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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 天然痘豫防規則(天然痘予防規則)

[場所] 
[年月日] 1876年5月18日
[出典] 內務省(内務省)
[備考] Web上で表記ができない踊り字はカタカナで表記
[全文] 

內務省甲第十六號[明治九年五月十八日]天然痘預防規則別紙之通相定候條其方法細目並ニ右ニ關スル資用收集支給等ノ儀ハ各地方ノ便宜ニ從ヒ精々普及候樣可取計此旨布達候事

第一條

小兒初生七十日ヨリ滿一年迄ノ間ニ必ス種痘スヘシ若シ事故アリテ此期ニ後ルヽモノハ其次第ヲ醫務取締若クハ區戶長ニ届クヘシ

 但初種ノ後五年或ハ七年ニ再三種ヲ試ムヘシ

第二條

種痘シタル者ハ必ス其種痘醫ヨリ種痘濟ノ証書ヲ請ケ取リ置クヘシ

 但天然痘變痘ニ感シタルモノモ本文ニ準シテ醫師ノ証書ヲ請ケ取リ置クヘシ

第三條

醫務取締若シクハ區戶長ハ初種ノモノ再三種ノモノ及ヒ事故アリテ種痘スルヿ能ハサルモノ等夫々檢査シ地方廳ニ届ケ出ツヘシ

第四條

地方廳ニ於テハ醫務取締若シクハ區戶長ノ届書ヲ以テ半ケ年分ツヽ取纏メ每年三月九月內務省ニ出ス可シ

第五條

送籍ノ時ハ必ス第二條ニ揭クル醫師ノ証書ヲ所持スヘシ

 但滿二十五年以上ノモノ並天然痘濟ノ証跡アルモノハ此限ニアラス

第六條

管內ニ於テ天然痘流行スルトキハ管廳ヨリ流行ノ緩急病症ノ輕重等ヲ接近ノ府縣ニ報吿シ且內務省ニ届ケ出ツ可シ

第七條

前條ノ際ニ臨テハ未痘兒ハ勿論種痘濟ノ者ニ至ル迄年齢期限ヲ問ハス普ク接種スヘシ

 但未決既決監獄繫留ノ囚徒ハ本條ニ準シ官ヨリ接種セシムヘシ

第八條

第一條及ヒ第二條ノ旨ヲ遵守セス或ハ無稽ノ說ヲ唱ヘ種痘ヲ拒ミ若シクハ人ヲ蠱惑スル等ノ者ハ違式詿違ヲ以テ論シ罰金ヲ科スヘシ