[文書名] アジアインフラ投資銀行協定
アジアインフラ投資銀行協定
本協定の締約国は一致して次のように同意する。
グローバル化の背景下、地域協力は、アジアの経済体の持続成長と経済社会の発展推進において重要な意義があり、将来の金融危機やその他の不測の事態への当該地域の対応能力を高めることにもつながる。
インフラ発展が、地域の相互連結と一体化推進に重要であり、アジアの経済成長と社会発展の推進の手段となり、さらに世界経済発展に新たな活力を与えるものと認識している。
また、アジアインフラ投資銀行(以下「銀行」という)が、既存の多国間開発銀行との協力を通じて、アジア地区の長期的なインフラ建設の巨額な融資不足に資金援助を提供するものとなることと認識している。
インフラ発展の支援を主旨とする多国間金融機関として、本銀行の成立は、アジアの域内と域外からより多くの必要資金を調達し、アジアの経済体の直面する融資の停滞を緩和し、既存の多国間開発銀行と相互補完し、アジアの持続的かつ安定的な成長の実現を推進することに役立つことと確信している。
本協定の定める次の規定に従って運営される銀行を設立することに同意する。
第一章 主旨、職務、メンバー資格
第一条 主旨
一、銀行は次の主旨を持つ。(一)インフラ及びその他の生産性分野の投資を通じて、アジア経済の持続可能な発展と富の創造を促進し、インフラの相互連結を進める。(二)その他の多国間・二国間開発機構と緊密に協力し、地域の協力とパートナーシップを推進し、発展における挑戦に対処する。
二、本協定における「アジア」と「本地域」は、理事会による別規定を除き、国際連合の定義するアジアとオセアニアに属する地理的な区画とその構成とを指すものとする。
第二条 職務
その主旨を達成するため、銀行は、以下の職務を負う。
(一)地域内の発展分野へ公的および私的資本投資を推進し、とりわけインフラとその他の生産性分野の発展に寄与する。
(二)利用可能な資金を活用して本地域の発展事業への融資支援を提供する。支援対象には、本地域の経済全体の調和的発展を最も効果的に支援できるプロジェクトやプログラムが含まれる。特に、本地域において発展が遅れたメンバーのニーズに配慮する。
(三)地域経済発展への民間資本の参与、とりわけインフラとその他の生産性分野の発展に資するプロジェクトや企業、その活動への参与を奨励し、また、適切条件での民間資本の融資が困難である場合、その民間投資を補完する。
(四)これらの職務を強化するためのその他活動、サービスの提供を行う。
第三条 メンバー資格
一、銀行のメンバー資格は、国際復興開発銀行とアジア開発銀行のメンバーに開放される。
(一)域内メンバーとは、附属書一の第一部分のメンバー及び第一条第二項で定めるアジア地域に属するその他のメンバーを指し、その他は域外メンバーとする。
(二)創設メンバーは、附属書一に名を連ね、第五十七条で規定する期日の当日またはその前に本協定に署名し、また、第五十八条第一項で規定する最終期日前にすべてのメンバー条件を満たしたメンバーを指す。
二、国際復興開発銀行とアジア開発銀行のメンバーで、第五十八条の規定に従った加盟を果たせなかったメンバーは、第二十八条の規定に基づき、理事会の「特別多数投票」による同意を経て、銀行が決めた加盟条件を満たした場合、銀行のメンバーとして認められる。
三、主権を有しないまたは国際関係における自身の行為に関する責任能力のない申請者は、その行為に責任を負うことのできる銀行メンバーの同意を経て、またはその代理によって加盟申請を提出することができる。
第二章 資本
第四条 授権資本
一、銀行の授権資本は一千億ドルとし、百万株に分け、一株の額面価値は十万ドルとし、メンバーのみが本協定第五条の規定に従って株式を保有申請することができるものとする。
二、当初の授権資本は、払込資本と請求払資本に分けられる。払込資本の額面総価値は200億ドル、請求払資本の額面総価値は800億ドルとする。
三、理事会は第二十八条の規定により、適切と認める時期、または条件にて、理事会の「絶対多数投票」の同意を経て、銀行の授権資本を増額することができる。払込資本と請求払資本との比率も変更対象に含まれる。
四、本協定において「ドル」及び「$」という時は、いずれもアメリカ合衆国の法定支払通貨を指すものとする。
第五条 授権資本の保有申請
一、各メンバーはいずれも授権資本の保有申請を行う。初期の授権資本の保有申請において、払込資本と請求払資本の比率は二:八とする。第五十八条の規定に従ってメンバー資格を獲得した国家の当初の株式数は、本協定附属書一に基づいて決める。
二、本協定第三条第二項に従って加盟したメンバー初期授権資本の数量は理事会が決定する。保有申請に対し、域内メンバーの保有資本が総資本の七十五パーセント以下となる時には、第二十八条規定に基づく理事会による絶対多数投票を経た場合を除き、認めないものとする。
三、理事会は、特定メンバーの要請に応じて、第二十八条の規定に照らして絶対多数による票決を経て、当該メンバーが既定の条件と要求に照らして応募額を増額することに同意できる。その応募によって、域内メンバーの保有授権資本が総資本の七十五パーセント以下となる時には、理事会が第二十八条規定に照らして絶対多数で票決した場合を除き、認めないものとする。
四、理事会は五年を超えない期間をもって銀行の総資本について審議する。授権資本(以下、出資金)の増額が決定した際、理事会の定める申請条件のもと、すべてのメンバーは公平な申請資格を有する。認められた増額出資金が全体出資金に占める割合は、増額申請前における当該団体の出資金が全体出資金に占める割合と同等のものとする。どのメンバーも増加出資金の負担について義務は負わない。
第六条 出資金の払い込み
一、第五十八条に照らしてメンバー資格を獲得した本協定の署名者については、その当初の出資金の払込資本に相当する部分について、五回に分けて支払いする。毎回の支払いは、本条第五項において規定される特殊な場合を除き、二十パーセントとする。最初の支払いは本協定の発効後三十日以内に完了させる。または第五十八条第一項に定める批准書または受諾書、承認書の提出日またはその前に行う(遅い方を基準とする)。第二回の支払いは本協定の発効から一年以内に完了させる。残りの三回はそれぞれ前回の期限から一年以内に完了させる。
二、本条第五項で規定する以外は、当初の出資のうちの払込資本の毎回の支払いはいずれも、ドルまたはその他の交換可能通貨を用いなければならない。銀行は、こうした出資を随時ドルに転換できる。期限が来ても支払いが完了しない場合は、未払いの資本金が銀行支払われるまで、払込資本と請求払資本相応の権利(投票権など含む)の行使は認められない。
三、銀行の請求払資本について、銀行が債務を履行する必要がある時のみ支払いを請求する。メンバーは、ドルまたは銀行の債務履行に必要な通貨を選択して支払う。請求払資本の請求において、すべてのメンバー国の請求比率は同じものとする。
四、本条において言及される各種の支払いの期限は銀行が決定する。理事会が初回会議を開催する前において、本条第一項の指す初回の支払いは、銀行の委託管理者である中華人民共和国政府に支払うものとする。
五、本支払金については、開発途上国と認定されたメンバーは、本条第一項と第二項の規定する資本金を支払う際、以下のいずれかの方式を選んでこれを完了するものとする。
(一)ドルまたはその他の交換可能通貨の全部を用いて、最高十回に分けて支払う。毎回の支払額は総額の十パーセント相当とし、第一回と第二回の支払期限は第一項の規定を参 照し、第三回から第十回の支払いは本協定発効から二年以内及びその後一年ごとに支払を完了させることとする。または
