データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 今冬のインフルエンザ総合対策の推進について

[場所] 
[年月日] 2001年11月12日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成13年11月12日)

(健感発第70号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

 インフルエンザは、毎年冬季に流行を繰り返し、国民の健康に対して大きな影響を与えている我が国最大の感染症です。また、近年、高齢者施設における集団感染、高齢者の死亡等の問題が指摘され、その発生の予防とまん延の防止が重要な課題となっています。

 そこで、厚生労働省においては、今般、別添のとおり「今冬のインフルエンザ総合対策について」を取りまとめ、本総合対策に基づいて各般の施策を実施していくことといたしましたので、貴管内市町村、関係機関及び関係団体に対する周知及びインフルエンザ予防対策の徹底方、よろしくお取り計らい願います。

 また、インフルエンザ対策は、衛生主管部局のみならず、民生主管部局、教育主管部局等を含めた総合的な取組み、さらには、医師会等の関係団体との密接な連携が重要であり、インフルエンザの流行前から積極的な情報提供等にご協力ください。

 今後、当省関係課からも関係部局へインフルエンザ対策の通知を発出する予定としているので、念のため申し添えます。

 なお、高齢者を対象とするインフルエンザの予防接種を実施すること等を内容とする予防接種法の一部を改正する法律及び関係政省令が11月7日に公布・施行されているので、引き続き、高齢者に対する予防接種の推進に取り組まれますよう併せてお願いします。


今冬のインフルエンザ総合対策について

(平成13年度)

<「予防接種」という選択>

1 はじめに

 本年度の標語<「予防接種」という選択>を掲げて、国及び都道府県等(「都道府県、保健所を設置する市及び特別区をいう。」以下同じ。)は、本総合対策に基づいて、今冬(平成13年11月から平成14年3月)のインフルエンザ対策に取り組んでいくこととする。

2 具体的対策

 (1) インフルエンザ予防ポスターを作成し、電子媒体形式で配給

 厚生労働省は、インフルエンザ予防のためのポスターの原画を作成し、インフルエンザホームページに電子媒体形式(PDFファイル等)画像ファイルで掲載するので都道府県等においては、適宜活用(ダウンロード)され(独自に加工可)、医療機関、学校、職域等を始めとした普及を図り、国民にインフルエンザ予防を呼びかけることとする。

 (2) インフルエンザ”Q&A”の作成・配布

 厚生労働省と国立感染症研究所感染症情報センター、日本医師会感染症危機管理対策室は、毎年インフルエンザの流行シーズンに寄せられる質問項目の中で、頻度の高いものを整理した上で、対応する回答を作成して公表する。

インフルエンザQ&A

 (3) 施設内感染防止対策の推進

インフルエンザウイルスは感染力が非常に強いことから、集団生活の場に侵入することにより、大規模な集団感染を起こすことがある。特に高齢者等のようにインフルエンザに罹患した場合の高危険群の者が多く入所している施設においては、まず、施設内にインフルエンザウイルスが持ち込まれないようにすることが重要である。したがって、厚生労働省は日本医師会感染症危機管理対策室とともに、インフルエンザウイルスの高齢者施設への侵入の阻止と侵入した場合のまん延防止を目的とした標準的な手引を策定したので、引き続き都道府県等とともに各施設に普及していくこととする。その上で、各施設においては、施設内感染対策の委員会等を設置し、当該手引を参考に、各施設の特性に応じた独自の施設内感染対策の指針を事前に策定しておくことが重要である。

 なお、高齢者等の高危険群に属する者が多く入所している施設においてインフルエンザの流行が発生した場合には、都道府県等は、当該施設等の協力を得て調査を実施し、感染拡大の経路、感染拡大の原因の特定などを行うことにより、施設内感染の再発防止に役立てることが重要であり、国は、都道府県等から調査の実施に当たっての協力要請があった場合には、積極的に対応する。

 インフルエンザ施設内感染予防の手引き

 (4) インフルエンザのインターネットホームページを新たに開設

 厚生労働省のホームページに慶応大学環境情報部の協力を得て、インフルエンザに関する情報等を掲載した専用のページを開設する。

 内容としては、インフルエンザ予防ポスター(PDFファイル等)、インフルエンザ”Q&A”、施設内感染予防の手引、インフルエンザに関する特定感染症予防指針、インフルエンザ発生状況等(発生動向情報、様疾患報告情報、流行迅速把握情報、関連死亡情報)を準備が出来しだい逐次掲載し更新する。

 ア 感染症法に基づくインフルエンザ患者発生状況の把握(週間情報)

 国は、感染症法に基づいて、各都道府県が選定した全国約5000箇所のインフルエンザ定点(約3000箇所の小児科定点を含む)で診断されるインフルエンザ患者について、オンラインで情報収集を行うとともに、集められた情報を分析し、その結果を感染症発生動向調査週報(IDWR:Infectious Diseases Weekly Report)等を用いて提供・公開を図る。

 イ 学校等におけるインフルエンザ様疾患発生状況の把握(学級等閉鎖情報)

 国は、全国の保育所・幼稚園、小学校、中学校等においてインフルエンザ様疾患による学年・学校閉鎖が実施された場合に、その施設数とその時点においてインフルエンザ様疾患で休んでいる学童等の数を、各学校及び各都道府県教育担当部局の協力に基づき収集・分析し、その結果を毎週公表する。

 今冬の累計数報告(各都道府県別一覧)

 過去年との比較(年次別グラフ)

 ウ インフルエンザ流行の迅速把握(流行迅速把握情報)

 インフルエンザ対策を的確に行うため、インフルエンザの臨床症状がその程度によっては、普通の風邪と見分けにくい場合があることからも、その鑑別診断を念頭に置き、かつ、インフルエンザの流行の特徴に鑑み迅速性に重点を置いた把握を行う必要があり、推進体制の整備を図る。

 エ インフルエンザ関連死亡の把握(関連死亡情報)

 インフルエンザの流行が与える影響及びインフルエンザウイルスの病原性について監視を行うため、関係機関の協力を得て、インフルエンザ関連死亡の把握を行うための調査を行う必要があり、推進体制の整備を図る。

 (5) 相談窓口の設置

 国は、インフルエンザ予防接種の意義、有効性、副反応等やインフルエンザの一般的予防方法、流行状況等に関する国民の疑問に的確に答えていくとともに、医療関係者からの専門的な質問にも応じられるよう、国立感染症研究所感染症情報センター内にインフルエンザ相談ホットラインを開設する。

 具体的な対応は以下のとおりとする。

 ・開設時期 :平成13年11月12日~平成14年3月29日

 ・対応日時 :月曜日~金曜日(祝日除く)

  9:00~17:00

 {電話番号、FAX番号、E-mailは省略}