[文書名] アジア太平洋地域の開発への新たなコミットメント(第16回APEC首脳会議)
我々、アジア太平洋経済協力(APEC)の首脳は、「アジア太平洋地域の発展への新たなコミットメント」というテーマのもとに、ペルーのリマに参集した。APEC2008のために選ばれたテーマは、先進エコノミーと途上エコノミーの格差を縮めることの重要性を強調している。我々はグローバリゼーションの社会的側面を強化するとともに、すべてのメンバーと我々の経済のすべての部門が、域内及びグローバルな貿易と投資に参加し、そこから恩恵を得るために必要なスキルと機会を利用できるようにすることを誓約する。
現下の世界金融危機は、我々がこれまで直面してきた経済的課題の中でも最も深刻なもののひとつである。差し迫った世界的規模の景気後退に対処するために、我々は速やかに、そして決断力をもって行動する。我々は、APECメンバー・エコノミーによってとられた金融及び財政刺激策を歓迎するとともに、支援を最も必要としている人々に希望を与えるために必要な行動をとりつつ、この危機を乗り越えるために必要なすべての経済的・金融的措置をとる。悪化する世界経済情勢に対処し、WTOドーハ開発アジェンダ(DDA)交渉の迅速且つ野心的でバランスのとれた妥結を支持する我々の決意は、この会合で発出される別個の声明に盛り込まれる。
地域的な経済的課題
地域経済統合の推進
我々は昨年、地域経済統合を強化する野心的な長期的アジェンダに合意した。我々は、この目標を達成するための取組に関して閣僚及び実務者がまとめた2008年進捗報告を歓迎した。我々は、APEC地域経済統合(REI)アジェンダの今年の成果に積み重ね、このアジェンダの全ての分野における取組を加速するために、2009年のREI作業計画を承認した。
アジア太平洋地域における自由で開かれた貿易と投資という我々の目標は、一国における一連の改革政策を、二国間、地域、そして多角的な自由化と組み合わせることによって達成される。我々はAPECのREIアジェンダを引き続き実施することを誓約する。それに関して、我々は次のことを行った。
●我々は、アジア太平洋地域における自由で開かれた貿易と投資というボゴール目標に向けてメンバー・エコノミーが達成した進展を歓迎した。我々は成長と開発と最近の世界的な景気後退からの早急な回復を促すため、ボゴール目標を達成するとのコミットメントを強化した。
●我々は、長期的展望として、有り得べきアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の展望及び選択肢の検証が進んでいることを賞賛した。我々は、FTAAPが地域全体に経済的利益をもたらし得る一方で、その創設にあたっては課題もあり得るとの過去の閣僚提言に留意した。我々は閣僚及び実務者に対し、FTAAPが地域に与えるであろう経済的影響について更なる分析作業を行うこと及び将来に有り得る交渉のためのあり得べき能力構築要件について議論を行うことを含み、有り得べきFTTAPの展望と選択肢の検証について更なる作業に取り組むよう指示した。加えて我々は、実務者に対し、税関業務、貿易円滑化及び越境サービスなどの分野を含むAPEC貿易投資ポートフォリオの主要分野においてエコノミー間のより大きな収斂を促進するためのイニシアティブに取り組むよう指示した。
●我々は、地域内の質の高い地域貿易協定(RTA)と自由貿易協定(FTA)及びこれら協定間においてより大きな一貫性と同質性を促進する5つの新しいモデル措置を歓迎し、RTA及びFTAのモデル措置は15章となった。
●我々は、2007〜2010年の間に貿易取引費用を更に5%削減するという我々の規定目標を達成するために、APEC第二次貿易円滑化行動計画(TFAPII)の実施のプロセス継続を承認した。
●我々は、地域の投資環境を改善するためのAPEC投資円滑化行動計画(IFAP)を歓迎した。また、二国間投資協定並びに既存の自由貿易協定における主要投資関連活動に関する研究の開始を賞賛した。
●我々は、地域の金融市場強化の重要性を強調し、資本市場を改革するためにAPEC財務大臣が開始した能力構築活動を歓迎した。我々は、APECエコノミーにおけるインフラ開発の差し迫った緊急性を認識し、官民パートナーシップと資本市場開発との関連について財務大臣が取り組んでいる作業を歓迎した。この観点から、我々は財務大臣に対し、民間によるインフラに対する資金調達と成長及び開発の関連を最適化するための手段をより一層検証するよう要請した。
