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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「一帯一路」国際協力サミットの成果 楊潔チ国務委員にインタビュー

[場所] 釣魚台国賓館
[年月日] 2017年5月17日
[出典] 中華人民共和国駐日本大使館
[備考] 
[全文]

楊潔チ(竹かんむり+褫のつくり)国務委員は5月17日、釣魚台国賓館でメディアのインタビューに応じ、「一帯一路」国際協力サミットフォーラムの成果について説明した。一問一答次の通り。

一、問:5月14、15の両日、北京で「一帯一路」国際協力サミットフォーラムが成功裏に開催され、国際社会はこれを高く評価している。今フォーラムの重要な意義をどう見ておられるだろうか。サミットフォーラムまで後100日を機にインタビューに応じた際、中国側のサミットフォーラム主催の意図と会議の目標を説明されたが、今フォーラムは所期の目標を達成したとお考えだろうか。

答:「一帯一路」国際協力サミットフォーラムは閉幕したばかりだが、各方面の反響は大きい。今回のサミットフォーラムは「一帯一路」の枠組み下の最高ランクの国際活動で、また建国後中国が提唱し主催したものとしてはレベルが最も高く規模が最も大きい多国間外交活動であり、今年最も重要なホーム外交だった。今フォーラムは世界経済の発展、中国自身の発展と「一帯一路」建設がいずれも大事な段階にある中で開かれた。外部に対し各方面が力を合わせて「一帯一路」の国際協力を推進し、手を携えて人類の運命共同体を築く積極的なシグナルを発しており、世界にとっても中国にとっても非常に重要な意義がある。

習近平主席が2013年秋に「一帯一路」の重大なイニシアチブを打ち出した。この4年間、「一帯一路」は計画から実践に向かい、ビジョンから行動に変わり、その進展と成果は予想を越えた。友達の輪はますます広く、協力パートナーはますます多く、各方面の要求もますます多様になった。そしてみんなの協力をサポートする意思疎通と交流のプラットホームが必要になっていた。

このような背景下に中国がサミットフォーラムを主催したのは、時宜に適っていたと言える。今フォーラムの際立った特色は参加者が多く、代表性が高かったことだ。29カ国の国家元首、政府首脳が出席し、130余カ国と70余の国際機構の1500人余りが参加し、5大陸の各大地域をカバーしていた。

この数日間、私と私の同僚は習近平主席に同行してサミットフォーラムの開幕式、円卓サミット、二国間会見などの諸活動に参加し、多くの重要な歴史的瞬間を見届けた。われわれは国際社会の「一帯一路」賛同・支持・参加の熱意がますます高まり、コンセンサスが広がっていることを痛感した。より重要なのは、出席した指導者と各界の代表がみな「一帯一路」建設に明るい見通しをもち、「一帯一路」を契機に、サミットフォーラムをプラットホームに、チャレンジ〈課題〉に対応するプランをみつけ、共に発展するための原動力を結集し、着実な協力を進めることを希望していたことだ。

中国がサミットフォーラムを主催した目的は、コンセンサスを一段と結集し、発展戦略のドッキング〈結合〉を強化し、パートナーシップを深化させ、国際協力を推進し、互恵・ウィンウィンを実現することにほかならない。いま、われわれは所期の目標を首尾よく実現したと言える。各方面の反響をみると、みんなが達成感をもち、行ったかいがあったと感じ、またこれはウィンウィンを実現できる事業であると考えている。

今フォーラムの大成功は、習近平同志を中核とする党中央の強力な指導下に得られたもので、各省庁・各地方の共同の努力も欠かせなかった。関係各省庁と北京市など関係各地方は準備作業のために重要な貢献をした。フォーラムに参加した各方面の代表も強力な支持と協力を寄せた。今回のサミットフォーラムの成功はすべての皆さんの血と汗の結晶である。

二、問:今回のサミットフォーラムは実り多かったが、成果がどの方面に現れているか説明していただけないだろうか。中国は「一帯一路」の提唱国、フォーラムの主催国として、どのような重要な措置を打ち出したのか。

答:今回のサミットフォーラムは実り多かったと言え、多くのハイライト〈注目点〉がある。概括すれば、主に以下のいくつかの面に現れている。

第一に今後の「一帯一路」協力の方向を一段と明確にした。習近平主席はサミットフォーラムで重要演説を行い、共に協議、建設、享受する方針をしっかり堅持し、政策コミュニケーション、〈交通・通信などの〉施設の相互接続〈コネクティビティー連結性〉、貿易の円滑化、資金の融通、民心の通い合いを共同の努力目標にし、「一帯一路」を平和、繁栄、開放、革新〈イノベーション〉、文明の道に築き上げなければならないと指摘した。各国の指導者は一様に、習主席の演説に前向きの反応を示した。円卓サミット〈会議〉の共同コミュニケも、これらの理念を盛り込み、幅広い国際的コンセンサスを十分に体現した。

