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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律等の施行について(施行通知)

[場所] 
[年月日] 2003年11月5日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成15年11月5日)

(健発第1105002号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生労働省健康局長通知)

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律(平成15年法律第145号。以下「改正法」という。)が平成15年10月16日に公布され、一部の事項を除き、同年11月5日から施行される。

 また、改正法の施行等のため、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成15年政令第459号。以下「整備等政令」という。)が同年10月22日に、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する省令(平成15年厚生労働省令第167号。以下「整備等省令」という。)、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第54条第一号の輸入禁止地域等を定める省令の一部を改正する省令(平成15年厚生労働省令・農林水産省令第6号。以下「改正輸入禁止地域省令」という。)及び重症急性呼吸器症候群を感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第六条第六項の指定感染症として定める等の政令の施行に伴う感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第54条第一号の輸入禁止地域等を定める省令の準用に関する省令を廃止する省令(平成15年厚生労働省令・農林水産省令第7号)が同月30日に公布され、それぞれ同年11月5日に施行される。

 これらの改正の趣旨及び内容は、下記のとおりであるので、内容を十分御了知の上、関係機関等への周知を図るとともに、その実施に遺漏なきを期されたい。

 なお、この通知においては、改正法による改正後の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法をそれぞれ「感染症法」及び「検疫法」と、整備等政令による改正後の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令及び検疫法施行令をそれぞれ「感染症法施行令」及び「検疫法施行令」と、整備等省令による改正後の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則及び検疫法施行規則をそれぞれ「感染症法施行規則」及び「検疫法施行規則」と、改正輸入禁止地域省令による改正後の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第54条第一号の輸入禁止地域等を定める省令を「輸入禁止地域省令」と略称する。

 ※施行に際する通知は国立感染症研究所長、地方厚生局長、国立保健医療科学院院長、社団法人日本医師会長、社団法人日本獣医師会長にも発出された。


   記

第一 改正の趣旨

 本年3月から7月初旬にかけて、東アジアを中心に世界各国でまん延した重症急性呼吸器症候群をはじめとした海外における感染症の発生状況、国際交流の進展による人や物の移動の活発化及び迅速化、保健医療を取り巻く環境の変化に伴い、感染症対策の充実が要請されている。

 今回の改正は、こうした状況を踏まえ、国内への病原体の侵入を防止するための検疫体制の強化、緊急時における国内感染症対策の強化、ウエストナイル熱やトリ型インフルエンザ等の動物由来感染症対策の強化等について定め、総合的な感染症予防対策の推進を図るものである。


第二 改正の概要

1 感染症法関係

 (1) 獣医師等の責務

  ア 獣医師その他の獣医療関係者は、感染症の予防に関し国及び地方公共団体が講ずる施策に協力するとともに、その予防に寄与するよう努めなければならないものとしたこと。(感染症法第5条の2第1項関係)

  イ 動物等取扱業者は、動物又はその死体が感染症を人に感染させることがないように、感染症の予防に関する知識及び技術の習得、動物又はその死体の適切な管理その他の必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとしたこと。(感染症法第5条の2第2項関係)

 (2) 感染症類型の見直し

  ア 一類感染症に「重症急性呼吸器症候群(病原体がSARSコロナウイルスであるものに限る。)」(以下単に「SARS」という。)及び「痘そう」を追加することとしたこと。

  なお、SARSについては、患者は原則入院が必要であることや国内に病原体が侵入していないこと等から、一類感染症とすることとしたものであるが、病態や感染経路等が明らかになり、また、治療方法やワクチンの開発といった医療の進歩に伴い、類型の見直しが行われることがあり得るものであること。

  また、SARSについては、改正法により指定感染症から一類感染症に位置付けが変更されることに伴い、無症状病原体保有者についても患者とみなして感染症法の規定が適用されることとなるが、現在得られている医学的知見では、無症状期における他者への感染力はないとされていることから、就業制限がかかる期間を「その病原体を保有しなくなるまでの期間又はその症状が消失するまでの期間」(感染症法施行規則第11条第2項第1号)としており、当該無症状病原体保有者に対しては、就業制限及び入院勧告の対象としないよう注意されたいこと。

  併せて、SARSについての正確な知識の普及啓発に努めるとともに、万一、SARSの患者が発生した場合に当該患者が不当な差別や偏見にさらされることのないよう十分配慮されたいこと。

  痘そうについては、現在は、自然界には存在しないとされているが、テロ目的での使用が危惧されていること、痘そうによる生物テロが発生した場合には、致死率が極めて高く、人から人に強い感染力を有していること等極めて危険性が高いことから一類感染症とすることとしたものであること。(感染症法第6条第2項関係)

