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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 感染症法に基づく医師から都道府県知事等への届出のための基準について

[場所] 
[年月日] 2002年10月29日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成14年10月29日)

(健感発第1029001号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成14年厚生労働省令第140号)が本年11月1日から施行されることに伴い、別紙のとおり「ウエストナイル熱に係る医師から都道府県知事等への届出のための基準」を作成したのでお知らせする。「医師から都道府県知事等への届出のための基準」(平成11年3月30日健医感発第46号)と一体のものとしてウエストナイル熱の報告基準として活用されるとともに、関係機関に対し周知されたい。

 また、都道府県等においては、医師から報告のあった患者の個人情報の保護について特段の配慮をお願いする。


ウエストナイル熱届出のための基準

1 定義

 フラビウイルス科に属するウエストナイルによる感染症で、蚊によって媒介される。

2 臨床的特徴

 2―14日の潜伏期の後に高熱で発症する。発熱は通常3―6日間持続する。同時に頭痛、背部の痛み、筋肉痛、食欲不振などの症状を有する。約半数で発疹が胸部、背、上肢に認められる。リンパ節腫脹も通常認められる。症状は通常1週間以内で回復するが、その後倦怠感が残ることも多い。特に高齢者においては、上記症状とともにさらに重篤な症状として、激しい頭痛、方向感覚の欠如、麻痺、意識障害、痙攣等の症状が出現し脳炎、髄膜脳炎を発症することがある。特に米国では重篤な例で筋力低下が約半数に認められている。

3 報告のための基準

 ・診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断や血清学的診断がなされたもの。

 ・病原体の検出:

  例、ウエストナイルウイルスの血液や脳脊髄液からの分離

 ・病原体の遺伝子の検出:

  例、PCR法等によるウエストナイルウイルス遺伝子の血液や脳脊髄液中での検出

 ・抗体の検出:

  例、ウエストナイルウイルス特異的IgMの血液や脳脊髄液中での検出

  ウエストナイルウイルス特異的IgGの検出とペア血清における4倍以上の上昇