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政策研究大学院大学・東京大学東洋文化研究所

[文書名] 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律等の施行について(施行通知)

[場所] 
[年月日] 2007年3月29日
[出典] 厚生労働省
[備考] 
[全文] 

(平成19年3月29日)

(健発第0329005号)

(各都道府県知事・各政令市長・各特別区長あて厚生労働省健康局長通知)

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律(平成18年法律第106号。以下「改正法」という。)の一部が平成19年4月1日に施行される。

 また、改正法の施行等のため、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(平成19年政令第43号)及び感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成19年政令第44号。以下「整備等政令」という。)が本年3月9日に、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備等に関する省令(平成19年厚生労働省令第26号。以下「整備等省令」という。)が3月23日にそれぞれ公布され、その一部が4月1日に施行される。

 これらの改正の趣旨及び内容は、下記のとおりであるので、内容を十分御了知の上、関係機関等への周知を図るとともに、その実施に遺憾なきを期されたい。

 なお、この通知においては、改正法による改正後の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)、予防接種法(昭和23年法律第68号)及び検疫法(昭和26年法律第201号)をそれぞれ「法」、「予防接種法」及び「検疫法」と、整備等政令による改正後の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令(平成10年政令第420号)、インフルエンザ(H五N―)を指定感染症として定める等の政令(平成18年政令第108号)、予防接種法施行令(昭和23年政令第197号)及び検疫法施行令(昭和26年政令第377号)をそれぞれ「令」、「指定政令」、「予防接種施行令」及び「検疫施行令」と、整備等政令による廃止前の結核予防法施行令を「旧結核施行令」と、整備等省令による改正後の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則(平成10年厚生省令第99号)、予防接種法施行規則(昭和23年厚生省令第36号)、予防接種実施規則(昭和33年厚生省令第27号)及び検疫法施行規則(昭和26年厚生省令第53号)をそれぞれ「規則」、「予防接種施行規則」、「予防接種実施規則」及び「検疫規則」と、整備等省令による廃止前の結核予防法施行規則を「旧結核規則」と略称する。


   記

第1 改正の趣旨

 最近の海外における感染症の発生の状況、保健医療を取り巻く環境の変化等を踏まえ、総合的な感染症予防対策を推進するため、入院、検疫等の措置の対象となる感染症の種類を見直すほか、入院等の措置に際しての患者への説明等の手続に関する規定を設け、あわせて結核の予防等の施策に関する規定を整備する等の措置を講ずるものであること。


第2 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部改正

1 基本理念

 基本理念に、感染症の発生の予防及びそのまん延の防止を日的として国及び地方公共団体が講ずる施策は、国際的動向を踏まえるとともに、人権を尊重しつつ推進されることを明記すること。(法第2条関係)

2 関係者の責務

 (1) 国及び地方公共団体の責務

  国及び地方公共団体は、社会福祉等の関連施策との有機的な連携に配慮するとともに、地域の特性に配慮しつつ相互に連携を図ること等を明記すること。(法第3条関係)

 (2) 医師等の責務

  その他の医療関係者は、医療について適切な説明を行い、患者等の理解を得るよう努めるとともに、病原体等の検査を行っている機関は、感染症の発生又はまん延を防止するための必要な措置を講ずるよう努めなければならないものとすること。(法第5条関係)

3 定義

 (1) 感染症の類型

  イ 一類感染症に南米出血熱を追加し、重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。以下「重症急性呼吸器症候群」という。)を一類感染症から二類感染症に見直すこと。(法第6条第2項及び第3項関係)

  ロ 二類感染症に結核を追加し、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス及びパラチフスを二類感染症から三類感染症に見直すこと。これにより、コレラ、細菌性赤痢、腸チフス及びパラチフスの患者は、法第37条第1項に基づき都道府県知事が行う医療費負担の対象ではなくなること。(法第6条第3項及び第4項関係)

  ハ 四類感染症にオムスク出血熱、キャサヌル森林病、西部ウマ脳炎、ダニ媒介脳炎、東部ウマ脳炎、鼻疽〈そ〉、ベネズエラウマ脳炎、ヘンドラウイルス感染症、リフトバレー熱、類鼻疽及びロッキー山紅斑熱を追加すること。(令第1条関係)

  ニ 四類感染症の高病原性鳥インフルエンザを鳥インフルエンザと改めること。なお、規則別表第1中第4の項における高病原性鳥インフルエンザの表記については、トリに対して高病原性を示すH5又はH7亜型のA属インフルエンザAウイルスによる感染症を意味するものであること。(法第6条第5項第7号関係)

 (2) 疑似症患者に対する法の適用

  疑似症患者を患者とみなす二類感染症を、結核及び重症急性呼吸器症候群とすること。(令第4条関係)

4 基本指針及び予防計画

 (1) 基本指針の規定事項に、人権の尊重に関する事項、特定病原体等を適正に取り扱う体制の確保に関する事項等を追加するとともに、厚生労働大臣は、基本指針に再検討を加える際に、感染症の予防に関する施策の効果に関する評価を踏まえるものとすること。(法第9条第2項及び第3項関係)

 (2) 都道府県は、基本指針が変更された場合のほか、予防計画の実施状況に関する調査、分析及び評価を行い、必要があると認めるときも、予防計画を変更するものとすること。(法第10条第3項関係)

 (3) 特定感染症予防指針を作成する感染症として、結核を追加すること。(規則第2条及び予防接種施行規則第11条の27関係)

5 感染症に関する情報の収集及び公表

 (1) 医師の届出

  イ 診断した結核の無症状病原体保有者について結核医療を必要としないと認められる場合を、法第12条第1項に基づく医師の届出を要しない場合とすること。(規則第3条第2号関係)

  ロ 厚生労働大臣が定める五類感染症に係る法第12条第1項に基づく医師の届出の届出事項として、感染症のまん延の防止及び当該者の医療のために必要な事項として当該五類感染症ごとに厚生労働大臣が定めるものを追加すること。(規則第4条第5項関係)

  ハ 厚生労働省令で定める慢性の感染症の患者を治療する医師は、毎年度、その患者の年齢、性別等を最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならないものとすること。届出の対象となる慢性の感染症の内容、届出事項、届出方法については、別途厚生労働省令で定めること。(法第12条第4項及び第5項関係)

 (2) 獣医師の届出

  法第13条第1項に基づき獣医師が届出を行わなければならない感染症及び動物として、結核及びサルを定めること。(令第5条関係)

 (3) 感染症の疑似症の発生の状況及び動向の把握

  都道府県知事は、感染症の疑似症のうち厚生労働省令で定めるものの発生の状況の届出を担当させる指定届出機関を指定するとともに、その管理者は、当該指定届出機関の医師が疑似症の患者を診断したときは、その患者の年齢、性別を都道府県知事に届け出なければならないものとすること。(法第14条第1項及び第2項並びに規則第6条第2項関係)

   イ 法第14条第1項に規定する厚生労働省令で定める疑似症は、次に掲げるものとすること。

    ① 摂氏38度以上の発熱及び呼吸器症状(明らかな外傷又は器質的疾患に起因するものを除く。)

    ② 発熱及び発しん又は水疱

   ロ 指定届出機関の指定は、イの①及び②の指定区分に応じ、原則としてそれぞれ以下の病院又は診療所のうち適当と認めるものについて行うこと。

    ① 診療科名中に内科又は小児科を含む病院又は診療所

    ② 診療科名中に内科、小児科又は皮膚科を含む病院又は診療所

   ハ 指定届出機関は、イに掲げる疑似症の患者を診断したときは、直ちに届出を行うこと。ただし、当該疑似症が二類感染症、三類感染症、四類感染症又は五類感染症の患者の症状であることが明らかな場合は、当該届出をすることを要しないこと。

