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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 赤痢等の集団発生に対する対策の強化促進について

[場所] 
[年月日] 1966年4月7日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(昭和四一年四月七日)

(衛発第二一七号・環書第五〇五五号)

(各都道府県知事・各政令市長あて厚生省公衆・環境衛生局長連名通知)

 近年、赤痢等の消化器系伝染病は、そのり患率において減少の傾向をみせているにかかわらず、集団発生の患者の占める割合はむしろ漸増の傾向にあり、ことに、最近、都市近郊における住宅団地の水道施設の不備に起因するとみられる事例も発生しているので、これらについては、従前の通達によるものに加え、とくに左記の事項に充分留意し、今後、このような事例の発生を防止するとともに、赤痢等の集団発生に対する対策を一層強化されるよう格段の御配慮を願いたい。

   記

1 環境衛生対策について

 (1) 最近、都会地及びその近郊において住宅団地等が急造され、これに設置される水道のなかには認可、又は確認の手続をおこたり、また、不適当な施設を設けている事例が多いとみうけられるので、水道法に基づく、確認等をおこたつている者の発見に努め、施設の不適当なものは改善の措置を講じさせること。

  なお、確認等を受けるべき者の把握については、住宅団地の造成事業等を所管する都道府県、市町村の部局の協力をもとめること。

 (2) 水道法に規定する技術管理者を確保させ、また、所定の水質検査、消毒等を励行させること。

 (3) 確認等を必要としない、小規模の飲料水供給施設についても、必要な施設の改善、水質検査、消毒等衛生上の措置を講ぜしめるよう指導に努めること。

 (4) 今後設置される水道については、前記(1)の都道府県、市町村の当該部局の協力をもとめて、造成事業を行なう者に、あらかじめ都道府県水道所管部局、保健所等に連絡せしめるようにし、必要な指導を行なうこと。

 (5) 水道施行業者等に対し、適宜講習会等を行なう等指導に努めること。

 (6) なお、集団給食施設、その他の環境衛生関係施設についても一層の指導監督を励行されたいこと。

2 一般防疫対策について

 (1) 赤痢については、臨床症状の軽症化及び菌型の変化に伴ない単なる下痢症状とみなされる場合も少なくないので医師会等の協力を得て、患者の早期発見、届出の励行を図られたいこと。

 (2) 腸チフスについては、患者発生の減少に伴ない医師及び防疫担当者が患者に接する機会も少ないところから、医師会等の協力を得て、研修会、講習会等の開催を通じて、腸チフスに対する知識の向上につとめること。

 (3) 近年、抗生物質の普及に伴ない、定型的な症状の変化、耐性菌の増加、菌検出の困難性を来しているので、患者及び病原体保有者に対しては、医師により適正な治療をうけるよう指導し、素人療法の絶無を期すること。

 (4) 特に腸チフスについては、永続保菌者に留意し、検出した菌については疫学調査に資するためのフアージタイプによる同定を実施し、また、患者、保菌者についての管理カード等を作成して、患者、保菌者の管理監視を十分に実施すること。