[文書名] 今冬のインフルエンザ総合対策の推進について
(平成19年11月5日)
(健感発第1105001号)
(各都道府県・各政令市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省健康局結核感染症課長通知)
インフルエンザは、毎年冬季に流行を繰り返し、国民の健康に対して大きな影響を与えている我が国最大の感染症です。
また、近年、学校における学級閉鎖や高齢者施設における集団感染、高齢者の死亡等の問題が指摘され、その発生の予防とまん延の防止が重要な課題となっています。
そこで、厚生労働省においては、今般、別添のとおり「今冬のインフルエンザ総合対策について」を取りまとめ、本総合対策に基づいて各般の施策を実施していくことといたしましたので、貴管内区市町村、関係機関及び関係団体に対する周知及びインフルエンザ予防対策の徹底方、よろしくお取り計らい願います。
また、インフルエンザ対策は、衛生主管部局のみならず、民生主管部局、教育主管部局等を含めた総合的な取組み、さらには、医師会等の関係団体との密接な連携が重要であり、積極的な情報提供等にご協力ください。
平成19年度
今冬のインフルエンザ総合対策について
今年度の標語
<ひろげるなインフルエンザ ひろげよう咳エチケット>
1.はじめに
本年度のインフルエンザ総合対策については、2007年11月9日をキックオフデーとし、<ひろげるなインフルエンザ ひろげよう咳エチケット>という標語を掲げ、国及び都道府県、指定都市、保健所を設置する市及び特別区(以下「都道府県等」という。)は、今冬のインフルエンザ対策に取り組んでいくこととする。
2.具体的対策
(1) インフルエンザ予防ポスターを作成し、電子媒体形式で提供
厚生労働省は、インフルエンザ予防のためのポスターの原画を作成し、インフルエンザホームページに電子媒体形式(PDFファイル等)画像ファイルで掲載。都道府県等においては、適宜活用(ダウンロード)され(独自に加工可)、医療機関、学校、職域等を始めとした普及を図り、国民にインフルエンザ予防を呼びかける。
(2) インフルエンザ“Q&A”の作成・配布
厚生労働省と国立感染症研究所感染症情報センター、日本医師会感染症危機管理対策室は、毎年インフルエンザの流行シーズンに寄せられる質問項目の中で、頻度の高いものを整理した上で、作成して公表する。
(3) インフルエンザに関するホームページを開設
厚生労働省のホームページに、インフルエンザに関する情報等を掲載した専用のページを開設する。
内容としては、インフルエンザ予防ポスター(PDFファイル等)、インフルエンザ“Q&A”、施設内感染予防の手引、インフルエンザに関する特定感染症予防指針、インフルエンザ発生状況等(発生動向情報、インフルエンザ様疾患報告情報)を逐次掲載し、更新する。
・厚生労働省ホームページ {URLは省略}
国立感染症研究所感染症情報センターホームページ {URLは省略}
ア 感染症法に基づくインフルエンザ患者発生状況の把握
各都道府県が選定した全国約5,000箇所のインフルエンザ定点医療機関(約3,000箇所の小児科定点医療機関を含む)から報告されるインフルエンザの発生状況について、オンラインで情報収集を行うとともに、集められた情報を分析し、その結果を「感染症発生動向調査週報(IDWR:Infectious Diseases Weekly Report)」等を用いて提供・公開する。
イ 学校におけるインフルエンザ様疾患発生状況把握(学級等閉鎖情報)
全国の保育所・幼稚園、小学校、中学校等においてインフルエンザ様疾患による学年・学校閉鎖が実施された場合に、その施設数及びその時点においてインフルエンザ様疾患で休んでいる学童等の数を、各学校及び各都道府県教育担当部局の協力に基づき収集・分析し、その結果を毎週公表する。
ウ インフルエンザ関連死亡の把握(関連死亡情報)
インフルエンザの流行が死亡者数に与える影響について監視を行うため、14指定都市からの協力を得て、インフルエンザ関連死亡の把握を行うための調査を行う。
(4) 相談窓口の設置
インフルエンザをはじめとした感染症の一般的予防方法、流行状況や予防接種の意義、有効性、副反応等に関する国民の疑問に的確に対応するため、NPO法人バイオメディカルサイエンスにインフルエンザ等感染症に関する相談窓口を開設する。
具体的な対応は以下のとおりとする。
・開設時期 :平成19年11月5日(月)~平成20年3月31日(月)
・対応日時 :月曜日~金曜日(祝祭日除く)09:30~17:00
{電話番号、FAX番号、E-mailは省略}
(5) 予防接種について
65歳以上の高齢者、60~64歳で心臓、じん臓若しくは呼吸器の機能に障害があり、身の回りの生活を極度に制限される方、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方については、予防接種法に基づく接種を受けることが可能である。
(6) ワクチン・治療薬等の確保
ア インフルエンザワクチン
今シーズンの供給予定量 2,520万本(平成19年10月2日時点)
(うち、40万本を不足時の融通用として確保)
イ 抗インフルエンザウイルス薬
① タミフル(一般名:リン酸オセルタミビル 中外製薬)
今シーズンの供給予定量 600万人分
(タミフルカプセル75及びタミフルドライシロップ3%の合計)
② リレンザ(一般名:ザナミビル水和物 グラクソ・スミスクライン)
今シーズンの供給予定量 300万人分
ウ インフルエンザ抗原検出キット(迅速タイプ)の供給
今シーズンの供給予定量 約2,200万人分(需要増に対応し増産が可能)
(7) 施設内感染防止対策の推進
高齢者施設等のようにインフルエンザに罹患した場合の高危険群の者が多く入所している施設においては、まず、施設内にインフルエンザウイルスが持ち込まれないようにすることが重要である。したがって、厚生労働省は日本医師会感染症危機管理対策室とともに、インフルエンザウイルスの高齢者施設等への侵入の阻止と侵入した場合のまん延防止を目的とした標準的な手引書「インフルエンザ施設内感染予防の手引き」を各施設に普及していく。
なお、高齢者等の高危険群に属する者が多く入所している施設においてインフルエンザの流行が発生した場合には、都道府県等は、当該施設等の協力を得て調査を実施し、感染拡大の経路、感染拡大の原因の特定などを行うことにより、施設内感染の再発防止に役立てることが重要であり、国は、都道府県等から調査の実施に当たっての協力要請があった場合には、積極的に対応する。また今年度も、特に高齢者施設の方については、重点的に予防接種を勧奨する。
(8) その他
他の患者への感染拡大の防止のため、標語にもあるように、咳エチケットをキーワードとした普及啓発活動を行い、マスクの着用や人混みにおいて咳をする際の注意点について呼びかけることとする。
「咳エチケット」
○ 咳・くしゃみの際にはティッシュなどで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけ1m以上離れる。
○ 呼吸器系分泌物(鼻汁・痰など)を含んだティッシュをすぐに蓋付きの廃棄物箱に捨てられる環境を整える。
○ 咳をしている人にマスクの着用を促す。
○ マスクの装着は説明書をよく読んで、正しく着用する。