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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 札幌市内の室内飼育犬におけるエキノコックス感染例について

[場所] 
[年月日] 2002年12月25日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成14年12月25日)

(健感発第1225002号)

(北海道保健福祉部長あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

 貴職におかれては、かねてよりエキノコックス症対策に取り組まれているところですが、今般、厚生科学研究班(「エキノコックス症の監視・防御に関する研究」班長:北海道大学神谷正男教授)より当省あてに、標記事例について、別紙のとおり健康危険情報の提供がありましたのでお知らせします。

 情報では、エキノコックスに感染した飼い犬は室内飼育犬であり、飼い主及びその家族への感染源となる可能性が高いことが推察されることから、別添のとおり、札幌市保健福祉局長あてに感染防止等の必要な対応方をお願いしているところです。

 つきましては、貴職におかれましても、犬の飼育者への啓発、医師会、獣医師会への周知等、なお一層のエキノコックス対策の推進をよろしくお願いします。


(別紙)

厚生科学研究で把握した健康危険情報の通報(要旨)

(札幌市内の室内飼育犬におけるエキノコックス感染事例について)

1.通報者等

 (1) 通報月日   平成14年12月18日

 (2) 主任研究者名 神谷正男

 (3) 研究課題名  エキノコックス症の監視・防御に関する研究

 (4) 所属施設名  北海道大学大学院獣医学研究科動物疾病制御学講座

          寄生虫学教室

2.報告内容

 (1) 札幌市内の獣医師が、市内の室内で飼育されている犬の検診時に、糞便中に活発に動く0.2×2~3mmの片節を見つけ(2002年12月10日頃)、本研究の一環として、主任研究者所属機関(北海道大学)ヘエキノコックス糞便内抗原の検査依頼を依頼した(2002年12月13日受付)。

 (2) 検査の結果、エキノコックス糞便内抗原が強陽性となり、虫卵も多数検出されたことから、エキノコックスの感染があると判断した。

 (3) この犬は、札幌市中心部で室内飼いされている6ヵ月齢、雑種、中型犬で、飼い主によると、当該犬は散歩時に外で落ちているものをよく食べ、今年夏に旅行に行った際にも、ネズミを食べていたとのことである。ただし、これが原因で感染したのか、それとも他の場所で再びネズミを食べて感染したのかは不明である。

 (4) 室内飼育犬からは初めてのエキノコックス虫卵陽性例であり、飼い主及びその家族への感染源となる可能性が高いことが推察され、健康危険情報として報告するものである。

 (5) その他

 担当獣医師には2002年12月13日の受付日にテニア科虫卵陽性であることを報告した。飼い主には、同日、担当獣医師を通して犬の拘束と駆虫、駆虫後の再検査、犬の糞便および汚染場所の熱湯または次亜塩素酸による消毒、および飼い主家族全員の血清検査を勧めた。また、関係者へも定期的な血清検査の必要性を説明した。

 (6) なお、「エキノコックスの生活環」および「ペットのエキノコックス診断・治療および虫卵対策」については北大・獣医・寄生虫学教室ホームページhttp://133.87.224.209/index.htmlを参照のこと。

※同旨の通知は各都道府県、政令市、特別区 衛生主管部(局)長、札幌市保健福祉局長にも発出された。