  イ 感染症の類型区分を見直し、既に知られている感染性の疾病であって、動物又はその死体、飲食物、衣類、寝具その他の物件を介して人に感染し、国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるものを「四類感染症」とし、別表第1に掲げる30疾病を定めたこと。

  また、既に知られている感染症の疾病(四類感染症を除く。)であって、国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるものを「五類感染症」とし、別表第2に掲げる42疾病を定めたこと。(感染症法第6条第5項及び第6項、感染症法施行令第1条並びに感染症法施行規則第1条関係)

 (3) 基本指針及び予防計画

  厚生労働大臣の定める基本指針及び都道府県知事の定める予防計画について、緊急時における感染症の予防及びまん延の防止並びに医療の提供のための施策等に関する事項を定めることとしたこと。(感染症法第9条及び第10条関係)

  なお、今回の改正を踏まえた基本指針の改正を行うこととしており、これについては、追って告示すること。また、各都道府県においては、予防計画について、基本指針の改正を踏まえた必要な見直しを行う必要があるものであること。

 (4) 医師の届出(全数把握)

  四類感染症の患者及び無症状病原体保有者について、医師はこれらの者を診断したときは、直ちに都道府県知事等(都道府県知事、保健所設置市長及び特別区の長をいう。以下同じ。)に届け出なければならないこと。(感染症法第12条第1項第1号関係)

  また、別表第3に掲げる厚生労働省令で定める五類感染症の患者及び厚生労働省令で定める五類感染症の無症状病原体保有者について、医師はこれらの者を診断したときは、7日以内に届け出なければならないこと。(感染症法第12条第1項第2号並びに感染症法施行規則第4条第3項及び第4項関係)

 (5) 指定届出機関の届出(定点把握)

  開設者の同意を得て都道府県知事が指定した医療機関の管理者は、厚生労働省令で定める五類感染症の患者を診断したときは、都道府県知事等に届け出なければならないこととし、当該五類感染症及び指定届出機関の指定区分を別表第4のとおりとすること。(感染症法第14条及び感染症法施行規則第6条関係)

 (6) 獣医師の届出

  従前から届出の対象とされている一類感染症、二類感染症及び三類感染症に加え、四類感染症についても政令で定める感染症ごとに当該感染症を人に感染させるおそれが高いものとして政令で定める動物について、獣医師は、当該感染症にかかっていると診断したときは、直ちに都道府県知事等に届け出なければならないこと。

  なお、SARSを一類感染症とすることに伴い、改めてSARSを感染症法第13条第1項に基づく獣医師の届出対象疾病とするとともに、イタチアナグマ、タヌキ及びハクビシンを届出対象動物とすることとしたこと。(感染症法第13条第1項)

 (7) 積極的疫学調査

  ア 感染症法第15条の積極的疫学調査の対象者に、感染症を人に感染させるおそれがある動物並びにその死体の所有者及び管理者を明示することとしたこと。

  なお、地方公共団体がカラス、蚊等の媒介動物に関して病原体の有無を確認する調査を行っているが、当該調査についても積極的疫学調査と解して差し支えないこと。(感染症法第15条第1項及び第3項関係)

  イ 厚生労働大臣は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、当該職員に一類感染症、二類感染症、三類感染症、四類感染症若しくは五類感染症の患者、疑似症患者及び無症状病原体保有者、新感染症の所見がある者又は感染症を人に感染させるおそれがある動物若しくはその死体の所有者若しくは管理者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができることとしたこと。(感染症法第15条第2項関係)

  ウ 都道府県知事等は、感染症法第15条第1項の規定を実施するため特に必要があると認めるときは、他の都道府県知事等又は厚生労働大臣に感染症の治療の方法の研究、感染症の病原体の検査その他の感染症に関する試験研究又は検査を行っている機関の職員の派遣その他同項の規定による質問又は必要な調査を実施するため必要な協力を求めることができることとしたこと。(感染症法第15条第6項関係)

 (8) 検疫所長との連携

  ア 都道府県知事等は、検疫法第18条第3項の規定により検疫所長から健康状態に異状を生じた者に対し指示した事項等の通知を受けたときは、当該都道府県等(都道府県、保健所設置市及び特別区をいう。以下同じ。)の職員に、当該健康状態に異状を生じた者その他の関係者に質問させ、又は必要な調査をさせることができることとしたこと。(感染症法第15条の2第1項及び感染症法施行規則第9条の2関係)

