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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] コレラ防疫対策実施要綱及びコレラ疫学調査実施要領の取扱い上の留意点について

[場所] 
[年月日] 1978年8月11日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(昭和五三年八月一一日)

(衛情第三〇号)

(各都道府県・各指定都市衛生主管部(局)長あて厚生省公衆衛生局保健情報課長通知)

 コレラ防疫対策実施については本日厚生省公衆衛生局長及び環境衛生局長から通知されたところであるが、コレラ防疫対策実施要綱及びコレラ疫学調査実施要領の取扱いについては、次の事項を御了知の上、貴職において万全の措置をとられるとともに、貴管下市町村の指導に遺憾なきを期されるよう願いたい。

   記

第一 細菌検査

 1 検査方法

  コレラ菌(コレラエンテロトキシン産生性コレラ菌に限る。以下同じ。)の検査の方法は、別に定める「コレラ菌検査の手引き」によること。

 2 検査機関

  国内初発であるか否かを問わず、真性患者及び保菌者としての決定は地方衛生研究所における検査結果によって行うこと。

  なお、検査を行う各機関においては、細菌検査技術者を対象として検査技術の訓練を実施することが望ましい。

第二 防疫組織

 患者等発生時においては、左図を参考にして防疫組織の整備拡充を図ること。

第三 疫学調査

 1 質問票

  検疫調査及び行動調査の実施に当たっては、以下に示す様式1及び様式2を参考として質問票を作成して実施し、情報の収集に遺漏のないよう図ること。

 2 個人票

  患者及び保菌者の個人票は発生状況の検討の基礎資料となるものであり、その記入には正確を期するとともに遺漏なきよう図ること。なお、発症日以後の経過、措置及び転帰に関しては、発症日及び初発症状、初診日及び医療機関、菌決定日及び決定機関、収容日及び収容施設、治療の概要及び病状の変化、転帰日及び転帰の内容等は、必ず記載すること。

{(様式1)検病調査票は省略}

{(様式2)個人票は省略}

第四 隔離収容等の措置及び収容施設

 1 隔離収容対象者のうち施設収容が著しく困難と認められる者については、自宅隔離等の措置をとること。この場合、コレラ菌による汚染を防止するために十分な措置を講ずること。

  なお、隔離の解除は隔離収容の解除に準じて行うこと。

 2 隔離収容の解除に関し、抗菌製剤投与休止期間内に判明した細菌検査の結果において、一度でも陽性となつた場合には抗菌製剤投与を再開すること。

 3 観察収容及び健康監視の期間内にコレラ様症状が消退しない者、コレラ様症状が新たに出現した者、及び新たにコレラ感染の疑いが生じた者については、その期間を更新すること。

 4 患者、保菌者及び要観察者の附添者は、濃厚接触者とみなして健康監視の措置をとり、その解除は隔離収容等の措置の解除と同時に行うようにすること。

 5 収容施設の確保については、近隣市町村間では相互利用等に関しても防疫計画策定の段階で検討しておくこと。

 6 隔離収容施設と観察収容施設とが同一施設の場合には、施設内感染を防ぐため、隔離収容者と観察収容者との分離は厳密に行うこと。

第五 その他の防疫措置

 1 交通しや断等

  やむを得ず交通しや断等社会的影響の大である措置を実施する場合は、その理由、内容等に関して住民の十分な理解を得た上で実施することとし、実施に当たつては関係機関との情報連絡を緊密に保つてその協力を求め、無用の混乱を招かないよう慎重を期すること。

 2 家庭水の安全確保

  コレラ防疫対策地域及びその周辺地域の水道は消毒を強化し、給水栓における遊離残留塩素を○・二ppm以上(結合残留塩素の場合は一・五ppm以上)に保つこと。また、井戸等については○・四ppm以上に保つこと。

 3 下水系の安全確保

  コレラ菌による汚染が疑われる汲取り便所については、生石灰を容量の三○分の一投入し、七~一○日間放置してからし尿処理施設に搬入すること。ただし、散発的な発生でなく大量発生である場合には、コレラ防疫対策地域全域の汲取り便所に対して実施すること。なお、し尿処理施設からの放流水は遊離残留塩素一ppmを目安として塩素滅菌を強化し、大腸菌群は検出されないようにすること。

  コレラ菌による汚染が疑われるし尿浄化槽からの放流水については、排水口における遊離残留塩素一○ppmを目安として塩素滅菌を強化すること。ただし、大量発生の場合にはコレラ防疫対策地域全域で実施すること。

  溝渠については、清掃を強化して清潔の保持を図るとともに、コレラ菌による汚染が疑われる溝渠(大量発生の場合には、コレラ防疫対策地域全域の溝渠等)については遊離残留塩素一○ppmを目安として塩素消毒を実施すること。

 4 個人衛生

  手洗い用等には一%クレゾール液、逆性石鹸等を使用することとし、必要に応じて各家庭に配布すること。また、家屋内外の消毒用として、必要に応じてクレゾール等の消毒薬を各家庭に配布すること。なお、水洗便所にはクレゾールを使用しないよう指導しておくこと。