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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「プレーリードッグ等の輸入規制に関する検討会」の検討結果について

[場所] 
[年月日] 2003年4月15日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成15年4月15日)

(健感発第0415001号)

(農林水産省生産局畜産部衛生課長あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

 当省では、感染症法(注)第54条の規定で掲げる厚生労働大臣及び農林水産大臣の許可等に基づき、プレーリードッグを輸入する際に必要な対策を検討するため、有識者の他、貴課職員(オブザーバー)にも参加いただき、標記検討会を開催いたしました(第1回平成14年11月13日、第2回平成14年12月24日)。その検討の結果、別添の「輸入プレーリードッグのペスト安全対策に必要な要件(検討会意見)」が取りまとめられたところです。

 つきましては、貴省におかれても、感染症法に基づき、指定動物とされたプレーリードッグの輸入に関する措置の今後の検討に際しては、標記検討結果を参考にされるようお願いいたします。

 なお、第1回及び第2回検討会の検討会資料及び議事概要も同封いたします。

 (注) 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律


(別添)

輸入プレーリードッグのペスト安全対策に必要な要件(意見)

   プレーリードッグ等の輸入規制に関する検討会

 プレーリードッグの輸入に関するペスト安全対策については、下記の要件に基づき、実施されるべきである。


   記

1.輸出国における必要要件

 必要要件については、郡、州、連邦等の政府機関が証明することとする。

 1) 捕獲地における要件

  ペストが清浄と認められる地域で捕獲されることを前提とする。

  ①行政のペスト管理

   行政機関による動物、人のペストサーベイランスが実施されていること

  ②捕獲地の清浄証明

   捕獲地を中心とした半径50Kmの地域で過去5年間、動物にペストの発生が無いこと

  ③捕獲者の明示

   捕獲者の記録が必要であること

  ④捕獲地の明示

   捕獲地の記録が必要であること

  ⑤捕獲時期の明示

   捕獲時期の記録が必要であること

  ⑥ノミ等の駆除

   捕獲時にノミ等の外部寄生虫駆除が必要であること

 2) 検疫前における要件

  捕獲地から、直接輸出検疫施設に搬入しないことを前提とする。

  ①使用施設の要件

   a 使用施設の住所・所有者の明示が必要であること

   b 動物(犬、ネコ、ウサギ、げっ歯類等)の侵入防止がなされていること

   c 節足動物の侵入防止がなされていること

   d 半年間、ペストの発生がないこと

   e 施設は、定期的に外部寄生虫駆除がおこなわれていること

  ②動物の検疫準備

   a 輸出検疫時のロット構成のためのロット別管理を行うこと

   b ロット構成後に外部寄生虫の駆除をおこなうこと

  ③ロット構成期間

   検疫開始前の少なくとも3日間は、ロット構成後の新たな個体追加の禁止をすること

 3) 輸出検疫における要件

  トレーサビリティの確保及び血清学的診断による清浄性の確認を前提とする。

  ①使用施設の要件

   a 政府の認定施設とすること

   b 検疫前施設と分けること

   c 動物・節足動物の侵入防止がなされていること

  ②検疫期間

   4週間とすること

  ③個体識別

   マイクロチップとすること

  ④隔離

   他のロット動物から隔離されていること

  ⑤外部寄生虫フリー

   3週間隔で2回のノミ駆除を実施すること

   (ノミの孵卵期間は2~20日である)

  ⑥ペスト抗体検査

   輸出前一週間以内の検査で抗体陰性であること

   (血清抗体価を測定し、キャリア動物ではないことの確認を認定検査機関で実施する)

  ⑦個体別健康証明書

   輸出国政府機関獣医師による証明がなされていること

2.輸入時における必要要件

 1) 輸入空港を指定すること

 2) 証明書の確認をおこなうこと

 3) 4週間の臨床観察をおこなうこと

 4) 受益者負担を原則とすること

 5) 実際に発生した際の危機管理プランを策定すること

(参考)

輸入プレーリードッグのペスト安全対策に必要な要件(検討会意見)

必要要件    備考
(必要要件については郡、州、連邦等の機関が証明すること)
捕獲地 行政のペスト管理
捕獲地の清浄証明
 
捕獲者の明示
捕獲地の明示
ノミ等駆除
行政機関による動物、人のベストサーベイランス実施
捕獲地を中心とした半径50Kmの地域で過去5年間動物に発生無し



検疫前
要件
使用施設の要件
 
 
 
動物の検疫準備
ロット構成期間
 
(捕獲地から直接輸出検疫施設に搬入しない)
住所・所有者の明示。動物(犬、ネコ、ウサギ、げっ歯類等)
の侵入無し。節足動物の侵入なし。半年間のペストフリー。
施設の定期的な外部寄生虫駆除
ロット別管理(輸出検疫時のロット構成)。外部寄生虫の駆除
検疫開始前少なくとも3日間、ロット構成後の新たな個体追加
の禁止
輸出検
疫要件
使用施設の要件
 
検疫期間
個体識別
隔離
外部寄生虫フリー
ペスト抗体検査
個体別健康証明書
政府の認定施設。検疫前施設と分けること。動物・節足動物
の侵入なし。
4週間
Mチップ
他ロット動物からの隔離
3週間隔で2回ノミ駆除を実施(1)
輸出前一週間以内の検査で抗体陰性(2)
政府機関の保証(獣医師の証明)
輸出検
疫  
輸入空港指定
証明書確認
4週間の臨床観察
受益者負担
危機管理プラン
 

(注)

(1) ノミの孵卵期間は2~20日

(2) 血清抗体価を測定し、キャリア動物ではないことの確認を認定検査機関で実施すること。