第二に「一帯一路」建設の具体的工程表〈ロードマップ〉を作成した。サミットフォーラム期間中、中国は参加各国・国際機構と全面的な政策ドッキングを進め、数十の協力文書に調印し、今後しばらくの重点分野を決め、道筋を立てた。「一帯一路」の壮大な青写真ははっきりとみえる工程表に変わりつつある。習近平主席が円卓サミットで述べたように、中国が各国および地域機構と進めた発展計画のドッキング調整は、「1足す1が2より大きくなる」効果を生むだろう。

第三に「一帯一路」で実施される一群の重点プロジェクトを決めた。サミットフォーラムというプラットホームを通じて、各国間で計5大分類、76大項目、270余項目のずっしりと重い成果リストが作られた。その中には長々とした協力プロジェクトリストが含まれている。これは「一帯一路」協力の分野がますます広くなり、協力度が深まっていることを示すものだ。

これと同時に、中国は「一帯一路」の提唱国、フォーラムの主催国として、政策や発展戦略のドッキング、経済回廊の建設推進、大型プロジェクトの協力強化、資金支援強化などの面で多くの新しい措置を打ち出し、「一帯一路」共同建設への覚悟と決意を現した。習近平主席は▽シルクロード基金の資金を1000億元追加する▽金融機関の人民元海外ファンド業務を奨励し、約3000億元の規模を見込む――などを発表した。これらの資金は企業を主体に、市場ベースを貫いて、「一帯一路」建設により確実な投融資を提供するだろう。

三、問:今フォーラム期間中、各方面は「一帯一路」がとっている共に協議し建設し享受する原則を高く評価した。今フォーラムはどのような面で「三共」の原則および「一帯一路」の国際公共財としての属性を体現しただろうか、次の段階で「一帯一路」国際協力の重点はどのような面になるとお考えだろうか。

答:共に協議し建設し享受するというのは「一帯一路」国際協力の核心理念で、「一帯一路」を推進する各国の重要なコンセンサスでもあり、国連決議、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳宣言などの重要文書にも盛り込まれている。今回の指導者円卓サミット共同コミュニケは再度この原則を確認した。

われわれは会議運営の過程でも、この原則にのっとり、私心を持たず、私利を図らず、「共に協議」する態度、「共に建設」する決意、「共に享受」する誠意を会議運営の各方面で貫いた。

会議の進め方では、開放・包摂、民主・透明の姿勢を貫き、国際慣行を参考にし、各方面の意見と要求を幅広く聞くとともに、革新を進め、特色を出し、開幕式、円卓サミット、ハイレベル会議三位一体の形式を定めて、各方面に十分な参加の機会が得られるようにした。

議題の設定では、各方面の意見・提案を聴取し、シンクタンク、メディア、社会各界のサミットフォーラムに対する期待・要求を取り入れた。フォーラムの中心議題は世界経済における共通性のある課題をめぐるもので、各国が広く関心を寄せる問題をつかんだと言え、参加各国の代表の共感を呼んだ。

会議の成果では、共同コミュニケに各国のコンセンサスが集中的に体現された。われわれは円卓サミットに出席した国をコミュニケの準備作業に参画させ、協議を重ねて、各国の最大のコンセンサスが示されるようにした。成果リストは実務協力で得られたアーリーハーベストを集中的に体現しており、リスト上のどの成果も共同協議・建設の結晶で、各国人民に共有されるとみられ、「一帯一路」建設の潜在力と将来性を示した。

「一帯一路」建設の次の段階の協力の方向については、習近平主席がすでに全面的な説明をしている。つまり「一帯一路」を平和の道、繁栄の道、開放の道、革新の道、文明の道に建設するのだ。われわれは協力・ウィンウィンを核心とする新しい型の国際関係を築き、対決せず対話をし、同盟を結ばず仲間になるパートナー関係を結ぶ。発展という根本的問題に焦点を当て、着実に経済回廊建設を進め、相互接続と産業協力を深化させ、金融保障〈支援〉システムをより完全にする。開放的協力プラットホームを造り、開放、包摂、包括〈あまねく広がる〉、均衡、ウィンウィンに基づく経済グローバル化を進める。革新駆動型発展とグリーン発展を堅持し、重層的な人文〈人と文化〉協力の仕組みをつくり、より多くの民生プロジェクトを進め、社会の包摂的発展を促す。

この方向に沿って進めば、みんなの共同の努力によって、「一帯一路」のすばらしいビジョンは必ず実現できると信ずる。

四、問:今フォーラムは「一帯一路」の枠組み下で初めて開かれた最高ランクのフォーラムで、多くの出席者はこれを大変よい国際協力プラットホームだとして、サミットフォーラムの常態化、今後の定期開催を提案した。中国はこれをどう考えているだろうか。