   ニ 都道府県は、ハによる届出を受けた後直ちに厚生労働大臣に届出の内容を報告すること。

 (4) 情報の公表

  厚生労働大臣及び都道府県知事は、感染症の発生の状況、動向及び原因に関する情報並びに当該感染症の予防及び治療に必要な情報を新聞等により積極的に公表しなければならないものとすること。(法第16条第1項関係)

 (5) 協力の要請

  厚生労働大臣及び都道府県知事は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため緊急の必要があると認めるときは、医師その他の医療関係者に対し、必要な協力を求めることができるものとすること。(法第16条の2関係)

6 就業制限及び入院等

 (1) 就業制限

   イ 都道府県知事は、一類感染症の患者及び二類感染症又は三類感染症の患者又は無症状病原体保有者に係る届出を受けた場合において、当該感染症のまん延を防止するため必要があると認めるときに書面により通知し、就業を制限することができるよう改めるとともに、当該通知をしようとするときは、緊急を要する場合を除き、あらかじめ、感染症の診査に関する協議会の意見を聴かなければならないものとすること。(法第18条第1項、第5項及び第6項関係)

   ロ 法第18条第2項の感染症を公衆にまん延させるおそれがある業務として、以下の感染症及び業務を定めること。(規則第11条第2項)

    ① 南米出血熱 飲食物の製造、販売、調製又は取扱いの際に飲食物に直接接触する業務及び他者の身体に直接接触する業務

    ② 結核 接客業その他の多数の者に接触する業務

   ハ 法第18条第3項の感染症を公衆にまん延させるおそれがなくなる期間として、以下の感染症及び期間を定めること。(規則第11条第3項)

    ① 南米出血熱 その症状が消失するまでの期間

    ② 結核 その病原体を保有しなくなるまでの期間又はその症状が消失するまでの期間

   ニ 就業制限の通知を行うに当たっては、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)

    第57条に基づく教示を合わせて行うことが必要であること。

 (2) 入院

  都道府県知事は、入院及び入院の延長の勧告をする場合には、患者等に対し適切な説明を行い、その理解を得るよう努め、入院の勧告又は入院の措置をしたときは、遅滞なく、感染症の診査に関する協議会に報告するとともに、入院の延長の勧告をしようとする場合には、患者等に対し、意見を述べる機会を与えなければならないものとすること。(法第19条第2項及び第7項並びに第20条第6項から第8項まで関係)

 (3) 最小限度の措置

  健康診断、就業制限及び入院等に関する措置は、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならないものと明記すること。(法第22条の2関係)

 (4) 感染症の診査に関する協議会

  感染症の診査に関する協議会について、所要の事務の整理を行うとともに、委員に法律に関し学識経験を有する者を追加すること。(法第24条第1項、第3項及び第5項関係)

 (5) 苦情の申出

  入院の勧告又は入院の措置により入院している患者等は、当該患者が受けた処遇について、都道府県知事に対し、苦情の申出をすることができるものとすること。

 (第24条の2関係)

 (6) 二類感染症の患者についての準用

  法第19条及び第20条の規定により入院する二類感染症の患者については、都道府県知事により移送することができることとすること。ただし、二類感染症のうち急性灰白髄炎、ジフテリア及び重症急性呼吸器症候群については、移送することができるとの規定であっても、感染力と感染した場合の重篤度等から総合的に判断した危険性が比較的高いため、引き続き、法に基づく移送を行うべきであること。(法第26条及び令第7条関係)

 (7) 結核患者に係る入院に関する特例等

  結核患者に対する入院の勧告又は入院の措置に関し、入院の延長の期間を30日以内とすることその他の特例を設けることとすること。なお、結核患者に対して同法第20条第2項の規定に基づく入院の措置を行った場合には、同条第1項に基づく入院の場合と異なり、その期間は10日以内となる点に留意すること。(法第26条の2関係)

7 交通の制限又は遮断の基準

 法第33条の交通の制限又は遮断については、対象となる者の人権を尊重しつつ行うものとすること。(令第9条関係)

8 結核患者の医療

 (1) 都道府県は、結核の適正な医療を普及するため、結核患者が結核指定医療機関において医療を受けるために必要な費用の100分の95に相当する額を負担することができるもの等とすること。(法第37条の2関係)

 (2) 法第37条の2第1項に規定する厚生労働省令で定める医療の種類について、化学療法など旧結核規則第22条と同様の規定を設けること。(規則第20条の2関係)

 (3) 法第37条の2第1項に規定する費用負担の申請について、申請書の記載事項や添付資料など旧結核規則第23条と同様の規定を設けること。(規則第20条の3関係)

  なお、法第37条第1項に規定する費用負担の申請については、医師の診断書を添付書類として位置付けていないが、都道府県知事は、必要があれば感染症指定医療機関医療担当規程(平成11年厚生省告示第42号)第7条の規定に基づき必要な証明書の交付を感染症指定医療機関に対して求めることができること。

 (4) 規則第20条の3第2項及び第23条第2項の規定によって提出を受けたエックス線写真は、旧結核規則第31条と同様に、決定後申請者に返却するものとすること。(規則第23条の2関係)

9 感染症指定医療機関

 (1) 結核患者に対する適正な医療を担当させる医療機関として都道府県知事が指定した病院若しくは診療所又は薬局を、法に基づく結核指定医療機関として位置付けること。(法第6条第15項)

 (2) 結核指定医療機関について、都道府県知事が行う指導に従わなければならないものとすることその他必要な規定を設けること。(法第38条第2項及び第7項から第9項まで関係)

10 他の法律による医療に関する給付との調整等

 (1) 戦傷病者特別援護法の規定による医療、児童福祉法の規定による療養の給付その他の医療に関する給付との調整及び結核指定医療機関に関する緊急時等の医療に係る特例に関し必要な規定を設けること。(法第39条及び第42条第1項関係)

 (2) 医療に関する審査機関として、介護保険法第179条に規定する介護給付費審査委員会を追加すること。(令第10条関係)

11 新感染症の所見がある者の入院

 新感染症の所見がある者の入院について、患者等に対する説明及び意見を述べる機会の付与、最小限度の措置、苦情の申出に関し必要な規定を設けること。(法第46条第5項から第7項まで、第48条の2及び第49条の2関係)

12 結核

  結核固有の対策について必要な規定を設けること。(法第7章の2関係)

 (1) 定期の健康診断

  イ 事業者、学校等の長は、政令で定める者に対して、政令で定める定期において、結核に係る定期の健康診断を行わなければならないもの等とすること。(法第53条の2並びに令第11条及び第12条関係)

   ① 法第53条の2第1項の規定によりその長が定期の健康診断を行わなければならない施設は、旧結核施行令第1条と同様に、刑事施設及び社会福祉法第2条第2項第1号及び第3号から第6号までに規定する施設とすること。

   ② 法第53条の2第1項及び第3項の規定により定期の健康診断を受けるべき者、定期及び回数として、旧結核施行令第2条と同様の規定を設けること。

  ロ 定期の健康診断の受診義務、定期の健康診断に関する記録その他定期の健康診断に関し必要な規定を設けること。(法第53条の3から第53条の9まで及び規則第27条の2から第27条の5まで関係)

   ① 法第7章の2の規定によって行うべき健康診断及び法第17条第1項及び第2項の規定によって行うべき結核にかかっているかどうかに関する医師の健康診断の方法について、喀痰検査などの旧結核規則第2条と同様の規定を設けること。

   ② 法第53条の4及び法第53条の5に規定する診断書その他の文書の記載事項として、受診者の住所など旧結核規則第5条と同様の規定を設けること。

   ③ 健康診断に関して記録する事項及びその保存期限として、旧結核規則第6条と同様の規定を設けること。

   ④ 健康診断実施者が都道府県知事に通報するべき事項及びその期限並びに保健所を設置する市又は特別区の市長又は区長が法第17条第1項及び第2項の規定によって行った結核にかかっているかどうかに関する医師の健康診断について都道府県知事に通報するべき事項及びその期限について、旧結核規則第7条と同様の規定を設けること。

