[文書名] 伝染病予防法の適用について
(昭和二七年一一月四日)
(航庶第五二号)
(厚生省公衆衛生局長あて航海訓練所長照会)
当初練習船進徳丸は、商船大学及び鳥羽、大島、弓削、広島、富山の各商船高等学校の実習生八七名を乗せ、第二次航海の途次九月二日舞鶴港に寄港した。当日は職員及び実習生総員市内並びに名勝地見学になつていたので昼食用にパンを携行せしめた。
九月三日舞鶴港発、神戸港に向つたが二、三名が腹痛を申し出るものがあつた。当時は熱帯性低気圧が来襲しており風浪強く、船体甚しく動揺していたため、単なる船暈と思われた。九月七日神戸港に入港するや数十名が下痢と腹痛を申し出たので直ちに金沢病院の医師の来船を求めたところ八日に至り赤痢と判明した。
直ちに神戸市防疫課並びに県衛生局防疫課の協力を得、総員検診したところ一五一名中一〇〇名が保菌者と診断されて九五名(職員二九名、実習生六六名)が東山病院に収容された。
右につき伝染病予防法適用に当り左記事項について疑義があるので何分の御回示を煩わしたい。
記
1 本件は伝染病予防法第二十条を適用すべきと思われるが第十八条にも関連があるように思考されるが何れを適用すべきか。
2 同法第二十条中「予防方法を施行すべし」とは予防に必要な諸経費の支弁を含むものと解すべきか。
(昭和二七年一一月八日 衛発第一〇七六号)
(運輸省航海訓練所長あて厚生省公衆衛生局長回答)
航庶第五二号を以つて御照会の標記の件について左記のとおり回答する。
1 伝染病予防法第二十条を適用すべきである。
2 同法にいう「予防方法の施行」中には費用の負担も含まれるものと解する。