●我々は、地域において、知的財産権(IPR)の保護と執行を強化することへの我々のコミットメントを再確認するとともに、創造と革新を促すインセンティブを提供し保護しうる、包括的かつバランスのとれた知的財産権制度の重要性を再度表明した。我々は、我々のIPR専門家と執行当局の間のより一層の協力を引き続き促進する。
●我々は、APEC模造品・海賊版対策イニシアティブ並びに地域の特許制度を改善する取組の実施についてのエコノミーの進展を歓迎し、来年、本分野における更なる進展を期待する。
情報通信技術の利用及び開発を通じて持続的な経済成長を促進するAPEC活動の重要な手段としてのデジダル繁栄チェックリストを歓迎した。
我々は、ビジネス環境改善に関するAPECビジネス諮問委員会(ABAC)による見解と作業を歓迎し、REIアジェンダへの中小企業(SMEs)の積極的な参加を呼びかけた。
我々は閣僚及び実務者に対し、進捗報告書に記述されているREIアジェンダを引き続き実施し、このアジェンダを促進するための行動の要約とともに2009年に報告するよう要請した。
我々は、地域内の増進した経済統合に留意し、また、地域のアーキテクチャーが、変わりゆく状況にいかにしてついていくのかについての豪州の提案について議論した。
構造改革の実施
我々は、構造改革実施のための首脳アジェンダ(LAISR)が、貿易及び投資自由化、ビジネス円滑化、及び経済技術支援協力という三本柱を統合するAPECアジェンダの中核要素であることに合意した。我々は、収益が高く弾力性がありかつ頑強な経済を形成するための貿易及び投資を阻害する国内障壁に対処することの根本的な重要性を再度表明した。
我々は、2008年8月メルボルンで開かれた構造改革担当大臣会合(SRMM)の結果を歓迎し、同閣僚会合が規制改革に関するAPECグッド・プラクティス・ガイドを承認したことに留意した。我々は、構造改革を成功させるためにメンバー・エコノミーを効果的にサポートするプログラムの開発の重要性を認識した。これには、規制改革、企業統治及びその他LAISR分野におけるキャパシティ・ビルディング・イニシアティブが含まれる。我々は、構造改革の実施に関する我々の取組についてのピア・レビュー又は自己レビューを行う自主的なシステムへの積極的参加を促した。
我々は、APEC経済政策年間報告書の発行及び6月に貿易大臣によって承認された民間部門の発展のための作業計画の加速を歓迎した。
アジア太平洋地域における食料安全保障
我々は、一部の途上経済における食料不足と結び付いた乱高下する世界の食料価格が、過去10年間に我々が達成した貧困の削減と実質所得の増大に影響を与えることを深く懸念している。貧困層は特に食料価格高騰の被害を受けやすい。我々は、世界食料安全保障危機に関する国連タスクフォースにより策定された包括的行動枠組みを通じてこの問題に立ち向かうための十分な協調的対応と包括的戦略を支持する。我々は、この枠組みを、状況に応じて、地域において適用及び実施することを支持する。
地域における食料及び農業供給を拡大させるための個別及び共同の政策対応は、農業技術及び生産システムへの新たな投資を奨励する市場の力を強めるであろう。WTO・DDA交渉の迅速且つ野心的でバランスのとれた妥結は、市場アクセスを実質的に改善し、世界的な農業貿易における市場歪曲的措置を削減するであろう。
我々は、APECが食料及び農業分野において取ってきた行動を賞賛するとともに、現下のそして現出しつつある食料安全保障の課題に対応するためにAPECのアジェンダを洗練し、強化するため、APECの閣僚により支持された作業計画を歓迎する。我々はまた、APECのアジェンダにおいて、食料及び農業問題の重要性を高めるにあたっての、ABACの役割を認識した。
我々は、食料生産の増加、農業教育の改善、天然資源管理の強化、非食材から作られる次世代バイオ燃料の開発促進、機能的市場と規制機関の構築並びに食料の貯蔵、輸送及び分配システムの更なる効率化のための取組を含む、農業セクターの成長を助けるであろう技術的協力と能力構築が強化されるよう、APECを方向付けた。我々は、農業調査及び開発の促進に貢献する条件を高めるための協力を誓約した。我々は、農業技術の潜在性から利益を得るために科学に基づいた規制枠組みをメンバー・エコノミーが開発することを支援するようAPECを方向付けた。
グローバリゼーションの社会的側面への対処
アジア太平洋地域における企業の社会的責任(CSR)の促進
