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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 米国のプレーリードッグ(げっ歯類)輸出施設における野兎病の発生について

[場所] 
[年月日] 2002年8月8日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成14年8月8日)

(健感発第0808001号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

 今般、標記について、米国疾病管理予防センター(CDC)から国立感染症研究所に対し情報提供がありました。これによると、我が国にも同施設(注)からプレーリードッグが輸入されていたことから、医療機関等に野兎病に関する情報提供を行う必要があるので、管内医師会、医療機関等の関係者への周知方、よろしくお願いいたします。

 また、貴管内の動物販売業者に対しても、本情報を御周知の上、一層の衛生管理に努めるようご指導よろしくお願いいたします。

 なお、厚生労働省からは輸入関係団体等に対し、当該施設からのプレーリードッグの輸入を当分の間自粛するよう要請するとともに、現地から提供された現時点の情報に基づき、本年6月以降に当該施設から輸入されたプレーリードッグについて、厚生労働省において情報収集を行った上で、必要な対応を取ることとしておりますので、御了知下さい。

(注) Texas Animal Export

1 野兎病の概要

 (1) 米国では、毎年200人程度が感染している特段めずらしい感染症ではなく、我が国においても発生が報告されている。

 (2) 感染した動物(野兎、野生げっ歯類)に直接接触して感染することが多く、ヒト→ヒト感染は通常ない。

 (3) 一般的に使用される抗生物質(ストレプトマイシン、クロラムフェニコール等)で治療可能である。

 (4) 野兎病の診断・治療は感染症の診断・治療ガイドラインのとおり。

http://www.med.or.jp/kansen/guide/yato.pdf(日本医師会)

 (5) 北米に分布する野兎病は、我が国のものより病原性が強いとされている。

2 CDCから提供された現地発生概要

 (1) テキサス州の動物流通施設で、プレーリードッグに野兎病が発生し、米国CDC等が調査を行っている。

 (2) 調査により、同施設からはプレーリードッグが、米国内の9の州に輸送されるとともに、我が国をはじめ、チェコ、オランダ、ベルギー、スペイン、イタリア、タイに輸出されていたことが判明した。

 (3) 現在のところ、本件でヒトへの感染は報告されていない。

 (4) 米国CDCのプレスリリース

  http://www.cdc.gov/od/oc/media/pressrel/r020806.htm

3 プレーリードッグについて

 (1) 現地から現在までに得られた情報によれば、同施設では過去2ヶ月にわたりプレーリードックに野兎病が発生していることから、それ以前に国内で購入されて家庭で飼育されているプレーリードッグについては、野兎病の心配はないと考えられる。

 (2) プレーリードックが野兎病に感染すると、急激に発症して死亡することが報告されていることから、現在健康なプレーリードッグについては、特段の心配はないと考えられるが、引き続き米国より情報の収集に努める。

 (3) プレーリードッグを含むげっ歯類の一般情報

  http://www.customs.go.jp/news/kaisei/hinmoku.j/reikitsutatsuminaoshi newold1.pdf

4 我が国での診断・検査等の必要性について

 (1) 野兎病に感染して死亡等したことが疑われるプレーリードッグに接触し、野兎病が疑われる症状を呈した者については、医療機関において診察等をうける必要がある。

 (2) 上記に際し、患者の確定検査については、国立感染症研究所で検査を実施することとし、検体の送付に際しては、医療機関で必要な検体を採取し治療を開始するとともに、地方衛生研究所を通じて事前の連絡の上、国立感染症研究所獣医科学部に送付する。

※同旨の通知は社団法人日本獣医師会会長、社団法人日本医師会会長、環境省自然環境局総務課長、農林水産省生産局畜産部衛生課長にも発出された。