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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 伝染病予防法、予防接種法及び性病予防法の一部改正について

[場所] 
[年月日] 1953年10月2日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(昭和二八年一〇月二日)

(発衛第二五八号)

(各都道府県知事あて厚生事務次官通達)

 地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律は、本年八月一五日法律第二一三号をもつて公布され、九月一日から施行されたが、この法律の第九条、第二三条及び第二五条の規定により、伝染病予防法、予防接種法及び性病予防法の一部が改正され、これに伴う関係政令及び省令として、国立公園法施行令等の一部を改正する政令及び伝染病予防法施行規則等の一部を改正する省令が、それぞれ九月一七日政令第二八三号及び一○月二日厚生省令第五○号として公布施行された。

 今回の改正は、昨年九月地方自治法が改正され、地方公共団体及び地方公共団体の長に対する事務の委任は、法律又は政令で定めなければならなくなつたことによるものであるが、各法律の施行については、左記に留意の上、遺憾のないよう致されたい。

 右、命により通知する。

   記

第一 伝染病予防法関係

 一 伝染病予防法の改正は、伝染病予防法上の市町村長、予防委員等の権限は、従来法律上「当該吏員」として掲げられ、省令においてその範囲を規定していたのであるが、今回これを法律において明らかにしたことであり、その他都道府県知事の伝染病流行の報告及び通知並びに病原体の有無の検査等を法律に規定したことであり、その内容は、従来と全く同様であること。ただ、今回の改正により、都の区の存する区域にあつては、地方自治法第二八一条の二第二項本文の規定により、区長が、伝染病予防法に定める市長の権限を行使することになるので、同条同項但書の規定に基き、国立公園法施行令等の一部を改正する政令附則第四項の規定により、地方自治法施行令の一部改正を行い、従来どおり、都の区の存する区域にあつては、都知事が市長の権限を行うものとしたこと。

 二 伝染病予防法施行令の改正は、従来省令で規定していた市町村長、予防委員等の伝染病患者の発生その他伝染病予防上必要な場合における通報並びに都道府県知事の検疫の施行に関する公告及び通報、代用消毒薬検定等に関する事務について必要な規定を政令で定めることとしたものであり、その内容は従来と同様であること。ただ伝染病予防法施行令第二条第二項、第四条第三項及び第五条において新たに市町村長等の保健所長に対する通報が加えられたのは、保健所長が患者、病原体保有者の実態を適確に把握していることが伝染病予防行政の運営上極めて必要であることによるものであること。

なお、代用消毒薬品検定規定は、伝染病予防法施行令第三条第三項において準用する薬事法施行令第二条、第三条、第五条及び第七条の規定に基いて定められた省令となり、また代用消毒薬の製法及び用法の指示は厚生大臣が行うことになつたが、従前の国立予防衛生研究所の指示は、地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律附則第三項の規定により、厚生大臣の指示とみなされること。

第二 予防接種法関係

 一 予防接種法第六条の改正は、厚生大臣が都道府県知事に臨時の予防接種を行わせる場合の基準を政令で定めることとしたものであり、これに対応して予防接種法施行令第一条にその基準が定められたが、同条第三号の「その他」には、たとえば、伝染病の特に著しい集団発生等を含むものであること。

 二 予防接種法第七条、第八条及び第一九条の二の改正は、従来省令で規定していた市町村長の予防接種の期日及び場所の指定及び公告、疾病の予防措置及びこれに伴う予防接種の施行、予防接種の記録の送付に関する事務について必要な規定を法律で定めることにしたものであり、その内容は従来と同様であること。

第三 性病予防法関係

 一 性病予防法第一五条第三項の改正は、同条に基く省令により都道府県知事等の事務に対し、新たな規制をしているので、これを政令で行うこととしたものであるが、性病予防法施行令では、同条第一項として、措置を受けようとする者の申請により治療費を当該医師等に直接支払うことを原則とすることを規定し、従来省令で規定していた保健所長の証明その他申請の手続は、規定しないこととしたので、この手続については、地方の実情に応じ適宜、都道府県知事又は保健所を設置する市の市長において定められたいこと。しかし費用負担能力の調査については、措置の対象となる者の多くが特殊な事情にあるものであるので、なるべく保健所長に行わせることが望ましいこと。なお、措置は申請によつて行うことを原則としたのは、法第一五条第三項は、同項該当者に請求権を与えている法意と解せられることによるのであるが職権で行つても差支えないことは勿論であること。

 二 性病予防法第一六条の改正は、従来同条に基く省令により都道府県等に対し規制をしていたので今回これを政令で行うこととしたものであるが、性病予防法施行令第二条及び第三条において、性病病院等の設置及び代用に関する準則を定めるとともに、従来の設置承認制は廃止することとしたこと。

ただ、国家財政の関係もあるので、国庫負担金の交付を受ける病院等に限り、その設置について承認を受けなければならないこととし、性病予防法施行規則第七条において、その手続等を整理したこと。