[文書名] ウエストナイル熱対策の推進・強化について
(平成14年10月23日)
(健感発第1023001号)
(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)
ウエストナイル熱は、約80%が不顕性感染であり、重篤化することはまれとされている上、未だ国内で患者が発見されたことはない。しかし、同疾病は、現在、米国における流行がみられるところであり、我が国としても侵入に備えて、あらかじめ対策を講じる必要があることから、米国で問題となった平成11年以来、厚生労働省は別紙1「ウエストナイル熱への厚生労働省の対応状況について」のとおり対策を講じてきているところである。
更にこの度、厚生科学審議会感染症分科会において、別紙2「ウエストナイル熱対策について(意見)」が取りまとめられたこと等を受けて、対策を推進・強化することとしたため下記について御協力願いたい。
記
1 四類感染症への位置付け
ウエストナイルウイルスの侵入を確実に把握し、対策を講ずることができるよう、ウエストナイル熱(ウエストナイル脳炎を含む。)を「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(平成10年法律第114号)に基づく四類感染症に位置付け、患者発生を全数把握するための省令改正を近日中に行うこととしている。
今後、改正省令が施行されれば、ウエストナイル熱を診断した医師は、保健所長を経由して都道府県知事等への届出が義務となることを管内の医療機関に周知徹底願いたい。
2 診断・治療ガイドラインの周知徹底
倉根一郎国立感染症研究所ウイルス第一部長の作成による「ウエストナイル熱の診断・治療ガイドライン」を別紙3のとおり添付したので、ウエストナイル熱が四類感染症に位置付けられることに併せて、管内の医療機関で活用されるよう周知徹底願いたい。
併せて、ウエストナイルウイルスの検査は国立感染症研究所で対応しているところであるが、地方衛生研究所においても行うことができるよう技術的援助を行うこととしているので、各都道府県内で検査が可能な機関を管内の医療機関に周知願いたい。
また、改正省令が施行されるまでの間に、ウエストナイルウイルスを検出した場合は、患者等の同意を得て、当課(情報管理係)宛に連絡するよう御協力願いたい。
3 平常時からの蚊の発生防止・駆除
公衆衛生の改善のため、平常時から市町村においては、蚊等の発生防止・駆除を行っているところであるが、ウエストナイルウイルスは蚊を媒介として人間に感染するため、蚊の発生防止・駆除がウエストナイル熱のまん延予防にも効果的であることから、引き続き励行するよう管内の市町村に周知願いたい。
4 住民等への普及啓発
ウエストナイル熱に関する国民向けのQ&Aを別紙4のとおり作成した(厚生労働省ホームページに掲載予定)ので、蚊が増える原因となる水溜りをなくし、蚊に刺されないように気をつける等の予防策(防虫スプレーや網戸の使用、長袖長ズボンの着用等)を住民等自らが講じることができるよう普及啓発願いたい。