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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] APEC 違法・無報告・無規制(IUU)漁業と戦うためのロードマップ

[場所] 
[年月日] 2019年12月7日
[出典] 外務省
[備考] 
[全文]

背景

 違法・無報告・無規制(IUU)漁業は,持続可能な漁業,漁業コミュニティー,海洋生態系及び社会への国際的かつ地域的な脅威である。IUU漁業は海洋資源を減少させ,持続可能な発展への絶えざる脅威である。APECを通じた我々の協力は,その権限に従い,持続可能な発展目標(SDGs)14番,特にIUU漁業の終了という目的に含まれる「持続可能な発展のための2030アジェンダ」を実施するための努力と整合している。アジア太平洋地域の漁獲量は世界の漁獲量の52%近くに達し(FAO-SOFIA 2018),漁業は食料安全保障,経済的価値及び文化的価値の面でAPEC地域に大きな利益をもたらしている。2005年のバリ行動計画以来,閣僚は域内のIUU漁業に対処するために協力するようAPECエコノミーに奨励し続けてきた。2019年の会合において,貿易担当大臣は漁業資源,海洋環境,食料安全保障及び人々の暮らしに対し,IUU漁業が益々悪影響を与えていることに留意し,これらの課題に対処するための更なる作業を奨励し,特定の形態の漁業補助金を禁止する包括的かつ効果的な規律のために国際貿易機関(WTO)で進行中の作業に対する支持を改めて表明した。

ビジョン

 アジア太平洋地域の経済,食料安全保障,持続可能な成長への漁業の重要性に鑑みると,海洋保全の促進と海洋資源の利用のための共同の努力の一つとして,IUU漁業を防止し,これと戦うための取組についてこの地域経済フォーラムの文脈で協力して取り組むことが重要である。IUU漁業と戦うことにより,持続可能な漁業の達成並びに漁業コミュニティー及び世界の海上安全に関する利益を支持することができる。IUU漁業の防止とこれとの戦いにおける成功戦略は協力の基に築かれるべきものである。近年,IUU漁業を防止し,戦うために様々な戦略が立案され実施されてきたが,多くは捕獲と輸送の段階に焦点を当てたものであった。APECエコノミーが高価値の水産物の主要な市場のいくつかを代表しているため,IUU漁業の防止とこれとの戦いの取組を強化するために,能力構築を考慮した市場ベースの措置と戦略も必要である。

目的

 アジア太平洋地域のIUU漁業への対策を支援するために,海洋漁業作業部会(OFWG)は合法的な原産地を有する水産物の自由で開かれた貿易の発展をAPECが支持することを認識するとともに,主に2つの目的に基づいて,APEC・IUU漁業ロードマップが実施されるよう提案する。

・ IUU漁業活動の防止し,これと戦うために,必要に応じて,APECエコノミーの技術的な能力構築をすること。

・ 能力構築及び技術支援,並びに該当する場合には監視,規制,監督及びトレーサビリティの手法を含め,APECエコノミー間の協力を強化することを通じて,APEC内でのIUU漁業に対処するための制度的能力強化並びに国内的及び国際的な保存管理措置の遵守を強化する。

ロードマップの活動領域

 IUU漁業を防止し,これと戦うために,APECエコノミーはロードマップの目的を達成するための以下の活動を追求することによって,関連する国内政策及び法的枠組みを強化することを奨励される。

1.寄港国措置(PSM)の実施

 IUU漁業との戦いにおけるAPECエコノミーの重要な役割を再確認し,APECエコノミーに違法漁業防止寄港国措置協定の実施の原則に基づいて強固で有効な寄港国措置(PSM)を実施するよう奨励する。加えて,IUU漁業による漁獲物及び水産物が港を経由してグローバルサプライチェーンに流入するのを検知し抑止する他の取組とともに,各エコノミーがメンバーである地域漁業管理機関(RFMOs)におけるPSMの採択を推奨する。これらの取組は,APECエコノミーへの寄港を求める域外船籍の漁船または寄港中の漁船に対して適応されるべきであり,そうした船舶がIUU漁業または関連活動に従事していないことを確認する手続を含むべきである。

2.トレーサビリティ並びに漁業活動の監視,規制,監督に関する情報交換

 漁獲証明書または貿易認証制度を通して,サプライチェーン全体において水産物のトレーサビリティを向上する手段を含め,IUU漁業を防止し,これと戦うための手段の情報共有を強化するために協力する。加えて,エコノミーは,関連する守秘義務を考慮に入れ,IUU漁業を防止し,これと戦うために,情報とともに実施戦略を共有し交換するための特定の監視,規制,監督のネットワークに参加することを検討するべきである。

3.エコノミー間の連携強化

 漁業活動の監視,規制,監督及び水産物のトレーサビリティに責任を持つAPECエコノミーにおける当局間の共同作業を発展させ,実施する。この協力は,IUU漁業と戦うための措置の効果的な実施を支持するために,能力構築,訓練,利用可能な技術の活用を強化する取組を検討すべきである。この連携を促進するために,APECエコノミーは国内の連絡窓口を設置するべきである。

4.APECの貢献可能事項を特定するための地域的及び国際的な漁業機関との連携を促進

 IUU漁業と戦う作業から利益を得,経験及びベストプラクティスを共有するために,必要に応じて,特に関連するRFMOsやFAOなどの地域的及び国際的な漁業機関と協力する。これはAPECが貢献しうる経済的または市場関連措置の特定を含む。

5.官民連携の強化

 必要に応じて,IUU漁業の原因,実態及び影響に関する情報の共有と研究の発展を通じて,官民連携を強化し,協力を促進する。

6.能力構築

 漁獲証明及びトレーサビリティ,規制手段の使用と適用,方法論と運用上の漁業実施手順,

IUU漁業及び漁業関連活動と戦うための技術に関する技術支援及びトレーニングを通して,IUU漁業との戦いにおけるAPEC途上エコノミーの能力を強化する。

実施

ロードマップのレビューは,エコノミー及び地域レベルでの関連活動に関する情報共有及び関連する課題に関する議論と対処を含めて,毎年最初のOFWG会合において行われる。2025年の最初のOFWG会合において,それぞれのエコノミーはロードマップの実施状況について報告する。経済・技術協力運営委員会(SCE)がロードマップに基づく進捗の監視と評価の全体的な責任を持つ。高級実務者は進捗について定期的に閣僚に報告し,必要に応じて更なる助言を求める。APECエコノミーは,IUU漁業を防止し,これと戦うために,知識と成功事例,種々の管理取組から学んだ教訓,ベストプラクティス及び創造的解決策の共有を促進するための取組を継続する。