(二)毎回の支払いにおいて、メンバーは、ドルまたはその他の交換可能通貨を一部で使用すると同時に、そのうち五十パーセントを超えない部分を本国通貨で支払うことができ、本条第一項の規定する期限に照らして毎回の支払いを完了する。この支払いは以下の規定に符合するものとする。
1、メンバーは、本条第一項の規定する支払期限に、本国通貨を用いて支払う金額の比率を銀行に説明しなければならない。
2、本条第五項の規定に照らして行われる本国通貨での支払額は、銀行が、ドル換算と同等の金額として計算する。初回支払時、メンバーは、支払金額を自ら確定すること ができるが、銀行は、支払額がドルで計算した金額と完全に同等にするため、支払期限九十日前までに適切な金額調整を行うことができる。
3、銀行は、いかなる時であっても、特定メンバーの本国通貨が大幅に下落したと判断した場合、当該メンバーは、適切な期間内に銀行に対し額外の本国通貨額を支払い、銀行が帳簿上保有している該メンバーの本国通貨出資金の価値が変わらないようにしなければならない。
4、いかなる時であってもメンバーの本国通貨が大幅に上昇していると銀行が考えた場合、銀行は、合理的な一定期間内に当該メンバーに一定量の本国通貨額を返却し、銀行が帳簿上保有している当該メンバーの本国通貨出資金の価値を調整しなければならない。
5、銀行は、本項第3号の付与する償還の権利を放棄することができ、メンバーは、本項第4号が付与する償還の権利を放棄することができる。
六、銀行は、すべてのメンバーが、その政府またはその指定する預託機関の発行する約束手形またはその他の債券を用いて、当該メンバーが本条第五項第(二)項に照らした本国通貨による支払金を受け入れる。受入の前提は、銀行の経営判断上、上述の金額のメンバーの通貨を使う必要がないと判断した場合である。上述の約束手形または債券は譲渡不可・無利子とし、銀行の要求に応じて額面に応じて一覧払いしなければならない。
第七条 授権資本の支払い条件
一、メンバーの当初の授権資本(以下、株式)は額面で発行する。その他の株式も、理事会が特殊な状況下で第二十八条の規定に従って特別多数によって票決してその他の条件で株式を発行することを決定したもの以外は、額面で発行する。
二、株式はいかなる形式によっても抵当に入れ、または担保に供してはならず、銀行にのみ譲渡することができる。
三、メンバーの株式債務はその保持する株式の発行額のうちの未払込部分を限度とする。
四、メンバーは、メンバーの地位を持つことによって銀行の債務に責任を負うものではない。
第八条 通常資本
本協定における「通常資本」は次のものを含む。
(一)本協定第五条の規定に基づいて応募された銀行の授権資本(払込資本と請求払資本を含む)
(二)銀行が第十六条第一項によって与えられた権限により調達した資金。この資金の払い込み承諾は本協定第六条第三項の規定を適用する。
(三)本条第(一)、(二)項の資金を利用した貸し付けまたは担保の返済によって得た、または上述資金を使用した株式投資または第十一条第二項第(六)項の認めるその他のタイプの融資によって得た収益。
(四)前述の資金を使用した貸し付けまたは第六条第三項に基づく払い込み承諾による担保によって得られる収入。
(五)本協定第十七条の規定する特別基金には属さない、銀行が受領するその他のあらゆる資金または収入。
第三章 銀行業務運営
第九条 資金の使用
銀行の資金は、安定した銀行運営原則に基づいて、本協定第一条と第二条に規定される主旨と職務を履行するためだけに用いられる。
第十条 通常業務と特別業務
一、銀行の業務は次を含む。
(一)本協定第八条の定める銀行の通常資本によって融資が提供される通常業務。
(二)本協定第十七条の定める銀行の特別基金によって融資が提供される特別業務。
二種の業務は同時に同一のプロジェクトまたはプログラムの異なる部分に対して融資を提供できるものとする。
二、銀行の通常資本と特別基金は、その保有、使用、承諾、投資その他の処分において、いかなる時にも、いかなる場合においても完全に分離されたものとする。銀行の財務諸表においても、通常業務と特別業務をそれぞれ示すものとする。
三、いかなる状況においても、銀行の通常資本は、特別基金に負担または承諾する特別業務またはその他の活動によって発生した支出または損失、負債を支払い、返済するために用いてはならない。
四、通常業務において直接発生した支出は通常資本に計上される。特別業務において発生した支出は特別基金に計上される。その他の支出の計上はいずれも銀行が決定する。
第十一条 業務の対象と方法
一、(一)銀行は、すべてのメンバーとその機構または機関、行政部門、あるいはメンバーの領土で経営活動行を行うすべての団体または企業、または本地域の経済発展に参加する国際、または地域機構、団体に対して融資を提供できる。
(二)特殊な状況下では、銀行は、本項第(一)項以外の業務対象に援助を提供することができる。その前提は、理事会が第二十八条の規定に基づいて絶対多数によって以下を票決した場合に限る。
1、当該援助が銀行の主旨と職務、銀行メンバーの利益に符合することが確認できる。
2、業務が提供できる本条第二項に定める融資支援の類別が明確である。
二、銀行は、以下の方式で業務を展開することができる。
(一)直接貸し付け、連合融資、または貸し付けへの参加。
(二)機構または企業の株式資本投資への参加。
(三)直接または間接の債務者として、経済発展に用いられる貸し付けの全部または一部に担保を提供する。
(四)特別基金の使用協定に基づき、特別基金の資源を配置する。
(五)第十五条の規定に基づいて技術援助を提供する。
(六)理事会が第二十八条の規定に基づいて特別多数で票決したその他の融資方式。
第十二条 通常業務に対する制限条件
一、銀行が、本協定第十一条第二項第(一)、(二)、(三)、(四)項に基づいて行う貸し付け、株式投資、担保、その他の形式の融資などの通常業務における未返済額は、いかなる場合においても、通常資本において運用されていない資金や準備金、剰余収益の総額を超えないものとする。だが理事会は、本協定第二十八条の規定に基づき、絶対多数の票決を経て、銀行の財務状況に応じて、上述の銀行通常業務に対する財務制限を随時引き上げる権利を持ち、最高で通常資本のうちの運用されていない資金や準備金、剰余収益の総額の250パーセントまで引き上げることができる。
二、銀行の株式投資支出の総額は、当期の銀行の運用されていない払込資本と通常準備金の総額を超えないものとする。
第十三条 業務の原則
銀行は、以下の原則に従って業務を展開するものとする。
(一)銀行は、穏健な銀行運営原則に従って業務を展開する。
(二)銀行は、特定のプロジェクトまたは特定の投資プログラムへの融資、株式投資、第十五条に規定する技術援助を主たる業務とする。
(三)銀行は、メンバーが反対しているにも関わらず当該メンバーの領域内で融資業務を展開してはならない。
(四)銀行は、その従事する各業務が銀行の業務・財務政策に符合することを保証する。この政策は、環境と社会への影響に向けた政策を含むが、これには限るものではない。
(五)銀行は融資の申請の審議の際、関係する要素を総合的に考慮すると同時に、合理的であると考える条件において、借入人がその他の方法にて資金を獲得する能力の有無についても考慮するものとする。
(六)銀行は、融資または担保を提供する際、融資契約の規定する条件に基づき、将来における借入人及び担保人の義務の履行能力についても適切に考慮しなければならない。
