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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 伝染病予防法施行令第六条の薬品配布に関する疑義について

[場所] 
[年月日] 1956年2月14日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(昭和三一年二月一四日)

(衛環発第五号)

(各都道府県知事あて厚生省公衆衛生局環境衛生部長通知)

 標記の件について、石川県より別紙(1)のごとき照会があつたので、別紙(2)のとおり回答したから御参考迄に送付する。

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別紙(1)

(昭和三〇年七月八日 発公第五六九号)

(厚生省公衆衛生局環境衛生部長あて石川県衛生部長照会)

 昭和三十年四月改正をみた伝染病予防法施行令第六条には「市町村が行うそ族{そに傍点あり}昆虫駆除は、その区域内の住民に対して駆除用の薬品を配布し、その用い方を指導する」......と規定されており、また本年六月二十四日付厚生省発衛第二三〇号厚生事務次官通ちよう{ちように傍点あり}第二、実施上特に留意すべき事項中の5の(3)には「市は地域住民に対し有効な薬剤の共同購入をあつ旋する等の措置を講ずること」とありますが、この配布、あつ旋につき左記の点に疑義がありますので御回示願います。

   記

1 薬事法との関係

 (イ) 市町村当局が予算を計上し、衛生班が無償で撒布等を行うときは、自己消費者であると解せられますが如何。

 (ロ) 衛生班が実施し一部実費徴収、全額徴収の場合はそれぞれ自己消費者と解し難いようにも解せられますが如何。

 (ハ) 市町村が医薬品の配布、あつ旋行為を反復継続した場合は医薬品販売業と見做されないか、若し見做される場合は薬事法第二十九条に抵触するやに解せられますが如何。

2 毒物及び劇物取締法との関係

 (イ) 毒物、劇物販売業の登録を受けていない市町村当局の黄憐及び砒素を含む殺鼠剤の配布あつ旋行為は毒物及び劇物取締法第三条第三項に抵触しないか。

3 実施方策

右の二法を考慮の上、実施方策を併せて御教示下さい。

別紙(2)

(昭和三一年二月一四日 衛環発第五号)

(石川県知事あて厚生省公衆衛生局環境衛生部長回答)

 昭和三十年七月八日発公第五六九号をもつて貴県衛生部長より環境衛生課長あて照会のあつた標記の件に関しては、薬務局の所管にかかる事項については薬務局の見解により左記のとおり回答する。

1 薬事法との関係

 (1) 市町村が予算を計上し、市町村の衛生班が薬剤の撒布等を行うときは、無償の場合と、費用の一部又は金額を住民から徴収する場合とを問わず、市町村が薬剤の最終消費者と解される。

 (2) 市町村が医薬品の配布、あつ旋を反復継続して行うことは通常の場合は医薬品の販売業を営むものと解されるので、薬事法第二十九条第一項の規定による医薬品販売業の登録を受けることを要する。ただし、例えば毎月一定日或いは春秋二期等特定の期日に特定の医薬品について住民の希望をとりまとめ、薬剤を購入配布することは、医薬品の販売業を営むものとは認められない。

2 毒物及び劇物取締法との関係

前項の場合と同様に解されたい。

3 ねずみ族、こん虫等の駆除の実施に際し、駆除用の薬品の配布又は共同購入のあつ旋等を行うにあたつては、前二項の趣旨を考慮して、行政運用上遺憾なきを期せられたい。