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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] WTOドーハ開発アジェンダに関する声明(第14回APEC首脳会議)

[場所] ハノイ
[年月日] 2006年11月18日
[出典] 外務省
[備考] 外務省仮訳
[全文]

1.我々、APEC首脳は、ベトナムのWTO加盟及びロシアのWTO加盟へ向けた主要な道標の完了を祝福する。我々は、これら歴史的出来事によって創出された活力及びモメンタムを基に、ドーハ・ラウンドにおいて我々が直面する諸課題に対応していく考えである。

2.我々は、野心的かつバランスのとれたWTOドーハ合意を妥結するため、我々の共同かつ個別のコミットメントを再確認する。この目標を達成するためには、現在の膠着状態を打破し、交渉を時宜にかなった妥結への道筋に戻すことが緊要である。ドーハ・ラウンドの成功は、世界的な経済成長と貧困の軽減に寄与する。またそれは、新たな貿易の流れを創出し、貿易の開発側面について適切に対処することによって達成されなければならない。

3.APECのメンバーは、WTOに関する課題についてリーダーシップを発揮してきたという誇るべき伝統を有している。我々は、全てのWTOメンバーにとって利益となるようなバランスのとれ、かつ野心的な成果を達成するために、一日も早く、交渉を再開することを決意している。農業は、依然、現在の膠着状態を打開する鍵であるが、我々は、鉱工業品の市場アクセス、サービス、ルール及び貿易円滑化を含む包括的なパッケージを作る必要がある。

4.我々は、現在の膠着状態を打開する用意ができている。我々の誰もが、ラウンド交渉の重要な分野におけるそれぞれの現在の立場から動くことにつきコミットしている。すなわち、メンバーの懸念やセンシティビティに真剣に配慮しつつ、主要国による貿易歪曲的な農業補助金を更に削減し、農業分野での新たな市場アクセスを創出し、鉱工業品の関税を真に削減し、サービス貿易における新たな市場開放を行うことである。すべてのAPECメンバーは既にリーダーシップをとる準備はできているが、他の国々もまた準備と決意を示す必要がある。

5.APECの未来は、強固で活気ある多角的貿易体制と密接不可分である。我々は各々に、交渉の再開を確実にするために個人的に関与し続け、突破口を開くために必要な柔軟性及び野心を確保する。我々は、他の地域の首脳が同様に大胆であり、かつ関与するように求める。