(七)銀行は、融資または担保を提供する際、当該融資プロジェクトおよび銀行のリスクのいずれにおいて適切であると判断する融資条件(利率、その他費用、原本の償還計画を含む)提示する。
(八)銀行は、通常業務または特別業務における銀行の融資プロジェクトの貨物やサービスの調達において国別の制限を行ってはならない。
(九)銀行は、必要な措置を講じ、その提供・担保・参加する融資資金が融資規定の定める目標の実現にのみ用いられ、また節約原則と効率原則に沿ったものであることを保証しなければならない。
(十)銀行は、過度の資金を特定のメンバーの利益のために用いるバランスの欠いた運用はできるだけ回避しなければならない。
(十一)銀行は、その株式資本投資の多様化を保持する措置を取らなければならない。投資リスクを回避する目的でなければ、銀行は、株式投資プロジェクトにおいて、投資する団体または企業に対していかなる管理責任も負わず、該当する団体または企業に対する制御権を求めてもならない。
第十四条 融資条件
一、銀行は、融資に参加する際、または融資への担保を提供する際、本協定第十三条の規定する業務原則及び本協定のその他の条項の規定に従い、契約書をもって融資または担保の条件を定めなければならない。上述の条件を制定する時には、銀行は、銀行の収益と財務状況を保障する必要性を十分に考慮しなければならない。
二、融資または担保の対象が銀行メンバーでない時には、銀行は可能と判断した場合、当該プロジェクトが執行される所在地のメンバー、または銀行が認めた当該メンバーの特定の政府機構またはその他の機構に対して、貸付元本や利子、その他費用の規定通りの返済について担保を要求することができる。
三、いかなる株式投資の金額も、当該団体または企業の取締役会が決議文書をもって採択した株式投資の比率を超えてはならない。
四、通貨リスクの最小化に関する政策規定に従って、銀行は、特定国の本国通貨を用いて銀行による該当国業務への融資を提供することができる。
第十五条 技術援助
一、銀行の主旨と職務に符合する状況下で、銀行は、技術のコンサルティングや援助、その他の類似した形式の援助を提供することができる。
二、上述のサービスを提供する費用が補償できない際には、銀行は、その収益の中から支出できる。
第四章 銀行の資金
第十六条 一般的権限
本協定のその他の条項で明記された権限のほか、銀行は以下の権限を有する。
(一)銀行は、関係法律の規定に基づいてメンバー国またはその他の地方での債権発行、またはその他の方式を通じて資金を調達することができる。
(二)銀行は、発行または担保、投資した証券を売買できる。
(三)証券の販売を推進するため、銀行は、その投資する証券に担保を提供することができる。
(四)銀行は、あらゆる団体または企業が発行し、かつその目的が銀行の主旨と一致する証券の代理発行、または代理発行に参加することができる。
(五)銀行は、その業務の経営上の未使用資金について、投資、または貯蓄することができる。
(六)銀行は、自ら発行し、あるいは担保した各証券面に当該証券がいかなる政府の債務でもないことが記載されていることを確保する。もしも当該証券が特定の政府の債務である場合は、その旨を記載しなければならない。
(七)理事会の通過する信託基金の枠組に基づき、信託基金の目標が銀行の主旨と職務と一致していることを前提に、銀行は、その他の関係者の委託を受け、当該信託基金を設立・管理することができる。
(八)銀行は、理事会による本協定第二十八条の規定に従った特別多数の票決を経た後、銀行の主旨と職務を実現することを目的として、附属機構を設立できる。
(九)本協定の規定に符合することを前提として、銀行は、その主旨と職務のさらなる実現に必要な適切なその他の権限を行使し、これと関連する規定を制定することができる。
第十七条 特別基金
一、銀行は、銀行の主旨と職務と一致する特別基金を受託することができる。このような特別基金は銀行の財源に属する。特別基金のすべての管理コストは当該基金から支出されるものとする。
二、銀行が受託した特別基金の使用原則と条件は、銀行の主旨と職務と一致しかつ当該基金との合意事項に適したものでなければならない。
三、銀行は、各特別基金の設立・管理・使用の必要性に基づき、特別規章を制定しなければならない。当該規章は、本協定において通常業務にのみの適用が明確に規定されている以外のすべての条項と一致するものとする。
四、「特別基金財源」とは、すべての特別基金の財源を指し、次のものを含む。
(一)銀行が受理しかつ特別基金として扱う資金。
(二)銀行の特別基金管理の規章に基づいて、特別基金を用いた融資または担保によって得られた収益、及び株式投資による収益は、当該特別基金に帰属する。
(三)特別基金の運用によって得られるすべての収益
(四)特別基金の使用によって得られる他のすべての資金。
第十八条 純益の分配和と処分
一、理事会は少なくとも毎年、準備金の控除を行った後、銀行の純益の剰余収益またはその他の事項、メンバーに分配できる利潤(適用可能な場合)への分配方針について決定を出す。銀行の純益をその他の用途として分配する方針の決定は、第二十八条の規定に基づいて絶対多数で票決しなければならない。
二、上項における分配は、各メンバーの所有する出資金の割合に比率して行うものとし、支払いの方式と通貨は理事会が決定するものとする。
第十九条 通貨
一、銀行または銀行資金の受託者が決めた受領・保有・使用・譲渡に関する支払通貨について、いかなるメンバーであっても、これに対し制限を加えることができない。
二、本協定に基づいてある通貨をもって他の通貨の価値を評価する際、あるいはある通貨が交換可能であるか否かについて判断をするとき、その決定は銀行がするものとする。
第二十条 銀行の債務返済方式
一、銀行が通常業務に従事する際、その交付・参加・担保に関する融資の返済が延滞または契約違反の事態が起きた場合、あるいはその投資した株式または第十一条第二項第(六)項に従って行ったその他の融資に起因する損失が起こった場合、銀行は、妥当と考える措置を取ることができる。銀行は、発生し得る損失に対応するための適切な準備レベルを保たなければならない。
二、銀行の通常業務によって発生した損失については、
(一)まず、本条第一項の規定に照らして対処し、
(二)次に、純益から支払い、
(三)第三に、準備金と剰余収益から支払い、
(四)第四に、運営されていない払込資本から支払い、
(五)最後に、第六条第三項の規定に照らして催促できる請求払資本から適量を支払う。
第五章 ガバナンス
第二十一条 ガバナンス構造
銀行は、理事会、董事会(以下、取締役会)、一名の総裁、一名または複数人の副総裁、及びその他の必要な高級職員と一般職員を置く。
第二十二条 理事会:構成
一、各メンバーは理事会に自らの代表を持ち、一人の理事と一人の副理事を任命するものとする。それぞれの理事と副理事は、その代表するメンバーの指令を受けるものとする。理事が欠席する場合を除いて、副理事には投票権はない。
二、銀行の年次会合においては、理事会は、一人の理事を選出して主席とし、任期は次の主席選挙までとする。
三、理事と副理事の在職中、銀行は報酬を与えない。だが会議出席によって発生する合理的な支出の支給は行う。
第二十三条 理事会:権限
一、銀行のあらゆる権限は理事会に帰属する。
二、理事会は、その一部または全部の権限を取締役会に委任することができる。以下の権限は除く。
(一)新メンバーの承認、新メンバーの加盟条件の確定。
(二)銀行の授権資本の増額または減額。
(三)メンバー資格の停止。
(四)取締役会が申し出た本協定の解釈または適用に関する裁決。
