データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 伝染病予防法第二十一条ノ疑義ニ関スル件

[場所] 
[年月日] 1922年9月20日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(大正一一年九月二〇日)

(衛発第一号)

(内務省衛生局長あて岐阜県知事照会)

伝染病予防法第二十一条第一項第三号中法文上ヨリ解スルトキハ「予防救治ノ為メ」トアルハ患者ノ発生ヨリ転帰スル迄予防並ニ治療スルヲ意味シ「予防上必要ナル器具云々」トアルハ患者発生ニ於ケル予防事務ノミニ限ルカ如キモ亦一面ヨリ広義ニ解スルトキハ「予防救治」ト「予防」トハ敢テ区別ヲ要セサルカ如シ何トナレハ患者ヲ一定ノ場所ニ隔離治療スルハ他ニ伝播ヲ防止スル即チ予防事務タルヲ免レサルモ特ニ「予防救治」ト「予防」ト区別シアルハ前段解訳ヲ至当ト存セラレ候モ聊カ疑義相生シ候ニ付御意見承知致度差掛リタル義有之至急御回示相熕度此段及照会候也

(大正一一年九月二九日 衛防第一五七四号)

(岐阜県知事あて内務省衛生局長回答)

標記ノ件ニ付九月二十日衛発第一号ヲ以テ御照会相成候処御問合ノ要点ヲ欠クモノアル等旁寧ロ問題トナレル事実ニ就キ疑義トナレル点ヲ御回示相成候様致度

(大正一一年一○月一三日 衛発第二八号)

(内務省衛生局長あて岐阜県知事照会)

客月二十九日付衛防第一、五七四号ヲ以テ伝染病予防法中疑義ニ関スル件御回答ニ依レハ其要点不明瞭ノ趣ナルモ要ハ伝染病予防法第二十一条第一項第三号中ニハ市町村立ノ伝染病院隔離病舎ニ入院舎セシメタル患者治療上ニ要セシ器具薬品其ノ他ノ物件ニ関スル諸費ハ包含スルヤ若シ包含セストセハ何レニ包含スルヤノ点ニシテ問題トナレルハ

県下大垣市ニ於テ最近伝染病予防法第二十一条市町村ノ費用負担ニ関シ左ノ如キ解釈ヲ為セリ

伝染病予防法第二十一条第一項第三号ニ拠レハ

予防救治ノ為メ雇入レタル医師其ノ他ノ人員並ニ予防上必要ナル器具薬品其ノ他ノ物件ニ関スル諸費トアルヲ以テ

予防救治ノ為メ雇入レタル医師其ノ他ノ人員ニ係ル費用ハ勿論患者発生ヨリ転帰ニ至ル迄市ノ負担ナルモ後段ハ

予防上必要ナル器具薬品其ノ他ノ物件ニ関スル諸費云々トアリテ予防救治ト規定セサル為メ患者治療ニ要シタル費用ハ包含セサルニ依リ市ニ於テ負担ス可キ義務ナク随テ患者ニ負担セシムへシト云フニ在リ

以上ニ対スル御意見承知致度此段再応及照会候也

(大正一一年一○月二四日 衛防第一五七四号)

(岐阜県知事あて内務省衛生局長回答)

本月十三日衛発第二八号ヲ以テ市町村立伝染病院隔離病舎ニ収容シタル患者ノ治療ニ要スル器具薬品其ノ他ノ諸費ノ負担区分ニ関スル疑義ニ付御照会相成候処右ハ法第二十一条第四号ニ依リ市町村ニ於テ負担ス可キモノト存候右ニ御了知相成度

追テ伝染病予防法施行規則第三十条ニ依リ食費薬価ヲ徴収スルコトヲ得ル儀ニ候条為念