[文書名] 鍼灸におけるAIDS感染等の防止について
(昭和六二年三月二〇日)
(医事第一九号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生省健康政策局医事課長通知)
医療機関等におけるAIDS感染の防止についての関係団体の長あてへの協力依頼は昭和六二年二月二六日付健政発第一○三号厚生省健康政策局長通知のとおりであるが、先般当職より鍼灸師団体等に対しては、AIDS感染等の防止上注意すべき点につき別添の内容の指導を行つたので御了知の上、貴管下関係団体と連絡を図り、指導内容の周知徹底がなされるよう御協力をお願いする。
別添
鍼灸については、法令により施術所の開設に当たり、器具、容器等の消毒設備を有することが義務付けられているところであるが、国民の関心の高まつているAIDS、あるいはB型肝炎の感染を防止するため、施術に当たつては以下の事に留意されたい。なお、血液感染することが知られている疾患には他にも非A非B型肝炎等が考えられるので該当事項についての留意を十分徹底されたい。
一 施術に用いる針、針管、置き皿についてはディスポーザブル(使い捨て)のものが最も望ましいこと。
二 患者別の専用針、針管等を用いる場合にあつては、施術後十分洗浄の上、消毒の徹底を図ると共に治癒後は廃棄するのが望ましいこと。
なお、AIDSウイルス及びB型肝炎ウイルスに有効な消毒法については、以下のような方法が知られている。
① オートクレープ 一二一℃二○分以上、煮沸二○分以上。
② 二%グルタールアルデヒド 一○―三○分。
③ ○・五%次亜塩素酸ナトリウム 一時間。
ただし、これについては腐食性があるので、繰返し用いる金属性のものには適さないことがある。
④ また、七○%エタノール一○―三○分による方法も知られているが、これは肝炎ウイルスには適切ではないといわれている。
三 施術者の感染を防止するためには、施術に当たつて十分な手指の洗浄を行つた上、消毒を行うのは勿論であるが使い捨て手術用手袋を使用するのが最も望ましいこと。
四 施灸後の皮膚の微小火傷面からの浸出液についても十分注意して、拭綿の処理に当たることが必要であること。