 (2) 病院管理者の届出等

  病院の管理者は、結核患者が入院又は退院したときは、7日以内に、厚生労働省令で定める事項を、最寄りの保健所長に届け出なければならないものとすること。この場合の病院の管理者が届け出なければならない事項として、結核患者の住所など旧結核規則第14条と同様の規定を設けたこと。(法第53条の11及び規則第27条の6関係)

  (3) 結核登録票

   保健所長は、結核登録票を備え、結核患者及び結核回復者に関する事項を記録しなければならないものとすること。(法第53条の12並びに規則第27条の7及び第27条の8関係)

  イ 法第53条の12第1項に規定する厚生労働省令で定める結核回復者は、旧結核規則第14条の2と同様に、結核医療を必要としないと認められてから3年以内の者その他結核再発のおそれが著しいと認められる者とすること。

   ロ 法第53条の12第3項に規定する結核登録票に記録すべき事項等として、登録年月日及び登録番号など旧結核規則第15条と同様の規定を設けること。

 (4) 精密検査

  保健所長は、結核登録票に登録されている者に対して、結核の予防又は医療上必要があると認めるときは、精密検査を行うものとし、法第53条の13に規定する厚生労働省令で定める精密検査の方法として、結核菌検査など旧結核規則第15条の2と同様の規定を設けること。(法第53条の13及び規則第27条の9関係)

 (5) 家庭訪問指導

  保健所長は、結核登録票に登録されている者について、結核の予防又は医療上必要があると認めるときは、保健師等をして、その者の家庭を訪問させ、処方された薬剤を確実に服用することその他必要な指導を行わせるものとすること。(法第53条の14関係)

 (6) 医師の指示

  医師は、結核患者を診療したときは、本人等に対して、処方した薬剤を確実に服用することその他患者の治療に必要な事項等を指示しなければならないものとし、法第53条の15に規定する厚生労働省令で定める感染の防止に必要な事項として、結核を感染させるおそれがある患者の居室の換気に注意をすることなど、旧結核規則第16条と同様の規定を設けること。(法第53条の15及び規則第27条の10関係)

13 費用負担

 (1) 結核患者の医療に要する費用、結核に係る定期の健康診断に要する費用等の支弁及び補助又は負担について、所要の規定の整備を行うこと。(法第57条から第62条まで関係)

 (2) 第一種感染症指定医療機関及び第二種感染症指定医療機関の設置者に対して都道府県知事が行う補助に対する国の補助率を2分の1と明記すること。これにより、法第60条第2項に基づき都道府県が国立病院機構や国立大学法人等(以下「国立病院機構等」という。)に交付する補助金については、地方財政再建促進特別措置法(昭和30年法律第195号)第24条に規定する「寄付金、法律又は政令の規定に基づかない負担金その他これらに類するもの」に該当しないこととなったこと。(令第28条第2項関係)

14 大都市等の特例

 地方自治法第252条の19第1項の指定都市及び同法第252条の22第1項の中核市において処理する結核に係る事務について定めること。これにより、旧結核施行令第8条及び地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)174条の37及び第174条の49の16の規定に基づき指定都市及び中核市が処理してきた結核指定医療機関(旧結核予防法第35条に規定する医療を担当させるものに限る。)に係る事務は、改正法の施行後は、第二種感染症指定医療機関に係る事務として都道府県知事が処理することとなること。(法第64条の2、令第32条の2及び第32条の3並びに整備等政令第6条中第174条の37及び第174条の49の16の改正規定関係)

15 その他

 (1) 罰則に関し所要の規定の整備を行うこと。

 (2) その他所要の規定の整備を行うこと。


第3 インフルエンザ(H五N―)を指定感染症として定める等の政令の一部改正

 地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第9項第1号に規定する法定受託事務を、改正法において見直したことに伴い、本政令における事務の区分を見直すほか、指定政令について所要の規定の整備を行うこと。(指定政令第2条及び第3条並びに附則第2条関係)


第4 予防接種法の一部改正

1 結核を一類疾病に追加するものとすること。(法第2条第2項関係)

 (1) 予防接種法第3条第1項の疾病及びその対象者として、旧結核施行令第2条の2と同様に、結核及び生後6月に至るまでにある者(地理的条件、交通事情、災害の発生その他の特別の事情によりやむを得ないと認められる場合には、対象者は、生後1歳に至るまでの間にある者)とすること。(令第1条の2関係)

 (2) 令第1条の2第1項本文に規定する省令で定める者として、旧結核規則第9条の2第3号と同様に、結核に係る予防接種の対象者にあっては、結核その他の疾病の予防接種、外傷等によるケロイドの認められる者を規定すること。(予防接種施行規則第2条第6号)

 (3) 結核に係る予防接種については、予防接種を受けた者の数を、疾病別並びに定期臨時の別及び定期についてはその定期別に届出月ごとに計算して行うものとし、翌月10日までに報告するものとすること。(予防接種施行規則第3条第2項関係)

 (4) 結核の予防接種済証の様式を定めること。(予防接種施行規則第4条第2項第5号関係)

 (5) 結核の定期の予防接種の接種方法について、経皮接種用乾燥BCGワクチンの懸濁液を上腕外側のほぼ中央部に滴下し、管針法により1回行うものとするなど、旧結核規則第10条と同様の規定を設けること。(予防接種実施規則第16条の2関係)

2 予防接種に関する記録

 市町村長又は都道府県知事は、予防接種を行ったときは、遅滞なく、予防接種に関する記録を作成し、かつ、これを予防接種を行ったときから5年間保存しなければならないこととし、令第6条の2第1項第3号に規定する厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとすること。(令第6条の2関係及び予防接種施行規則第2条の3関係)

 (1) 予防接種の種類

 (2) 令第4条第1項の規定による予防接種を医師により行う場合にあっては、当該医師の氏名

 (3) 接種液の接種量

 (4) 接種液の製造番号その他当該接種液を識別することができる事項

 (5) その他予防接種の実施に関し必要な事項

3 説明と同意の取得

 予防接種を行うに当たっては、あらかじめ被接種者又はその保護者に対して、予防接種の効果及び副反応について当該者の理解を得るよう、適切な説明を行い、文書により同意を得なければならないとすること。(予防接種実施規則第5条の2関係)


第5 検疫法の一部改正

1 検疫感染症の見直し

 コレラ及び黄熱を検疫感染症から除外することその他所要の規定の整備を行うこと。(検疫法第2条、第2条の2、第14条、第15条、第26条の3、第34条の3及び第34条の4関係)

2 停留の期間

 感染症に感染したおそれのある者の停留の期間は、南米出血熱については384時間とすること。(検疫施行令第1条の3関係)

3 診察等を行う検疫感染症以外の感染症

 診察等を行う検疫感染症以外の感染症として、黄熱を追加すること。(検疫施行令第2条の2関係)

4 都道府県知事等との連携

 検疫法第26条の3に規定する厚生労働省令で定める場合は、当該者が感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第6条第3項から第5項まで又は第7項に規定する感染症の病原体を保有している者であって当該感染症の症状を呈していないものである場合とすること。(検疫規則第9条の3関係)


第6 施行期日等

1 施行期日

 改正法第1条中感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第56条の3から第56条の38の規定及び当該規定に係る罰則に関する規定、第3条の規定(検疫法の一部改正)並びにこれらの規定に係る経過措置に関する規定は、公布の日から起算して6月を超えない範囲内において政令で定める日(平成19年6月1日)から、改正法中その他の規定は平成19年4月1日から施行すること。(改正法附則第1条関係及び感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令関係)

2 結核予防法の廃止

 結核予防法(昭和26年法律第96号)は、廃止するものとすること。(改正法附則第2条関係)

3 政府は、この法律の施行後5年経過時点において、この法律の施行の状況を勘案し、必要に応じてこの法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。(改正法附則第12条関係)


○感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律の施行の際の経過措置について

(平成19年3月29日)

