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日本政治・国際関係データベース
政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 先天性血液凝固因子障害等治療研究事業の実施について

[場所] 
[年月日] 2005年4月1日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成17年4月1日)

(健疾発第0401003号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局疾病対策課長通知)

 標記については、平成元年7月24日健医発第896号厚生省保健医療局長通知「先天性血液凝固因子障害等治療研究事業について」の別紙「先天性血液凝固因子障害等治療研究事業実施要綱」により行われているところであるが、事業のより一層の適正化を図るため、本事業の実施については下記の事項に留意の上、円滑に実施されるようお願いする。

 なお、本通知は平成17年4月1日より適用し、平成14年12月19日1219001号厚生労働省健康局疾病対策課長通知「先天性血液凝固因子障害等治療研究事業の実施について」は同日付け廃止する。


   記

1 対象疾患について

  実施要綱第3の「先天性血液凝固因子欠乏症」の範囲については以下のとおりとする。

  ・ 第Ⅰ因子(フィブリノゲン)欠乏症

  ・ 第Ⅱ因子(プロトロンビン)欠乏症

  ・ 第Ⅴ因子(不安定因子)欠乏症

  ・ 第Ⅶ因子(安定因子)欠乏症

  ・ 第Ⅷ因子欠乏症(血友病A)

  ・ 第Ⅸ因子欠乏症(血友病B)

  ・ 第Ⅹ因子(スチューアートプラウア)欠乏症

  ・ 第ⅩⅠ因子(PTA)欠乏症

  ・ 第ⅩⅡ因子(ヘイグマン因子)欠乏症

  ・ 第ⅩⅢ因子(フィブリン安定化因子)欠乏症

  ・ von willebrand(フォン・ヴィルブランド)病

2 治療研究事業の実施方法について

 (1) 医療費公費負担受給の申請

  ア 先天性血液凝固因子障害等治療研究事業(以下「事業」という。)の実施は、先天性血液凝固因子障害等患者、その保護者又は代理人(患者による委任状を所持する者に限る。)(以下「申請者」という。)からの申請に基づき行うこと。

  イ 申請者は、「先天性血液凝固因子障害等医療受給者証交付申請書」(以下「申請書」という。)(別添様式1)に次の書類を添えて都道府県知事に提出すること。

   なお、申請書の提出方法については、郵送によることも可能とし、郵送の際には、簡易書留等の配達されたことが証明できる方法とすること。

   ① 医師の診断書(血液凝固因子製剤の投与に起因するHIV感染症の患者を除く。)

   ② 住民票又は住所が確認できる健康保険証等の写し

   ③ 特定疾病療養受療証の写し(先天性血液凝固第Ⅷ因子欠乏症(血友病A)、第Ⅸ因子欠乏症(血友病B)及び血液凝固因子製剤の投与に起因するHIV感染症の患者に限る。)

   ④ 裁判による和解調書の抄本であって申請に係る者が血液凝固因子製剤に起因するHIV感染者であることが確認できる書類(裁判所により交付されたものに限る。)又は(財)友愛福祉財団が実施する「血液製剤によるエイズ患者等のための救済事業」の対象者(遺族見舞金、遺族一時金及び葬祭科に係る者を除く。)、「血液製剤によるエイズ患者等のための健康管理支援事業」の対象者又は「エイズ発症予防に資するための血液製剤によるHIV感染者の調査研究事業」の対象者であることが示された医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構により交付された通知書の写し。(血液凝固因子製剤の投与に起因するHIV感染症の患者に限る。)

 (2) 申請書の審査及び受給者証の交付

  ア 都道府県知事は、申請者から申請書を受理したときは、できるだけ速やかに先天性血液凝固因子障害等対策協議会の意見を聴取するなどその内容を審査し、決定したときは、「先天性血液凝固因子障害等医療受給者証」(以下「受給者証」という。)(別添様式2)を申請者に交付すること。なお、申請者が郵送による受給者証の交付を希望する場合には、申請書の欄外に郵送を希望する旨を記載させるとともに、申請書類として申請者の宛先を記した封筒を添付させること。

  イ ただし、申請者から(1)イ④による書類の提出があった場合には、当該申請に係る者は、本事業の対象者に該当するものとして取り扱うものとし、先天性血液凝固因子障害等対策協議会の意見の聴取は行わないこと。

   この場合において、当該申請に係る者が20歳未満であっても、本事業の対象患者として取り扱い、申請者に受給者証を交付すること。

  ウ 受給者の氏名、住所、加入している健康保険などの種類、あるいは医療機関などが変更したときは、その都度変更届を提出させ、受給者が死亡などで受給者の資格がなくなったとき、または他の都道府県に転出したときは、遅滞なく受給者証の返還を求めるなど適切な処理をすること。

