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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] APEC透明性基準の実施のための首脳声明

[場所] ロス・カボス、メキシコ
[年月日] 2002年10月27日
[出典] 外務省
[備考] 概要
[全文]

・首脳は、APECの透明性原則の実施を遂行するという昨年採択された上海アコードにおけるコミットメントを再確認する。

・透明性は、

(1)経済成長と金融面の安定を促進する重要な要素である。

(2)より公正で効果的な統治につながり、政府への国民の信頼を高める。

(3)APECの自由化及び円滑化プロセス全体に適用される大阪行動指針(OAA)の一般原則である。

(4)人々がいかなる法令、規則、手続き及び行政決定が自らの利害に影響を与えるものかを把握し、これらの成立過程に参加でき、及び国内法に従いこれらの適用の再審査を要請できるという点において、貿易の自由化・円滑化の基礎となる原則である。

(5)通貨・金融・財政政策及びマクロ経済政策データの普及において、説明責任を確保する。

(6)途上エコノミーにおける公開度の向上を支援するため、需要に基づいたキャパシティ・ビルディングにより、高められる。

・OAAの一般原則を考慮しつつ、以下の透明性基準の実施にコミットする。透明性基準の実施は、WTOドーハ開発アジェンダの成功に向けた重要なAPECの貢献と認識している。

1.貿易・投資の自由化・円滑化に関する透明性

一般原則

(1)OAA第1部C節の規定事項(訳注末尾)に関する一般的な適用に関する法令、規則、手続き及び行政決定(以下「法令等」という。)について、官報、インターネット等により速やかに公表する。

(2)可能な場合には、法令等を制定前に公表し、及びパブリック・コメントを実施する。

(3)利害関係者又は他のエコノミーからの法令等に関する照会について、速やかな対応に努める。

(4)行政手続きにおいて、国内法に従い異議申立ての機会等を確保する。

(5)行政の最終決定について迅速な再審査及び修正手続きを確保する。

(6)本透明性基準において、「一般的な適用に関する行政決定」とは、行動規範として確立している、すべての個人と事実に適用される行政上の決定又は解釈をいう。ただし、特定の場合に他のエコノミーの特定の個人、財又はサービスについて適用される行政又は準司法手続きによる決定及び特定の行為・慣習に関する判決を除く。

個別原則

(7)本透明性基準と整合を図りつつ、サービス、投資、政府調達、競争・規制改革、基準・適合性及び貿易円滑化の分野におけるAPEC文書中の透明性条項を実施する。

(8)APECサブ・フォーラにおいて透明性条項の発展、見直し、拡大を行う。また、本声明への盛り込みのため、その成果物を首脳へ提示する。

2.通貨・金融・財政政策及びマクロ経済政策データの普及に関する透明性

(9)(金融安定化フォーラム(FSF)が特定し、2000年ブルネイ首脳会議で合意した、透明性原則に言及。)

(10)APECエコノミーは、IMFによる基準及びコードの遵守報告(ROSC)プログラムへの完全な参加が奨励される。

3.機密情報

(1)法の執行、立法の妨げとなり、あるいは、公益又は特定の個人・企業の正当な商利益を害するおそれがある場合には、機密情報の開示まで求めるものではない。

(訳注)

 OAA第1部C節の規定事項とは、関税、非関税措置、サービス、投資、基準・適合性、税関手続、知的所有権、競争政策、政府調達、規制緩和、WTO義務の履行、紛争解決、ビジネス関係者の移動、情報収集・分析という、貿易・投資の自由化・円滑化関連分野についてのもの。