[文書名] APEC貿易担当大臣声明
我々、アジア太平洋経済協力(APEC)貿易担当大臣は、5月5日に発出された「APEC貿易担当大臣による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する声明」を想起し、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの経済的な影響を効果的に緩和し、地域を強靭性があり、持続可能で、包摂的で、早期の経済回復の道へと迅速に導くことへのコミットメントを再確認する。我々は、人々の豊かさのために地域全体で実施されている取組、及び経済的な繁栄の強靭な未来に向けて人々の潜在能力を最大化する取組を認識する。
我々は、このような困難な時期に経済回復を推進するために、自由で、開かれた、公正で、無差別的で、透明性のある、かつ予見可能な貿易・投資環境の重要性を認識する。我々はまた、WTOの作業を支持する、重要なAPECの作業計画とイニシアティブに留意する。我々は、市場の予見可能性を高め、ビジネスの信頼を可能にし、貿易が行われるようにする、透明性のある、無差別的で、WTOで合意されたルールの重要性を強調する。これに関するWTOの役割を認識しながら、我々は、WTOの機能を改善するための行動が必要であることに合意し、必要なWTOの改革を支持する。我々は、新型コロナウイルス感染症に対処するための緊急措置が、的を絞り、目的に照らし相応かつ透明性があり、一時的で、貿易に不必要な障壁又はグローバル・サプライチェーンの混乱を生み出さず、かつWTOルールと整合的なものであることを確保することにコミットする。
我々は、WTOの作業のためのAPEC地域の継続した支持の明確な表明である、「必要不可欠な物品の流れの円滑化に関する宣言」に満足している。我々は、新型コロナウイルス感染症の課題に対処するための緊急措置をエコノミーが実施する必要があることを認識する一方で、パンデミックと闘うために、必要不可欠な物品及びサービスの流れを促進し、サプライチェーンの強靭性を高めることで連結性を強化し、医療品、食料及び農産品の貿易の混乱を最小化する作業へのコミットメントを強調する。我々はまた、必要不可欠な物品の貿易を制限する非関税障壁を削減するための議論の必要性を認識する。我々は、ウイルスの拡散を防ぐ努力を阻害することなく、人々の必要不可欠な越境移動を容易にする方法を共有し、模索することへのコミットメントを再確認する。このため、我々にとって、「人々の必要不可欠な越境移動円滑化に関する措置のレビュー提案」は心強い。
我々は、中核となる作業への推進力を維持しながら、「APEC貿易担当大臣による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する声明」を実行することにAPECによる努力を振り向けるために全てのエコノミーにより取組まれている作業を歓迎する。我々は、新型コロナウイルス感染症への対応のためにAPECエコノミーが取り組む政策と措置に関するベストプラクティス及び情報を収集して共有する協調的手法を確立させる進行中の取組を称賛する。我々は、情報交換のためのデジタルプラットフォームを設立することを目指し、この分野の作業を優先することを高級実務者に要請し、また、このプラットフォームの早期の実現を期待している。
我々は、脆弱な開発途上エコノミーに対する新型コロナウイルス感染症の影響についての懸念を強調する。我々はまた、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響を最も受けている人々の緊急の必要性を認識し、中小零細企業を含むコミュニティの全ての部門に対して経済回復に参画する支援を行うことを認識する。我々は、経済回復過程を通じて、パンデミックと闘い、労働者と各セクターを支援する多様で継続した取組及び追加的な資金の貢献を歓迎する。
我々は、物品、サービス、及び投資のために開かれた市場を追求し、中小零細企業を支援し、デジタル連結性の活用することを含め、パンデミックによる喫緊の影響をどのように緩和するのか、経済回復をどのように加速するのか、長期的にどのように強靱性を構築するのかについて記載された、新型コロナウイルス感染症に関するAPECビジネス諮問委員会(ABAC)の報告書の提言に留意する。我々は、APECが多角的貿易体制を支持し続けることに対するABACからの要請を認識する。我々は、第12回WTO閣僚会議につながるものを含め、WTOの課題に対する継続的で建設的な関与を奨励する。
我々は、エコノミーが協力して、サプライチェーンの強靭性を高め、電子商取引を含む、切れ目ない越境ビジネスを可能にするデジタルソリューションを採用することを奨励する。我々は、デジタル経済の可能性を活かすことで、データの流通を円滑にし、デジタル取引における消費者とビジネスの信頼性を高めることの協力の重要性を認識する。
我々は、簡潔で、適切で、有意義で、達成可能なポスト2020ビジョンの発出に向けた作業を加速するよう、高級実務者に指示する。我々は、本年末の首脳によるポスト2020ビジョンの発出を期待している。