我々は、経済、社会及び環境の進展に基づいたグローバリゼーションは、全てのAPECエコノミー並びにそのビジネス部門と人々に持続可能な便益をもたらすことを強調した。CSRは、貿易と投資が経済成長、競争力及び持続可能な開発に与える好ましい効果を強めることができる。我々は、現地の法律と規制に準拠し、状況に応じ多国間機関によって策定されているCSRに関連するガイドラインを考慮に入れた、責任と透明性のあるビジネス活動を奨励する。
我々は、責任ある持続可能なビジネス慣行への期待が、世界中の消費者や投資家及びビジネス・パートナーの間で高まっていることにかんがみ、CSRを構成する自主的活動は21世紀におけるビジネスのやり方の重要な側面であり続ける点で一致した。我々は、我々のコミュニティの全ての利害関係者が、自発的なCSR慣行を促すビジネス環境を政府が育むことから裨益することを認識する。これは、ビジネスにとっても、ビジネスが活動する社会にとっても、より大きな価値を創造する。
我々は、地域におけるCSRの認知度と能力を高めるためにAPEC内でこれまで実施されてきた活動、並びにビジネス、政府、従業員、共同体、消費者、投資家及びNGOを含む利害関係者の間で行われるCSRに関する対話を促す将来の作業を歓迎した。CSRの原則と慣行、便益に関する情報発信を通じて地域におけるCSRへの認知度と理解を促進しようとするABACの取組を評価した。
我々は、企業に対し、社会、労働及び環境に関する懸念を考慮に入れるために、CSRをビジネス戦略に組み入れることを促した。地域におけるCSRの発展は、APECメンバーの異なる国内経済、社会及び文化事情による。我々は、持続的開発を育む公共政策を補完するために、APECエコノミーにおけるあらゆる規模のビジネス活動において自発的にCSR慣行を促進することに合意した。
地域における腐敗との闘い
公共及び民間部門における腐敗は、地域の社会的、経済的発展を深刻に脅かすものである。我々は、犯罪主体が腐敗した官民実務者と共謀すると、不可罰の文化及び合法な経済下における金融的搾取につながることを認識する。我々は、意志を一つにし、公正な政府の促進、官民パートナーシップの支援、市場健全性の育成、及び透明な金融システムを通じ、腐敗及びそれに関連した国境を超えた違法ネットワークと闘うことに同意した。我々は、腐敗を犯罪化させることで、更なる地域協力を促すことができることを認識する。
我々の既存のAPECの腐敗対策コミットメントへの支持として、我々はメンバー・エコノミーが包括的な腐敗対策戦略を開発するために行った取組を賞賛する。これらは、腐敗した支払い及び違法送金に関連した金融インテリジェンスと法執行協力を通じた、金融システムの悪用に対する公共の信用回復と保護を含む。これらのAPECを通じた腐敗対策活動は、我々がエコノミーに対して同条約を批准し実施することを促した国連腐敗防止条約(UNCAC)と合致する。我々はまた、金融活動作業部会(FATF)の改訂された提言を支持した。
我々は、効果的な官民パートナーシップを通じた金融市場の健全性に関するリマ腐敗防止宣言及びAPEC腐敗対策官民行動ガイドラインを歓迎した。
APECにおける協力と能力構築の強化
APECの経済・技術協力(ECOTECH)プログラムは、APECエコノミーの各セクターにおいて能力を構築するとの我々の目的を達成するために重要である。我々は、大阪行動指針に盛り込まれたECOTECH活動の実施の基盤としての役割を果たすマニラ枠組みへの我々のコミットメントを再確認した。我々は、APECの能力構築に関する様々なプログラムに対する各エコノミーからの拠出金を歓迎した。
我々は、2010年に第5回APEC人材養成大臣会合を主催するとの中国の申し出を歓迎した。社会的、個人的、経済的、そして持続可能な開発を達成するには、我々エコノミーの全ての人々が質の高い教育を受けられることを保障することが決定的に重要である。教育を受けることを通じて、グローバリゼーションによって創出される機会を人々が利用することができる。我々は、現行のAPEC教育ネットワークへの支持を含め、地域における教育システムを強化するAPEC教育大臣の取組を支持した。我々は、数学、科学、言語習得、キャリア及び技術教育/技術的職業教育及び訓練、情報・コミュニケーション技術(ICT)とシステム改革の諸分野におけるAPECの調査に基づいた活動を歓迎した。我々は、能力のある学生、卒業生及び研究者の相互交流に向けて取り組むとともに、国際交流を円滑化するための教育大臣の勧告を支持する。
