[文書名] テロ対策に関するAPEC首脳声明
1.首脳は、2001年9月11日の米国におけるテロ攻撃を最も強い言葉で明確に非難するとともに、多数の国籍の犠牲者及びその家族並びにアメリカ合衆国の国民及び政府に対する深甚な同情と哀悼の意を表明する。
2.首脳は、この残忍な行為、及び、どこで、いつ、誰により行われたかに拘わらず、あらゆる形式及び形態の他のテロ行為を、すべての人々、すべての信仰、及びすべての国の平和、繁栄、及び安全に対する深刻な脅威とみなす。テロリズムはまた、自由で開かれ、繁栄したエコノミーというAPECの展望及びAPECメンバーが持つ基本的価値に対する直接的な挑戦である。
3.首脳は、すべてのエコノミーが自由かつ開かれた貿易及び投資というボゴール目標の達成へのコミットメントに向けて前進することが、以前にもまして重要であることを再確認する。
4.首脳は、包括的な方法でテロリズムと戦うための国際協力をすべてのレベルで強化することが緊要であると考えるとともに、特にすべての関連する国連決議の重要性を考慮すると、国連がこの点に関して主要な役割を果たすべきであることを確認する。
5.首脳は、国連憲章及び他の国際法に従って、将来におけるあらゆる形態のテロ行為を予防し抑圧することにコミットし、国連安全保障理事会決議1368及び1373を誠実かつ即時に履行することを誓約し、国際的な反テロ体制を強化するすべての努力を強く支持し、加害者を裁判にかけるための協力の強化を求め、また、テロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約を含むすべての基本的かつ一般的な反テロ条約の早期の署名及び批准を求める。
6.首脳は、以下の方法を通じて、各エコノミーの個別の状況に沿った対テロ協力を強化することを決意する。
−APEC財務大臣会議金融犯罪ワーキング・グループを通じた金融犯罪との戦いに関する作業を加速すること及び関連する国際基準設定機関への関与を強化することを含む、テロリストへの資金の流れを防ぐための適切な金融措置。
−すべてのエコノミーによる航空と海運の保安に対する関連の国際的要請の遵守。首脳は、運輸大臣に対し、空港、航空機、及び港湾の保安の強化に関する議論に積極的に参加し、可能な限り早期に効果的な成果を達成し、この点に関して完全な実施及び協力を確保するよう求める。
−一時的な供給断絶及び域内のエネルギー供給が直面するより長期的な課題に対処するための措置を検討するAPECエネルギー安全保障イニシアティブの仕組みを通じた域内のエネルギー安全保障の強化。
−電気通信、運輸、保健及びエネルギーを含む極めて重要なセクターの保護の分野におけるAPECの活動の強化。
−貿易の流れへの影響を最小限にとどめつつ税関当局がより良く法を執行できるようにする税関コミュニケーション・ネットワークの強化及び世界的な統合された電子税関ネットワークの迅速な開発。
−合法的な旅行者の移動が途絶されないことを確保しつつ国境の安全を強化する電子移動記録システムの開発への協力。
−メンバー・エコノミーが効果的な対テロ措置を投入及び執行できるようにするためのキャパシティ・ビルディング及び経済・技術協力の強化。
−経済成長を高め、貿易、投資、旅行及び観光のための安定した環境を確保する政策及び措置を通じて、テロ攻撃による経済的な悪影響を限定するとともに、域内の経済的なコンフィデンスを回復させるための協力。
7.首脳はまた、経済政策及び金融当局間の緊密な意志疎通及び協力を通じて、国際テロリズムがエコノミー及び市場を混乱させないことを確保するために十分に協力することを誓約する。