(五)銀行の代表取締役の選挙、また、第二十五条第六項に基づく、銀行が負担すべき代表取締役員と副取締役員の支出及び報酬(適用可能な場合)の決定。
(六)総裁の選挙、総裁職務の停止または解除、総裁の報酬及びその他の勤務条件の決定。
(七)監査報告審議後の銀行総資産の負債表と損益表の承認。
(八)銀行の準備金及び純益の配置と分配の決定。
(九)本協定の改正。
(十)銀行業務の終了と銀行資産の分配の決定。
(十一)本協定が明確に規定する理事会に属するその他の権限の行使。
三、理事会が本条第二項に照らして取締役会に委託したいかなる事項に対しても、理事会は、執行と決定の最終権限を留保する。
第二十四条 理事会:手続
一、理事会は年次会合を開き、理事会の規定または理事会の要請に従ってその他の会議を招集する。5つの銀行メンバーが会議召集の要請があった場合、取締役会は、理事会の会議招集を要求するものとする。
二、会議に出席した理事が半数を超え、かつその投票権が総投票権数の三分の二以上である場合には、すべての理事会会議の法定人数に到達したものとする。
三、理事会は、規定に従って議事に関する手続を設け、取締役会に対し、理事会会議を招集する必要のない状況下で特定の具体的な問題に対する理事の票決を得る、または特殊な状況下で電子方式を通じて理事会会議を招集する運営を求める。
四、理事会及び取締役会は権限を与えられた範囲内で、銀行の業務展開に対する必要性または妥当性に基づき、附属機構を設立し、関連規則・制度を制定することができる。
第二十五条 取締役会:構成
一、取締役会は、十二人のメンバーで構成されるものとし、取締役会メンバーは理事会メンバーを兼任しないものとする。そのうち、
(一)九人は、域内メンバーを代表する理事が選出する。
(二)三人は、域外メンバーを代表する理事が選出する。
取締役は、経済・金融事務の分野で高い専門能力を持つ人物でなければならず、本協定附属書二に基づいて選挙されるものとする。取締役が代表するメンバーには、この人物を取締役として選んだ理事が属するメンバーと、当該取締役に投票権を委託した理事が属するメンバーが含まれる。
二、理事会は、取締役会の規模と構成を不定期に審議し、第二十八条の規定に従って絶対多数投票の形式で、董事会の規模または構成を適当に調整できるものとする。
三、取締役は、一人の副取締役を任命し、取締役の欠席時に取締役を代表して完全な権限を行使するものとする。理事会は規則を通じて、一定の数以上のメンバーの選挙によって選ばれた董事が二人目の副取締役を任命することを許可する。
四、取締役と副取締役はメンバー国の国民でなければならない。二人以上の取締役が同一の国籍を有してはならず、二人以上の副取締役が同一の国籍を有してもならない。副取締役は、取締役会議に参加できるが、取締役を代表して権限を行使する時に限って投票できるものとする。
五、取締役の任期は二年で、再選されることができる。
(一)取締役の任期は、後任取締役が選出され、その職に就くまで継続されるものとする。
(二)取締役の任期終了前百八十日を超える時に取締役が欠員となった時には、当該取締役を選挙した理事が附属書二に基づいて一人の後任者を選出し、残りの任期を務めるものとする。この選挙は、関連する理事の半数以上の投票権の投票によって表決される。取締役の任期終了前百八十日以下の時に取締役が欠員となった場合は、当該取締役を選挙した理事が上述と同様の方式で一人の後任者を選出する。
(三)取締役の欠員の間は、その副取締役が取締役を代表して副取締役任命以外のすべての権限を行使するものとする。
六、理事会でほかの決定がなされたもの以外は、取締役と副取締役の在任中、銀行は報酬を支払わない。だが銀行は、会議参加で発生する合理的な支出を支払うことができる。
第二十六条 取締役会:権限
取締役会は、銀行の総体業務を指導する責任を持つ。このため、本協定が明確に付与する権限を行使する以外にも、理事会が付与するあらゆる権限を行使する必要もある。特に次の権限を有する。
(一)理事会の準備作業。
(二)銀行の政策の制定。さらにメンバーの総投票権の四分の三以上の多数をもって、銀行の政策に基づき、銀行の主要業務と財務政策を決定し、総裁への権限移譲を決定する。
(三)第十一条第二項で明確化された銀行業務に対する決定。さらにメンバーの総投票権の四分の三の多数をもって、関連する権限の総裁への移譲について決定する。
(四)銀行管理と業務運営活動を日常的に監督し、透明・公開・独立・責任追及の原則に基づき、これを目的とした監督メカニズムを構築する。
(五)銀行の戦略、年度の計画と予算を承認する。
(六)状況に応じて専門委員会を設立する。
(七)各会計年度の監査済み決算書を提出し、理事会の承認を得る。
第二十七条 取締役会:手続
一、取締役会は、銀行業務の必要に基づき、通年にわたって会議を定期的に招集する。取締役会は、理事会が第二十八条の規定に従って絶対多数の票決で別の決定をした場合を除き、非常駐ベースで運営される。取締役会の主席または三人の取締役の要請があれば、取締役会会議を招集するものとする。
二、会議に出席した取締役の人数が半数を超え、その代表する投票権がメンバーの総投票権数の三分の二以上である時には、すべての取締役会会議の法定人数に到達したものとする。
三、理事会は規則を設け、取締役の席を持たないメンバーに対し、同国に特別の影響のある事柄が審議される取締役会に、投票権のない一人の代表を出席させることを許すものとする。
四、取締役会は、議事手続を設け、取締役会が電子方式を通じて会議を招集する、または会議以外の方式で特定の事柄について投票を行うことを許すものとする。
第二十八条 投票
一、各メンバーの投票権総数は、基本投票権、授権資本投票権、創設メンバーの持つ創設メンバー投票権の総和とする。
(一)各メンバーの基本投票権は、全メンバーの基本投票権、授権資本投票権、創設メンバー投票権の総和の十二パーセントを全メンバーに平均して分配したものとする。
(二)各メンバーの授権資本投票権は、当該メンバーの保有する銀行株式数に相当するものとする。
(三)各創設メンバーはいずれも、六百票の創設メンバー投票権を持つものとする。
もしもメンバーが、第六条に従って期限に達した払込株式の金額を支払えない場合は、すべてが返済される前まで、その行使できる投票権は比率に応じて減少するものとする。減少比率は、未払いの金額と当該メンバーの払込授権資本の総額面金額の百分率とする。
二、理事会の投票の際には、各理事は、その代表するメンバーの投票権を行使する権利を持つものとする。
(一)本協定において別に明確な規定があるものを除いて、理事会が討論するすべての事項は、投票権の過半数によって決定されるものとする。
(二)理事会の絶対多数による票決とは、理事人数が理事総人数の三分の二以上で、その代表する投票権がメンバーの総投票権の四分の三以上の多数である票決を指す。
(三)理事会の特別多数による票決とは、理事の人数が理事総人数の半数以上で、その代表する投票権がメンバーの総投票権の半数以上である票決を指す。
三、取締役会における投票の際、各取締役は、取締役を選挙した理事の持つ投票権、及び附属書二に従って投票権を当時に委託した理事の持つ投票権を行使する権利を持つものとする。
(一)複数のメンバーを代表して投票する権利を持つ取締役は、これらのメンバーを代表して別々に投票することができる。
(二)本協定において別段の明確に規定があるものを除いて、取締役会が討論するすべての問題は、投票権の過半数によって票決されるものとする。
第二十九条 総裁
