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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 動物由来感染症予防体制整備事業の実施に伴う留意事項等について

[場所] 
[年月日] 2004年5月27日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成16年5月27日)

(健感発第0527001号)

(各都道府県・各政令市衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)

 昨年11月の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下、「感染症法」という。)の改正により新たに、獣医師、動物等取扱業者等の責務規定の創設(第5条の2)、感染症の発生の状況、動向及び原因の調査のための動物等の調査規定の明示(第15条)、対物措置(動物、節足動物等も対象として含む。)の対象とする疾患の拡充(第27条、第28条、第29条、第35条)等が規定され、動物由来感染症対策の強化が図られたところであり、また、同法第9条第1項に基づく「感染症の予防の総合的な推進を図るための基本的な指針」においても、国民の果たすべき役割(第1.六)、獣医師等の果たすべき役割(第1.八)、動物由来感染症対策(第11.四.2、3、4、5)等が新たに示されたところである。

 貴職におかれては、感染症法改正により動物由来感染症対策の一層の強化が図られたことに留意の上、本事業を普及啓発、情報収集・提供体制整備等に活用頂くとともに、感染症発生動向調査事業による調査等を積極的に行い、動物由来感染症対策の推進にご協力頂きたい。

 なお、今般の感染症法の改正を踏まえ、平成11年4月15日健発第0415001号厚生労働省健康局長通知の別紙「動物由来感染症予防体制整備事業実施要綱」が改正されたので、下記の事項に留意のうえ、事業実施に遺漏なきよう願いたい。

 また、本事業の実施にあたっては、厚生労働省健康局長より社団法人日本医師会及び社団法人日本獣医師会に対し協力を依頼しているので当該団体等関係機関と連携し、事業の円滑な実施を図られたい


   記

1.動物由来感染症に関する研修、普及啓発について

 地域住民に対する動物由来感染症に関する正しい知識の普及啓発のほか、感染症法の改正の趣旨を踏まえた獣医師、動物等取扱業者等に対する周知徹底など、動物由来感染症に関する普及・啓発事業に遺漏なきよう願いたい。

2.動物由来感染症に関する情報収集・分析・提供体制の整備について

 動物由来感染症の疫学情報の収集のための調査項目の選定等については、情報関連体制整備検討会において、感染症法第15条に基づく調査としての必要性を十分に検討のうえ、実施されたい。

 また、検体採集にあたっては、動物の場合にはその所有者、人の場合には対象者に対し、十分なインフォームド・コンセントを実施し、同意を得た上でそれぞれ獣医師、医師が行うことし、その取扱については十分留意すること。

3.対応計画の策定及び連携体制の整備について

 発生時対応計画、マニュアル等の作成にあたっては、関係機関で共有し、連携体制を確保するとともに、必要に応じ内容の見直しを行うことが出来るような体制づくりに努められたい。

4.国庫補助等について

 今般の実施要綱の改正により、従来、病原体保有状況調査、採材・検査等に関する経費については、疾病予防対策事業費等補助金の動物由来感染症予防体制整備事業として国庫補助を行っていたところであるが、動物由来感染症に関する積極的疫学調査(実施要綱の改正前に行っていた緊急調査を含む。)については、感染症法第15条に基づく調査として実施されることとなったため、保健事業費等国庫負担(補助)金の感染症発生動向調査事業により補助を行うこととなった点について留意されたい。

5.その他

 感染源動物の発生動向調査の体制整備については、厚生科学審議会感染症分科会のとりまとめた提言「感染症対策の見直しについて」を踏まえ、現在検討を行っており、政省令の改正を予定していることを申し添える。


動物由来感染症対策に係る補助事業について

(事業内容と費用負担区分)

{図は省略}