 (3) 受給者証の有効期間及び更新

  同一患者につき1年を限度とする。ただし、必要と認められる場合は、その期間を更新できるものとする。

  ア 新規

   新規に受給者証を交付する際の有効期間は、申請書の受理日から事業を開始できるものとし、事業の終期は当該年度の3月31日とする。

   ただし、新規の交付申請が更新年度の4月1日から見て比較的短期間(概ね3ヵ月以内)であるときは、当該申請をもって改めて翌年度の4月1日を始期とした1年間有効の受給者証を交付して差し支えないこと。

  イ 更新

   受給者が受給者証の有効期間内に更新を申し出たときの更新手続きについては、(1)及び(2)によるものとし、この場合の受給者証の有効期間は4月1日から翌年の3月31日までとする。

   なお、更新手続きが有効期間満了後1年以内に行われた場合は、更新の交付申請書受理日の属する月の初日から有効とする。

 (4) 医療機関の選定

  都道府県知事は、事業を行うに適当と認められる医療機関と委託契約を締結すること。委託契約の締結に当たっては、患者の受療機会を確保する観点から、可能な限り多くの医療機関を選定するよう努めること。

 (5) 医療機関との協力

  都道府県知事は、(2)アにより受給者証を交付したときは、当該受給者証に記載されている医療機関に対し、その旨通知するとともに医療費の支払など必要な事務処理を図らなければならないこと。

  なお、当該事務手続の方法などについては、あらかじめ地区医師会などと十分協議し、受療が円滑に行われるよう努めなければならないこと。

3 先天性血液凝固因子障害等治療費の請求及び支払

 (1) 医療機関が請求する場合

  ア 都道府県知事は、先天性血液凝固因子障害等治療費の審査、支払事務を審査支払機関に委託することにより、事業の円滑な運用を図ること。

  イ 医療機関(1の(4)により契約している医療機関)は、都道府県知事が先天性血液凝固因子障害等治療費の審査、支払事務を委託した審査支払機関に対して、医療保険分等と併せて審査支払機関に対し診療報酬請求書(明細書)を提出すること。

 (2) 先天性血液凝固因子障害等治療費の支払

  都道府県知事は、審査支払機関からの請求に基づいて先天性血液凝固因子障害等治療費の額を決定し、当該審査支払機関に支払うこと。

  その支払方法は審査支払機関から医療機関への支払を勘案して概算払いの方法をとるなど、各々委託契約の際定めること。

 (3) 申請者が請求する場合

  ア 受給者証の交付を受けた患者が、やむを得ない事情などにより、受給者証に記載されていない医療機関において受療したとき、または医療機関の窓口で受給者証を提出しないで自己負担分を支払って受療した場合等は、当該医療機関等の証明を付した「先天性血液凝固因子障害等療養費請求書」(別添様式3)により申請者が直接、都道府県知事あて請求すること。

  イ 新規に受給者証の交付の申請を行った患者が、当該申請の受理日以降で受給者証の交付を受ける前に当該申請に係る疾患に関する医療を受けたため、医療機関の窓口で自己負担分を支払った場合等も別添様式3の患者の請求により当該自己負担相当額を支給できるものとすること。

4 報告について

 治療研究費及び対象患者数の内訳について、別添様式4により、年度毎に取りまとめの上、翌年度5月末日までに当職あて報告するものとする。

5 当該治療研究事業の適正な実施に係る留意事項について

 (1) 先天性血液凝固第Ⅷ因子欠乏症(血友病A)、第Ⅸ因子欠乏症(血友病B)及び抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群(HIV感染を含み、厚生労働大臣の定める者に係るものに限る。)の患者については、高額療養費制度の特定疾患に係る特例により自己負担限度額が1万円となっている。

  この特例の適用を受けるには、被保険者から保険者への申請による「特定疾病療養受療証」の発行及び当該受療証の医療機関での提示をもって適用されることとなるため、当該治療研究事業への新規申請及び更新時においては、当該受療証を確認した上で、その旨を該当する申請者等に十分説明し、適正な事業の執行に努められたい。

  なお、特定疾病療養受療証の交付申請における疾病名及び特定疾病療養受療証における認定疾病名については、「血漿分画製剤を投与している先天性血液凝固第Ⅷ因子障害又は先天性血液凝固第Ⅸ因子障害等」と記入すること等の配慮がなされていることを申し添える。

 (2) 治療研究事業の対象となる医療は、先天性血液凝固因子欠乏症及び血液凝固因子製剤の投与に起因するHIV感染症並びに当該疾患に付随して発現する傷病に対する医療であること。

 (3) 当該治療研究事業の実施に関連して知り得た事実や個人情報の取扱いについては、従来から特に留意するようお願いしているところであるが、引き続き万全を期すよう、関係者に対しての周知徹底を図ること。