一、理事会は、公開・透明・優秀者選択のプロセスを通じて、第二十八条の規定に従い、絶対多数の票決を経て、銀行総裁を選出する。総裁は、域内メンバー国の国民でなければならない。在任中、総裁は、理事または取締役、副理事、副取締役を兼任してはならない。
二、総裁の任期は五年とし、再選再任は一回のみ可とする。理事会は、第二十八条の規定に従って絶対多数の票決を経て、総裁の職務の停止または解除を決定することができる。
(一)総裁がいずれかの原因によって任期終了前に空席となった場合には、理事会は、一人の代理総裁を任命して総裁の職責を一時的に履行させるか、本条第一項の規定に従って一人の新たな総裁を選出しなければならない。
三、総裁は取締役会主席を務めるが、投票権はなく、賛成・反対の票が同数である時の決定票だけを有する。総裁は理事会会議に参加できるが、投票権はない。
四、総裁は、銀行の法人代表であり、銀行の最高管理者であり、取締役会の指導の下で銀行の日常業務を行う。
第三十条 銀行の高級職員と普通職員
一、取締役会は、公開・透明・優秀者選択のプロセスを通じて、総裁の推薦に基づいて一人または複数の副総裁を任命する。副総裁の任期と行使する権力、銀行管理層における職責は、取締役会が決定する。総裁の欠員または職責の履行不能の際には、一人の副総裁が総裁の権限を行使し、総裁の職責を履行する。
二、取締役会が承認した規則に基づき、総裁は、上述第一項に規定する副総裁の職位を除き、銀行のすべての高級職員と普通職員の組織・任命・解雇の責任を負う。
三、高級職員と普通職員の任命と副総裁の推薦の際には、総裁は、効率を確保され、技術能力が最高標準に達することを重要な前提として、できるだけ広い地域・地理的範囲から人員を招聘することを適切に考慮することとする。
第三十一条 銀行の国際性
一、銀行は、その主旨または職務を損害・制限・歪曲・改変する可能性のある特別基金や貸し付け、援助を受け入れてはならない。
二、銀行及びその総裁、高級職員、普通職員は、いずれのメンバーの政治問題にも干渉してはならず、決定においていずれのメンバーの政治的性格の影響を受けてもならない。決定においては経済的要素のみを考慮する。上述の考慮は中立公平なものでなければならず、銀行の主旨と職務を実現し、実施するためのものでなければならない。
三、銀行の総裁と高級職員、普通職員は在任中、銀行に対してのみ責任を負い、その他のいかなる当局に対しても責任を負わない。銀行の各メンバーは、この職責の国際性を尊重し、上述の人員が職責を履行する時には、これに影響を与えようとしてはならない。
第六章 一般規定
第三十二条 銀行の事務所
一、銀行の本部は、中華人民共和国北京市に置く。
二、銀行は、その他の地方に機構または事務所を設立することができる。
第三十三条 連絡チャンネル:預託機関
一、各メンバーは、相応の公的団体を指定し、銀行が当該団体を通じて本協定下の全の問題についてメンバーと連絡できるようにしなければならない。
二、各メンバーは、その中央銀行またはメンバーと銀行の双方の認可を経たその他の機構 を預託機関として指定し、銀行は、その保有する当該メンバーの通貨資金及び銀行のその他の資産を当該機構に預託することができる。
三、銀行は、取締役会の決定に従ってその資産を上述の預託機関に預託する。
第三十四条 報告と情報
一、銀行の公用語は英語とし、銀行が行うすべて決定、また、本協定第五十四条の規定に基づく解釈は、本協定の英語文書に準ずる。
二、メンバーは、銀行が職務を履行するためにメンバーに対し求める合理的な情報提供に応じなければならない。
三、銀行は、監査を経た決算報告を含む年度報告をそのメンバーに向けて発送し、上述の報告を公表しなければならない。銀行は、四半期ごとにそのメンバーに向けて、銀行の財務状況一覧表と損益計算書を発送し、その業務経営の状況を説明しなければならない。
四、銀行は、情報公開政策を制定し、業務の透明性の向上を進めなければならない。銀行がその主旨と職務を履行するのに有益であると認める状況下で、関連する報告を公表する。
第三十五条 メンバーと国際組織の協力
一、銀行は、あらゆるメンバーと緊密な協力を保持し、本協定の条項範囲内でふさわしいと認める方式で、その他の国際金融機関及び本地区の経済発展または銀行業務分野に参加する国際機構と緊密に協力しなければならない。
二、本協定と一致する主旨を実現するため、取締役会の承認を経て、銀行は、関連組織と協力協定を締結することができる。
第三十六条 呼称
一、本協定において「条項」または「附属書」というものはすべて、ほかの説明があるもの以外は、本協定の条項と附属書を指すものとする。
二、本協定において特定の性別に対する呼称はあらゆる性別にも同等に適用される。
第七章 メンバーの脱退と資格停止
第三十七条 メンバーの脱退
一、いずれのメンバーも書面の形式で銀行本部に通知することでいつでも銀行を脱退できる。
二、通知において明示した期日を基準に脱退は正式に成立し、当該メンバーのメンバー資格は終了する。当該期日は、当該通知を銀行が受け取った日から少なくとも六カ月以降でなければならない。だが脱退が最終的に効力を生じる前まで、当該メンバーはいつでも、書面形式で銀行にその脱退を撤回する意向を通知することができる。
三、脱退手続を履行中のメンバーは、脱退通知を提出した日に銀行に対して負っているすべての直接債務と偶発債務に対して引き続き責任を負うものとする。脱退が最終的に成立した場合、当該メンバーは、銀行が脱退通知を受領した日以降の業務によって生じた債務には責任を負わないものとする。
第三十八条 メンバーの資格停止
一、メンバーが銀行に対する義務を履行しない場合、理事会は、第二十八条の規定に従って絶対多数の票決で、そのメンバー資格を停止できる。
二、停止から満一年後、当該メンバーの銀行メンバー資格は自動的に終了する。理事会がこの一年内に第二十八条の規定に従って絶対多数の票決で当該メンバーのメンバー資格の回復に同意した場合を除く。
三、メンバー資格の停止期間、当該メンバーは、退出権を除いて、本協定が規定するいかなる権利を行使する権利はない。ただし、継続してすべての義務を負う。
第三十九条 勘定の決済
一、メンバー資格の終了後、当該メンバーは銀行に対する直接債務については継続して責任を負い、メンバー資格の終了前に銀行と締結した、融資または担保、株式投資、第十一条第二項第(六)項の規定に従ったその他の融資方式(以下「その他融資」)の契約のうち償還されない部分からなる偶発債務に対して責任を負う。だがメンバー資格の終了後に銀行が展開した融資または担保、株式投資、その他融資に対しては債務責任を負わず、銀行 の収入のシェアまたはその支出の分担も行わない。
二、メンバー資格の終了時、銀行は、本条第三項と第四項の規定に従って、当該国の授権資本の買い戻しの手配を行い、その勘定決済の一部分とする。この場合において、授権資本の買戻価格は、当該国のメンバー資格の終了当日の銀行の帳簿に示された価値とする。
三、銀行は、本条に従って授権資本を買い戻す時、以下の条件に従って実施するものとする。
(一)当該国またはその中央銀行、その機構・団体・行政部門が借入人または担保人、その他の契約者として銀行の株式投資またはその他の融資に対して責任を負っている時には、銀行は、当該国に支払うべき授権資本の買い戻し資金の中から控除し、この種の債務の期限が到来した時には控除金額から補償する権利を持つものとする。だが本協定第六条第三項の規定による授権資本の払込請求によって形成される当該国の偶発負債に対してはいかなる金額も控除されない。授権資本の買い戻しによってメンバーに支払う代金は、いかなる状況においても当該国がメンバー資格を終了した六カ月後になって初めて支払 われるものとする。
