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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 「HIV検査の実施について」の改廃について(HIV抗体検査に係る迅速な検査方法の導入等)

[場所] 
[年月日] 2004年10月29日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成16年10月29日)

(健疾感発第1029004号)

(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局疾病対策課長通知)

 標記については、平成5年7月13日健医感発第78号厚生省保健医療局エイズ結核感染症課長通知「HIV検査の実施について」により指導されてきたところである。

 今般、平成16年10月21日に開催された第99回エイズ動向委員会において、新規HIV感染者数及び新規エイズ患者数の報告がなされ、いずれも、四半期の報告としては過去最高の209件及び126件となり、特に、新規エイズ患者数の増加が顕著であることに鑑み、利用者の利便性(時間帯等)に配慮した検査・相談事業を推進すること、積極的に迅速検査を導入していくこと等により、HIV感染の早期発見による早期治療と感染拡大の抑制に努めることが必要であるとの認識が示されたところである。

 貴職におかれては、上記のエイズ動向委員会の報告に鑑み、利用者の利便性に配慮した、より適切な検査相談体制の充実のため、地域の実情に対応して、検査・相談の実施時間帯の設定や迅速な検査方法の導入などの工夫を図るようお願いする。

 ※ 迅速検査の実施に際しては、平成16年3月に厚生労働省科学研究費補助金による研究班(HIV検査体制の構築に関する研究)による「保健所等におけるHIV即日検査のガイドライン」が、既に都道府県等、各保健所及びエイズ治療拠点病院に送達しているところであるので参考とされたい。

 併せて、医療機関におけるHIV検査実施に当たり留意事項として、「利用者の利便性に配慮し、迅速な検査方法の導入等についても留意しながら、より適切な検査体制の充実に努めること。」を追加することとし、下記のとおり新たに定め、実施することとしたのでご承知おきいただくとともに、管内医療関係者その他関係機関等に対する周知方よろしくお願いする。

 なお、本通知は本年10月29日より適用し、平成5年7月13日健医感発第78号厚生省保健医療局エイズ結核感染症課長通知「HIV検査の実施について」は廃止する。


   記

1 HIV検査実施に対する基本的な考え方

 HIV抗体検査の実施に当たっては、人権保護の観点から、本人の同意を得て検査を行うこと。また、検査結果の取扱いについてはプライバシーの保護に十分配慮すること。

2 医療機関におけるHIV検査実施について

  患者に対する検査実施に当たっては以下の点に十分配慮すること。

 (1) 患者本人の同意を得ること。

  観血的処置を行う場合において医療機関内感染防止を主たる目的としてHIV検査を実施する場合にも、患者の同意が必要であること。

  患者本人が意識不明である等により同意がとれない状況においては、医師の判断によってHIV検査を実施することも認められる。小児患者に対してHIV検査を実施する場合には、保護者の同意を得て行う。

  なお、HIV検査の実施に当たって患者の同意が得られない場合には、HIVに感染している可能性があることを前提として対応する。

 (2) 検査前及び検査後の保健指導あるいはカウンセリングがなされること。

 (3) 結果についてプライバシーが守られること。

 (4) HIVに感染していることが判明した患者・感染者に対して、検査を実施した医療機関において適切な医療が提供されること。やむを得ず検査を実施した医療機関において対処できない場合には、他の適切な医療機関へ確実に紹介すること。

  なお、各都道府県においては、エイズ治療体制の整備に努めること。

 (5) 利用者の利便性に配慮し、迅速な検査方法の導入等についても留意しながら、より適切な検査体制の充実に努めること。

  妊婦に対してHIV検査を実施する場合には、検査前後のカウンセリングが特に重要となる。また、検査結果についてはプライバシー保護の観点から母子健康手帳に記載しないこと。

3 医療従事者に対する検査実施について

医療従事者のHIV検査の実施に当たっては、あくまでも本人の同意のもとに任意で行い、結果についてのプライバシーの保護に十分配慮すること。

4 就学時、就職時のHIV検査の実施について

HIVは日常生活においては感染しないことから、就学時、就職時のHIV検査は実施しないこと。