(健発第0329006号)

(各都道府県知事・各政令市長・各特別区長あて厚生労働省健康局長通知)

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律(平成18年法律第106号。以下「一部改正法」という。)が平成19年4月1日に一部施行され、これに伴い、現行の結核予防法(昭和26年法律第96号)が廃止されることとなるが、この際の経過措置については、下記の事項に留意の上、適切に処理されたい。

 なお、この通知においては、一部改正法による改正後の感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律を「感染症法」と略称するほか、保健所を設置する市又は特別区にあっては、「都道府県知事」とあるのは「市長」又は「区長」と、「都道府県」とあるのは「市」又は「区」と読み替えるものとする。


   記

第1 予防接種の取扱いについて

1 平成19年3月31日以前に結核予防法の規定により、BCGの予防接種を受けた者に対する予防接種による健康被害の救済に関する措置の適用については、当該者を予防接種法第3条第1項に規定する定期の予防接種であって一類疾病に係るもの又は第6条第1項に規定する臨時の予防接種を受けた者とみなすこと。(一部改正法附則第7条第1項関係)

2 平成19年3月31日以前に1に規定するBCGの予防接種を受けた者であって、当該者が疾病、障害又は死亡の状態になったことについて、結核予防法の規定により厚生労働大臣が予防接種によるものであると認定した場合は、予防接種法第11条第1項の規定による厚生労働大臣の認定があったものとみなして、同法第12条及び第13条に定めるところにより、給付を行うこと。(一部改正法附則第7条第2項関係)

第2 医師の届出等の取扱いについて

 平成19年3月31日以前に診断した結核患者又は同日以前に入院し、若しくは退院した結核患者については、同年4月1日以降であっても、廃止前の結核予防法の規定に基づき、当該結核患者を診断した医師又は当該患者が入院し、若しくは退院した病院の管理者は届出を行わなければならないこと。

 なお、これらの届出が保健所長が管轄する区域内に居住する者以外の者について行われたときは、廃止前の結核予防法の規定に基づき、その届出内容を、当該患者の居住地を管轄する保健所長に通報しなければならないこと。(一部改正法附則第3条関係)

第3 結核登録票の取扱いについて

 感染症法に基づき結核登録票に記録すべき事項、その移管及び保存期間については、結核予防法に基づくものと同様であり、現在の結核登録票を取り繕って使用して差し支えないものであること。

第4 従業禁止の取扱いについて

1 結核予防法第28条第1項の規定に基づき従業が禁止されている者については、特に経過措置が設けられていないため、同法の廃止後には、当該者について同法に基づく従業禁止の対象とならないこと。しかしながら、引き続き感染症法に基づく就業制限の対象となる者については、感染症法第18条に基づき新たに就業制限の通知を行う必要があること。

2 1により就業制限の通知を行う場合において、感染症法第18条第5項及び第6項に基づく就業制限に係る感染症の診査に関する協議会(以下「協議会」という。)への意見聴取又は報告については、一部改正法の円滑な施行を図る観点から、平成19年4月1日時点において、客観的な検査結果により結核のまん延を防止する必要がある蓋然性が高いと認められる者については、次の要件を満たした場合に、協議会への意見聴取又は報告の手続を例外的に簡素化して差し支えないこと。

 (1) 平成19年3月31日以前に、人権の尊重の観点を踏まえた対応として、当該者について結核予防法に基づく結核の診査に関する協議会において適正な診査が行われ、感染症法第18条の規定による就業制限が必要である旨の答申が得られていること。

 (2) 平成19年3月31日以前に、結核予防法により従業が禁止されている者に対して、感染症法第18条の規定による就業制限の対象となることについて説明が行われ、その同意が得られていること。

 (3) あらかじめ協議会の委員間において、意見聴取の手続を簡素化することについて申し合わせがなされていること。

3 2の場合において、就業制限についての協議会への意見聴取は、次のような方法をもって行うこととして差し支えないこと。

 (1) テレビ電話会議等による一堂に会さない遠隔地での合議・議決を行う方法

 (2) 持ち回り決裁等により、各委員の判断を経て議決を行う方法

 (3) 就業制限について協議会の委員長(委員長が医師でない場合にあっては、医師1人)による了承を経た上で、その後最初に開催する協議会において改めて診査を行う方法

4 1により行う就業制限の通知については、例外的に、対象者の居住地を管轄する都道府県知事が行っても差し支えないこと。

第5 入所命令の取扱いについて

1 結核予防法第29条第1項の規定に基づき結核患者を収容する施設を有する病院に入所している者については、特に経過措置が設けられていないため、同法の廃止後には、当該者について同法に基づく命令入所はなされないこと。すなわち、一部改正法の施行に伴い、結核予防法に基づく命令入所は、すべての入所している者について終了する必要があること。

2 1の者について、引き続き感染症法に基づき入院が必要な者については、感染症法第19条に基づき新たに入院の勧告等の手続を行う必要があること。その際、結核予防法に基づき命令入所を行った都道府県知事及び感染症法に基づき入院の勧告等を行うこととなる都道府県知事は、一部改正法の施行の前に、結核予防法により入所している者について、上記の取扱いがなされることを説明し、理解を求めることが重要であること。

3 2により入院の勧告等を行う場合において、感染症法第20条第5項に基づく入院に係る協議会への意見聴取については、一部改正法の円滑な施行を図る観点から、一部改正法の施行後72時間の経過時点において、客観的な検査結果により結核のまん延を防止する必要がある蓋然性が高いと認められる者については、次の要件を満たした場合に、協議会への意見聴取の手続を例外的に簡素化して差し支えないこと。

 (1) 平成19年3月31日以前に、人権の尊重の観点を踏まえた対応として、当該者について結核予防法に基づく結核の診査に関する協議会において適正な診査が行われ、感染症法第19条の規定による入院に引き続き第20条の規定による入院が必要である旨の答申が得られていること。

 (2) 平成19年3月31日以前に、結核予防法により入所している者に対して、感染症法第19条の規定による入院に引き続き第20条の規定による入院の対象となることについて説明が行われ、その同意が得られていること。

 (3) あらかじめ協議会の委員間において、意見聴取の手続を簡素化することについて申し合わせがなされていること。

4 3の場合において、入院についての協議会への意見聴取は、次のような方法をもって行うこととして差し支えないこと。

 (1) テレビ電話会議等による一堂に会さない遠隔地での合議・議決を行う方法

 (2) 持ち回り決裁等により、各委員の判断を経て議決を行う方法

 (3) 入院について協議会の委員長(委員長が医師でない場合にあっては、医師1人)による了承を経た上で、その後最初に開催する協議会において改めて診査を行う方法

第6 一般患者に対する医療の取扱いについて

1 結核予防法に基づき結核の一般患者に対する医療に係る公費負担を受けている者については、特に経過措置が設けられていないため、一部改正法の施行に伴い、当該医療に係る公費負担は、すべての医療を受けている者について終了する必要があること。

2 1の者について、引き続き感染症法に基づき結核の一般患者に対する医療に係る公費負担が必要な場合には、感染症法第37条の2に基づき新たに公費負担を受けるための手続を行う必要があること。その際、結核予防法に基づき公費負担を行った都道府県知事及び感染症に基づき公費負担を行うこととなる都道府県知事は、一部改正法の施行の前に、結核予防法により結核の一般患者に対する医療を受けている者について、上記の取扱いがなされることを説明し、理解を求めることが重要であること。

 また、公費負担の申請をするに当たっては、患者又はその保護者の申請の負担が軽減されることが望ましいことから、感染症指定医療機関とも連携して、必要な対応をとることが重要であること。

3 2により公費負担を行う場合において、感染症法第37条の2第3項に基づく公費負担に係る協議会への意見聴取については、一部改正法の円滑な施行を図る観点から、平成19年4月1日時点において、結核の適正な医療を普及するため、医療を受けるために必要な費用を公費負担する必要性がある蓋然性が高いと認められる者については、次の要件を満たした場合に、協議会への意見聴取の手続を例外的に簡素化して差し支えないこと。