(二)本条第二項の規定する授権資本買戻価格で授権資本を買い戻す時、メンバー国に支払われる金額が、本項第(一)項における償還期限の到来した貸し付けや担保、株式投資、その他融資の負債の総額を超える部分に関しては、当該国の相当額の株券を受け取り次第支払うことによって、その支払うべき全額を保障する。
(三)支払いに使用する通貨は、銀行がその財務状況を総合的に考慮して決定する。
(四)メンバー資格の終了日、当該国が依然として保有している銀行への未償還の貸し付けまたは担保、株式投資、その他融資に対しては、銀行が損失を受け、その損失の金額が資格終了当日の銀行が提出した損失准備金の額を超える場合には、銀行の要請に応じて、当該国は、買戻金額を確定した時に上述の損失を考慮した場合に減少すべき買戻金額の部分を払い戻すものとする。このほか当該国は、本協定第六条第三項に従った当該国の請求払株式のうちの未払い部分に対して支払い責任を継続して負うものとする。その支払うべき額は、銀行が授権資本の買戻価格の決定時において生じた資本損失であり、すべてのメンバーに未払込株式の支払いを要求した状況時と同額のものとする。
四、いずれかの国家のメンバー資格終了後の六カ月以内において、銀行が本協定第四十一条に従って当該国との業務を終了した場合は、当該国の一切の権利は、本協定第四十一条から第四十三条までに掲げた事項に制限される。上述の規定については、当該国はメンバーとみなされるが、投票権はない。
第八章 銀行業務の停止と終了
第四十条 業務の一時停止
緊急の状況下、理事会が具体的な判断、行動を取るまで、取締役会は、新規の貸し付けや担保、株式投資、第十一条第二項第(六)項に従って展開されるその他の形式の融資業務を一次停止することができる。
第四十一条 業務の終了
一、第二十八条の規定に従って、理事会の絶対多数での票決を経て、銀行は、銀行業務を終了することができる。
二、業務の終了後、資産の秩序ある換価と保護、保存及び債務の償還にかかわる活動を除いて、銀行は直ちにすべての活動を停止する。
第四十二条 メンバーの債務と債権支払
一、銀行の業務終了後、すべてのメンバーは、銀行の請求払資本の払込責任及びメンバーの通貨の値下がりによって生まれた債務を継続して負うものとする。偶発債券を含む債権者のすべての債権が完全に償還されるまでこれは続くものとする。
二、直接債権を保有するすべての債権者は、まずは銀行資産中から償還を得なければならない。その後、銀行から代金を受領するか、未払及び請求払資本金から支払う。直接債権を保有する債権者に対していずれかの返済をする前に、取締役会は、自身の判断に従って必要な手配を行い、すべての直接債権と偶発債権の保有者が比率に従って償還を確保する。
第四十三条 資産の分配
一、各メンバーが所有する授権資本の割合に基づく資産の配分は、
(一)債権者のすべての負債に対する償還が完了し、または手配が整った後でなければならず、
(二)理事会が第二十八条の規定に従って絶対多数の議決を経て、上述の分配の実施を決定したものでなければならない。
二、銀行のメンバーへの資産の分配は、各メンバーの保有する資本に比例して、銀行が公正平等と認める時間と条件の下で行われるものとする。各種の資産の種類について分配の比率が一致している必要はない。いかなるメンバーも、銀行に対するすべての債務を決済するまでは、資産の分配を獲得する権利はないものとする。
三、いずれかのメンバーが本条に従って資産の分配を獲得した時には、その分配された資産に対して持つ権利は、分配前に銀行がその資産に対して持っていた権利と同等なものとする。
第九章 法的地位、免除権、特権及び免税権
第四十四条 本章の目的
一、銀行がその主旨を有効に実現し、その職務を履行できるようにするため、銀行は、各メンバーの領域において本章が規定する法的地位、外交的保護権、特権及び免税権を持つものとする。
二、各メンバーは、本章の各項の規定をその領域で実施するための必要な行動を迅速に取り、すでに取った行動を銀行に通知しなければならない。
第四十五条 銀行の法的地位
銀行は、完全な法人格を持ち、特に、以下の完全な法的能力を備える。
(一)契約の締結。
(二)動産と不動産の取得と処分。
(三)法的訴訟の提起と対応。
(四)主旨の実現と活動の展開のために取るその他の必要または有用な行動。
第四十六条 司法手続の免除
一、銀行は、あらゆる形式の法的手続の免除を受ける。但し、銀行が資金調達のために借款その他の形式を通じて行使した資金調達権や債務担保権、債券の売買・受託販売権によって起こった案件、または銀行のこれらの権力の行使にかかわる案件について、銀行は司法手続免除権を享有しない。この種の案件については、銀行が事務所を設けている国家の領域内、または訴訟の召喚状または通知を受け取る専門の代理人を銀行が任命している国 家の領域内、債券の発行または担保がすでに行われている国家の領域内では、十分な管轄権を持つ主管の裁判所にて銀行に対する訴訟を提起することができる。
二、本条第一項の各規定に依らず、いかなるメンバーも、メンバーのいかなる代理機構または執行機構も、メンバーまたはメンバーの機構・部門を直接的または間接的に代表するいかなる団体または個人も、メンバーまたはメンバーの機構・部門から直接的または間接的に債権を獲得する団体または個人も、銀行に対して訴訟を提起することはできない。メンバーは、本協定、銀行の細則及び各種の規則、または銀行と締結した契約において規定される可能性のある特別手続を取り、銀行とメンバーの間の紛争を解決するものとする。
三、銀行の財産と資産は、いかなる国・地域にあって、いかなる者が保有していても、銀行に対する最終的な裁決が出るまでは、いかなる形式においても没収または差し押さえ、強制執行はできないものとする。
第四十七条 資産と記録の免除
一、銀行の財産と資産は、いかなる国・地域にあり、いかなる者に保有されている場合も、いかなる行政または司法の捜査、徴発、収用、没収、その他あらゆる形式の占用または請け戻し禁止を免れるものとする。
二、銀行の記録及び銀行に所属または銀行が保有するすべての文書は、いかなる土地にあり、いかなる者に保有されている場合も、不可侵とする。
第四十八条 資産の制限からの自由
銀行の主旨と職務を有効に実施するのに必要な範囲内で、本協定の規定に従う状況下において、銀行のあらゆる財産と資産は、いかなる性質の制限、管理、規制、モラトリアムの制限を受けない。
第四十九条 通信特権
メンバーが銀行に与える公式な通信待遇は、その他のメンバーに与える公式な通信待遇と同等のものでなければならない。
第五十条 銀行の高級職員と普通職員の免責と特権
銀行のすべての理事、取締役、副理事、副取締役、総裁、副総裁及び高級職員、普通職員(銀行のために職務を履行するまたはサービスを提供する専門家と顧問を含む)は、以下の免責と特権を享有する。
(一)公務資格で従事する行為については法的手続が免除される。銀行がこの免責特権を自ら放棄した場合を除き、その保有する公的文書や書類、記録は不可侵とする。
(二)所在国の公民または国民でない場合は、該当国による入境制限や外国人登録要求、国民服役義務などからの免除権を持ち、外貨政策上の待遇において、当該メンバーがその他のメンバーの同等ランクの代表や公務員、職員に与えるのと同様の便宜を与えられる。
(三)出張中に与えられる諸便宜は、当該メンバーがその他メンバーの同等ランクの代表や公務員、職員に与える待遇と同等なものとする。
第五十一条 課税の免除
