[文書名] ウエストナイル熱(カラスが死亡する人の感染症)について
(平成14年12月13日)
(健感発第1213001号)
(警察庁生活安全局生活環境課長あて厚生労働省健康局結核感染症課通知)
米国等で流行しているウエストナイル熱は、現在、我が国にありませんが、人の他、カラス等の鳥も感染して死亡することが知られています。
ついては、今後、警察にカラス等の死亡に関する情報があった場合に備え、別紙について、都道府県警察にご周知いただきたく、お願い申し上げます。
なお、保健所等を所管する自治体の衛生部局にも、別添のとおり通知していますので申し添えます。
(別紙)
ウエストナイル熱とカラスの死亡について
1 ウエストナイル熱とは
(1) 人への感染は、感染したトリの血液を吸った蚊に刺されることにより起こります。人から人に感染することはありません。
(2) 人が感染しても多くは無症状で(80%)、症状があってもインフルエンザのような症状で、殆どの患者さんは数日から一週間で回復する比較的軽症の病気です。しかし、特に高齢の方など、一部重症化する患者さんがいます。
(3) 治療の特効薬、予防のワクチンはありません。
(4) 人の他、トリ、ウマなども感染します。
2 ウエストナイル熱によるカラスの死亡
(1) 米国では、ウエストナイル熱の流行でカラスが死亡しています。その死亡は、人の流行に先立ち(2~3ヶ月)見られはじめます。
(2) 米国でのウエストナイル熱によるカラスの死亡は、通常1羽で見られることが多く(約90%)、複数羽で発見される場合でも平均2.8羽です。
すなわち、一時期に、一ヶ所で、多数のカラスが死亡する場合は、ウエストナイル熱よりも、まず他の毒殺等の原因が疑われます。
(3) 死亡したカラスのウエストナイル熱の検査には、死後24時間以内の新鮮な死体が必要です。それ以上の時間を経過した死体は、腐敗や、ウジの発生、乾燥などがあることから、十分な検査が不可能です。
(4) 人は蚊の吸血でウエストナイル熱に感染することから、死亡したカラスに誤って触れても、感染の心配はありません。ただし、死亡したカラスには、ダニ等の有害昆虫が寄生している場合もあり、素手で触れるのは避けるべきです。
3 厚生労働省の対応
(1) カラスの死亡数の増加を、流行予測の一つの手段として、一部の地域で調査を進めています。
(2) 今後はその調査を全国的に行う予定です。
4 死亡カラス等の情報提供の有用性
住民からカラス等の死亡の情報提供が増えた場合は、念のためウエストナイル熱を疑い、保健所等に連絡いただければ貴重な情報になります