 (1) 平成19年3月31日以前に、当該者について結核予防法に基づく結核の診査に関する協議会において適正な診査が行われ、感染症法第37条の2の規定による公費負担が必要である旨の答申が得られていること。

 (2) 平成19年3月31日以前に、結核予防法により一般患者に対する医療を受けている者に対して、感染症法第37条の2の規定による公費負担の対象となることについて説明が行われ、その同意が得られていること。

 (3) 平成19年4月1日から行われる感染症法第37条の2の規定による公費負担の承認期間が、当該者に係る結核予防法に基づく公費負担の承認期間の満了日までとするものであること。

 (4) あらかじめ協議会の委員間において、意見聴取の手続を簡素化することについて申し合わせがなされていること。

4 3の場合において、公費負担についての協議会への意見聴取は、次のような方法をもって行うこととして差し支えないこと。

 (1) テレビ電話会議等による一堂に会さない遠隔地での合議・議決を行う方法

 (2) 持ち回り決裁等により、各委員の判断を経て議決を行う方法

 (3) 公費負担について協議会の委員長(委員長が医師でない場合にあっては、医師1人)による了承を経た上で、その後最初に開催する協議会において改めて診査を行う方法

5 感染症法に基づく結核患者票については、別に定める様式を活用することを可能とするが、都道府県において定めている現行の結核予防法に基づく結核患者票を取り繕って使用して差し支えないものであること。

第7 従業禁止、命令入所患者の医療の取扱いについて

1 結核予防法に基づき従業禁止、命令入所患者の医療に係る公費負担を受けている者については、特に経過措置が設けられていないため、一部改正法の施行に伴い、当該医療に係る公費負担は、すべての医療を受けている者について終了する必要があること。

2 命令入所患者の医療に係る公費負担を受けている者について、引き続き感染症法に基づき入院に係る公費負担が必要な場合には、感染症法第37条に基づき新たに公費負担を受けるための手続を行う必要があること。その際、結核予防法に基づき公費負担を行った都道府県知事及び感染症に基づき公費負担を行うこととなる都道府県知事は、一部改正法の施行の前に、結核予防法により命令入所患者の医療を受けている者について、上記の取扱いがなされることを説明し、理解を求めることが重要であること。

 また、公費負担の申請をするに当たっては、患者又はその保護者の申請の負担が軽減されることが望ましいことから、感染症指定医療機関とも連携して、必要な対応をとることが重要であること。

第8 指定医療機関の取扱いについて

1 平成19年4月1日において現に結核予防法第36条の指定を受けている結核患者を収容する施設を有する病院は、同日に、感染症法第6条第14項に規定する第二種感染症指定医療機関として、感染症法第38条第2項の指定を受けたものとみなすものであること。(一部改正法附則第6条第1項関係)

2 平成19年4月1日において現に結核予防法第36条の指定を受けている病院若しくは診療所又は薬局は、感染症法第6条第15項に規定する結核指定医療機関として感染症法第38条第2項の指定を受けたものとみなすものであること。(一部改正法附則第6条第2項関係)

3 結核予防法に基づく指定医療機関の掲示については、感染症法において同趣旨の規定がなく、かつ、特段の経過措置が設けられていないため、一部改正法の施行後において新たに掲示を作成し直す必要はないこと。

第9 費用負担等の取扱いについて

1 平成19年3月31日以前に行われた措置に係る結核予防法第51条に規定する費用についての都道府県の支弁並びに国庫の負担及び補助、結核予防法第52条に規定する費用についての市町村の支弁並びに都道府県及び国庫の負担、結核予防法第54条に規定する費用についての事業者の支弁並びに結核予防法第55条に規定する費用についての学校又は施設の設置者の支弁及び都道府県の補助については、なお従前の例によること。(一部改正法附則第4条)

2 平成19年3月31日以前に行われた措置に係る結核予防法第65条の規定に基づく費用の徴収については、なお従前の例によること。(一部改正法附則第5条)


○「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における健康診断、就業制限及び入院の取扱いについて」の一部改正について

(平成19年3月29日)

(健発第0329008号)

(各都道府県知事・各政令市長・各特別区長あて厚生労働省健康局長通知)

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づく健康診断、就業制限及び入院の取扱いについては、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における健康診断、就業制限及び入院の取扱いについて」(平成11年3月19日付け健医発第454号厚生省保健医療局長通知)によることとされているところであるが、今般、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律(平成18年法律第106号)の施行に伴い、当該通知を別添のとおり改正し、平成19年4月1日から適用することとしたので通知する。


○感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における健康診断、就業制限及び入院の取扱いについて

(平成11年3月19日)

(健医発第454号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省保健医療局長通知)

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)の施行については、平成10年10月20日厚生省発健医第346号・10畜A第2,227号により厚生事務次官及び農林水産事務次官から通知されているところであるが、この法律の施行に伴い、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における健康診断、就業制限及び入院の取扱いについて下記のとおり定めたので、十分御了知の上、その取扱いに遺憾のないようにされたい。


   記

第1 一般的事項

 第2から第5までの規定により都道府県知事、政令市市長又は特別区区長(以下「都道府県知事等」という。)が行う勧告、措置等については、感染症を公衆にまん延させるおそれ、感染症にかかった場合の病状の程度その他の事情に照らして、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならないこと。

第2 健康診断に関する事項

1 基本的な考え方

 都道府県知事等が健康診断(法第17条の規定による健康診断をいう。以下同じ。)の勧告又は措置を行うに際しては、都道府県、政令市又は特別区(以下「都道府県等」という。)の職員から対象者に対して、勧告又は措置を行う理由、その期限、日時等感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則(以下「規則」という。)第10条に規定する事項を通知するほか、行政不服審査法第57条に基づく教示を行い、十分な説明を行うことが重要であること。

2 健康診断の対象者

 健康診断の勧告又は措置の対象者については、病原体の感染経路その他の事情を十分に考慮した上で、感染症の患者に濃厚に接触した者等科学的に当該感染症にかかっていると疑うに足りる理由のある者とすべきであること。

 また、法第15条の規定による積極的疫学調査を行った場合には、その結果に基づき、当該感染症にかかっていると疑うに足りる理由のある者に対して必要があると認められるときには、健康診断の措置又は勧告を行うこと。

 なお、法第17条に基づく健康診断は、感染症にかかっているかどうかを把握するために行うものであって、感染症の患者等が退院した後の排菌の状況を管理するために行うものではないこと。

3 健康診断の勧告等を行う者

 健康診断の勧告又は措置を行う者は、対象者がいる場所を管轄する都道府県知事等であって、対象者の住所がいずれの都道府県等の管轄区域に属するかを問わないこと。

4 対象者への事後の通知

 感染症の症状が著しくあらわれている者について緊急に健康診断を行う必要がある場合等差し迫った必要がある場合には、健康診断の勧告又は措置を行う理由等規則第10条に規定する事項を通知しないことは差し支えないこと。この場合においても、勧告又は措置を行う際に、対象者に当該通知事項について口頭により説明するよう努めるとともに、勧告又は措置の後相当の期間内に、当該通知事項を記載した書面を交付しなければならないこと。

5 健康診断後の対応

 健康診断の結果、法に基づく入院の対象となる者が発見された場合には、速やかに第4に定める手続に移行すること。

第3 就業制限に関する事項

1 基本的な考え方

 就業制限は、感染症の病原体を保有している者が特定の職業への就業を通じて当該感染症を他人にまん延させるおそれがあるため、当該者に対して就業をしないよう通知するものであり、都道府県等は、感染症の診査に関する協議会(以下「協議会」という。)の意見を聴いて、特定の職業への就業を通じたまん延のおそれの有無に照らして、通知を行う対象者を客観的に判断することが重要であること。

