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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 附属書A APEC連結性に関する枠組み

[場所] バリ,インドネシア
[年月日] 2013年10月8日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

1. APECは設立当初から,アジア太平洋における連結性の促進に取り組んできた。1993年にシアトルにおいて,我々は,より多くの収入,高度な技術を必要とする高賃金の仕事及び移動性の向上を通じて,地域の人々が経済成長の恩恵を共有することを確保するよう合意した。我々は,物品や人々が迅速かつ効率的に移動できるように,情報通信と輸送手段の進歩が地域における時間と距離の障壁を縮減し,我々エコノミーを結びつけることを認識した。我々は,1994年にボゴールにおいて,アジア太平洋のエコノミーの共同体を達成するという本コミットメントに改めて言及し,2010年に横浜において,経済的に統合され,強くかつ安全なAPEC共同体への道筋を提示し,2011年にホノルルにおいて,継ぎ目のない地域経済を目指して具体的な方策をとることにコミットした。

2. 更なる取組がなされる必要はあるが,我々は,APECでの貿易,投資,渡航円滑化及び構造改革において注目すべき進展を達成してきた。

3. 我々は,2009年以来,サプライチェーンの連結性を向上させるというアジェンダを推進し,個々のエコノミーの状況も考慮しつつ,アジア太平洋地域での物品及びサービスの移動の時間,費用及び不確実性を削減する観点から,2015年までにサプライチェーン能力を10%改善させるというAPEC全体の目標の達成に取り組んでいる。これは,「国境における(at the border)」,「国内での(behind the border)」及び「国境を越えた(across the border)」取組を行う包括的アプローチの一部である。

4. 我々は,本日,ボゴール目標の実現,衡平性を伴う持続可能な成長の達成,そして地域における低開発のインフラやネットワーク,非効率な手続,人の移動や制度的ネットワークへの障害への対処等によって,我々エコノミーを結びつける経路の強化及び拡張のための取組をレビューし,これを強化することを決意した。

5. 我々は,継ぎ目のない物理的,制度的,人と人との連結性が,APEC共同体構想の実現に不可欠な前提条件であるとの見方を共有する。太平洋周辺及び全域,並びにAPECの島嶼・大陸地域内における発展した又は新興の成長センターを結びつけることによって,APECは地域的経済統合を強化・深化し,地域の成長の質を改善し,アジア太平洋の経済的強靱性に貢献する。

6. 2020年までのボゴール目標の達成及び2010年の横浜ビジョン「ボゴール,そしてボゴールを超えて」の実現のための取組の一環として,我々は,以下の項目を達成することにより,継ぎ目なくかつ包括的に連結・統合されたアジア太平洋に達することを熱望する。

・APEC地域におけるサプライチェーンの能力を向上し,物流,輸送,エネルギー及び情報通信インフラを連結・統合する物理的連結性。

・エコノミー間での規制及び手続上の協力及び調和を推進する制度的連結性。

・人物交流,移動及び共同の努力を向上させる人と人との連結性。

7. 我々は,これらの目標を達成するため,2014年に以下の行動に着手することに合意する。

a. 合意された基準又は目標に基づいて,継ぎ目なくかつ包括的に連結・統合されたアジア太平洋に向けた,複数年にわたる協力・活動の分野を詳述する青写真の作成,及び成果を定期的にレビューするためのタイムフレームの設定。青写真には,特に以下が含まれる。

・ 物理的連結性:

‐サプライチェーンの能力を阻害する貿易障壁の撤廃

‐的を絞った集中的な能力構築を通じたエコノミーによる貿易円滑化及びサプライチェーンに係るコミットメントの実行への支援

‐貿易ルート・回廊の拡大及び道路,鉄道,港,空港等の地域の質の高い輸送網の強化

‐APECの取組と既存のサブ・リージョナルな枠組み・計画との相乗効果を生み出すための取組への考慮

‐国境を越えたエネルギー網及び相互連結の推進

‐ユニバーサルかつ高速のブロードバンド・アクセスの達成

‐まずは,APECインフラ開発・投資に関する複数年計画を実施し,続いて,より幅広いインフラ開発の実施を通じた,適切に設計され,持続可能で強靱なインフラの開発・改善

・ 制度的連結性:

‐物流及び輸送の円滑化の推進

‐規制調和・協力の向上及び良き規制慣行の実施の強化

‐構造改革に係るAPECアジェンダの推進

‐APECエコノミーにおけるシングル・ウィンドウの策定の推進等による貿易関連部局,税関及び国境事務所の近代化

‐国境を越えた金融協力の促進

‐安全かつ信頼できる情報通信技術及び電子商取引環境の適用拡大

・ 人と人との連結性:国境を越えた教育,科学,技術革新及びサービスに係る取組の推進や,観光客,ビジネス関係者,専門家や労働者,女性や青少年を含む人の移動の円滑化の拡大。

b. 地域の連結性を向上させ,経済・技術協力から恩恵を受け得る,個々のエコノミーの又は共同での,青写真を実施するためのプロジェクトの特定。

c. 本枠組みをAPECの諸フォーラムの戦略的・長期的計画立案の主流に位置づけること。

8. 我々は,ASEAN,太平洋同盟,東アジア首脳会議,G20等の他の国際フォーラムや,地域・多国間開発銀行,そしてABAC,民間部門との相乗効果を向上させることが極めて重要であると認識する。我々は,閣僚及び実務者に対して,中華人民共和国における第22回首脳会議に青写真を提出する前に,相互に受入れ可能な国際標準を考慮に入れつつ,これら利害関係者と関与し,協力するよう指示する。