  イ 都道府県知事等は、アにより実施された質問又は必要な調査の結果のうち、感染原因等、感染症のまん延の状況その他の事情を考慮して重要と認めるものについて厚生労働大臣に報告しなければならないこととしたこと。(感染症法第15条の2第2項及び感染症法施行規則第9条の3関係)

 (9) 都道府県等による消毒等の措置の実施

  都道府県知事等は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該都道府県等の職員に感染症法第27条の感染症の病原体に汚染された場所の消毒、第28条のねずみ族、昆虫等の駆除及び第29条の物件に係る措置(以下「消毒等の措置」という。)を実施させることができることとするとともに、消毒等の措置が採れる対象疾病として四類感染症を追加することとしたこと。(感染症法第27条から第29条までの規定関係)

 (10) 質問及び調査

  感染症法第35条の質問及び調査の対象に、感染症を人に感染させるおそれがある動物がいる場所及びいた場所並びに感染症により死亡した動物の死体がある場所及びあった場所を明示することとしたこと。(感染症法第35条関係)

 (11) 新感染症に係る厚生労働大臣の指示

  ア 厚生労働大臣は、新感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事等に対し、新感染症について都道府県知事等が行う事務に関し必要な指示をすることができることとしたこと。(感染症法第51条の2第1項関係)

  イ 厚生労働大臣は、都道府県知事等に対して指示をしようとするときは、厚生科学審議会の意見を聴かなければならないこととしたこと。ただし、緊急を要する場合で、あらかじめ、厚生科学審議会の意見を聴くいとまがないときは、この限りでないこととし、その場合には、厚生労働大臣は、速やかに、その指示した措置について厚生科学審議会に報告しなければならないこととしたこと。(感染症法第51条の2第2項及び第3項関係)

 (12) 厚生労働大臣の指示

  厚生労働大臣は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、都道府県知事等に対し、都道府県知事等が行う事務(新感染症に係る事務を除く。)に関し必要な指示をすることができることとしたこと。(感染症法第63条の2関係)

 (13) 指定動物の輸入禁止

  輸入禁止又は輸入検疫の対象として政令で定める動物(以下「指定動物」という。)について、これらの動物は国内に常在しないことも考えられることから、指定動物の範囲を感染症法第13条第1項の獣医師の届出対象となる動物のうち政令で定めるものから、感染症を人に感染させるおそれが高いものとして政令で定めるものと改めることとしたこと。

  また、SARSを一類感染症とすることに伴い、改めてSARSを人に感染させるおそれが高いものとしてイタチアナグマ、タヌキ及びハクビシンを改めて指定動物とし、すべての地域からの輸入を禁止することとしたこと。

  なお、リッサウイルス感染症、ニパウイルス感染症等を人に感染させるおそれが高いものとしてコウモリを、ラッサ熱を人に感染させるおそれが高いものとしてヤワゲネズミ(英名:マストミス)を指定動物とし、すべての地域からの輸入を禁止することとしたこと。(感染症法第54条、感染症法施行令第7条及び新輸入禁止地域省令第1条関係)

 (14) 輸入届出

  ア 制度

  動物(指定動物を除く。)のうち感染症を人に感染させるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるもの又は動物の死体のうち感染症を人に感染させるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるもの(以下「届出動物等」という。)を輸入しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該届出動物等の種類、数量その他厚生労働省令で定める事項を記載した届出書を厚生労働大臣に提出しなければならないこととすること。この場合において、当該届出書には、輸出国における検査の結果、届出動物等ごとに厚生労働省令で定める感染症にかかっていない旨又はかかっている疑いがない旨その他厚生労働省令で定める事項を記載した輸出国の政府機関により発行された証明書又はその写しを添付しなければならないこととすること。(感染症法第56条の2関係)

  イ 施行期日

  動物の輸入届出の制度については、改正法の公布の日(平成15年10月16日)から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしたこと。

 (15) 事務の区分

  感染症法第38条(第1項を除く。)の規定により都道府県が処理することとされている感染症指定医療機関に係る事務を地方自治法第2条第9項第1号に規定する第一号法定受託事務とすることとしたこと。(感染症法第65条の2関係)

 (16) 罰則

  (8)のアの質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又は調査を拒み、妨げ若しくは忌避した者についての罰則を設けるとともに、罰金の額について必要な引き上げを行うこととしたほか、指定動物の輸入禁止等に係る違反行為について、両罰規定を設けることとしたこと。(感染症法第67条から第70条までの規定関係)

