データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 付属書B:APEC地域における予防接種証明書の相互運用性に関する非拘束的原則

[場所] 
[年月日] 2022年5月23日
[出典] 経済産業省
[備考] 仮訳
[全文] 

APECのプトラジャヤ・ビジョン2040及びアオテアロア行動計画の精神、特に、継ぎ目のない連結性の促進とデジタル・インフラの強化の目標に基づき、

新型コロナウイルス感染症の流行が全てのAPECエコノミーに与えた健康上及び経済上の大きな負担と、国境を越えた旅行の再開における安全の優先を確保する必要性を認識し、

人々の生命を守り、健康を保護すること及び新型コロナウイルス感染症の課題を克服す

るための協調的行動と協力に対する首脳のコミットメントを想起し、

世界的な公共財及び国境を越えた旅行の再開を支援する手段としての新型コロナウイル

ス感染症に対する広範な予防接種の役割並びに安全で、効果的で、品質が保証されかつ

安価な新型コロナウイルス感染症ワクチンへの公平なアクセスの重要性を認識し、

スマートフォンや安定したインターネット接続を利用できないグループに対するデジタル包摂性及び我々のエコノミーにおける多くの人々に対する技術・医療物資へのアクセスに関する懸念を認識し、

APEC地域内では、予防接種証明方式が様々な異なる手法や形式で開発されていること、また一部のエコノミーでは、国内の公衆衛生を管理するツールとしてデジタルで検証可能な予防接種証明書を使用していることに留意し、

APECエコノミー間で、相互のワクチン接種証明書の信用性及びその基礎となるインフラとプロセスに対する信頼を構築することの重要性を再確認し、

グローバル・デジタル・ヘルス・パートナーシップ(GDHP)と経済協力開発機構(OECD)の支援を受け、世界保健機関が予防接種証明書の相互運用性の枠組みを開発するための

技術的作業を進めていることに留意し、

APECエコノミーには以下の取組を推奨する:

  - 他のAPECエコノミーが発行した予防接種証明書を、越境時の入国や国境内を含む新型コロナウイルス感染症の予防接種証明書*1*として認めること。

  - できるだけ広範な形式の予防接種証明書を受け入れるための実際的かつ柔軟な手法を開発すること*2*。

  - APEC地域で使用されるデジタル検証可能な予防接種証明書形式の技術的相互運用性に向けた取組を支援すること。

  - APEC地域における包摂性を支援すること。

   ○デジタルで検証可能なワクチン接種証明書の方式がない、あるいは異なるワクチン接種証明書形式を使用するエコノミーからの旅行者を差別するような政策を回避すること。

   ○可能な場合、物資の乏しいエコノミーが本取組に参加することを支援すること。

  - 信頼醸成、情報共有、能力構築を支援するため、予防接種証明に関する規制、手順、要件を公開すること。

APECエコノミーは、検疫の取極めを含む新型コロナウイルス感染症に関する自国内の法律、政策、手続は各エコノミーに責任があり、エコノミー内の国境入国及び公衆衛生事項を規制する権利は尊重され、守られるべきであると認識する。


{*1* APECエコノミーの国内保健規制当局による、個人がワクチン接種を受けたとみなすための承認と要件(すなわち、ワクチンの種類、ワクチンの投与量)に関する決定を害することはないものとする。}

{*2* 受け入れ可能な形式の範囲は、例えば、デジタル形式と非デジタル形式の両方、紙と非デジタルで検証可能な接種証明書、そして、異なる暗号化方法または署名プロセスを使用する証明書等を含む。}