 また、就業制限については、その対象者の自覚に基づく自発的な休暇、就業制限の対象以外の業務に一時的に従事すること等により対応することが基本であり、都道府県等は、対象者その他の関係者に対し、このことの周知等を行うことが重要であること。

2 対象者への周知

 法第12条第1項の届出を受けた都道府県知事等は、協議会の意見を聴いて、速やかに一類感染症の患者、二類感染症又は三類感染症の患者又は無症状病原体保有者に対して就業制限の通知をすること。緊急を要する場合で、あらかじめ、協議会の意見を聴くいとまがないときは、その通知をした内容について事後に報告しなければならないこと。

 対象者がその管轄する区域外に居住する者である場合には、その者の居住地(住民票の住所地に限られない。以下同じ。)を管轄する都道府県知事等に照会する等、対象者の居所を的確に把握し、就業制限の通知が確実に行われるようにすること。

 通知を行うべき対象者が、感染症指定医療機関に入院する等の理由により、事実上業務に従事することが困難な場合や、3の就業制限対象職種に現に従事していない場合であっても、必ず通知を行うこと。

3 就業制限対象職種

  就業制限の対象となる職種は、以下のとおりとすること。

 (1) エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱等のウイルス性出血熱について、飲食物の製造、販売、調整又は取扱いの際に飲食物に直接接触する業務及び他者の身体に直接接触する業務

 (2) 結核について、接客業その他の多数の者に相対して接触する業務

 (3) ジフテリア、重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。以下「重症急性呼吸器症候群」という。)、痘そう及びペストについて、飲食物の製造、販売、調整又は取扱いの際に飲食物に直接接触する業務及び接客業その他の多数の者に相対して接触する業務

 (4) その他の感染症について、飲食物の製造、販売、調整又は取扱いの際に飲食物に直接接触する業務

4 就業制限の期間

  就業制限の期間は、以下のとおりとし、当該期間を経過しているかどうかの確認のため、法第18条第3項の規定による確認請求ができることの周知を図ること。

 (1) 結核及び重症急性呼吸器症候群について、その病原体を保有しなくなるまでの期間又はその症状が消失するまでの期間

 (2) その他の感染症について、その病原体を保有しなくなるまでの期間

5 就業制限の通知時の協議会への諮問

 (1) 都道府県知事等が法第18条第1項の規定による就業制限の通知について意見を聴く協議会は、診査の対象となる者の居住地を管轄する保健所に置かれたものであること。都道府県知事等は、意見を聴く際には、法第12条第1項の規定による届出の内容に関して記録した書類を含めて必要な書類を協議会に提出すること。

 (2) 協議会は、通知の要否を診査し、その結果を法第12条第1項の届出を受けた都道府県知事等に連絡すること。

 (3) 連絡を受けた都道府県知事等は、通知が必要な者について、速やかに法第18条第1項の規定による就業制限の通知を行うこと。

  なお、対象者がその管轄する区域外に居住する者である場合には、居住地を管轄する保健所に置かれた協議会への諮問の手続について事前に都道府県等間で協定を締結する等、法第18条第1項の規定による就業制限の通知に支障を来すことのないようにすること。

6 就業制限の通知時の協議会への報告

 都道府県知事等が法第18条第6項の規定により報告する際には、次に掲げるものを含めて必要な書類を5の協議会に提出すること。

  ア 報告の対象となる者に対する就業制限を行う旨の通知の写し

  イ 法第12条第1項の規定による届出の内容に関して記録した書類

7 就業制限の終了の確認

 対象者又はその保護者が法第18条第3項の規定による確認請求を行った場合には、都道府県知事等は当該対象者が病原体を保有しているかどうかの確認を速やかに行うこと。

第4 法第19条の規定による入院に関する事項

1 基本的な考え方

 都道府県知事等が入院の勧告を行うに際しては、都道府県等の職員から対象者に対して、入院の理由、法第22条第3項の規定による退院請求、審査請求に関すること等規則第13条に規定する事項を通知するほか、行政不服審査法第57条に基づく教示を行う等、十分な説明を行い、対象者の理解を得るよう努めることが重要であること。

 また、入院の勧告又は措置を行った都道府県知事等は、その旨を遅滞なく協議会に報告することにより、入院の勧告又は措置の適正な実施を確保することが重要であること。

2 法第19条の規定による入院の勧告等を行う者

 (1) 結核患者以外の患者に係る入院

  入院の勧告又は措置を行う者は、勧告又は措置を行う際に入院の対象者が現にいる場所を管轄する都道府県知事等であること。

  都道府県知事等は、対象者の自宅、職場等に連絡する等早期に対象者の居所を把握し、対象者が所轄区域外にいるときは、対象者がいる場所を管轄する都道府県知事等に対して、対象者へ入院の勧告又は措置を行うべき旨を通報すること。

 (2) 結核患者に係る入院

  結核患者に係る入院の勧告又は措置を行う者は、対象者の居住地を管轄する都道府県知事等であること。

3 法第19条第5項に規定する緊急その他やむを得ない理由があるときの対応

 感染症指定医療機関への入院を必要とする感染症が大量に発生した場合や重篤な合併症を有する患者であること等の理由により感染症指定医療機関に入院させることが適当でない場合については、感染症指定医療機関以外の病院又は診療所であって、都道府県知事等が適当と認めるものへの入院の勧告又は措置を行っても差し支えないこと。

4 入院の期間の始期

 入院の期間は、法第19条第1項又は第3項の規定により対象者が入院をした時点から起算するものであって、その時点が夜間又は休日等であることにより扱いが異なるものではないこと。

5 法第19条の規定による入院の勧告等の際の協議会への報告

 (1) 結核患者以外の患者に係る入院

  都道府県知事等が法第19条第1項又は第3項の規定による入院の勧告又は措置の実施について報告する協議会は、報告の対象となる者が入院している病院又は診療所の所在地を管轄する保健所に置かれたものであること。都道府県知事等は、報告する際には、報告の対象となる者に対する入院の勧告又は措置を行う旨の通知の写しを含めて必要な書類を協議会に提出すること。

  なお、報告する協議会の置かれている保健所が、入院の勧告又は措置を行う都道府県等の所轄区域外にある場合には、前記の手続について事前に都道府県等間で協定を締結する等、報告に支障を来すことのないようにすること。

 (2) 結核患者に係る入院

  都道府県知事等が法第19条第1項又は第3項の規定による結核患者に係る入院の勧告又は措置の実施について報告する協議会は、報告の対象となる者の居住地を管轄する保健所に置かれたものであること。協議会への書類の提出については、(1)と同様であること。

6 退院

 都道府県知事等は、入院の期間が満了した対象者に対して、第20条の規定による入院の勧告がなされない場合には、速やかに当該対象者を退院させること。

 また、都道府県知事等は、入院の期間中においても、対象者が一類感染症の病原体を保有していないこと又は二類感染症の病原体を保有していないこと若しくは当該感染症の症状が消失したことの確認がなされたときは、速やかに対象者を退院させること。入院の対象者又はその保護者が法第22条第3項の規定による退院請求を行った場合には、都道府県知事等は、前記の確認を速やかに行うこと。

第5 法第20条の規定による入院に関する事項

1 基本的な考え方

 都道府県知事等が入院の勧告を行うに際しては、都道府県等の職員から対象者に対して、入院の理由、法第22条第3項の規定による退院請求、審査請求に関すること等規則第13条に規定する事項を通知するほか、行政不服審査法第57条に基づく教示を行う等、十分な説明を行い、対象者の理解を得るよう努めることが重要であること。

 また、入院の勧告を行うに際しては、都道府県等の職員から対象者に対して意見を述べる機会を与えることにより、入院の勧告の適正な実施を確保することが重要であること。

2 法第20条の規定による入院の勧告等を行う者

 入院の勧告又は措置を行う者は、第19条の規定による入院の勧告又は措置を行った都道府県知事等であること。この場合、対象者の入院している医療機関がいずれの都道府県等の管轄区域にあるかを問わないこと。

