受けた。
74. 閣僚は、域内の持続可能な成長と衡平な発展の促進の見通しを最大化するために分野横断的かつ連関性のある問題に対処する各種のAPECフォーラム間のより緊密な協力を求めた。閣僚は、経済委員会がAPECの貿易及び投資の自由化並びに円滑化の課題と同委員会の広範な経済・技術協力活動を支えながら生産的に当初2年間の任務を遂行したことに満足した。閣僚は、高級実務者から勧告のあった新たな経済委員会のマンデート及び改訂された設置要項を承認した。
長期的かつ相互に関連した食糧、エネルギー、環境、経済成長及び人口問題(FEEEP)に関する作業の進展
75. 閣僚は、人口増加と経済成長が食料、エネルギー及び環境に及ぼす影響についての首脳のイニシアティブ推進の進捗についての、経済委員会が作成した短い報告を歓迎した。
76. 閣僚は、経済委員会の傘の下に新しく食料タスクフォースが設立され、日豪の共同議長の下、作業計画につき合意されたことに満足の意を示した。TFFは、首脳の要求に基づき、これらの問題に関するAPEC内での理解を促進するため、まず、地域の食糧問題を調査することとする。その後、TFFは、将来起こりうる地域の食糧課題に対処するための共同行動を開始するための可能な選択肢をについて検討を行うこととする。
77. 閣僚は、閣僚宣言及びAPEC内の持続可能な開発のための行動計画並びにAPECフォーラムや人材養成、海洋資源保全、漁業作業部会におけるFEEEPイニシアティブを前進する上で有用な作業の影響についても留意した。
78. 閣僚は、FEEEPに関連するエネルギー作業部会により着手された作業、特に、地域のエネルギー市場の改革と自由化のための努力及びエネルギーが地域の経済発展の障害とならないことを確保するための努力並びに期待されているAPEC地域エネルギー見通しについてもAPERCによって作成されるべきことに留意した。閣僚は、更に、右作業部会によるエネルギー需給の予想される傾向を特定し、エネルギー供給と消費の環境に与える影響を低減させる作業がFEEEPと関連していることにも留意した。
79. 閣僚は、1997年のバンクーバーにおける非公式経済首脳会合における経済首脳への報告に間に合うよう、FEEEP作業へ貢献するとの関連するAPECフォーラムによるコミットメントを歓迎した。閣僚は、FEEEP関連作業への関係APECフォーラムの参加の可能性への支持を表明した。閣僚は、また、カナダが、APECのこうした問題の検討に対するより広く一般からの意見提供の機会とするために、1997年9月にFEEEPに関するシンポジウムを主催することを提案したことを歓迎する。閣僚は、大阪における首脳の呼びかけに応え、プロセスを実現するために行われた作業への謝意を表明する。閣僚は、また、関連するフォーラム及びシンポジウムにおける作業が、特に来年国際的な議論が行われる地球環境問題へ貢献するものであることに留意した。
II.APECにおける経済協力及び開発の強化
80. 閣僚は、地域の持続可能な成長、衡平な発展、域内の人々の経済的社会的福利の向上に向けて、APECにおける経済・技術協力を強化する重要性を認識した。
81. 「経済協力・開発の強化に向けたアジア太平洋経済協力の枠組に関する宣言」が、閣僚により承認された。右は、テーマ、優先事項、具体的目標、指導原則を明らかにし、アジア太平洋地域社会に向けて強化された経済・技術協力の本質、性格を決定するものである。
82. 閣僚は、APECにおける経済・技術協力が結果指向であり、行動が具体的里程標及び実績評価基準を持たなければならないことに合意した。閣僚は、更に、共同による協力行動に以下の優先事項を付与した。すなわち、(1)人材の養成(2)安定し、効率的な資本市場の発展(3)経済的インフラの強化(4)未来への技術の活用(5)環境に健全な成長を通じた生活の質の確保(6)SMEの活力の強化・発展を図るものである。閣僚は、また、APECの経済・技術協力活動の実施と促進に際して、民間部門と民間/ビジネス部門の協力のための努力の必要性を強調した。
83. 閣僚は、また、自由化、円滑化及び経済・技術協力の相互に補完的かつ支持し合う関係であることを強調し、APECの活動がこうしたバランスを反映するよう強く求めた。
III.民間部門の参加
84. 閣僚は、APECビジネス諮問委員会(ABAC)の勧告に留意するとともに、APECプロセスにおいて、民間/ビジネス部門のハイレベルからの助言を提供する同委員会の役割を歓迎する。閣僚は、ABACが首脳へ提出するABEC報告書への評価を表明した。
85. 閣僚は、ABACの議長及び共同議長による優れたリーダーシップの下に行われたすばらしい作業に謝意を表明した。
86. 閣僚は、高級実務者、作業部会、その他のAPECフォーラムに対し、右勧告を研究するよう慫慂した。
IV.機構及び財政問題
APEC事務局
87. 閣僚は、高級実務者会合、種々のAPECの委員会や作業部会及びAPECプロセス全体を支援するにあたり、事務局長のアハモマド・Q・マダンバ大使、事務局職員、スタッフによってなされた模範的な作業に深い謝意を表明した。APEC事務局とそれぞれのAPECフォーラムの間の関係を調和させる必要性を認識しつつ、閣僚は、管理事項に関するタスク・フォースの勧告を承認するとともに、高級実務者に対して勧告を可能な限り早期に実施するよう指示した。
参加問題
88. 1996年、マニラにおいて、閣僚は、限られた数の新規メンバーを受け入れることを目指してモラトリアムを延長しないことを決定した。閣僚は、APECは、開放的かつ発展的プロセスであることを再確認した。閣僚は、1997年、バンクーバーにおいて、新規参加申請の審査のための一連の基準を洗練させ、更新した後に採択することに合意した。閣僚は、更に1998年、クアラルンプールにおいて採択された基準に従って新規参加メンバーを発表することに合意した。新規メンバーの参加は、1999年にオークランドにおいて認められる。
89. 閣僚は、APEC作業部会への非メンバーの参加問題を議論し、高級実務者によって承認されたこの問題に関連する包括的ガイドラインを採択した。これらのガイドラインは、APEC作業部会の活動への非メンバーの参加の過程を決定する既存の規則に取って代わるものとする。
予算及び財政問題
90. 閣僚は、この一年間にプロジェクト提案を審査し、手続を能率化し、運営及び管理の有効性及び効率性を向上させてきた作業につき、行財政委員会(BAC)を賞賛した。閣僚は、BACによって提案され、高級実務者によって勧告された1997年度予算8,090,917米ドルを承認した。閣僚は、また、BACより提案され高級実務者により勧告された総額2,947,000米ドルの分担金案及び各メンバーの分担金の水準を承認した。閣僚は、日本の1997年TILF特別勘定への貢献に謝意を表明した。
V.その他事項
高級実務者への謝意
91. 閣僚は、高級実務者による1996年に見られた献身とすばらしい成果を称えた。
第9回閣僚会議の準備
92. 閣僚は、1997年にヴァンクーヴァーにおいて開催される第9回APEC閣僚会議の準備につき、カナダが貴重な説明を行っこと{前4文字ママ}に対して感謝の意を表明した。
将来のAPEC会議開催地
93. 第10回及び第11回閣僚会議は、それぞれ1998年にマレイシアにおいて及び1999年にニュー・ジーランドにて開催される。閣僚は、ブルネイが2000年に第12回閣僚会議を主催するとの申し出を歓迎した。