一、銀行が銀行及び本協定に基づいて保有する資産、財産、収益、業務、取引については、すべての税と関税が免除される。また銀行は、いかなる税と関税の納付、代理徴収・納付等に関する義務から免除される。
二、銀行が取締役、副取締役、総裁、副総裁及びその他の高級職員と普通職員(銀行のために職務を履行するまたはサービスを提供する専門家と顧問を含む)に支払う給与や報酬、費用には課税をしない。メンバーが批准書または受諾書、承認書を提出し、当該メンバー及びその行政部門が、当該メンバーの公民または国民に銀行が支払う給与と報酬に課税の権利を留保することを宣言した場合を除く。
三、銀行が発行するあらゆる債券または証券(これに関する配当と利子を含む)に対しては、いかなる者が保有していても、以下のような理由において、いかなる種類の課税措置をとってはならない。
(一)この種の債券または証券が、銀行が発行したものであることだけを理由に差別する場合。または、
(二)この債券または証券の発行または換金、支払の地点または使用する通貨の種類、または銀行の事務所または業務展開拠点の立地だけを理由に課税管轄権を行使する場合。
四、銀行の担保するあらゆる債券または証券(関連する配当と利子を含む)に対しては、いかなる者が保有している場合でも、以下を理由としていかなる種類の課税もしてはならない。
(一)この種の債券または証券が、銀行が担保したものであることだけを理由として差別する場合。または、
(二)銀行の事務所設立または業務展開の地点だけを課税管轄権行使の唯一の根拠として課税する場合。
第五十二条 免除の放棄
一、銀行は、いかなる状況または事例においても、自らの決定をもって、銀行に最も有利と考える方式と条件で、本章が銀行に付与している特権、免責及び免税に関する権利を放棄することができる。
第十章 改正、解釈及び仲裁
第五十三条 改正
一、本協定は、理事会が第二十八条の規定に従って絶対多数で議決した時のみ改正できる。
二、本条第一項の規定があるものの、以下の各項の改正は、理事会が全会一致で認めた時のみ行うことができる。
(一)銀行脱退の権利。
(二)第七条第三項と第四項が規定する負債に対する各種の制限。及び
(三)第五条第四項の規定する授権資本の買い入れに関する各項の権利。
三、本協定に関するあらゆる改正の提案は、メンバーまたは取締役会のいずれによって提出されたものでも、理事会主席に送付され、これを通じて理事会に提出されなければならない。関連する修正が採択された場合は、銀行は、正式な書信の形式ですべてのメンバーに通知しなければならない。当該修正は、正式な書信が出されて三カ月後にすべてのメンバーに対して効力を生じるものとする。理事会が正式書信の中でほかの規定を設けた場合 は、この限りではない。
第五十四条 解釈
一、メンバーと銀行の間、またはメンバーの間で、本協定の規定を解釈または実施に関する疑義が生じた場合、取締役会に提出し審議を経る。取締役会の審議する問題が特定のメンバーと特殊な関係があり、取締役会に当該メンバー国籍の取締役員がいない場合は、当該メンバーは代表を派遣して取締役員会議に直接参加する権利を持つが、この代表は、投票権は持たない。この代表の権利については、取締役会の規定をもって定める。
二、取締役会が本条第一項の下で決定を行った後、いずれかのメンバーが理事会に異議を申出た場合、理事会が最終的な裁決を行う。理事会が裁決するまでは、銀行が必要であると認める時は、取締役会の決定に基づいて行動することができる。
第五十五条 仲裁
銀行とすでにメンバー資格を終了した国家の間、または銀行が銀行業務終了を決議した後に銀行とメンバーの間で不一致が発生した場合は、三人の仲裁員からなる裁判所に付託して仲裁するものとする。仲裁員のうち一人は銀行が任命し、一人は事案にかかわる国家が任命し、第三の仲裁員は、双方が特別な協定を結んでいる場合を除き、国際司法裁判所裁判長または銀行理事会の採択した規則で定めたその他の部署が指定する者とする。仲裁員は過半数で決定し、この仲裁決定は最終的な裁決とし、双方に対していずれも拘束力を有する。双方が仲裁手続に異議がある場合、第三人目の仲裁員がすべての手続問題を処理する権限を持つ。
第五十六条 みなし同意
本協定第五十三条第二項において挙げられた状況を除き、銀行が行動前にいずれかのメンバーの同意を得なければならない場合は、提案された行動を当該メンバーに通知しなければならない。当該メンバーが銀行の通知において規定された合理的な時間内に反対意見を提出しない場合は、当該メンバーの同意をすでに得たものとみなす。
第十一章 最終条項
第五十七条 署名と保存
一、本協定は、中華人民共和国政府(以下「保存人」)が保存する。本協定附属書一において列挙された各国政府は、二〇一五年十二月三十一日までに署名を完了するものとする。
二、保存人は、本協定の原本と相違ないものと認証された謄本を、すべての署名者及びその他の銀行メンバーとなった国家に送付するものとする。
第五十八条 批准、受諾または承認
一、本協定は、署名者の批准、受諾または承認を経なければならない。批准書、受諾書または承認書は、二〇一六年十二月三十一日までに保存人に寄託されなければならない。また、必要であれば、理事会が本協定第二十八条の規定に基づき特別多数で票決した遅い期日までに保存人に寄託するものとする。保存人は、各寄託と寄託日をその他の署名者にすみやかに通知するものとする。
二、本協定が発効する前に批准書、受諾書または承認書を寄託した署名者は、協定が発効した日に銀行メンバーとなる。本条第一項の規定を履行したその他の署名者は、批准書、受諾書または承認書の寄託日から銀行メンバーとなる。
第五十九条 発効
少なくとも十の署名者が批准書、受諾書または承認書を寄託し、本協定附属書一に掲げる署名者の当初の出資金の総額が出資金総額の五十パーセント以上である時、本協定は効力を生ずる。
第六十条 初回会議と開業
一、本協定の発効後、各メンバーは一人の理事を任命し、保存人はただちに初回の理事会会議を招集するものとする。
二、初回会議において理事会は次のことを行うものとする。
(一)総裁の選挙。
(二)本協定第二十五条第一項の規定に基づいて銀行董事を選出する。メンバーの数とまだメンバーとなっていない署名者の数を考慮し、理事会は、最初の二年以内は董事の選挙数を少なくする決定を行うことができる。
(三)銀行の開業日の手配を行う。及び、
(四)銀行の開業準備のためのその他の必要な手配を行う。
三、銀行は、開業日を各メンバーに通知するものとする。
本協定は、二〇一五年六月二十九日、中華人民共和国北京において署名された。原本は一通とし、保存人に寄託される。原文は英語と中国語、フランス語で作成され、同等の権威を持つものとする。
附属書一:
第五十八条に従って銀行メンバーになる国家の授権資本の当初出資額
国名 | 株式数 | 出資金 (百万ドル) |
第一部分:域内メンバー | ||
オーストラリア | 36,912 | 3,691.2 |
アゼルバイジャン | 2,541 | 254.1 |
゙ングラデシュ | 6,605 | 660.5 |
ブルネイ | 524 | 52.4 |
カンボジア | 623 | 62.3 |
中国 | 297,804 | 29,780.4 |
ジョージア | 539 | 53.9 |
インド | 83,673 | 8,367.3 |
インドネシア | 33,607 | 3,360.7 |
イラン | 15,808 | 1,580.8 |
イスラエル | 7,499 | 749.9 |
ヨルダン | 1,192 | 119.2 |
カザフスタン | 7,293 | 729.3 |
