[文書名] オープンガバナンスと経済成長に関するAPECハイレベル政策対話
我々,APEC閣僚は,ヒラリー・ロダム・クリントン米国務長官議長の下,ホノルルにおいて2011年11月11日にオープンガバナンスと経済成長に関するハイレベル政策対話を開催した。我々は,企業,学界,NGO及び労働組合の代表による対話への参加を歓迎した。
透明性とオープンガバナンスは長期的な経済競争力の極めて重要な要素であり,持続可能な経済成長と繁栄へと導く。我々は,腐敗と闘うことにより,また,透明で公平で説明責任を果たすガバナンスにコミットすることにより公衆の信頼を高めようとするAPECメンバーのこれまでの努力を歓迎する。APECは,主な優先事項としてグッドガバナンスに積極的に取り組み続けるべきである。グッドガバナンスは技術革新を促進し,競争力を高め,市場歪曲性を削減し,貿易及び長期的な投資を促進する起業家精神を醸成及び持続可能にすることによって質の高い経済成長を促進することにつながる。
オープンガバナンス促進{前11文字太字}:我々は,規制政策及びガバナンスを向上させる鍵となる措置に関してメンバーに勧告を紹介するOECDの進行中の作業を評価する。それら措置は規制改革に関するAPEC-OECD統合チェックリスト及び規制の質,競争政策,及び市場の開放性に関する勧告を基にする。我々は公共部門ガバナンス,規制改革,会社法及びガバナンス並びに競争政策におけるベストプラクティスに取り組むことによってAPEC域内においてより開かれた効率的なガバナンスを促進する取組を継続するよう経済委員会に対し指示する。
我々は2002年に合意されたAPEC透明性基準及び2003年と2004年に合意された9つの分野別基準に対する我々のコミットメントを想起する。企業,特に中小の輸出者が法律,規則,手続及び行政上の決定にアクセスする能力,及びそれらの制定に意味をもって参加する能力は,地域の経済統合の強化,貿易・投資の流れの拡大,域内の雇用創出にとって極めて重要である。
我々は,先般のオープン・ガバメント・パートナーシップの設立を歓迎し,まだメンバーとなっていない適格なAPECエコノミーに対し,透明性を促進し,市民に権限を与え,汚職と闘い,新たな技術をガバナンスの強化に結びつける,この重要なイニシアティブのメンバーシップを可能とするために必要な措置をとるよう奨励する。
倫理的なビジネス慣行促進{前12文字太字}:我々は,企業倫理の医療機器分野規範のためのクアラルンプール原則を支持する,2011年5月にモンタナ州ビックスカイにおけるAPEC中小企業閣僚会合の決定を称賛する。域内の医療機器産業のためのこの諸原則は,この種の原則で初のものであり,患者のケアの質を向上させ,技術革新を促進し,医療機器を生産する中小企業の成長を促す。我々は,また,APEC中小企業作業部会がバイオ医薬品部門(メキシコシティ原則)と建設及びエンジニアリング部門(ハノイ原則)の自主的な倫理諸原則を確立する取組みを称賛する。我々は,これら3倫理原則を承認し,これらの原則が中小企業に実際的影響を与えることを確保するAPECの更なる努力に期待する。
腐敗との闘い{前6文字太字}:我々は,公務員の資産公開に関係する原則を整備することによる公共の健全性を支持し,越境違法ネットワークの解体を含め,腐敗及び不正貿易と闘うための民間部門とのAPECパートナーシップを開始する,腐敗防止・透明性作業部会(ACTWG)の努力を称賛する。我々は,ACTWGが2012年中にこれらのイニシアチブに関する進捗を閣僚に報告するよう要請する。
我々は,2010年横浜においてAPEC首脳が全APECエコノミーに対し,先に合意したAPEC腐敗防止・透明性政策の実施状況を報告するよう指示したことを想起する。我々は,各エコノミーが2014年末までにその完全かつ包括的な報告を提出し,それに先だって全範囲にわたるAPEC腐敗防止コミットメント及び関連措置を対象とした包括的な中間報告を2012年及び2013年に行うことに期待する。我々は,また,APECメンバー・エコノミーに対し,各々のレビューの実施において透明性と包括性を強化することを含め,国連腐敗防止条約を実施するよう求める。
結論{前2文字太字}:この対話は,腐敗との闘い及び透明性のある,公正な,責任を果たす政府の実施に対する我々のコミットメントを再確認し強化した。我々は,この取組を支援するため開発途上エコノミーの能力強化活動を含め,更なる行動でこのコミットメントを満たすよう実務者に対し指示する。我々は2012年のロシアの議長の下,これらの目的を達成することに向けた進捗をレビューすることを期待する。