3 入院勧告時の協議会への諮問

 (1) 結核患者以外の患者に係る入院

  ア 都道府県知事等が法第20条の規定による入院の要否について意見を聴く協議会は、診査の対象となる者が入院している医療機関の所在地を管轄する保健所に置かれたものであること。都道府県知事等は、意見を聴く際には、次に掲げるものを含めて必要な書類を協議会に提出すること。

   ① 診査の対象となる者に対する入院の勧告又は措置を行う旨の通知の写し

   ② 診査の対象となる者の病原体の保有又は症状の有無に関して記録した書類

   ③ 法第20条第6項の規定による患者又はその保護者からの意見の聴取の結果に関して記録した書類

  イ 協議会は、入院の要否を診査し、その結果を2の都道府県知事等に連絡すること。

  ウ 連絡を受けた都道府県知事等は、その内容を踏まえて、法第19条の入院の期間の満了後速やかに勧告を行い又は退院させること。

   なお、診査を行う協議会の置かれている保健所が、入院の勧告又は措置を行う都道府県等の所轄区域外にある場合は、前記のアからウまでの手続について事前に都道府県等間で協定を締結する等、法第20条第1項の規定による入院の勧告又は措置に支障を来すことのないようにすること。

 (2) 結核患者に係る入院

 都道府県知事等が法第20条の規定による結核患者に係る入院の要否について意見を聴く協議会は、診査の対象となる者の居住地を管轄する保健所に置かれたものであること。協議会への書類の提出については、(1)と同様であること。

4 入院の期間の始期

入院の期間は、法第19条の入院の期間が満了した時点から起算するものであって、その時点が夜間又は休日等であることにより扱いが異なるものではないこと。

5 入院延長時の協議会への諮問

 (1) 結核患者以外の患者に係る入院

  ア 都道府県知事等が法第20条第4項の規定による入院延長の要否について意見を聴く協議会は、診査の対象となる者が入院している医療機関の所在地を管轄する保健所に置かれたものであること。都道府県知事等は、意見を聴く際には、3(1)アに準じて必要な書類を協議会に提出すること。

  イ 協議会は、入院延長の要否を診査し、その結果を2の都道府県知事等に連絡すること。

  ウ 連絡を受けた都道府県知事等は、その内容を踏まえて、法第20条第4項の規定による入院延長を必要とする患者又はその保護者及び当該者が入院する医療機関に対して、その旨連絡すること。また、延長を必要としない者については、入院の期間の満了後速やかに退院させること。

   なお、診査を行う協議会の置かれている保健所が、入院延長を行う都道府県等の所轄区域外にある場合は、前記のアからウまでの手続について事前に都道府県等間で協定を締結する等、法第20条第4項の規定による入院延長に支障を来すことのないようにすること。

 (2) 結核患者に係る入院

  都道府県知事等が法第20条4項の規定による結核患者に係る入院延長の要否について意見を聴く協議会は、診査の対象となる者の居住地を管轄する保健所に置かれたものであること。協議会への書類の提出については、(1)と同様であること。

6 その他

 第20条の規定による入院に関する緊急時の対応、退院については、第4に準ずるものとすること。

第6 その他

 第2から第5までの規定により都道府県知事等が行う勧告、措置等の事務については、当該事務の処理の迅速化を図る観点から、保健所長に権限を委任し又は代決させることは差し支えないこと。

{参考資料は省略}


○感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による医療の公費負担取扱要領の一部改正について

(平成19年3月29日)

(健発第0329009号)

(各都道府県知事・各政令市長・各特別区長あて厚生労働省健康局長通知)

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に基づく健康診断、就業制限及び入院の取扱いについては、医療の公費負担の取扱いについては、標記取扱要領(平成11年3月19日付け健医発第455号厚生省保健医療局長通知)によることとされているところであるが、今般、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律(平成18年法律第106号)の施行に伴い、その一部を別添のとおり改正し、平成19年4月1日から適用することとしたので通知する。


○感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による医療の公費負担の取扱いについて

(平成11年3月19日)

(健医発第455号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生省保健医療局長通知)

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)の施行については、平成10年10月20日厚生省発健医第346号・10畜A第2,227号厚生事務次官・農林水産事務次官連名通知により通知されているところであるが、この法律による医療の公費負担の取扱いについて、別添のとおり取扱要領を定めたので、本年4月1日以降、この要額によることとされたい。

別添

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による医療の公費負担取扱要領

 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「法」という。)第19条若しくは第20条(これらの規定を第26条において準用する場合を含む。)若しくは第46条の規定により入院した患者(新感染症の所見のある者を含む。)又は法第37条の2第1項に規定する医療を受けた結核患者に対する公費負担及び法第42条の規定による療養費支給の実施にあたっては、法令及び告示等に定めるところによるほか、この取扱要領によって適正かっ円滑な実施を期すること。

 この取扱要領は、都道府県、政令市及び特別区における事務処理の準則を示したものであるが、特に、患者の入院期間が比較的短期間の場合が多いと見込まれることから、患者及び医療機関の手続をできるだけ軽減するとともに、可能な限り事務処理の簡素・合理化を図ることとしているので、都道府県、政令市及び特別区においては原則としてこの取扱要領によることとし、それぞれの実状に応じて必要な修正補足を加える場合においても、その内容が関係者に対して煩さなものとならないように十分注意すること。

 なお、生活保護法による医療扶助を受ける者及び社会保険各法による被保険者等に関しては、別に通知するところによるほか、この取扱要領によるものとすること。

第1 入院患者に対する公費負担(法第37条関係)

1 一般的事項

 (1) 入院患者に対する医療費公費負担に関する事務について、その処理の迅速化を図る観点から、保健所長に事務を委任し又は代決させることは差し支えないこと。

 (2) 都道府県知事、政令市市長、特別区区長は公費負担の実施に関し、各保健所の取扱いに不均衡が生ずることのないよう注意すること。

2 公費負担の申請等

 (1) 公費負担の申請権者は、入院勧告又は入院措置により入院した患者又はその保護者であること。

 (2) 公費負担の申請者の負担をできるだけ軽減し、かつ、申請に対する判定の事務を迅速に行うため、次の点に留意して行うこと。

  ア 入院勧告又は入院措置を実施する旨の通知を行った保健所(以下「勧告保健所」という。)は、当該患者又はその保護者(以下「当該患者等」という。)に対して、医療費の公費負担の制度について説明し、申請書の作成、提出を求めること。

  イ 患者の病状等やむを得ない事由により、当該患者等が申請書を作成することができない場合には、勧告保健所又は感染症指定医療機関が申請書の作成を代行することができること。

  ウ 申請書の記名・押印は、申請者の自署によってこれに代えることができること。

  エ 当該患者等により作成された申請書については、患者の家族等により所得証明書等添付書類を整えた上で、速やかに患者の居住地を管轄する保健所(以下「居住地保健所」という。)を経由して勧告保健所に提出するよう指示すること。

  オ 申請書の提出を受けた居住地保健所は,申請書及び添付書類を確認し、記載内容等に不備がある場合には、申請者に対して必要な修正等を指示すること。

  カ 申請書の提出を受けた居住地保健所は、速やかに勧告保健所に送付すること。

3 公費負担の決定

 (1) 勧告保健所は、申請書を受理し、公費負担すべき旨を決定したときは、速やかに、申請者に対し、自己負担額の月額を明示して費用負担する旨の決定通知を行うとともに、当該感染症指定医療機関の管理者に当該決定通知の写しを送付すること。