2 検疫法関係

 (1) 検疫感染症

  ア 検疫感染症の追加

  検疫感染症に、国内に常在しない感染症のうちその病原体が国内に侵入することを防止するためその病原体の有無に関する検査が必要なものとして政令で定めるものを追加することとし、この政令で定める検疫感染症としてデング熱及びマラリアを定めることとしたこと。(検疫法第2条第4号及び検疫法施行令第1条関係)

  また、SARS及び痘そうについて、感染症法の一類感染症への追加に伴い、検疫法第2条第一号に掲げる検疫感染症として追加されることとなること。

  イ SARS及び痘そうの停留の期間

  SARS及び痘そうの停留の期間は、次のとおりとすることとしたこと。(検疫法施行令第1条の3関係)

   ・SARS 240時間

   ・痘そう 408時間

  ウ 追加する検疫感染症の仮検疫済証に付する期間

  仮検疫済証に付する期間は、次のとおりとすることとしたこと。(検疫法施行規則第6条第2項関係)

   ・SARS及び痘そう それぞれイに定める期間

   ・デング熱 336時間

   ・マラリア 672時間

  エ 検疫港以外の港における検疫

  アの政令で定める検疫感染症の流行地域については、法第21条第1項第一号の検疫港以外の港における検疫を行うことができない検疫感染症の流行地域から除外することとしたこと。(検疫法施行規則第7条の2関係)

  オ 申請による検査等手数料

  痘そう、デング熱及びマラリアについての検疫法第26条に基づく船舶又は航空機の所有者又は長の申請による人又は貨物に対する検疫感染症の病原体の有無に関する検査手数料は、次のとおりとすることとしたこと。

  なお、SARSに係る検査手数料については、現時点では短期間で病原体の有無を検査を行う方法がないため、当面、第26条に基づく検査は実施しないこととし、その金額は定めないこととしていること。(検疫法施行令第2条及び別表第2関係)

   ・痘そう  1件につき 2,900円

   ・デング熱 1件につき 2,400円

   ・マラリア 1件につき 1,800円

 (2) 検疫感染症に感染したおそれのある者の入国後の健康状態の確認

  ア 検疫所長への報告等

  仮検疫済証が交付された場合において、検疫所長は、検疫感染症の病原体に感染したおそれのある者で停留されないものに対し、①旅券の呈示を求め、②当該者の国内における居所及び連絡先、氏名、年齢、性別、国籍、職業並びに旅行の日程並びに当該者が検疫感染症の病原体に感染したことが疑われる場所について報告を求め、③一定の期間内において当該者の体温その他の健康状態について報告を求め、若しくは質問を行い、又は検疫官をしてこれらを行わせることができることとしたこと。(検疫法第18条第2項及び検疫法施行規則第6条の2関係)

  イ 都道府県知事等との連携

  検疫所長は、アによる報告又は質問の結果、健康状態に異状を生じた者を確認したときは、当該者に対し、保健所その他の医療機関において診察を受けるべき旨その他検疫感染症の予防上必要な事項を指示するとともに、当該者の居所の所在地を管轄する都道府県知事等に、当該者の健康状態及び当該指示した事項並びにアにより報告を求めた事項を通知しなければならないこととしたこと。(検疫法第18条第3項及び検疫法施行規則第6条の3関係)

  なお、その他何らかの症状を呈しているが停留しなかった者について、検疫所において従来より保健所その他の医療機関において診察を受けるべき旨その他必要な指示を行うとともに、都道府県知事等に対して必要な情報提供を実施してきたところであり、これらについては当該者に対する適切な医療の提供及び国内感染症対策との連携という観点から引き続き実施するものであること。

 (3) 四類感染症についての応急措置等

  感染症法の四類感染症について、検疫法第24条の応急措置及び検疫法第26条の2の検疫感染症以外の感染症のうち政令で定める感染症に関する診察等の措置の対象とすることとしたこと。(検疫法第26条の2関係)

 (4) 新感染症に係る措置

  厚生労働大臣は、外国に新感染症が発生した場合において、当該新感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、検疫所長に、当該新感染症にかかつていると疑われる者に対する診察を行わせることができるものとすること。この場合において、検疫所長は、検疫官をして当該診察を行わせることができるものとすること。(検疫法第34条の2第1項関係)

 (5) 罰則

  (2)のアの旅券の呈示をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは質問に対し、答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者及び(4)の診察を拒み、妨げ、又は忌避した者についての罰則を設けるとともに、罰金の額について必要な引き上げを行うこととしたこと。(検疫法第35条から第39条までの規定関係)

3 法令の廃止

 次に掲げる法令は廃止することとしたこと。

  ・ 重症急性呼吸器症候群を感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第6項の指定感染症として定める等の政令(平成15年政令第304号)

