[文書名] 伝染病予防法施行規則第十条ノ疑義ノ件
(大正一一年一月一八日)
(衛第一二四四七号)
(内務省衛生局長あて岡山県知事照会)
規則第十条ヲ閲読スルニ同条ハ伝染病予防法第七条、第八条、第九条及第十八条ヲ適用セスシテ病原体保有者トシテ第十一条ヲ適用スヘキモノヲ表示セラレタルモノタルコトハ素ヨリ疑フノ余地ナキモノト相信シ候得共左記ノ通疑義相生シ候条何分ノ御回示相煩度候
記
1 規則第十条ヲ一読スルニ伝染病ノ主要症状消退ノ時ヨリ起算シ赤痢ニ在リテハ一四日腸「チフス」「パラチフス」ニ在リテハ二一日「ヂフテリア」流行性脳脊髄膜炎ニ在リテハ七日ヲ経過セサルモノヲ除クノ外法第七条、第八条、第九条及第十八条ヲ適用セスト解スルヲ妥当ノ様察セラレ候果シテ然リトセハ同上期間ヲ経過セルモノニ対シテハ病原体保有者タルト否トヲ問ハス悉ク法第七条、第八条、第九条、第十八条ヲ適用シ患者同様ニ交通遮断隔離其他最モ厳重ナル取扱ヲ為ササルヘカラサルコトト為ルヘシ
2 翻テ考フルトキハ規則第十条ハ同則第二章疑似症及病原体保有者中主要症状消退後赤痢病原体保有者ニ対シテハ一四日、腸「チフス」、「パラチフス」病原体保有者ニ対シテハ二一日、「ヂフテリア」流行性脳脊髄膜炎菌保有者ニ対シテハ七日間ヲ経過セサルモノニ対シテハ法第七条、第八条、第九条及第十八条ヲ適用スルコトヲ得同上各期間経過後ノモノニ対シテハ病原体ヲ保有セル場合ハ之カ保有者トシテ規則第十条ノ命スル取扱ヲ為スヘキモノトモ被存候
(大正一一年一二月二七日 岡衛第一六四号、昭和一〇年八月一日 衛防第一二二七号訂正)
(岡山県知事あて内務省衛生局長回答)
標記ノ件ニ関シ客月十八日衛第一二、四四七号ヲ以テ御照会相成候処伝染病予防法施行規則第十条ハ病原体保有者ニ関スル規定ニシテ即チ伝染病ノ治癒後ノ病原体保有者ニシテ主要症状消退ノ時ヨリ起算シ同条所定ノ期間ヲ経過セサル者ニ対シ伝染病患者ト同様ニ取扱ヒ之ニ反シテ右ノ期間ヲ経過シタル病原体保有者及所謂健康保菌者ニ対シテハ伝染病予防法第七条、第八条、第九条及第十八条ヲ適用セサルノ趣旨ニ有之候条御了知相成度