  なお、その際、併せて公費負担者番号、公費負担受給者番号、公費負担の期間(始期、患者が既に退院している場合には、及び終期)を連絡すること。

 (2) 公費負担は、申請書の受理日にかかわらず、入院勧告等に基づき感染症指定医療機関に入院したときを始期とし、法第22条に基づき退院したときを終期とすること。

 (3) 勧告保健所は、公資負担の終期が到来したときは、速やかに申請者及び当該感染症指定医療機関に通知すること。

4 公費負担医療の範囲

 入院期間中に感染症措定医療機関において、当該措置に係る感染症医療以外の医療を受けた場合の当該医療費については、その医療が当該患者にとって緊急に必要であり、措置期間中に受療しない場合には当該感染症の回復に悪影響があることが明らかな場合に限り、公費負担の対象として差し支えないこと。

5 自己負担額の徴収

 法第37条第2項の自己負担額の徴収を行う場合は、都道府県知事等が申諸者に請求し、徴収すること。

第2 結核患者に対する公費負担(法第37条の2関係)

1 一般的事項

 (1) 法第37条の2の結核患者に対する医療費公費負担に関する事務について、その処理の迅速化を図る観点から、保健所長に事務を委任し又は代決させることは差し支えないこと。

 (2) 都道府県知事、政令市市長、特別区区長は公費負担の実施に関し、各保健所の取扱いに不均衡が生ずることのないよう注意すること。

2 公費負担の申請等

 (1) 公費負担の申請権者は、都道府県、政令市又は特別区の区域内に居住する結核患者又はその保護者であること。

 (2) 公費負担の申請者の負担をできるだけ軽減し、かつ、申請に対する判定の事務を迅速に行うため、次の点に留意して行うこと。

  ア 居住地保健所は、当該患者等に対して、医療費の公費負担の制度について説明し、申請書及び次に掲げる添付書類の作成、提出を求めること。

   ① 当該医療を受けようとする医師の診断書

   ② 申請前三か月以内に撮影したエックス線写真

  イ 申請書の記名・押印は、申請者の自署によってこれに代えることができること。

  ウ 申請書の提出を受けた居住地保健所は、申請書及び添付書類を確認し、記載内容等に不備がある場合には、申請者に対して必要な修正等を指示すること。

3 公費負担の決定

 (1) 居住地保健所は、申請書を受理したときは、申請された医療の適否を感染症の診査に関する協議会に諮問したうえ、公費負担の承認又は不承認を決定すること。

  なお、決定の期限は、申請書受理日から一か月以内と定められているが、再調査等の必要がない場合は、遅くとも半月以内に決定を行うようにすること。

 (2) 居住地保健所は、承認又は不承認の決定をしたときは、すみやかに患者票又は不承認の通知書を申請者に交付すること。

  なお、患者票及び通知書は、申請者及び結核指定医療機関の同意を得たときは結核指定医療機関に直接送付しても差し支えないこと。

 (3) 公費負担の承認期間は、保健所が申請書を受理した日を始期とし、その日から六か月以内の日を終期とすること。ただし、申請書の提出が郵送その他特別の事情のため時日を要した場合には、当該事情の継続した期間についても公費負担を承認して差し支えないこと。

4 医療内容の変更

 (1) 医療内容の変更

  3の(1)により承認された医療以外の医療が必要になったときは、あらためて公費負担の申請を行うべきものであること。

なお、この申請を行う場合には、患者票を添付させるものとすること。

 (2) 結核指定医療機関の変更

  患者から結核指定医療機関を変更する旨の届出があったときは、患者票を添付させるものとすること。

 (3) 住所地の変更

  患者が当該都道府県、政令市又は特別区内の他の保健所の管轄区域に住所地を移したときは、結核指定医療機関等の協力を得てその事実を速やかに把握し、当該保健所と連絡を取って、公費負担事務の引継を行うこと。

 (4) 患者票の返納

  公費負担の承認期間が満了したとき又は都道府県、政令市若しくは特別区の区域外に患者が住所地を移したときは、速やかに、患者票を保健所に返納させること。

第3 療養費の支給(法第42条関係)

1 緊急その他やむを得ない理由により、感染症指定医療機関以外の病院若しくは診療所に入院した患者又は結核指定医療機関以外の病院、診療所若しくは薬局で法第37条の2の医療を受けた結核患者に対する療養費の支給に関する取扱いについては、第1又は第2に準ずること。

2 緊急その他やむを得ない理由により、法第37条第1項の申請をしないで感染症指定医療機関に入院し医療を受けた場合には、退院後、申請をすることができるようになり次第速やかに申請するよう指導すること。また、緊急その他やむを得ない理由により、法第37条の2第1項の申請をしないで結核指定医療機関で同条の医療を受けた場合には、申請をすることができるようになり次第速やかに申請するよう指導すること。なお、これらの場合の療養費の支給に関する取扱いについては、第1又は第2に準ずること。

第4 その他

第1から第3までによる公費負担の実施に当たり、別紙1の申請書及び別紙2の患者票を活用することが可能であること。

{別紙1、別紙2は省略}


○感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による入院患者に対する自己負担額の認定及び合併症の取扱いについて

(平成19年3月29日)

(健発第0329010号)

(各都道府県知事・各政令市市長・各特別区区長あて厚生労働省健康局長通知)

 入院患者に対する自己負担額の認定については、平成7年厚生省発健医第189号厚生省事務次官通知の別紙「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律による措置入院患者の費用徴収額、麻薬及び向精神薬取締法による措置入院者の費用徴収額及び感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による入院患者の自己負担額の認定基準」により、合併症の取扱いについては、平成11年3月19日健医発第454号厚生省保健医療局長通知「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における健康診断、就業制限及び入院の取扱いについて」及び平成11年3月19日健医発第455号厚生省保健医療局長通知「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律による医療の公費負担の取扱いについて」によりそれぞれ処理されているところであるが、特に下記に留意の上、その適正な処理に努められたい。

 なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する技術的な助言とし、平成19年4月1日から適用する。

 おって、昭和63年11月18日健医発第1325号厚生省保健医療局長通知「結核予防法による命令入所患者に対する自己負担額の認定及び合併症の取扱いについて」は、平成19年3月31日限り廃止する。


   記

1 本制度は、患者本人が行政的な強制を受け、患者を入院させるにしても、その間、本人の疾病の治療のため必要な医療が加えられる以上、本人又はその家族はその負担し得る範囲内で当該医療費を負担することが衡平の原理にかなうことから設けられたものであり、この趣旨を十分踏まえて自己負担額の認定事務に当たられたいこと。

2 扶養義務者の範囲については、配偶者及び生計を一にする絶対的扶養義務者(直系血族及び兄弟姉妹)とされているところであるが、その取扱いに当たっては別途結核感染症課長通知に基づき、患者本人及び保護者等に本制度の趣旨を十分説明し協力を得られるよう努め、これらの者に必要な書類の提出を求める等されたいこと。

3 所得税額の把握については、患者本人又は保護者等により認定に必要な書類の提出を求め、必要に応じ関係機関等に照会することとされているが、この把握に当たっては関係機関等に対し、本制度の趣旨を十分説明し協力を得られるよう努めるとともに保護者等から同意書等をとるなどして、協力を得られるよう努められたいこと。

4 合併症の取扱いについては、原則として感染症治療と併せ行った合併症治療について公費負担の対象となりうるものであるので、その趣旨について医療機関等関係者に十分説明し、理解していただき、合併症治療の緊急性及び必要性について十分把握し、適正な運用に努めること。

 また、合併症の治療に際し転院せざるを得ない場合には、感染症病床又は結核病床を有する病院に転院させ、治療を行うことが適当であり、このため、日頃から感染症病床又は結核病床のある総合病院に転院させられるよう、これらの病院との協力体制を作っておくことが望ましいこと。

 しかし、救命等緊急時あるいは特例合併症の治療が地域の実情により他の一般病院に転院して行わざるを得ない場合は、感染症の治療に継続性をもたせるべく当該医療機関との連絡を密にするとともに、その患者の状況を的確に把握し、当該合併症の治療が終了した場合は速やかに感染症病床又は結核病床において治療に専念する等して、適正な運用に努められたいこと。

{参考資料は省略}