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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 先天性血液凝固因子障害等治療研究事業について

[場所] 
[年月日] 1989年7月24日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成元年7月24日)

(健医発第896号)

(各都道府県知事あて厚生労働省健康局長通知)

 先天性血液凝固因子障害等患者の医療負担の軽減及び精神的、身体的不安を解消するため、「先天性血液凝固因子障害等治療研究事業実施要綱」を別紙のとおり定め、本事業を実施することとしたので、これが円滑なる実施について遺憾のないようお取り計らい願いたい。


別紙

先天性血液凝固因子障害等治療研究事業実施要綱


第1 目的

 先天性血液凝固因子障害等患者のおかれている特別な立場にかんがみ、その患者の医療保険等の自己負担分を治療研究事業として公費負担することにより、患者の医療負担の軽減を図り、精神的、身体的不安を解消することを目的とする。

第2 実施主体

 実施主体は都道府県とする。

第3 対象疾患

 先天性血液凝固因子欠乏症及び血液凝固因子製剤に起因するHIV感染症(以下「先天性血液凝固因子障害等」という。)とする。

第4 対象患者

 原則として20歳以上の者で、医療機関(健康保険法(大正11年法律第70号)に規定する指定訪問看護事業者並びに介護保険法(平成9年法律第123号)に規定する指定居宅サービス事業者(同法に規定する訪問看護を行うことができる者に限る。)及び同法に規定する指定介護予防サービス事業者(同法に規定する介護予防訪問看護を行うことができる者に限る。)を含む。以下同じ。)において先天性血液凝固因子障害等に関する医療保険各法若しくは高齢者の医療の確保に関する法律(昭和57年法律第80号)の規定による医療に関する給付を受けている者又は先天性血液凝固因子障害等に関する介護保険法の規定による訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、介護療養施設サービス、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション若しくは介護予防居宅療養管理指導を受けている者であって、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)の規定による被保険者及び健康保険法、船員保険法(昭和14年法律第73号)、国家公務員共済組合法(昭和33年法律第128号)、地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)若しくは私立学校教職員共済法(昭和28年法律第245号)の規定による被保険者又は被扶養者並びに高齢者の医療の確保に関する法律の規定による被保険者とする。

 ただし、法令等の規定により、国又は地方公共団体の負担による医療に関する給付を受けている者を除くものとする。

第5 実施方法

1.治療研究事業の実施は、原則として各都道府県が先天性血液凝固因子障害等の治療研究を行うに適当な医療機関に対し、治療研究に必要な費用を交付することにより行うものとする。

2.前項の費用の額は、次の各号に規定する額の合計額とする。

 (1) 健康保険又は後期高齢者医療の医療に要する費用の額の算定方法の例により算定した医療に要する費用の額の合計額(入院時の食事療養及び生活療養に要する費用については、医療保険各法又は高齢者の医療の確保に関する法律に規定する入院時食事療養標準負担額及び入院時生活療養標準負担額を含む。)から、医療保険各法又は高齢者の医療の確保に関する法律の規定による医療に関する給付に関し保険者又は市町村が負担すべき額を控除した額

 (2) 「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月厚生省告示第19号)」、「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成12年2月厚生省告示第21号)」又は「指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第127号)」により算定した額の合計額から介護保険法の規定による先天性血液凝固因子障害等に係る訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、介護療養施設サービス、介護予防訪問看護、介護予防訪問リハビリテーション及び介護予防居宅療養管理指導に関し保険者が負担すべき額(介護保険法第69条第3項の規定の適用がある場合にあっては、当該規定が適用される前の額)を控除した額

第6 治療研究事業の期間

 治療研究事業の期間は、同一患者につき1年を限度とする。

ただし、必要と認められる場合には、その期間を更新できるものとする。

第7 先天性血液凝固因子障害等対策協議会

1.各都道府県は、この治療研究事業の適正かつ円滑な実施を図るため、医学の専門家等から構成される先天性血液凝固因子障害等対策協議会を設けるものとする。

2.先天性血液凝固因子障害等対策協議会は、都道府県知事からの要請により、治療研究事業の実施に必要な参考意見を具申するものとする。

第8 関係者の留意事項

 患者等に与える精神的影響と、その病状に及ぼす影響を考慮して、本事業の実施に関連して知り得た事実の取扱いについて慎重に配慮するよう留意するとともに、特に個人が特定されうるものに係る情報(個人情報)の取扱いについては、その保護に十分配慮し、関係者に対してもその旨指導するものとする。

 なお、HIV感染者に係る秘密を医師又は公務員等が正当な理由なく漏らしたときは、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)の規定により罰則が課せられることとなっており、当該規定の趣旨を十分に踏まえ、本事業の実施に関連して知り得たHIV感染者に係る個人情報の取扱いについては特に留意するよう、関係者に対してもその旨指導すること。

第9 報告

 都道府県知事は、別に定めるところにより、厚生労働大臣に対し治療研究事業に関する成果を報告するものとする。

第10 国の補助

 国は、別に定めるところにより、予算の範囲内において、都道府県がこの研究事業のために支出した費用に対し、その2分の1を補助するものとする。