[文書名] 健康安全保障に関するAPEC首脳声明
平成15年10月21日
ロス・カボスにおいて、我々APEC首脳は、「健康への投資が経済成長に資することを認識」し、また、我々は、「閣僚に対し、域内での深刻な疾病の発生・流行及び生物テロのような重大な脅威を監視し、対応するための地域的な公衆衛生監視ネットワーク及び早期警戒システムを構築するという現在進行中の作業を進展させるように指示」した。本年の重症急性呼吸器症候群(SARS)の発生・流行は、域内に重大な経済的影響をもたらしたが、これは、SARSのような自然発生的なものであれ、2001年に米国で発生した炭疽菌事件のように意図的に引き起こされたものであれ、疾病の発生・流行の予防、監視、確認、及び協調的対応が重要であることを示した。2001年10月に上海において合意された「APEC感染症戦略」は、自然発生的及び意図的に引き起こされた疾病の発生・流行に対する健康安全保障上の措置の確約に向けての素地を既に築いている。
我々は、生物テロ及び自然発生的な疾病の発生・流行を確認し、対応し、予防するための公衆衛生の基盤を強化するための作業を行なう。我々は、人々を危険な病原体から保護し、危険な病原体を流用から防護する。我々は、犯罪目的への流用を防止するため、生物兵器に利用可能な資材、装置、技術及び専門的知識を保護する。
我々は、公衆衛生保全のための効果的な国内措置を講じ、また、国際会議やフォーラムと共に、及び、これらを通じて、適当な場合には政府及び非政府機関の関与を伴う以下の行動を含む協調的努力を行なうことを確約する。
・重点的な努力により、疾病、特に国際的影響を及ぼす可能性のある疾病を監視し、発生・流行を抑制し、また、「APEC新興感染症ネットワーク」などのメカニズムを通じ、及び疾病が発生した場合には、関連する多数国間機関と協力することより対応策を調整する。
・危険な生物病原体の貯蔵、使用、及び委譲に関しては、現行の国内的及び国際的努力と整合した高い水準の物理的防護、説明責任及び安全を確保する。
・生物科学者に対する効果的な国内的な倫理上、活動上の行動規範を確立し、また、既にそのような規範が存在する場合は、これらを推進する。
・汎用性を持つ生物資材及び装置の厳重な輸出入管理を義務付け、生物兵器を攻撃に用いるための活動を犯罪とする法律、規則、執行メカニズムを強化し、また存在しない場合には、それらを導入する。
我々は、シンガポールとアメリカ合衆国によって、シンガポールに本拠を置き、域内の研修・研究のための資源として役割を果たす新しい「地域的新興感染症対処センター」が設立されたことを歓迎した。このセンターは、我々が個別及び共同の能力を構築することを支援し、それゆえに、アジア太平洋地域における重大な感染症の脅威の監視、対応及び防止のための協調的努力を促進するであろう。