我々は、鳥・新型インフルエンザ及びHIV/AIDS等の感染症を含む保健関連の脅威を最小化するための地域能力の構築へのコミットメントを再確認した。我々は、各エコノミーが保健への脅威に取り組み、人的厚生、貿易及び投資への負の影響を最小化する方法にて反応できるよう十分な備えを確保することへの継続した努力を歓迎した。我々は、食品及び製品の安全及び貿易円滑化の慣行を改善すること、及び域内の人々の健康と安全を確保することへのコミットメントを再確認した。我々は、APEC食料安全協力フォーラムのパートナーシップ訓練制度ネットワークの取組みを承認し、閣僚に対し食料及び製品の安全を高めるための追加的行動を来年とるように要請した。
我々は、性差別が我々エコノミーに引き続き大きな影響を及ぼしていることに懸念を抱いている。貿易、経済政策の策定ではジェンダー問題を考慮するよう、また地域の女性が域内及びグローバルな貿易により参加でき恩恵を受けられるようAPECメンバーの能力を強化することに誓約した。
地域における人間の安全保障の強化
テロとの闘い及び地域貿易の安全確保
人間の安全保障を強化し、自然、事故及び故意による混乱から地域のビジネスと貿易を保護することはAPECにとって永続的な優先事項であり、また、APECの中核的な貿易と投資のアジェンダの中で欠かせない要素である。
我々は、国際テロと大量破壊兵器とその運搬手段の拡散は自由で開かれ平和で繁栄した社会という我々の展望に対する直接的な脅威であることに合意し、これらの脅威を取り除くための我々のコミットメントを再確認した。2001年以降、我々は、いかなるテロ行為も犯罪であり正当化できず、特に一般市民を標的にして危害を加えること、あるいは自爆テロや人質略取という忌むべき行為を行うことは、断固非難されねばならないとの共通の認識の下に行動してきた。あらゆる形態のテロ及び示威行為は、いかなる人物により、いかなる場所及びいかなる目的において行われるものであっても、平和とすべての人々の安全及びすべての信仰に対する重大な脅威である。テロ行為は、いかなる大義、争い、抑圧、貧困によっても弁解されず、正当化され得ない。
我々は、貿易の流れ、金融、交通、旅行通信及び近代技術を悪用し腐敗させようとするテロリストの試みは許されないことに同意した。我々は、人、物資、投資の流れが安全で自由で開かれていること、経済と市場が混乱なく運営されることが確保されるよう十分に協力することを約束した。我々は、2009年に貿易再開計画(TRP)のパイロット訓練を実施するとのシンガポールを中心とするメンバー・エコノミーのグループによるイニシアティブを歓迎した。我々は国連とそのグローバル・テロ対策戦略が担う重要な役割を認識した。我々は、可能であれば国連のテロ対策とテロ資金に関する金融活動作業部会(FATF)の特別勧告を実行することの必要性を強調した。我々はAPEC閣僚と実務者に対し、地域の経済、貿易、投資及び金融システムをテロリストの攻撃と侵害及び貿易由来の資金洗浄から守り続けるよう促した。我々は、海賊及び海上武装強盗と闘う国際社会の現行の努力を歓迎し、海賊と闘うためのさらなる協調的な取組を促した。
災害リスクの軽減、災害への備えと管理
域内の気象パターンの変化に関連した自然災害の数と被害は増大し続けており、危険地域における都市と巨大都市の位置とその成長は大災害の際の頻度を高める。地域における災害リスクを軽減し災害への備えと管理を改善することは、地域が直面する重大な人間の安全保障の問題である。我々は、この地域における課題は更に複雑となっており、民間部門、国際機関及び非政府団体との更なる国際協力及び調整を必要とすることに合意した。
我々は、地域の災害対応において実行面の課題があること、及び地域が成長するにつれて災害管理の手順が複雑化しプレーヤーの数が増えていることから幅広い調整が必要になっていることを認識した。我々は、災害リスクの軽減、緊急時への備え、及び国内の災害管理能力の構築に、より大きな焦点を当てる必要があることに合意した。これに関して、我々は、ペルー提案の災害リスク軽減と緊急事態への備えと対応のためのAPEC戦略の採択、中国が提案した災害対応及び協力に関するAPEC原則、防災能力育成ニーズに関するストックテイク、並びに豪州・インドネシア共同提案の防災施設の設置及びその施設のAPECエコノミー及びAPEC緊急事態への備えタスクフォース(TFEP)との連携を歓迎した。
我々は、APECがリスク管理、ビジネスの回復及び官民パートナーシップの推進に高い優先順位を与えたことを承認し、エコノミーの復興局面に備える努力を支持した。我々は、実務者に対し、APECエコノミーにおける被災地域の回復の加速を目的とした長期的能力構築事業に取り組むことを指示し、学校の学習課程に災害問題教育を適宜含めることを支持した。
