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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 赤痢等の健康診断に伴う検便の実施方法について

[場所] 
[年月日] 1960年6月9日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(昭和三五年六月九日)

(衛発第五一三号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各保健所を設置する市の市長あて厚生省公衆衛生局長通知)

 標記の件について、最近一部に疑義を生じている向きもあるので、今般左記のとおりその実施方法を定めたから了知の上、管下の市町村長等にも周知させ、その適正な実施を期されたい。

 なお、赤痢等の健康診断の際の検便の実施方法は、従来いわゆる直接採便肛門にガラス棒等を挿入して採便する方法が公衆衛生技術上最良の方法とされ、このため、一部には直接採便法を強制する傾向も見受けられたのであるが、今後は本通達により、そのような誤りのないよう注意するとともに、反面予防措置の厳正な実施に欠けることのないよう念のため申し添える。

   記

一 法の規定に基づく赤痢患者等の健康診断の際の検便の実施方法は、原則としていわゆる間接採便によること。ただし次に例示するような場合は、いわゆる直接採便によることとするが、支障のない限り本人に採便棒によつて採取させること。

 1 集団発生の場合又はコレラ等伝染力の強い伝染病が発生した場合であつて、短時間に多数の検便を行う必要があるとき。

 2 下痢患者、便秘している者、乳幼児等間接採便では採便ができないものに対して検便を行う必要のあるとき。

 3 旅行者等所定の期間内に検体を提出し得ない者又は所定の期間内に検体を提出しない者その他その場で採便をしなければ採便ができないものに対して検便を行う必要のあるとき。

二 勧奨による健康診断の際の検便の実施方法は、本人から申出のあつた場合以外、間接採便によること。

三 検便のための採便を行う場所、その設備等は健康診断を行うために適切なものであるとの一般人の常識に相応するようにし、かつ、受診者に不快感を与えないよう十分配慮すること。このため、できる限り、保健所の診察室を使用することは勿論のこと、当該地区内の診療機関の一部を借用し、あるいは学校その他の施設等のいわゆる医務室などの利用を考慮すること。