  ・ 重症急性呼吸器症候群を検疫法第34条の感染症の種類として指定する等の政令(平成15年政令第305号)

  ・ 重症急性呼吸器症候群を感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第6項の指定感染症として定める等の政令の施行に伴う感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の準用に関する省令(平成15年厚生労働省令第120号)

  ・ 重症急性呼吸器症候群を検疫法第34条の感染症の種類として指定する等の政令の施行に伴う検疫法施行規則の準用に関する省令(平成15年厚生労働省令第121号)

  ・ 重症急性呼吸器症候群を感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第6項の指定感染症として定める等の政令の施行に伴う感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第54条第一号の輸入禁止地域等を定める省令の準用に関する省令(平成15年厚生労働省令・農林水産省令第3号)

4 施行期日等

 (1) これらは、第2の1の(14)を除き、公布の日から起算して20日を経過した日(平成15年11月5日)から施行することとしたこと。

 (2) これらの施行に必要な経過措置を定めるとともに、関係法令について所要の規定の整備を行うこととしたこと。


第三 その他の留意事項

 感染症法第24条に規定する感染症の診査に関する協議会については、同条に規定する要件を満たしていれば、各都道府県等に設置されている他の審議会等と統合して設置して差し支えないものであること。


別表第1 四類感染症

 E型肝炎、ウエストナイル熱、A型肝炎、エキノコックス症、黄熱、オウム病、回帰熱、Q熱、狂犬病、高病原性鳥インフルエンザ、コクシジオイデス症、サル痘、腎症候性出血熱、炭疽、つつが虫病、デング熱、ニパウイルス感染症、日本紅斑熱、日本脳炎、ハンタウイルス肺症候群、Bウイルス病、ブルセラ症、発しんチフス、ボツリヌス症、マラリア、野兎病、ライム病、リッサウイルス感染症、レジオネラ症、レプトスピラ症

 ※ 下線は今回の改正で追加又は改正されたもの。


別表第2 五類感染症

 アメーバ赤痢、RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、インフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザを除く。)、ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く。)、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、急性出血性結膜炎、急性脳炎(ウェストナイル脳炎及び日本脳炎を除く。)、クラミジア肺炎(オウム病を除く。)、クリプトスポリジウム症、クロイツフェルト・ヤコブ病、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、後天性免疫不全症候群、細菌性髄膜炎、ジアルジア症、水痘、髄膜炎菌性髄膜炎、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、先天性風しん症候群、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、梅毒、破傷風、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症、バンコマイシン耐性腸球菌感染症、百日咳、風しん、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、ヘルパンギーナ、マイコプラズマ肺炎、麻しん、無菌性髄膜炎、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、薬剤耐性緑膿菌感染症、流行性角結膜炎、流行性耳下腺炎、淋菌感染症

 ※ 下線は今回の改正で追加又は改正されたもの。


別表第3 全数把握対象五類感染症

 アメーバ赤痢、ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く。)、急性脳炎(ウエストナイル脳炎及び日本脳炎を除く。)、クリプトスポリジウム症、クロイツフェルト・ヤコブ病、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、後天性免疫不全症候群(無症状病原体保有者を含む。)、ジアルジア症、髄膜炎菌性髄膜炎、先天性風しん症候群、梅毒(無症状病原体保有者を含む。)、破傷風、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症、バンコマイシン耐性腸球菌感染症

 ※ 下線は今回の改正で追加又は改正されたもの。


別表第4 定点把握対象五類感染症及び指定届出機関の指定区分


定点把握対象の五類感染症 指定届出機関の指定区分
一 RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、感染性胃腸炎、水痘、手足口病、伝染性紅斑、突発性発しん、百日咳、風しん、ヘルパンギーナ、麻しん(成人麻しんを除く。)、流行性耳下腺炎 診療科名中に小児科を含む病院又は診療所
二 インフルエンザ(高病原性鳥インフルエンザを除く。) 診療科名中に内科又は小児科を含む病院又は診療所
三 急性出血性結膜炎、流行性角結膜炎 診療科名に眼科を含む病院又は診療所
四 性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ及び淋菌感染症 診療科名中に産婦人科若しくは産科若しくは婦人科、性病科又は泌尿器科を含む病院又は診療所
五 クラミジア肺炎(オウム病を除く。)、細菌性髄膜炎、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症、マイコプラズマ肺炎、成人麻しん、無菌性髄膜炎、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症及び薬剤耐性緑膿菌感染症 患者を300人以上収容する施設を有する病院であって、その診療科名中に内科及び外科を含むもの


※ 下線は今回の改正で追加又は改正されたもの。