[文書名] 伝染病予防法第二十条の疑義について
(各都道府県知事・各指定都市衛生主管部(局)長あて厚生省公衆衛生局防疫課長通知)
標記について別紙(1)のとおり法務大臣官房経理部長より公衆衛生局長あて照会があり、別紙(2)のとおり回答されたので御了知願いたい。
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別紙(1)
(昭和三七年三月一二日)
(厚生省公衆衛生局長あて法務大臣官房経理部長照会)
伝染病予防法第二十条の解釈について、左記のとおり疑義があるので、何分の回答を煩わしたく、照会します。
記
1 同条にいう「予防方法」とは、伝染病罹病者に対する治療(薬価、入院費、その他当該患者が入院中治療に要した費用)を含むか、含むとすればその根拠。
2 同条にいう「諸官庁及官立ノ学校、病院、製造所等」には、公務員宿舎(国家公務員宿舎法に基づき貸与された有料宿舎又は無料宿舎)を含むか、含むとすればその根拠。
3 右公務員宿舎を含むとした場合、当該宿舎から発生した宿舎被貸与者以外の伝染病罹病者(宿舎被貸与者の家族又はその他一時的に当該宿舎において生活を共にしていた者等)に要する治療費等は、私人、公共団体、国の何れが負担すべきか、国が負担する場合はその根拠。
別紙(2)
(昭和三七年七月二五日 衛発第五六三号)
(法務省大臣官房経理部長あて厚生省公衆衛生局長回答)
昭和三十七年三月十二日付法務省経甲(主)第一、一九一号をもつて照会のあつた標記の件について次のとおり回答します。
1 伝染病予防法(明治三十年法律第三十六号。以下「法」という。)第二十条にいう「予防方法」の内容については同条の趣旨にかんがみ、法に規定されている都道府県知事又は市町村長の権限に属する一連の防疫事務及び患家において施行すべき事項がおおむねこの内容に含まれるものと解釈されている。従つて、御指摘のような伝染病罹病者に対する治療も含まれるものであり、また、これに関する費用についても当然国が負担すべきものと考える。
2 公務員宿舎についてはそれぞれの具体的状況により判断すべきであるが、一般的には、国家公務員宿舎法(昭和二十四年法律第百十七号)に規定する公邸及び無料宿舎は、法第二十条の施設に含まれ、同法の有料宿舎はこれに含まれないものと解すべきである。
公務員宿舎の取扱について特に明文の規定はないが、法第二十条の趣旨が主として国の行政目的が阻害されることを防止することにある点よりみて前記のように解されるものである。
3 宿舎被貸与者以外の者(同居者、一時的に滞在している者等)については法第二十条の適用はないものと解される。
根拠については2と同様である。