答:サミットフォーラムの成功を受けて、これに出席した多くの国の指導者と各界の代表がフォーラムの定期開催を希望した。実際、習近平主席が2013年に「一帯一路」構想を提起した後、世界でたえず似たような考えを出す人がいた。いくつかの国の指導者や高官は、政策協調と発展戦略のドッキングをより強めるために協力プラットホームが必要だと何度も中国側に提案した。企業、金融機関、シンクタンクも、一層高い効率でドッキングを進め、政策の合力と行動の合力を結集するため、こうした願望を表明した。

習近平主席は、「一帯一路」は各国の共同事業で、中国だけのものではない、フォーラム活動を定期的に開催するかどうかも、共に協議・建設・享有する原則に従って、各国の意見を幅広く聞くべきだと何度も述べている。フォーラム期間中、多くの国の指導者と出席者は中国側に、引き続きフォーラムを開催し、サミットフォーラムを制度化して、より多くの国が「一帯一路」建設に参加するためのチャンスとプラットホームを提供するよう提案した。こうしたことに鑑み、習近平主席は円卓サミット閉幕式で、2019年に第2回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムを開催すると発表した。そこで、われわれは関係各国と共に、準備作業に取り組み、サミットフォーラムをますますよく運営していく。

五、問:「一帯一路」構想提起後、国内の各省庁、各地方、社会各界はこれに積極的に応えた。今フォーラムの開催中、中国の関係省庁、金融機関、企業は積極的に参加し、外国側と多くの協力取り決めに調印し、多くの協力プロジェクトをドッキングさせた。中国の発展、改革・開放深化に対する今フォーラムの促進作用をどう見るべきだとお考えだろうか。

答:「一帯一路」構想の提起後、国内の各省庁、各地方は革新、協調、グリーン、開放、共有の理念を積極的に実行し、進んで対外開放の水準を引き上げ、多くの実際的な政策措置を打ち出した。企業、金融機関は「一帯一路」沿線国と積極的にドッキングを進め、一群の大型プロジェクトを誕生させ、沿線各国の民衆に幸せをもたらした。シンクタンク、メディアは「一帯一路」のために提言・献策し、貴重な知恵を出した。各戦線の活動が互いに力となって、「一帯一路」建設の強大な原動力を作り上げ、国内の発展と全方位の改革・開放にも新たなエネルギーを与えた。

もっと重要なのは、「一帯一路」建設が長江経済ベルト、京津冀〈北京・天津・河北〉協同発展など地域発展戦略と密接に結合し、沿海開放、東北振興、中部台頭、国境沿い開発・開放と連動して、全方位的開放の枠組みと東・中・西部の連動した発展というすばらしい局面を作り上げていることだ。

今フォーラム期間中、中国の関係省庁、地方政府、金融機関、企業、専門家・学者など各界の代表が奮って参加し、進んで外国側と政策ドッキング、プロジェクトドッキング、行動ドッキングを進め、多くの活動を組織し、多くの取り決めに調印し、また志を同じくする多くの友人を得た。

「一帯一路」建設が全面的実務協力の新段階に入るのに伴って、国内の各界が幅広く深く参加し、中国の発展と世界の発展に重要な貢献をするものと信ずる。

六、問:第18回党大会以降、中国のホーム外交とりわけ経済外交のハイライトが続いている。2014年、中国はAPEC非公式首脳会議を主催した。2016年にG20杭州サミットを主催した後、また「一帯一路」国際協力サミットフォーラムを主催した。このことは中国のホーム外交が一層主動的になることを意味していないだろうか、中国がグローバル経済ガバナンスの分野でより大きい役割を果たすことを意味していないだろうか。

答:ホーム外交は第18回党大会以降の中国外交の一大ハイライトで、われわれはAPEC首脳の北京会議とG20首脳の杭州サミットを相次いで開催し、今年また「一帯一路」国際協力サミットフォーラムを開いた。確かに「好戯連台」〈大きな会議が目白押し〉と言える。

中国外交のこうした前向きの変化の背後にあるのは何かと言われれば、私はやはり主に中国と世界の相互作用〈インタラクション〉関係に一層前向きの変化が生じていることだと思う。われわれは一貫して、大国小国の一律平等を主張しているが、同時に大国としては、世界平和を守り、共同の発展を促すためにより大きい役割を果たし、より大きく貢献すべきである。これはまさに中国の真の願いであり、実際の行動である。

目下世界経済の成長力が乏しい状況で、中国はずっと積極的に世界経済の活路を探し続けている。われわれが協力・ウィンウィンの理念を強力に実行し、グローバルなパートナーシップのネットワークづくりを働きかけ、開放、革新、連動型の世界経済の構築に力を入れているのは、中国の発展のためのよりよい環境を整え、世界の発展により大きな貢献をし、各国と共に努力して人類の運命共同体を築くためにほかならない。