韓国 | 37,388 | 3,738.8 |
クウェート | 5,360 | 536.0 |
キルギス | 268 | 26.8 |
ラオス | 430 | 43.0 |
マレーシア | 1,095 | 109.5 |
モルディブ | 72 | 7.2 |
モンゴル | 411 | 41.1 |
ミャンマー | 2,645 | 264.5 |
ネパール | 809 | 80.9 |
ニュージーランド | 4,615 | 461.5 |
オマーン | 2,592 | 259.2 |
パキスタン | 10,341 | 1,034.1 |
フィリピン | 9,791 | 979.1 |
カタール | 6,044 | 604.4 |
ロシア | 65,362 | 6,536.2 |
サウジアラビア | 25,446 | 2,544.6 |
シンガポール | 2,500 | 250.0 |
スリランカ | 2,690 | 269.0 |
タジキスタン | 309 | 30.9 |
タイ | 14,275 | 1,427.5 |
トルコ | 26,099 | 2,609.9 |
アラブ首長国連邦 | 11,857 | 1,185.7 |
ウズベキスタン | 2,198 | 219.8 |
ベトナム | 6,633 | 663.3 |
未分配株式 | 16,150 | 1,615.0 |
合計 | 750,000 | 75,000.0 |
第二部分:域外メンバー | ||
オーストリア | 5,008 | 500.8 |
ブラジル | 31,810 | 3,181.0 |
デンマーク | 3,695 | 369.5 |
エジプト | 6,505 | 650.5 |
フィンランド | 3,103 | 310.3 |
フランス | 33,756 | 3,375.6 |
ドイツ | 44,842 | 4,484.2 |
アイスランド | 176 | 17.6 |
イタリア | 25,718 | 2,571.8 |
ルクセンブルク | 697 | 69.7 |
マルタ | 136 | 13.6 |
オランダ | 10,313 | 1,031.3 |
ノルウェー | 5,506 | 550.6 |
ポーランド | 8,318 | 831.8 |
ポルトガル | 650 | 65.0 |
南アフリカ共和国 | 5,905 | 590.5 |
スペイン | 17,615 | 1,761.5 |
スウェーデン | 6,300 | 630.0 |
スイス | 7,064 | 706.4 |
英国 | 30,547 | 3,054.7 |
未分配株式 | 2,336 | 233.6 |
合計 | 250,000 | 25,000.0 |
総計 | 1,000,000 | 100,000.0 |
附属書二:
董事の選挙
理事会は、以下の規定に従って取締役会の選挙規則を制定するものとする。
一、選挙区:各選挙区の董事は一つまたは複数のメンバーを代表するものとする。各選挙区の投票権の総数は、当該選挙区の董事が本協定第二十八条第三項の規定に従って有するすべての投票権を含むものとする。
二、選挙区の投票権:理事会は選挙ごとに、域内の理事によって選出される取締役員(域内取締役員)が代表する域内選挙区に選挙区の投票権の最低百分率を設定し、域外理事によって選出される董事(域外董事)が代表する域外選挙区に選挙区の投票権の最低百分率を設定するものとする。
(一)域内取締役員の当選のための最低百分率は、その有する投票権が、域内メンバーを代表して投票に参加する理事(域内理事)の投票権総数に占める一定の百分率とする。域内取締役員の当選における当初の最低百分率は六パーセントとする。
(二)域外取締役員の当選のための最低百分率は、その有する投票権が、域外メンバーを代表して投票に参加する理事(域外理事)の投票権総数に占める一定の百分率とする。域外取締役員の当選における当初の最低百分率は十五パーセントとする。
三、百分率の調整:下述の第七段の規定に従って複数可の投票を行う必要がある場合、異なる選挙区の投票権を調整するため、理事会は毎回の選挙時、域内董事と域外董事にそれぞれ当選の調整百分率を設定するものとする。それぞれの調整百分率は、それに対応する 最低百分率を上回るものとする。
(一)域内取締役員の調整百分率は、その有する投票権が域内理事の投票権総数に占める一定の百分率とする。域内取締役員の当選の当初の調整百分率は十五パーセントとする。
(二)域外取締役員の調整百分率は、その有する投票権が域外理事の投票権総数に占める一定の百分率とする。域外董事の当選の当初の調整百分率は六十パーセントとする。
四、候補者数:毎回の選挙時、理事会は、本協定第二十五条第二項の決定する取締役会の規模と組成に従い、域内取締役員と域外取締役員の数を確定する。
(一)域内取締役員の当初の人数は九人とする。
(二)域外取締役員の当初の人数は三人とする。
五、指名:各理事は一人だけ指名できる。域内取締役員の候補者は域内理事が指名し、域外取締役員の候補者は域外理事が指名する。
六、投票:本協定第二十八条第一項の規定に従って、各理事は、その代表するメンバーの全部の投票権を一人の候補者に与えるものとする。域内取締役員は域内理事が投票により選出する。域外取締役員は域外理事が投票により選出する。
七、第一回投票:第一回投票では、得票が最多で取締役員選挙の票数要求に到達した候補者を取締役員として選出する。このため候補者の得票数は相応する最低百分率の要求に到達するものとする。
(一)もしも第一回投票において、規定数の取締役員が選出されず、候補者数が選出取締役員の数と等しい時は、理事会は、後続の行動について決定し、域内取締役員または域外取締役員の選挙の状況を見て遂行するものとする。
八、後続投票:もしも第一回投票で規定の数の取締役員が選出されず、候補者の数が選出される取締役員の数よりも多い場合は、必要な投票を継続するものとする。後続の投票の規則は次のようにする。
(一)前回の投票で得票が最も少なかった候補者は、次の投票には参加しない。
(二)投票できるのは、(1)前回の投票において、票を投じた候補者が当選しなかった理事、(2)票を投じた候補者が当選したが、下述の第(三)点に従って、その投票数によって当選者の得票数が適用される調整百分率をこえることとなったとみなされる理事のみとする。
(三)票数の多い順に各候補者が得た理事の票数を、適用される調整百分率に達するまで加算する。投票権の加算に入った理事は、そのすべての投票権を当該取締役員に投じたものとみなされる。その投票によって当該候補者の得票総数が調整百分率を超えた理事を含む。この投票権の加算に入らなかった理事は、候補者の得票数をして調整百分率を超えさせたものとみなされ、これらの理事の投票権は当該候補者の投票としては計上されない。これらの理事は、次の選挙で投票できる。
(四)もしも次の投票で、選出されていない取締役員が一人だけとなった場合は、すべての残余の票数を使って過半数の方式で選挙ができる。これらの残余の票数は、最後に選出される取締役員に完全に投じられるものとみなされる。
九、委託投票:選挙の投票に参加していない理事、または当選取締役員の得票数にその投票が計上されなかった理事は、当選取締役員を選出したすべての理事の同意を得た後、その投票権を当該取締役員に委託できる。
十、創設メンバー特権:理事が取締役員を指名し投票を実施する時、また取締役員が副取締役員を任命する時は、以下の原則を尊重する。すなわち各創設メンバーは、その選挙区内で取締役員または副取締役員を担当、または交代で担当する権限を永久的に持つものと する。