気候変動、エネルギー安全保障及びクリーン開発
気候変動という課題に成功裡に立ち向かえる我々の能力は、将来の世代の福祉にとって極めて重要である。地球規模の問題として、気候変動は、2009年における国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の下での国際協力を通じて包括的に対処されなければならない。気候変動の悪影響及び関連する自然災害に最も脆弱である途上エコノミーでは、貧困削減が更に困難となるであろう。我々は、気候変動・エネルギー安全保障・クリーン開発に関するシドニーAPEC首脳宣言への我々のコミットメントを再確認した。
我々は、共通だが差異のある責任及び各自の能力の原則に沿って、UNFCCCの下で気候変動に対処するための、現在、及び2012年までとその後にわたる決定的、効果的な長期的協力を支持する。我々は、2007年バリの国連気候変動会議における国際社会による決定及び地球規模排出量の削減目標を含む長期的協力的行動に関する合意を形成するための努力を歓迎した。我々は、これに関し、今年の7月に開かれたG8北海道洞爺湖サミットによるこの点に関する宣言にも留意した。我々は、気候変動に対処するAPECエコノミーそれぞれの経済的多様性と異なる国内状況を認識する。
我々は、シドニー宣言の一部として発表された行動計画へのコミットメントを再確認した。我々はこれらの目標を達成しようとするAPEC各エコノミーの取組を評価し促す。我々は、持続可能な森林管理及び回復のためのアジア太平洋ネットワーク(APFNet)の設立を歓迎し、このイニシアティブに対する中国の更なる財政支援へのコミットメントに感謝する。我々は、クリーン技術の開発及び展開を促進するためのものを含み、気候変動の緩和及び適応のための協力と能力構築への支持を表明した。我々は、気候投資基金とりわけクリーン・テクノロジー基金に対する豪州、日本及び米国からの資金支援に感謝する。
我々は気候変動に地球規模で対処するための、森林保全、持続可能な森林管理、土地使用慣行及び炭素貯蓄のための森林及び農業用地での炭素貯留の強化の価値を認識した。
気候変動が持続可能な経済成長と貧困削減を達成するエコノミーの能力を阻害することを認識し、我々は、低排出技術の開発の促進と途上エコノミーに対する移転及び財政支援を含む、等しく追及されるべき目標としての緩和と適応に対する国際協力と能力構築を強く支持する。我々はまた、より効果的な適応戦略を発展させるために、海洋及び海洋資源に対する気候変動の影響に起因する脆弱性をよりよく理解するための追加的で協調された取組を呼びかける。我々は、UNFCCCに対する主要経済国会合首脳宣言の積極的な貢献を支持する。我々は、2009年12月にコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組み条約締約国会議において2013年以降の平等かつ効果的な国際気候変動取り決めに合意するために、国連の下の協調行動及び補完的プロセスにコミットする。
経済的繁栄を維持するためには、十分で信頼できるクリーンなそして入手可能な価格でのエネルギー源へのアクセスが不可欠であることを意識し、我々は、開かれたエネルギー市場及び自由なエネルギー貿易・投資を推進することにより、地域エコノミーのエネルギー需要を支えるとの我々の誓約を再確認する。こうした市場は、再生可能エネルギー源の開発、及び新・代替エネルギー資源・技術を含む排出量の少ないエネルギー技術の普及にとって欠かせない。我々は、実務者に対し、このような開発を促進することを慫慂し、地域のエネルギー効率を追求し、クリーン・エネルギー技術の潜在性の開発を最大限行うよう促す。
APECの強化
APECは、地域の経済協力のための素晴らしいフォーラムである。我々は、APECが急速に変化しつつある世界的な環境に対応し続けられるようAPECの機構プロセスを強化することを誓約する。APEC内の協力活動によって、我々の直面している主要な国際的課題に対し、よりよい成果を出すことができる。我々は、APEC事務局にポリシーサポートユニットを設立するとのAPEC閣僚の提言及びAPEC事務局長の任期付専任化に関する進展を歓迎した。
我々は、第20回APEC閣僚会議における閣僚共同声明を全面的に承認した。
我々は、2013年にインドネシアがAPECを主催するとの申し出を歓迎した。我々は、2009年にシンガポールで再会するというシンガポールの首相の招待を歓迎した。