データベース『世界と日本』(代表:田中明彦)
日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] ウエストナイル熱の早期流行予測のためのカラス等の死亡鳥類調査の実施について(依頼)

[場所] 
[年月日] 2003年1月30日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成15年1月30日)

(健感発第0130001号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

 標記調査については、結核感染症課長通知「ウエストナイル熱の流行予測のための死亡カラス情報の収集等について」(平成14年12月13日付け健感発第1213001号)において、その実施依頼の予定をお知らせしていたところですが、今般、下記のとおり調査を実施すべく、別添の実施要領を取りまとめましたので、貴自治体においても関係部局と調整の上、調査への参加についてよろしくご協力、ご対応いただくようお願い致します。

なお、ウエストナイル熱の鳥類対策については、本調査の他、輸入鳥類対策について関係機関と協議中であり、対応が決定次第、追ってご連絡することを申し添えます。


   記

1 調査目的

 ウエストナイル熱の侵入に備えた早期流行予測

2 調査場所

 都市部のカラス等の鳥類の生息が多い大規模公園

3 調査項目

 カラス等の鳥類の死亡数等について、週毎に把握

4 調査結果の厚生労働省への連絡等

 (1) インターネットの専用ホームページ(DBSR:Dead Birds Sighting Report)での入力により連絡を行う

 (2) 連絡開始月日については、4月を予定

 (3) 全国調査の結果については、同じく専用ホームページで還元


(別添1)

ウエストナイル熱の早期流行予測のための烏等の死亡鳥類調査(実施要領)

厚生労働省健康局結核感染症課

1 はじめに

 1999年に初めて北米大陸に出現したウエストナイルウイルス(WNV)は、ヒトのみならず多くの鳥類、哺乳類、更には爬虫類に感染することが報告されている。中でも鳥類は感受性が高く、特にアメリカカラスに代表されるカラス科Corvidaeのトリでは死亡率も高いことが報告されている(参考1:P240参照)。これまでの疫学的研究から、カラスの死亡数動向調査は蚊やウマにおけるウイルス検出に先立って検出できることから、ウイルスの動向調査(流行予測調査)には優れた手法であることが確認されている(参考2:P245参照)。

 このことから、我が国でもその動物を対象とした調査を導入すべく、国立感染症研究所獣医科学部に依頼し、厚生労働科学研究費新興・再興感染症研究事業の一部として、ウエストナイル熱の早期流行予測を目的とした、死亡カラスのサーベイランスを東京都、神奈川県、厚生労働省検疫所等の協力のもとに構築し、試行しているところである(昨年11月より本年3月末まで)。

 本要領は、その暫定的な試行結果に基づくものである。

2 調査場所の選定

 いまだにWNVの侵入が確認されていない我が国の状況では、米国のように積極的に一般人の協力を呼びかけて情報収集する必要はないと判断される。

 そこで、指標となるカラスの生息数、飛来数の多い場所で、日常的かつ継続的な観察が可能であることを条件とし、調査対象場所(定点観測地点)の選定を行ったところ、都市部の大規模公園が適当と判断された(注1)。

(注1)研究事業では、東京都:6ヶ所、神奈川県:7ヶ所の公園等において、試行を行っている

3 調査方法

 大規模公園において、公園管理者が毎日行う巡視の際、死亡あるいは衰弱している鳥類、特にカラスについての情報(死亡羽数、衰弱羽数)を週毎に集計し、それらの公園毎の情報を自治体の担当課で取りまとめ、インターネット上のウェブサイト(下記4参照)を通じて、厚生労働省に報告する。

 特にこの調査の実施については、大規模公園を管轄する自治体部局の協力を得ることが不可欠であり、公園管理者の行う巡視の際の死亡鳥の情報収集とその結果の連絡については、その協力を得て行うものである。

4 ウェッブサイトによる情報の収集と還元

 専用ウェッブサイト(DBSR: Dead Birds Sighting Report)による報告の概略を別添2に示した。即ち、自治体の登録者(パスワード等を付与)がウェブ上で入力したデータは、データベースに蓄積されると同時に、集計表とグラフが作成され、自治体に情報が還元される。なお、データ登録とデータ閲覧は、ともにパスワード等で保護し、一般への公開は行わない。

5 データの分析と対応

 集計されたデータを、国立感染症研究所で解析し、ウエストナイル熱の早期流行予測の一助とする。万が一、疫学的にウエストナイル熱が疑われるようなカラス等の鳥類の死亡数の上昇が確認され始めた場合は、自治体担当課と厚生労働省結核感染症課で協議のうえ、検査に適する新鮮な死体を採取し、速やかにドライアイスで冷凍状態としたものを検査施設(注2)に送付し、検査を実施する。検査施設で得られた検査結果については、直ちに当該自治体及び厚生労働省結核感染症課に連絡する。

(注2)原則、自治体の衛生研究所において死亡鳥類の検査を実施することとする。

6 本調査の概要図

{図は省略}

7 その他

 調査に御協力いただける自治体については、ウェブ上でデータを入力するためのパスワード等を当方から付与いたしますので、随時、下記の問い合わせ先までご連絡下さい。

 また、調査の実施方法等についてご不明な点があれば、下記問い合わせ先までご連絡下さい。


(別添2)

1 ウェブサイトの概略図

{図は省略}

2 ウェブサイトの実際

 1) ウェブサイトにアクセスすると次のようなログイン画面となる

{図は省略}

 2) IDとパスワードを入力すると次のような画面になるので、必要な部分へ進む。

{図は省略}

 3) データの入力には専用のIDとパスワードが用意されており、許可されたもののみのアクセスとなる。入力画面は下図のとおりである。

{図は省略}

 4) 閲覧画面には表とグラフとを示すことができるよう設計されている。

{図は省略}